江太新教授講演会








 中国社会科学院経済研究所より、日本学術振興会短期招聘学者として4月24日より6月22日まで本研究室においでいただいていた江太新教授の講演会が、5月29日、6月19日の二回にわたり行われた。以下、講演の模様をお届けする。




講演される江太新教授 第一回目(5/29)の講演題目は「清前期地主与農民占地状況研究」。この日の講演では、清代の土地所有はそのほとんどが地主によるものであるとする従来の通説に対し、江教授は、自作農の土地所有の多さを指摘した上で、清代においては農民的土地所有の比重が大きかったのではないか、と結論された。なおこの日は、甲南大学より稲田清一助教授がおいでになり、活発な討論が行われた。

 これを受けた第二回目(6/19)の講演題目は「論清代前期政府対小農経済的扶持」。ここで江教授は、前回指摘された農民的土地所有の比重の高さの要因は、清初期、政府が自作農保護のための様々な政策を行っていたことにあるとされ、その政策の具体例をあげられた。

講演風景から 江太新先生は、約二ヶ月にわたって日本に滞在されたが、その期間の成果について以下のように述べられている。

 「丁寧かつ厳格な諸先生方の指導、院生の活発な発言などを目の当たりにし、教師・学生間の指導のあり方など(例えば研究者の養成、研究に取り組む姿勢など)の点で大いに刺激を受けた。これは帰国後、中国社会科学院経済研究所における研究活動のあり方にも、少なからぬ裨益を与えるであろう。」