研究室だより (2013.10.〜2014.3.)
目次

桃木教授、ベトナム北部山地および雲南省にて学術調査(2013.12.24-2014.1.13)

 2013年末から2014年頭にかけて、本研究室の桃木至朗教授がベトナム北部山地および雲南省にて学術調査を行った。今回の調査は、ベトナム史を専門とする桃木教授および名古屋商科大学の松尾信之教授と、雲南史を専門とする名古屋大学の林謙一郎教授が中心となって行われた。また上記の3教授に加え、本研究室から岡田雅志(特任研究員)、多賀良寛(博士後期課程)、遠藤総史(博士前期課程)、岡田陽平(博士前期課程)らが調査に参加した。
 調査では北部ベトナムと雲南を結ぶ交通路を辿り、交易拠点や鉱山跡のフィールドワークを行った。またベトナム〜中国にまたがってタイ系の少数民族が居住する地域を訪ね、複数の聞き取り調査を実施した。なお調査中には紅河学院(紅河哈尼族彝族自治州)および雲南大学(昆明市)との間に学術討論の場が設けられ、日・中・越の研究者が交流を深め合う貴重な機会となった。(T. Y)

ベトナム北部山地におけるモン族首長へのインタビュー 雲南省紅河州に広がるハニ族の棚田
ベトナム北部山地におけるモン族首長後裔へのインタビュー(左写真)/雲南省紅河州に広がるハニ族の棚田(右写真)
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片山教授、田口准教授、台湾にて史料調査(2013.12.20-28)

 2013年12月20日から28日にかけて、片山剛教授、田口宏二熄y教授が台湾にて史料調査を実施した。本研究室からは他に山本一(特任研究員)、八木啓俊(学部2回生)が同行し、また三重大学・大坪慶之准教授(本研究室OB)等も参加した。

 この調査は2011年に採択された科学研究費補助金(基盤研究A)「中国における土地領有の慣習的構造と土地制度近代化の試み」に関するものであり、主には昨年夏の調査に引き続き、国史館にて民国時期の南京市街地における土地所有権等の登記文書を収集した。また当該時期南京の档案史料や、空中写真から作成された地図等も収集することができた。(Y.H.)

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ワークショップ「近代東アジア土地調査事業研究」(2013.12.14-15)

 片山剛教授が代表を務める,科学研究費補助金(基盤研究A)「中国における土地領有の慣習的構造と土地制度近代化の試み」の研究報告の一環として,2013年12月14日から15日にかけて,大阪大学豊中キャンパスにてワークショップ「近代東アジア土地調査事業研究」が開催された。

 今回のワークショップでは科研のメンバーによる4本の報告が行われ,それぞれの報告に対して専門家からコメントをいただいた。各報告の題目とコメンテーターは以下の通り。

ワークショップの一齣
ワークショップの一齣

 また,本ワークショップの最後に,佐藤廉也(九州大学准教授)と小林茂(大阪大学名誉教授)の両氏に「アメリカ公文書館蔵、U-2機撮影の中国大陸空中写真画像について」という題目で特別レポートを行っていただいた。冷戦時代にアメリカが高高度偵察機U-2によって撮影した中国大陸の空中写真を紹介し,当時の土地利用を非常に細密にうかがい知れることを報告していただいた。

 以上の内容の詳細は,本年度末に刊行予定である本科研のニューズレターに掲載予定である。(Y.H.)

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Ronald Edwards氏(台湾・淡江大学)の講演会(2013.11.26)
講演中のedwards副教授
講演中のEdwards副教授

 11月26日(火)、淡江大学経済学部のRonald Edwards副教授による講演会が行われた。Edwards副教授は中国経済史を専門とされており、とりわけ宋代 の経済成長について精力的に研究を進められている。

 講演会では、宋代中国の経済成長についてクズネッツの理論を援用しながら分析を加えるいっぽう、科学技術と経済成長との関係を追求することで独自の見解を提示された。

 講演の内容に対しては、青山学院大学の青木敦教授と本学の田口宏二朗准教授からコメントが加えられた。その後はフロアからも多くの質問が寄せられ、予定時間いっぱいまで白熱した議論が展開された。(T.Y)

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多賀良寛(博士後期課程)、史学会にて研究報告(2013.11.10)

 11月10日(日)、東京大学本郷キャンパスで開催された第111回史学会大会において、本研究室の多賀良寛(博士後期課程、日本学術振興会特別研究員)が「十九世紀ベトナムにおける穀物流通の展開」と題する研究発表を行った。発表ではベトナム阮朝によって行われた漕運制度(国家が主導する穀物輸送制度)をとりあげ、漕運を支えた船舶の組織形態や、漕運によ って首都フエに運ばれた穀物の数量などについて検討した。(T. Y)

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秋期ソフトボール大会(2013.11.5)
集合写真

 11月5日(火)、秋季ソフトボール大会が十三・歌島公園グラウンドにて開催された。試合の模様は『続ソフトボール実録長編』二〇一三年秋之條に詳述する。

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大阪大学・上海交通大学学術交流会(2013.10.22-24)

 10月22日〜24日にかけて、大阪大学と上海交通大学との学術交流会が催された。当該交流会は、大阪大学と上海交通大学との間で物理学、情報科学技術などの理系分野で1996年から行われており、2009年から文系では中国史の間での学術交流が行われている。

 今回の交流会は大阪大学で開催され、上海交通大学から章毅教授と蒋勤講師が来阪され、本研究室からは、田口宏二朗准教授、山本一特任研究員、博士課程の田由甲、藤澤聖哉が、それぞれ以下の題目で中国語を用いて研究報告を行った。

集合写真
前列左から蒋勤講師、章毅教授、片山教授、田口准教授

 章氏は、宋から明の徽州における士紳の興隆と理学の広まり、およびそれらに伴う宗族の形成に関する報告を行い、蒋氏は浙江省南部の石倉で見つかった文書群から、当該地の鉄業の興亡をプロト工業化の視点から論じた。報告・質疑応答は8時間に及び、大いに白熱した。なお次年度は上海交通大学で行われる予定である。(文責:Y.H.)

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大阪大学大学院・文学研究科・東洋史学研究室