学術講演会・懇親会 (1998.10.3) |
1948年に旧制法文学部の文学科として誕生した阪大文学部は,本年9月14日で創立50周年を迎えた。
東洋史研究室においても創立50周年を記念すべく,かつて本学に在職・在学された諸先生ならびに多数の卒業生をお招きし,学術講演会・懇親会を盛大に開催した。
布目先生のご講演では,ご自身に依頼された骨董品真贋鑑定の話に始まり,中国で真鍮がいつの時代から利用され始めたか,という化学技術史的大問題がとりあげられた。
「失敗談」と題されながらも,文献史料と化学分析のデータとを巧みに照合される論理の明晰さに,聴衆は大いに感銘を受けた。
松田先生は,今夏の1ヶ月にわたるモンゴル帝国時代(13〜14世紀)の遺蹟・碑文の調査成果を,ビデオ映像中心に紹介されるとともに,これらの碑銘・遺蹟から歴史像を再構成する醍醐味を存分に語られた。
とりわけ,従来知られていなかった新出碑文の発見も紹介され,北アジア・中央アジア史研究の着実な進展を実感させるご講演となった。
講演会の掉尾を飾る濱島教授の講演では,数年来の現地調査に基づく中国江南地域の民間信仰がとりあげられた。
江南地域の社会的変動と民間信仰の変遷との密接な関連,そして伝統中国から社会主義時代を通じて根強く残る民間信仰の実態について,最新の研究成果をスライドを交えて縦横無尽に紹介した。
学術講演会にひきつづき,午後6:00より,千里阪急ホテル・仙寿の間にて懇親会が開催された。
本研究室の記念すべき第1期生(1954年卒業)である岸 彰則
氏から乾杯のご発声をいただき,懇親会がスタートした。
同窓生・恩師との再会をひとしきり楽しんだ後,かつて本研究室に在職・在籍され,現在も各方面でご活躍されている来賓の諸先生方から,ご祝辞をたまわった。
思わぬウラ話も飛び出し,在籍院生にとっては,研究室の歴史を実感させられる良い機会となったことであろう。
杉本憲司・佛教大学教授(1961年博士修了,元助手)
片倉穣・桃山学院大学教授(1967年博士修了)
中村哲夫・神戸学院大学教授(1970年博士修了,元助手)
森川哲雄・九州大学教授(1975年博士修了,元助手)
妹尾達彦・筑波大学助教授(1983年博士修了)
中村淳・駒澤大学専任講師(1995年博士修了)
谷口規矩雄・本学名誉教授
最後に,布目名誉教授より,この50周年記念の集まりを機会に,阪大東洋史研究室の同窓会活動をより活性化させてはどうか,とのご提案をたまわった。
もちろん一同の賛成を得て,つつがなく懇親会は散会となった。