東洋史研究リンク集掲示板 (2003年9月3日〜2004年6月14日)
上記の期間の東洋史研究リンク集 の掲示板 記録です。新しい記事が上。
進行表 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 6月14日(月)17時15分2秒
最初に十人くらいの内容で検討するためにつくってしまったらどうですか。
それはそれで、少なくとも自分的には興味深いのでは。
わたしもそもそもは自分が青柳篤恒の『支那時文規範』を
の索引(→これ辞書にばけた)を欲しいと思い、
友人の間では知られた稀代の悪筆なもので、(T_T)
当時まだ高価な(現在からみたら貧弱な機能の)ワープロに飛びついてしまって・・・・
しかし、だんだん周りの人間のリアクションが大きくなってしまって、
テクニックの一つとしては、
基本的にはいろいろな本の語彙をひらっていく、
ので流石に先が思いやられるということがありますので
進行表をかくこともあります。
これは最初に青柳篤恒の『支那時文規範』をばらしたときからしているのですが、
四角いマス目をつくって進行表をつくっていくと、
ここまでできているという変な自信が湧いたりします。
しかし、時として薄い冊子と思っても侮れないものがあります。
今回の編集で大いに取り込んだ本のなかで、『満州国公文提要』なるものがあります。
そう厚いとも思えなかったのですが、ばらして語彙に分解していくと
結構手間がかかった。
今回つけた文体の解説で、文末の定型句についての言及が増えたのは
この本の影響が無視できません。
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一番大事にしたいのは 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 6月14日(月)15時39分15秒
ところで、編集で一番大事にしたいのは
やはり、本野先生も書いているような、自分でわくわくしながら
楽しんでやることでしょう。
難行苦行と思えば途方もない作業となりますが、
一つ一つ積み重ねていくのが楽しければ、
あとは時間をかければ、結果として、分量は増える訳です。
ある程度量ができると、それだけでも自信になったりします。
どういう項目で並べられますか?
それを考えるだけでも面白いと思います。
名前は勿論ですが、アルファベット表記も多様でしょうし、
本串やら屋号の字配も積み重ねると面白いつながりが見えるでしょう。
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補+ではでは、 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 6月14日(月)13時54分28秒
補: 出版は汲古書院です(書き忘れていた(^^;>
まぁ、こういう性格だったりします。
本野先生:
では、多分何回かに分けて書くことになりますがちょっとまとめちゃいましょう。
でも、その前に辞書やらデータベースをつくるにあたって、
覚悟しなければいけないのは文字コード問題です。
単独で書く(比較的短い)論文中における外字処理とは違う問題である。
JISコードだけでは、三国志の人物のデータベースすら満足につくれません。
(超漢字のでもソフトで比較優位を示すためにデータベースつくってました)
例えば、何万語もある語の中で、どの頁のどの字はほんとうはこんなフォントと
指定するのは無意味であり、大いなる徒労と言えるでしょう。
今回の編集で言えば、置き換えなければならない字は400種以上もあった。
超漢字がもっと足回りを充実していてくれたらと泣きの涙でした。
膨大な資料を扱う中での文字コード問題は致命的な問題となると思います。
大体超漢字にしても一旦「今昔文字鏡」フォントをつかいつつ(超漢字2)、
やがてGT明朝版(超漢字3、4)もだし、
その間、とうぜん置き換えを強いられたのである。
JISの第3、第4を扱えるソフトは聴いたことも見たことないし、
Unicodeは今回重宝してつかいましたが、とことん文字コードは振り切れません。
そして、マックはUnicodeは対応していないので、
データ通信上で思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。
創った後で、延々と変換作業を強いられることを考えると、
よく思案して、それでもというあたりで踏ん切りをつけないと思います。
結構市販ソフトで対応しているのはUnicodeでしょうか。
一太郎、EXCEL、WZEditorは対応してます。
ただ、今回の出版ではUnicodeにもない字は
画像でつくって合成してコピー+ペーストしました。
版下だからすることであって、
膨大なデータを処理する上ではどうあっても邪道でしょう。
あっ、いけない。補習の準備がありますので、まずはここまで。
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私も事典を作ろうかな 投稿者:本野英一 投稿日: 6月14日(月)13時05分27秒
山腰先生を見習って小生も事典を作ろうかなと考えています。といっても語学辞書ではなく、在華外国商人や買辧に関するそれです。清末の条約港、といっても上海や福州、漢口程度ですが、での新聞記事や裁判記録を追いかけていると、名のある権力者だけを取り上げた人名事典には絶対出てこない人物がたくさん出てくるからです。こういう非著名人を追いかけている方が、研究者としては面白いからです。青木さんの恩師が編者の一人である『華僑・華人事典』にも出ていない中国商人の何と多いことか。でも、どうやってはじめればいいんだろ。山腰先生、体験を教えてください。
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情報ありがとう 投稿者:本野英一 投稿日: 6月10日(木)11時05分34秒
山腰先生、嬉しい情報をありがとうございました。早速ゼミの学生にも通知します。もちろん、当方も一冊注文します。
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補:タイトル 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 6月10日(木)10時19分1秒
タイトルは今度の出版で改題して
『中国歴史公文書読解辞典』
としました。
依然、清末民初期を念頭においてはいるのですが、
他の時代を研究される方も使えると言ってもらっておりますので。
このことは自序で断り書きしています。
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辞書について 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 6月10日(木)10時12分56秒
長々とお待たせしましたが、
ぼちぼち辞書の新装版が世に出るかと思います。
定価は3465円となります(本体3300円+税)。
ピンイン索引(32頁)+辞書部(245頁)
横書き付録部(7頁)+縦書き付録部(35頁)
文体についての考察は下記HPに掲載したのを元にしましたが、
流石にネットが消滅しても出版された本は残る (^_^;)
と考えると手を加えざるを得ないところがありましたので異同あります。
原稿は入稿してます。
あとは印刷のスケジュール次第のようです。
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(無題) 投稿者:管理人・青木 投稿日: 6月 9日(水)22時09分17秒
Appreciated.
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事典を引くこと 投稿者:本野英一 投稿日: 6月 9日(水)10時39分12秒
下馬場さん、お尋ねの件は、『日本史事典』や『歴史学事典』『アジア歴史事典』を引けばわかるようなことばかりです。まず所属の大学の図書館の参考図書コーナーに行って手間隙を惜しまず調べることです。小生のゼミ学生ならば怒鳴りつけていることです。こんあ初歩的なことを人に尋ねるなんて恥ですよ。
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re: 投稿者:管理人・青木 投稿日: 6月 9日(水)00時42分53秒
Welcome to my place, Felix.
漢字部分だけが文字化けで読めません。もう一度、お願いできますか?
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re:ル|・、よろしいですか・ 投稿者:Felix 投稿日: 6月 8日(火)12時50分18秒
兜旗の猟郊セt興、弥宗嵶隻とはどういった繁麗なんですか・
できればヤ狽オいプロフィゥ`ルを縮えてください。
ヴハ鐚亮・」・玉鐔「寮ノ℃@キ
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無茶を言ってすいませんでした。 投稿者:下馬場 投稿日: 6月 7日(月)00時11分33秒
色々と突飛なことを質問してすみません。
僕の名前は、シモババ、と言います。
今は学生で、台湾史についてのレポートを書いていて、
分からないところだらけで、質問をたくさんしてしまいました、、、
これからも度々書き込むと思うので、よろしくお願いします。
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(無題) 投稿者:管理人・青木 投稿日: 6月 6日(日)23時49分58秒
しもばばさん、とお読みすればよろしいのでしょうか?
六三法は、領台後まもなく出された、総督に広範な権限を許す法律ですが、詳しいことをすぐ正確に説明できるほど、熟知してません。植民地初期を扱った研究に時々出てきます。
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何度もすいません、、、 投稿者:下馬場 投稿日: 6月 6日(日)23時00分15秒
先程はありがとうございました。再度質問なんですが、
「六三法」とは何の略称で、どういった内容なのですか?
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(無題) 投稿者:下馬場 投稿日: 6月 6日(日)17時38分22秒
こんなに早く調べていただけるとは、
本当にありがとうございました。
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re: 投稿者:管理人・青木 投稿日: 6月 6日(日)16時49分50秒
下馬場様:
ご来訪を歓迎いたします。
安政2丹波国氷上郡小倉村に生まれる。1901年衆議院議員,06年貴族院議員,16年寺内正毅内閣に逓信大臣,19年台湾総督。
詳しくは、台史所の呉文星等主編『臺灣總督田健治郎日記』参照。
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質問、よろしいですか? 投稿者:下馬場 投稿日: 6月 6日(日)16時31分22秒
初代の文官総督、田健治郎とはどういった人物なんですか?
できれば詳しいプロフィールを教えてください。
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一つの事象が人により 投稿者:管理人・青木 投稿日: 6月 5日(土)01時54分3秒
その本には、明代のある程度の期間の地価変動が示されていて、その変動を理解する仕方が、人・その興味の方向によって違う、というお話でした。前人未踏の領域が多く残されているということについては、19世紀以前についてもまったく同感です。12世紀でさえ、そうです。私一人いくら頑張っても、あと40年(私の気力の衰える80歳前後まで)では無理ではないかとさえ思います。
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誰でも考えることは同じ 投稿者:本野英一 投稿日: 6月 4日(金)10時06分12秒
そうでしたっけ。すると、どんな切り口から迫っていっても発想することは決まりきってしまうということですね。中国社会経済史研究を山登りにたとえれば、山頂を極めるまでもルートは、大体いくつかに限られてしまうということでしょうか。でも、これは20世紀以降についてはまだ、人跡未踏の領域が数多く残されており、必ずしも当てはまらないと思うのですが。
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asdf 投稿者:管理人・青木 投稿日: 6月 3日(木)00時10分55秒
ポランニーは経済学者が自ら設定してる枠を超えてます。コースは尊敬する存在ですが、歴史学者ではないし。私は以前、やはりノースのストーカーでした。
興味深いのは、岸本美緒『清代中国の物価と経済変動』−−−−に、
「以上、物価の長期動向の分析方法につき概観してきたが、そこにみられる貨幣数量説的接近法(全漢昇等)、貨幣要因主導の景気分析的接近法(岸本等)、労働価値説的接近法(ボウ信威等)といった諸方法の背景には、それぞれ古典派=新古典派経済学、ケインズ経済学、マルクス経済学、等の発送の枠組が漠然とながら看取せられるように思われる」
とあります。
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影響を受けた社会科学者 投稿者:本野英一 投稿日: 6月 2日(水)10時28分11秒
東洋文化研究所のK田先生の貨幣論とポランニーの理論との類似性は有名ですよね。史料的アプローチを続けていると、意図するか否かを問わず、どうしてもこのような現象は生じてしまいます。かくいう小生だって、ヒックス、ノースのそれとどうしても発想が似てしまっています。これからは彼らの思考方法をも脱却しなくてはならないけれど。青木さんは、ロナルド・コースでしたっけ。最初は見習い、そしていつかは離れていかなくてはならに大学者との付き合い方って難しいです。さて、これから授業なので、これで失礼します。
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学会報告 投稿者:本野英一 投稿日: 6月 1日(火)10時08分51秒
青木さん、そちらは盛況だったようですね。また、貴志先生、著書の宣伝をありがとうございます。小生は今年は大学の研究予算しかもらえないため、経費節約のため、一橋大学の歴史学研究会に出席していました。同じ奨学金で留学していた都丸潤子さんの報告を聞きたかったですし。さて、会場で名古屋大学出版会の人に会いました。拙著は3冊持ってきただけでしたが、完売だったそうです。そちらははたして何冊売れたのでしょうか。
出来上がった拙著を読み直していて、序論の舌足らずな内容、あるいはおかしな日本語表現を何箇所か見つけ、正直自己嫌悪に陥っています。いつだったかここに書いた、バルザックのように、死ぬまで推敲を続けなくてはならないのでしょうね。それで、心は早くも拙著の改訂増補版を出すこと、次の研究に向かっています。この次は社会経済史学会でお目にかかりましょう。
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人文は広い。 投稿者:管理人・青木 投稿日: 6月 1日(火)01時42分7秒
え、あんな目立つお忍びって、ありですか!?
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管理人先生へ 投稿者:Paul Weller 投稿日: 5月31日(月)17時26分43秒
いえいえ、散弾銃どころかデイジーカッターなみの威力はあったと思います。
ちなみに、厳密には経済学ではありませんが、院生のころ読みまくったPolanyiに私は一番ひかれます。我々の「経済」概念を、substantivist-formalist二つに分かった作業は、以後多くの研究者にも影響を与えたのではないでしょうか(これを主題にしたノース論文も一本あります)。訳者である玉野井芳郎・吉沢英成両先生の仕事も、同様に興味深いものでした。「経済」史の対象領域を自明のものと考えるのではなく、それ自体に実証研究を加えること。ここに文学部プロパーの出番があると考えています。
ちなみに東文研のK田先生も「お忍び」で聴きにいらしてました。お気づきでしたか?
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Paulさん、 投稿者:管理人・青木 投稿日: 5月31日(月)12時52分2秒
ご来聴、痛み入ります。私、そんな難しい話をしてたのですか!?ゴルゴ13が対決してるようなところで、私だけ、誰もいない方向に散弾銃一発ぶっぱなして帰ってきただけ、という感想です。
今回のシンポは、やはり、オーガナイザー先生が非常に新しい経済史の方法の方向性を選択したわけですから、困難もあった反面、収穫も大きかったと思います。肥前御大のご意見は、恐らく参加者がみな、予想していたではないでしょうか。「勤勉革命」は難題でした。
私は経済学部でないから気楽に言えるのですが、やはり大塚久雄とかマルクスとかウェーバーの存在というのは大ききく、ノースやボーズラップは、いくら偉大だといっても、重みがないんですね。それをマトモに取り上げていこうとするのですから、パイオニア的な苦労は避けられないと思います。いかにも文学部東洋史出身、という学統の社経史方面の先生方も、やはり内心、親近感を持つ経済学者がおありと思います。スミスシアンだ、ケインジアンだ、というように。Paulさんは、どういった方向性ですか(せっかく匿名なのですから)。
本野さんの御新著、広告付きヒラ積みで売り出されてました。すぐ売切れてしまいましたが。
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お疲れさまでした 投稿者:Paul Weller 投稿日: 5月31日(月)09時49分37秒
青木先生:日曜の社経史シンポ、お疲れ様でした。集団ゲーム理論であれ進化ゲーム論であれ、制度変化はプレイヤーによる環境知覚を前提にせねばならない。今回の共通論題では先生が唯一、当事者のエピステーメ/外部環境把握の枠組みまでをも射程に入れておられたのですが、質疑応答ではその点に誰も触れませんでした。そもそもフロアーから発言すればよかったのですが、杉原・川勝両先生の十字砲火に臆してしまったのが私のショボいところです。
なお社経史大会会場での書籍展示即売会では、本野先生の著書は早くも完売でした。早速注文しました。
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上梓おめでとうございます。 投稿者:管理人・青木 投稿日: 5月28日(金)22時58分41秒
貴志先生、
御情報、ありがとうございました。
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新刊紹介:『伝統中国商業秩序の崩壊−不平等条約体制と「英語を話す中国人」−』 投稿者:貴志俊彦 投稿日: 5月28日(金)22時03分27秒
みなさま
本野英一先生が新作を発表されました。
ぜひとも、ご一読ください。 貴志
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本野英一著
『伝統中国商業秩序の崩壊−不平等条約体制と「英語を話す中国人」−』
名古屋大学出版会
A5判・上製・428頁・6,300円 (税込)'04/05
アロー戦争後、近代西洋の経済秩序原理が中国のそれとぶつかり、軋轢の中から伝統的商業秩序が崩壊していく過程を、「不平等条約」特権を利用する中国人の役割に注目しつつ、在華イギリス企業が起こした経済紛争を分析することで実証的に解明、中国社会の歴史的性格を浮き彫りにした労作。
目次:
序論
第I部 中国における「自由貿易」原理の挫折
第1章 華中の輸出入取引決済構造と一八八六年恐慌
第2章 「E-kee対怡和洋行事件」
第3章 事件の背景と輸出取引決済制度の改変
第4章 輸入取引決済制度の改変と妥協の成立
第II部 輸出入取引制度をめぐる対立
第5章 輸出取引制度をめぐる対立
第6章 「買空売空」問題と通貨統一論争
第7章 在華イギリス商社の反撃とその限界
第8章 輸出入取引決済制度をめぐる合意の成立
第III部 「不平等条約」特権を利用する中国人
第9章 「不平等条約」特権を利用する中国人の出現
第10章 「不平等条約」特権を利用する中国人組織の出現
第11章 清朝政府の対応
補論 恵通銀行事件
第IV部 在華イギリス商人の対応
第12章 買辧の法的地位定義の改変
第13章 福州におけるイギリス向け紅茶輸出貿易の衰退
第V部 在華イギリス当局の対応
第14章 「ゴム株式恐慌」後の信用構造維持問題
第15章 「ゴム株式恐慌」後の中英間債権債務処理問題
第16章 在華イギリス籍会社登記制度を利用する中国人の実態
結論
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KISHI, Toshihiko
Graduate School of Northeast Asia, The University of Shimane
2433-2, Nobara-cho, Hamda-city, Japan 697-0016
Tell & FAX: +81-855-23-3994
E-mail: t-kishi@u-shimane.ac.jp
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re:掘り出し物論議 投稿者:管理人・青木 投稿日: 5月21日(金)23時54分55秒
私は、とても美術品の掘出し物を当てるほど、知識がありません。でも、すごく好きなものを入手したいという気分は分かります。ご紹介のニュースの、ミケランジェロの買い手が自分で持っていたいとすれば、それも良く分かる気がします。
それにしても、すごい話ってあるものですね。いまどき、ミケランジェロが出てくるとは。ミケランジェロは好きです。ベートーベンを聞いているような感じです。ずっと前の時代ですが、イタリアでいろいろ見てきました。
私は、ごくたまに(いままで何回か)、3号、4号くらいの絵を画家の知人から譲り受けたりして入手して、部屋に飾っています。額縁は、立派なものにして。ある中国史の先生が絵を描かれるので、その先生からも譲ってもらいたいと思ってお願いしてあるのですが、なかなか忙しく、お宅まで伺う時間がありません。
フェイクって、どのくらいの値段なんでしょうか。やはり、一流の画家の模倣だと、それなりなんでしょう。私は見分けがつかないなら、フェイクでも全然構わないと思うのです。偽ブランドと違って、法に触れるわけではないでしょうし。イコンはいくつか持っていますが、イコンには真も偽もありません。
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掘り出し物論議 投稿者:本野英一 投稿日: 5月21日(金)17時34分5秒
前略、その後大会報告準備はいかがでしょうか。小生、先週末にひいた夏風邪をこじらせ、ここ数日咳に苦しんでいます。貴志さんや松重さんにうつさなければよかったのですが。さて、古本骨董道楽の醍醐味は何と言っても掘り出し物を見つけ出すことでしょうか。小生の最大の掘り出し物は、1980年代に一誠堂やロンドンで海関の法令集や特別報告を見つけ出したとき、あるいは叢文閣で『支那時文新辞典』を見つけたときでした。
でも、今朝の朝日のニュースで知ったような超ど級な掘り出し物もあるのですね。
これと似た話は、2件知っています。フランスの骨董やで日本人医師が5万円で買った誇りだらけの油絵をよくよく見たら、ルーカス・クラナッハの真筆だったと鑑定され(ミュンヒェンのアルテ・ピナコテークによる鑑定)、8千万円の値段がついたとか、1997年にロンドンのサザビーに修理のために持ち込まれた二束三文の油絵の額の裏側から行方不明だったレンブラントのエッチング『天使をもてなすアブラハム』の原版が出てきたといった、宝くじの1等を引き当てるよりエキサイティングな話を知っています。
残念ながら書物ではこれほどの大当たりはありませんが、小生の夢は、ヨーロッパかアメリカの骨董点でフェルメールの未知の作品を二束三文で買うことでしょうか。いいなあ、そんなことがあったら。レンブラントのエッチングで妥協してもいいけれど。青木さんはどんな掘り出し物を期待しますか。ではまた。
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いいではないですか 投稿者:管理人・青木 投稿日: 5月16日(日)16時14分43秒
安かったんですから。もちろん、昔書いたものにこだわるのなら、向上心がないみたいですが、書店で自分の書いたもの見ると、街でかつての教え子に会ったような気がするんです。
本野さん仰るとおりで、自分の持っている時間・財政・部屋の広さなどを総合的に考えて買ったり借りたりコピーしたりしますが、書淫というように、本そのものに対する係数が大きい効用関数の人もいるでしょう。さすがに、宋元版を個人で所有してるケースは極めて稀と思いますが、よく、契約文書を数枚、オモチャとして持ってる人がいます。モノに対する興味、人に対する興味も、研究の邪魔にならない程度であれば、許されるでしょう。確かに、辞書や史料集は、古書で入手するメリット大ですね。
山腰先生、中野の本屋、ありがとうございました。私も、東京の本屋など、そうすぐ行けるわけではないですが、おもしろそうなところだと思いました。行ってみたら、ご報告します。
ただ悩むのは、一度出した論文を別の本に採録するに際して改定することをどう考えれば良いのか。もちろん当時入手不可だった新史料で補強するのは結構なのですが、初出で既存史料に見落としがあった場合、あるいは論旨は変わらないが小さな訂正をするということ、これは初出段階で不完全だったわけで、恥ずべきことなのか。最近いくつか書評を書き、人によって姿勢の差が極めて大きいことを実感しています。特殊分野の辞典とか索引の類は、仮に多少取落としがあっても、とにかく早く発表して貢献するのがプラスですが、論文となると。
私は社経史が迫り、極めて危機的です。先月末締め切りの共著の原稿は、月初めくらいに出来てて余裕だったんですが、今回は異様に遅れを来たしていて。ウィークデイ特に火曜〜木曜は朝から晩まで授業と会議で、あと1日は授業準備、土曜も何かとつぶれ、今週末が勝負です。
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残りの人生を考えると 投稿者:本野英一 投稿日: 5月14日(金)17時54分12秒
古本屋談義っていいですね。でも、研究室のスペース。そして何よりも残された人生を考えると、そう無制限に古書を漁ってもいられません。青木さん、『史学雑誌』のバックナンバーなんて買ってどうするんですか。あんなものに発表したものは、その後改訂を加えて著書にしてしまえば持ってる必要ないですよ。バルザックだって出版した作品に死ぬまで何度もセピア色のインクで改訂を施していたのですから。古書で入手すべきは、辞書や史料集でしょう。それに、そうしたものは大抵勤務先の図書館の蔵書を利用すればよいのです。松本清張や司馬遼太郎は在野の作家だったから、勤務先図書館を利用できず、やむなく、まとめ買いをしていただけです。吉原で信じられない豪遊をしていた豪商みたいなものです。勤務先図書館や東洋文庫の書庫に自由に入れる我々の職務上の特権、時代状況を考えるならば、コピーを入手することで大抵は足りるはずです。宋代史研究者だからといって宋元版の漢籍善本を持っている必要はなくなったのです。森鴎外「安井息軒」を読めば、分かりますよ。不謹慎なたとえだけれど、古書探索は、女遊びと通じるものがあります。これに金を費やし始めたらそれこそきりが無いですよ。貴重な洋書や一誠堂に数年前出ていた中世ヨーロッパの古書写本の断簡ページ(これだけでも一葉数万円しました)に目をかがやかせてばかりもいられません。
コピーで十分。それよりも、自分の書いた肉筆原稿が将来、一枚数万円以上で取引される人間になることを目指しましょう。ではまた来週。
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続・古書店情報 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 5月14日(金)09時09分58秒
前の書き込みで場所の起点を書いていませんでした。
当然中野駅(JRと地下鉄)からです。
ネットの古書会などの一覧を見ると目録販売となっています。
書き込みをしている、今日(5月14日[金])と明日は
文徳書房さんは東京古書会館
→三省堂近く、JRお茶の水駅の西出口から神田神保町下る
の古書市「愛書会」に参加してます。
どういうお店かはそれで判ると思いますが。
私はもう数年に一度しか行くことができてないのですが。
まぁ、やはり商売ですので、お客さんが増えるというということは
どういう形であれよろこんでくれると思います。
20年間の会話を思い出すと、
「場所が判りにくいですかね」
とか、学部生にとっては名前でしか知らなかった大先生達の
名前がぼんぼん出てきて面くらってました。
なんでこれだけの本屋を知らない仲間が多いのか不思議に思いました。
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どうも 投稿者:管理人・青木 投稿日: 5月13日(木)20時00分29秒
山腰先生、
どうもありがとうございました。不用意に聞いてしまいましたが、京都の奥地の料理屋のように、お得意さん以外、あまり公にしない方針のお店でしたらかえってご迷惑をおかけしてしまいます。書き込みしたPCで、下の「管理者メニュー」を押せば、修正できますので、どうぞ修正・削除してくださって、結構です。もしやりかたわからなければ、削除なら管理人ができますので。
それともう一つ、「カルタゴ」という、西アジア専門家御用達のお店があります。メニューによりますが、結構美味しく、私はもう4、5回行きました。
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中野の古本屋 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 5月13日(木)10時38分15秒
中野の古本屋は文徳書房といいます。
ネットは不特定多数の人が見ると思いますので、とりあえず屋号だけ。
住所や電話はいずれメールでと思います。
可能であれば何ちゃんねる風に地図の書き込みをしたりして・・・
もとは多分漢籍を扱っていたのだろうと思いますが、
中国史全般あります。
あるのは住宅街と言いましたが(歩いて5〜10分でしょうか)、
実は古書店というよりも普通の住宅。
わずかに門のところに看板がでているようなかんじです。
それから古書市で補足しておきますが、
神保町というと、古書会館や教育会館(だっけ?)で
一般の人が入ることができる古書市がとっかえひっかえ
金曜と土曜にありますが、そここそが私の主戦場でした。
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しがない客 投稿者:管理人・青木 投稿日: 5月13日(木)00時38分32秒
神保町は確かに日曜しまるし、早いし、殿様商売ですよね。蕃書調所、種痘研究所をはじめ、各種学校ができたことで、あの辺本屋が発達したようです(脇村義太郎『東西書肆街考』)。司馬遼太郎は「この分野を書こうと思うからこれから一年集めてくれ」と一誠堂に頼んでおいて大量に一括購入、一誠堂も本を車で大阪まで持っていき、松本清張には地方公演に間に合わせるべく探し出して羽田に届けたり。われわれなんて、チマチマしたもんです。秋葉原ガード下の部品専門店にも共通する、専門店のプライドでしょう。先日は、自分の論文の載ってる史学雑誌が安くバラ売りされてたんで購入。うれしいんだか情けないんだか、何でもないんだか。山腰先生、中野の古本屋って、どこですか?いってみたいです。上海市場情報ありがとうございます。新世界菜館、咸亨酒店と同系列であることを発見。すずらん通りは震災前東京で唯一の中華街だたそうです。私は昔から、やたらメジャーですがキッチン南海やさぼうるに出入りしてました。漫画店、学士会館方面への出口に近いピカピカしたあの店ですね。確か同人誌的専門店だったと思いましたが、変わったのかもしれません。
岡山というのはなかなか素敵な町なんですが、古本屋といえば万歩書店(岡崎武志氏のエッセイ)というすごいお店がありました。今は閉鎖された津島店などは、専門書を含め、神保町の平均的古書店の3軒分くらい、チェーン全体では神保町の数分の一にはなるのではないか。岡山は活気と余裕のある、いい町でした。
それから、Paulさん、中国書店についての貴重な情報、ありがとうございます。これについて近況ご存知の方いらっしゃいましたら、是非当掲示板でお知らせ願えませんでしょうか。私も、機会があれば是非いってみたいです。
村松氏がCIAだというのは、何をかくそう古田先生が近論中でコメントしてました。
ブレンデル。。。数前に「悲愴」を聞いたときは、本当に感激したのですが。かなり以前、ギリシア古典と星座にあこがれているという乙女チックな乙女がいて、何を早合点したのか私はブーレーズのDaphnis et Chlo?を買ったのですが、うーん。「シェラザード」「神聖な」は是非聞きたいです。ワーグナーのCDはあるのでしょうか、あるなら聞いてみます。Berliozは、アンセルメのファウストのゴウ罰が好きです。古い録音ですが、美酒に酔い幻覚を見る心地。
確かにピアニストは、古い世代のほうが個性的でした。リパッティは、ステージで力尽きて「主よ、人の望みの喜びよ」を弾いたというロマンチックな逸話がありますが、それだけでなく彼の清らかな悲しい演奏は格段。10年ほど前、東京芸術劇場でゲルハルト・オピッツというピアニストのベートーヴェンを聞く機会がありました。テンペスト、18番などでしたが、非常に素晴らしかった記憶があります。特に18番など、古典中の古典、模範、といった印象です。指揮では、やっぱりクライバー好きです。ファンが多すぎて、稀少性がないんですが、でもベートーベンなど当代随一と思います。
「神聖な部局と世俗の部局」。恐ろしい表現です。「神聖な研究科と世俗の研究科」。
北京鍋なんて、集めてませんってば。あんなでかいもの。コンロの火が弱いときは、仕方ないので油を敷いて熱し切ってから炒めるしかないかもしれません。
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(無題) 投稿者:Paul Weller 投稿日: 5月12日(水)12時02分11秒
管理人先生、料理のレシピご教示感謝いたします。早速トライしてみたいのですが、北京鍋コレクターの管理人先生と違い(笑)、テフロン加工フライパン・低火力二口コンロしかない小生としては、手早く「爆」することに若干の困難があります。
なお、今度の社経史大会、楽しみにしております。
音楽:T.モンク、B.パウエル、M.タイナーとは渋いお好みですね。モンクは特に「ブリリアント・コーナーズ」「セロニアス・ヒムセルフ」がお薦めです。後者のアルバム二曲目「Ruby, my dear」はコルトレーンとセッションでも演奏されていますが、ここでの訥々と音を紡ぎ出すモンクは鬼気迫るものがあります。E.ガーナーにせよモンクにせよ、独学でピアノを独習している(しかも凄い執念で練習しまくっている)ため、ジュリアード音楽学院出のジャズピアニストとはまた違った趣があります。
古本:数年前、中国社会科学院研究生院より放出された大量の蔵書が、北京の中国書店(王府井・灯市口支店)の倉庫内に眠っています(2001年当時)。手に入りにくい中文書が信じられない値段で入手できるので、興味を感じられた方は一両日間倉庫にこもれば何か掘り出し物がある可能性大です。ただし軍手必携!
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神保町談義 投稿者:本野英一 投稿日: 5月12日(水)09時59分15秒
それでも、私にはやはり神保町が最大の遊園地ですね。あそこは文科系研究者の東京ディズニーランド、六本木みたいな場所ですよ。それはそうと、先日ここでご紹介した上海料理店のHPをご紹介しておきます。
http://www.asa-ichi.com/
こんど、学生を連れてここで飲み会を開こうっと。それから、古書店散策の時間がないので、時折利用する、以下のようなHPもありますよ。
でも、こういう手段で書物を探すのって、索引を使って史料を探すようなもので結局邪道ですよね。史料というものは、手間暇かけて見つけるものです。山腰先生。
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神保町と言えば・・・ 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 5月11日(火)17時59分39秒
神保町と言えば、古本。
古本と言えば、私も人後に落ちないほどに古本には執着しました。
その結果、300円で買った『支那時文規範』が辞書に化け、
500円で買った『支那の洋鬼』が五四運動とミズーリ大人脈への関心につながった。
勿論、これは当時としても破格の値段ですが、
それを獲得するまでにどれだけ足繁く通ったか。
まさに自分のフィールドは档案館や図書館ではなく、実は20年前の東京の古本市場です。
ただ、結論的なことをいうと神保町の古本屋ではほとんど買いませんでした。
20年前にもいい加減情報は徹底しており、
各地の図書館に納めるなどの商売をしていて、学生には値が高かったです。
神保町価格よりいかに安く買うかが生き甲斐でした。
6時になったら大半の店が閉まっている殿様商売ぶりは健在なのでしょうか?
早稲田の古本屋は今では店数が減ったけど、
値段は安くて8時くらいまでやっていてくれてよく回りました。
しかし、まさに掘り出し物があったのは、古本市です。
各地の古書会館やデパートで物にした物がほとんどです。
ところで私が一番お気に入りの古本屋は中野の住宅街の中にあります。
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誤植訂正 投稿者:本野英一 投稿日: 5月11日(火)13時26分22秒
「神聖な部局と世俗の部局」は「神聖な舞曲と世俗の舞曲」の間違いです。
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3年ぶりの神保町その2 投稿者:本野英一 投稿日: 5月11日(火)13時24分44秒
神保町について書いておきます。まだ大学院生だった頃には、英語や中国語の学術古書、辞書、史料集が欲しくてたまらなかったのに、こうして職に就き、研究テーマが安定すると、古書に触手が動かなくなってしまうのが不思議です。先週は、中国語の書物のほかに漫画も買いました。集英社から出ていた、時代劇傑作集を皮切りに望月三起也が日系2世部隊をテーマにした『最前線』も買いました。本当は、『鉄人28号』や石森章太郎の『左武と市捕り物帳』を探したのですが、こちらは見つけられませんでした。前者は作者が最近非業の死を遂げられたことも会って、急に人気が出たのではないでしょうか。
あと、驚いたのはポルノを扱う店が多くなったことです。すずらん通りの中にある漫画専門店だと思って入った書店(内山書店のある側)までがポルノ写真集を扱っていました。不況が長引くと、この種の本ばかりが手っ取り早く売れるからなのでしょう。あまりいい気持ちはしませんね。
それから、そちらがお奨めの中華料理店も案内図には確かに存在していました。こちらはまだ、入ったことがありません。総じて、神保町は、小生がイギリス留学を夢見ていた頃とはすっかり様変わりしてしまいました。これもまた時代の変遷なのでしょう。
最後に村松祐次教授の著書について。これはエルビン先生、古田和子先生から読むことを進められていますが、まだ一向に目を通す機会がありません。今日これから中央図書館に本の借り出し延長手続きに行くついでに借りてきて読もうと思っています。ではまた。
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好きなクラシック音楽 投稿者:本野英一 投稿日: 5月11日(火)13時16分18秒
まず、クラシック音楽から。ベルリオーズは率直に言ってあまり好きな作曲家ではないですブーレーズも最近でしたか、歌曲集『夏の夜』を出していましたよね。でも、私は買いませんでした。アンセルメは私も好きで、ドビュッシーの管弦楽曲は全集を持っています。『夜想曲』の最終楽章、「海の精」の女性コーラスはブーレーズの演奏よりも好きですね。録音が古くて、コーラスの高音部の伸びが今ひとつ足りないのが難点ですが。「管弦楽のための映像」もとりわけ気に入っています。こちらはブーレーズ、アンセルメどちらの演奏も気に入っています。昨年出た、ブーレーズによる「神聖な部局と世俗の部局」もいいですよ。それからアンセルメだと気に入っているのは、リムスキー・コルサコフの「シェラザード」です。これを凌ぐものは無いのでは。シャルル・デユトワの演奏を薦める人もいますが、私はまだ聞いていません。次にピアノについて。伝説のリパッティ最後の録音によるショパンのワルツとスカルラッティがお好きですか。スカルラッティについては、最近のマレイ・ペライアによるヘンデルの作品集とのカップリングが好きでこれをよく聴いています。クラシックのピアニストで最近まともな録音を出す人がいなくなりましたよね。マルタ・アルヘリチの演奏はただただ速いテンポで乱暴に弾きまくるだけだし、ポルリーニの演奏もシューマンあたりからは幻滅です。彼のベートーベンは聴く気がしません。ブレンデルは完全なマンネリです。それで、最近はスタンダードジャズピアノを聴くようになっています。マッコイ・タイナー、バド・パウエル、セロニアス・モンクなどなど。これもまたいいですよ。夏のボーナスで、マイスキーが昨年出した、ドボルザークとR・シュトラウスの再録音と、アバドによるマーラーの7番、アシュケナージのショスタコービッチのピアノソナタ、それとブレンデルが伴奏をつとめている「冬の旅」を買おうかなと考えています。尤も「冬の旅」はそれほど好きな歌曲集ではないけれど。ざっとこんなところでしょうか。それにしても、クラシック音楽のCDで魅力的な新譜が本当になくなりましたね。それに、小生が子供の頃から常連だった実家の近くのレコード屋が今年の1月に店じまいしてしまったので、よけいに足が遠のいています。
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雍正朱批諭旨!!! 投稿者:管理人・青木 投稿日: 5月11日(火)01時33分7秒
ブーレーズのフランス近代! 本野さんてまじめですね。つくづくそう思います。私はベルリオーズ好きですが、弦の美しい大昔のアンセルメ版です。ブーレーズのお勧めベルリオーズって、ありますか?ここでなくても、こんど少し、個人的にご教示下さい。以前、落ち込んだときに聞いていたのは、Dinu Lipattiというピアニストが死の直前にライブ録音した、ショパンやスカルラッティです。禁欲的で、信仰深くて、女性的かつ武士的。
そうです、コースのその本です。私は、取引費用論と中国経済についての最高傑作は村松祐次 『中国経済の社会態制』1949であると感じます。最近、社経史がらみで改めて読み直しているのですが、これほどまでの構想力豊かな、しかも政治的価値から自由な純粋な学問が、なぜあれほどまでに無視されてきたのか。本当に、理解できません。CIA(中央情報局ではなくて、比較制度史研究)を50年先取りした業績ではないでしょうか。
>雍正帝のように、朱批諭旨を書いて返却しました。
うむむこれって、伝説になると思います。田中先生の夢枕に明代農民が立った、とか、遅刻した学生に、東大X教授がうつむいたまま、「一度や二度ならまだしも」と言ったきり沈黙したとか言うみたいに。
やはり、見計らい・書店案内だけではなく、書店にも足を運ぶと、それなりに情報入るように思うんです。中国グッズ的なもや、報道の仮面をかぶったプロパガンダ紙、そんなものはもう興味ないですが、「自分では持ってるけど研究室に入れておこう」という
咸享飯店って言ったか、岩波ホールから靖国通りを渡り、うろうろすると、角にあります。いまでもあるのかな。パオピン大好きでした。 *2262
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3年ぶりの神保町他 投稿者:本野英一 投稿日: 5月10日(月)15時08分40秒
コースの著書は小生も読んだことがあります。確か「企業、市場、法」でしたよね。ヒックスほどのインパクトは受けなかったな。というのも、あの論文で展開された取引費用の概念がそのまま中国社会には当てはまるとは思えませんでしたから。それでも、中国社会に関する史料を丹念に読んでいて、そこから独自の理論を樹立できない自分が情けなく思えるのです。若い頃に聴いて感動した、Pierre Boulezのバルトーク、ストラビンスキー、ドビュッシー、ラベルの演奏の透徹したスコア解釈と同じような歴史解釈がなかなか出来ない自分に腹が立つばかりです。
それなら、39で引退し、習作を繰り返しながら、不滅の古典『随想録』を完成させモンテーニュのようになれるのかというと、その力もない。浅学非才の身の切なさよです。
次に、模範を作る理由について。こうでもしないと、小生の勤務先の学生は報告の要領、合格答案の書き方がわかってくれないのです。今まではレポートはきちんと目を通し、清朝初期の名君、雍正帝のように、朱批諭旨を書いて返却しました。これも仕事のうちです。
さて、先週土曜日に所要があって、久しぶりに神保町に行きました。2001年6月に貴志俊彦さんと「山の郵便配達」を見て以来実に3年ぶりです。東方書店、内山書店、一誠堂、北沢書店などを久しぶりにのぞきました。最近の中国書の装丁の立派になったこと、そして値段の高くなったことに驚いています。大抵通信販売で購入しているのですが、やはり実物を時折見ておかないと見落としがしょうじてしまいますね。ギルド関係の書物、『上海市档案館指南』等を個人研究費で買いました。それと、町並みが大きく変わったのにも驚きでした。岩波書店の上にあった英語学校がなくなったことは知っていましたが、下にあった第一勧銀の店舗が縮小され、洋服屋に代わったこと、そして岩波書店の隣に出来た中華料理店、上海朝市の千円で食べ放題の昼食のおいしかったこと。おかげでまだ胃がもたれていますが。今度、誰かと一緒にまた行こうっと。
悩んでも仕方がありません。自分に出来る最上の仕事をしてこの世を去るしかない。常に死を意識して行動せよ。これがモンテーニュの教えでしたっけ。ではまた。
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方向性 投稿者:管理人・青木 投稿日: 5月10日(月)01時16分26秒
本野さん、いやいや、わが身を省みて、自分の才能の高さに満足してる逸材なんて、普通いないと思います。
私があこがれる学者に、ロナルド・コースという経済学者がいるのですが、かれはほんの少しの論文を書いただけで、一つの学派が出来てしまうほどの影響力を残しました。ときどき、思い切って寡作戦略に出ようかと思うこともあるのですが、結局年に1本くらいは論文をタレ流してしまうのです。40にして惑わず、といいますが、私はいまだ方向性が定まりません。基本的に長寿戦略なのですが。
Paulさん、すごくダイナミックな授業をされてるんですね。わたしは授業でアンケートを取ったら、「広く浅く」という要望がありました。「面白いです。キャラが」とも書かれてしまったし(授業が、と言われたかった)。本野さんえらいです。模範をちゃんと準備されるんですね。
>今は無名なので
これから有名になられるのですね。功なり名を遂げた歴史家が、ある日「我こそは、Paul Wellerなりき」と爆弾発言されることを、期待しております。
p.s.
料理にも精進しておられるとの事。私の必殺技を伝授します。題して「麻辣蝦仁」。
/日本酒におろし生姜と味の素をいれ、漬け汁を作る。
/蝦を剥いて背中を割ってきれいにし、漬け汁にいれ、冷蔵庫に数時間。
/出して、蝦を片栗粉にまぶす。
/さっと揚げて、取りおく。
/鍋で少量の棒ネギ刻みを「爆」し、豆板醤、ラー油、大蒜片、野菜(パブリカやセロリなど)を炒める。
/蝦をぶち込んで、タレをぶっかけ、すばやく炒めて出来上がり。
/(タレ=例えば、中華スープのもとをお湯で溶いて、塩と味の素、ごま油、おろし大蒜など)
失敗率が、なぜか低いメニュー。蝦でなくて鶏肉も可。漬け汁におろし大蒜少々入れても可。麻辣なものは、好みに合わせて。スピードが肝心、一番良いのは活魚の蝦を殺害し、高温の油でコロモだけ揚げる。中身は刺身同様、これが一番贅沢。頭は何もつけづに油で揚げても、くさくない。
Paulさん、まだ独身でしょうか。これとホットの紹興酒でもてなせば、女性ときっと素敵な時間をすごすことができるでしょう。もし既婚でも同様、奥様と、きっと素敵な……。
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(無題) 投稿者:Paul Weller 投稿日: 5月 7日(金)19時19分56秒
久々にお邪魔します。管理人先生に列名されている中で、一人だけBNなのは少し気が引けますが、いずれにせよ今は無名なので実名だろうがBNだろうが事態に変わりはないでしょう。
連休は読書と授業準備と料理レパートリー拡充に終始していました。中国史概説ではいつも「中国とは何か」「アジアとは何か」という部分で躓き、いつの間にウィトゲンシュタインやら排中律やらパトナムやら中村雄二郎の話を出してしまうのですが(たぶん立本成文先生の影響)、何か自分でも(むろん学生も)不完全燃焼に終わっている気がします。むしろ、「何か」という問題の立て方こそを問うてみるべきだと感じてきました。この点については『存在と時間』と格闘中の東大東洋史Y先生のご意見も是非聞きたく思います。それより依頼原稿3本仕上げる方を優先せねばならないのですが(うち二本は〆切を遙か昔に超過)。
早熟のvirtuosoはいつの時代にでもいますが、真摯に悩み続ける姿勢と単純作業を厭わぬ集中力さえあれば、われわれの仕事は何歳になってもできる!と脳天気に考えています。私自身は、講義をモノローグとして割り切ったフッサール、ハイエクにLSEへ慫慂されるまでオタゴ大で不遇をかこっていたポパー、トーラー研究から『毛沢東主義』へ華麗なる転身を遂げたドイッチャー、といった名前の方に魅力を感じます。そもそもクラッシックを生み出せるかどうかなど、偶然的要素に大きく左右されるわけですから(川端康成・ソシュールの例を挙げるまでもなく)。
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巨匠、天才と比較して 投稿者:本野英一 投稿日: 5月 7日(金)12時52分14秒
連休中は、今月後半に行なう講義ノートやゼミの模範報告を作成したほかは、『外地探偵小説集 満州編』(せらび書房)を読んだり、公園をジョギングして終わってしまいました。その間に聴いたマーラーの交響曲第6番(レナード・バーンスタイン)の解説を読んでショックを受けました。マーラーがこの作品を世に問うた年は、今の小生と同じなのです。マーラーとセザンヌは小生が研究している時期(1860−1911)と人生が重なるので注目はしていたのですが、この年から亡くなるまでに、この二人がやり遂げた作品の多さに比べて、小生のしたことといえば、もうすぐ刊行になる2冊目の著書を含めても何と小さなことか。他の天才は、もうとっくに人生を終えています。わが身の才の無さを改めて知らされて愕然となっています。カラバッジョや永井荷風みたいな人生は嫌だけど、死んでからも何世代も読み告がれる論文を一つでいいから書き残したい。そんなことはできないでしょうが。これを読んでいる皆さんは、どうおもいますか。
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おつかれさまです 投稿者:管理人・青木 投稿日: 5月 7日(金)01時31分43秒
でも、そうやって多くの人が恩恵を受けてゆくわけですね。
私も索引作りを何回かやって、いつも、100%合理的基準を貫徹するのは、不可能だと思ってしまいます。複数の人でやっていると、人により(また人でも時期により)基準が変わりますから、山腰先生のように一人でやるほうが、恐らく良質のものができるのであろうと想像します。
私も超漢字の世界に入ってみようかな、と思いつつ、踏み込めずにいます。
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連休と漢字の中国語読み 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 5月 7日(金)00時40分2秒
この連休は索引づくりを終わらせました。
今回痛感したのは、中国語というのは一漢字が同一音ではないということです。
日本語でも易が「エキ」と「イ」で使い判るように
集めている語句でいうと思いの外、
意味が違えば、声調やら発音が違うというのが多かったです。
転や調がよい例でしょうか。
自分が延々とならべた熟語の発音の確認をしていきました(T T;>
今回Unicodeを見直したのは、ブラウザで大陸やら台湾のサイトで検索かけられる
恩恵は有名であるが、
辞書部は245頁であり、思いの外多くの難字をUnicodeで利用できました。
おそらくUnicodeでもりようできず、
画像で字を作成した分はぎゅうぎゅうに詰め込めば
おそらく1頁に詰め込めるだけの分量しかないのです。
ただ、2万余字に漢字を押し込もうとするUnicodeの規格自体は
所詮は漢字を使う研究者に仇をなすものだろうと思ってます。
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マウリチオ君 投稿者:管理人・青木 投稿日: 5月 6日(木)02時58分5秒
本野さん、山腰先生、貴志先生、Paul、張さん、
連休いかがお過ごしでしょうか(張さんは連休ではないですね)。私は一刻の猶予もならない切羽詰った状態です。
本野さん、ほんとうに、いろいろ大変だったのですね。
なんといっていいか、分かりませんが。
私も以前、すごく参っていたときに、一生懸命音楽を聴いていたりしました。
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ネットで調べごとをしていたら、マウリチオ君という若き経済学者のサイトを見つけました。夕焼けのビーチでガールフレンドと密着してる写真なども載っています。彼のサイトの
http://mauricio.econ.ubc.ca/531reports/ というディレクトリを覗くと、経済史学者の解説文献がずらっとならんでます。テミン、フェノールテア、D.ノース、モキル、ジョーンズ、フリン、ドフリース....。注もないメモ的なものですが、参考にはなるでしょう。マウリチオ君の批判的コメントもときどき。
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字数制限 投稿者:本野英一 投稿日: 5月 1日(土)12時47分29秒
ご無沙汰してます。昨日まで文部科学省科学研究奨励研究費実績報告書を書いていたため、こちらは覗き見だけでした。報告書は何とかできたものの、この3年間、両親が相次いで亡くなったり倒れたりで、あまりいい論文は出来ませんでした。3本の論文中、2本が「発表予定」段階での報告書提出です。連休明けに製本屋に出すのでも十分間に合うそうです。貴志さんが作成した立派な報告書に比べて恥ずかしい限りです。
それから、ここに詳しくは書けませんが、昨年来ある大学の大学院で傷害事件を起こした中国人の留学生に付きまとわれ、困りました。滞在期限が切れる寸前に、外国人研究員に受け入れろと、強引に書類を送ってこられ、事務を通して撃退したものの、非公開となっているはずの小生の自宅住所に手紙まで送りつけられてくる始末です。留学生なら誰でもよい、と無原則に受け入れるべきではありません。これは日本人学部学生についても当てはまります。皆様お気をつけください。
せめてもの慰めは、先週木曜日に家内と二人で見に行ったフェルメールのすばらしさでしょうか。至福の時でした。もう一度見に行こう。あの作品をこよなく愛し、旧所有者から強引に「借り上げた」アドルフ・ヒトラーの気持ちがわかります。
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貴志俊彦先生 投稿者:管理人・青木 投稿日: 4月24日(土)15時05分19秒
シンポのご案内、ありがとうございました。早速、こちらのHPでも紹介させていただきました。
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シンポ「地域認識としての東アジアとアイデンティティ」のご案内 投稿者:貴志俊彦(島根県立大学) 投稿日: 4月22日(木)10時03分41秒
シンポジウムのご案内です。ふるって、ご参加ください。
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立教大学日本学研究所・科研「不平等条約体制下、東アジアにおける外国人の法的地位に関する事例研究」」(代表貴志俊彦・島根県立大学)共催の公開シンポジウム
テーマ「地域認識としての東アジアとアイデンティティ」
<テーマ設定の意図>
「東アジア」という地域概念が歴史認識のための「場」として定着して久しい。しかし、この「地域」も、他の「地域」と同様に、自明の地域、固有の文化圏というよりは、ある時代に固有の歴史的な意味を持って登場し、現代にいたるまで、さまざまな意味と意図を持って使用されてきたものである。このシンポジウムではその共通認識を出発点とし、「東アジア」という地域概念に関する個別報告と各地域・分野の専門家によるコメントによって構成し、この概念の、歴史的意味やアジア的・世界史的位相を浮き彫りにする。
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日時:2004年5月15日(土) 午後1時00分−6時
場所:立教大学池袋キャンパス 12号館第1・2会議室
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<報告者と報告テーマ>
荒野泰典(立教大学) :「東アジア」の発見とアイデンティティ
金 鳳珍(北九州市立大学):連帯と自主の相克−近代朝鮮思想史における東アジア連帯意識の漂流と失踪−
貴志俊彦(島根県立大学):「大東亜共栄圏」構想の解釈
<コメンテータ>
羽田 正(近世西アジア史;東京大学)
弘末雅士(近世・近代東南アジア史;立教大学)
石ア 等(近代日本文学;立教大学)
豊見山和行(琉球史;琉球大学)
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索引づくり(続) 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 4月20日(火)11時54分26秒
あまり具体的な数値は出さないでと思ったのですが、
最初、段組で出力したら50頁を超える索引だったので、
これでは流石にまずいと思い、
フォントやら工夫して、32頁に収めるようにしました。
原稿用紙換算で160枚くらいあるようです。
元のデータはトロンこと超漢字4だったのですが、
出力的に貧弱といえるので、
結局一太郎やらWZEDITORやEXCELを使ってます。
いずれも最新版はUNICOD対応なので今回はこれでなんとかなりました。
ただ、EXCELで作ったデータがずれてしまっているようで右往左往してます。
あと実時間30時間はかかりそうです。
わたしはUNICODEは漢字文化の敵ではないかと
思っていますが、意外に便利だと今回感じました。
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索引作り他 投稿者:本野英一 投稿日: 4月20日(火)10時54分11秒
山腰先生、索引作りの辛さはやったものじゃないとわからないですよね。小生も今年の1月は拙著の索引作りでつぶれました。その成果は来月末に具体化します。それから、Elvin先生の著書がYale University Pressからこの3月に出ましたよね。
ダニエルズさんは、著者からただで寄贈していただいたのだそうです。うらやましい話です。
それから、今年の文部科学省科学研究費不採択になってしまいました。(T_T)。でも、仕方がないから、今までにたまったイギリス外務省記録のコピーの束をせっせと消化しながら論文を書くことにしています。ではまた。
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reply 投稿者:管理人・青木 投稿日: 4月19日(月)08時41分59秒
なるほど、ピンインがあると、中国のみならず、欧米人にも楽になるかと思います。中国の先生方は、びっくりするほど四角號マに慣れてらっしゃいますが、よほど年配の方でなければ、やはりピンインの方が早いだろうと思います。欧米人は四角號マでは辛いでしょう。台湾の先生方も、ご年配でなければ、ピンインならなんとか見当がつくのではないでしょうか。四角號マや画数でなく、ピンインを選択されたのは一つの見識と思います。
編集済
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鋭意努力中です(^^)> 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 4月18日(日)20時25分29秒
本野さん:
索引づくりがようやく何とかなりそうです。
今回、少し日本人研究者以外にもやや照準を広げてと思ってます。
本文は日本語なのですが、日本語が判る中国研究者に使い勝手が
よくなるかなと・・・そそのかしてくれる友人おりまして、
ピンイン索引を作成してます。
それで2月3月がつぶれてしまいました。
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有益な情報をありがとうございました 投稿者:本野英一 投稿日: 4月17日(土)11時10分21秒
青木さん、有益なスレッドをご紹介いただきありがとうございました。まだ全てを読んだわけではありませんが、ものすごい分量に圧倒されています。でも、正直言って私はフランクを評価していません。近く翻訳が名古屋大学出版会から刊行されるというポメランツについても同様です。やたらに分厚い概説書を出す割には、この二人はアジア社会における西欧人の役割が分かっていないなというのが、二人の著書を読んだ感想です。アメリカ人がヨーロッパ文明を必ずしもよく理解しているわけではない、ということを学んだ点は有意義でしたけれど。
さて、今週から新学期。とたんにめまぐるしい毎日となり、ここに書き込みをする暇がなくなりました。ごめんなさい。それから山腰先生、辞書を早く出版してください。ではまた来週。
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まじめに 投稿者:管理人・青木 投稿日: 4月12日(月)23時51分6秒
今日、あるアメリカ人が書いたものを見ていたら、いわゆるカリフォルニア学派が、ネット上で一番議論が盛り上がったのが、1998年ころのH-ASIA, EH-RESというメーリングリストだった、と書いてありました。勿論、カリフォルニア学派への評価はいろいろでしょうけれど、私が悔やんだのは、せっかく1995〜97年ころ、H-ASIA(当時はまだEH-RESはほとんど投稿がなかった)に参加していながら(投稿などもしました)、毎日津波のように来る英語のメールに音を上げて、一気にプリントアウトしてunsubscribeしてしまったのです。根気強く続けていれば、もっと盛り上がった議論が見られたことを今日知りました。それにしても、彼ら、よくネット上(ML)であれだけまじめに討論したと思います。ここだって、ちゃんと皆さんがいろいろヒントくれてるのだから、私ももう少しまじめに勉強しなくては。有名な日本のネット創世期の、X教授とY教授のメール対談の公開版くらい、目指さなくては。
ちなみに、討議の模様はH-Netの過去ログでも見られますが、A.G.フランクとD.ランデスの討議(そんなもの見ても……と思われるのでなければ)は、下に整理されてます
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外国語の書物について他 投稿者:本野英一 投稿日: 4月 9日(金)12時42分23秒
山腰さん、青木さん、
外国語の本を読むのは何時だって難儀ですよ。それから田舎に住んでいたってアマゾンの通信販売を利用すれば、横文字の本は入手できるし、東方書店を利用すれば中国語の書物だって入手可能な筈ですよ。大事なのは、手に入れた書物を読み抜く時間と根気でしょう。最近は、学術雑誌や人様からちょうだいした抜き刷りが山積していてなかなか読み進めないので困っていますが。
鎌倉会議の提出論文は、『中国ー社会と文化ー』掲載の分は全部読みました。勉強になりました。前近代の場合は、中国の法文化だけを扱えばよいのですが、清末民国期となるとそうも行きませんよね。
ところで、目下仕事の合間に坂野潤治『昭和史の決定的瞬間』(ちくま新書、2004)を読んでいます。日中戦争期の日本の国内政局を当時の論壇雑誌掲載論文を史料に用いてシャープな分析を行っています。学生時代に井上清や色川大吉、大江志乃夫らの明治期以来の「軍国主義」批判という通念に立たず、同時代史料から歴史の展開の意外性、偶然性を強調する政治史の手法で勉強になった研究です。この手法を清末民国期の中国にも用いるともっと面白いことがわかると思うのですが。
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五四・対位法 投稿者:管理人・青木 投稿日: 4月 7日(水)11時31分14秒
山腰先生:
>五四運動について、
>アメリカの宣伝活動の影響があったのではないかということです。
>ウィルソン主義の影響が中国においてはその影響が全く無視されてきています。
面白いですね。そのような見方があったのですか。私は専門外ですが、五四については陳独秀など社会主義の方へばかり目が行っていました。やはり私は中共に毒されて(いた人に毒されて)いたのでしょうか。
台湾史見ていると、ウィルソンの影響もあり、また特に20年代になるとコミンテルンも入り込み、日本が厳格管理していてもかなり世界の影響を受けていたことが分かります。
対位法:
Thomas B. Stephens Shanghai Mixed Court、ご教示ありがとうございます。阪大にはないんです(;;。英語一冊読むのは難儀ですが。先日のGiles v. 黄承乙のお話は、その「アルト」にかかわってくるわけでしょうか。バッハは数学の世界なので純粋に3声で進行するし、裁判研究もそうした対位法的研究がやりやすい分野かもしれません。『東洋文化』最新号に、私も参加した1996年鎌倉会議(法制史)の紹介(?)と現代中国の法律について高見沢氏が何か書かれてますが、P.C.C.Huang氏も滋賀氏も、中国には旋律は一つしかない、としか見えない研究されてるのです。そこがひっかかるのです。
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今日もまた参上 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 4月 6日(火)11時04分38秒
青木さん:
出版社には9割方できた版下を渡した上で
相談しながら、話を詰めております。良い感触で話は進んでます。
ただ、まだそのような段階ですのでこれ以上はまだ。
本野さん:
とりあえず、英文の専門書をあげて地方の高校教員をいぢめないで下さい
(と逃げをうっておきます。)
挙げられた本は読んでおりませんが、
在中の英米人の動向には関心を持っております。
何故かアメリカ中西部の大学所蔵の資料を検討しておる所です。
『北京の隠者』というのは気になるタイトルです。
対位法的研究というのは考えてみれば
近代史学を確立したとされるランケ以来の本来当たり前の手法なのですよね。
合理的思考は大きく演繹法と帰納法に分類されるはずですが、
中国共産党翼賛史観(に限りませんが)のように特定の立場を
(この場合の立場は政治的・学問的権威)
賞賛するしかしていない研究は演繹法でもなければ帰納法でもなく
科学的でもなく、合理的でもないのですね。
そこで記されたもので何が語れるかがとりあえずのスタンスですが、
結構いろいろなことができると感じています。
実は今しているのは、
五四運動について、
アメリカの宣伝活動の影響があったのではないかということです。
ウィルソン主義の影響が中国においてはその影響が全く無視されてきています。
中国の人には面白くない研究でしょうが、
いろいろな立場の人に面白いといってもらってます。
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対位法的研究 投稿者:本野英一 投稿日: 4月 6日(火)10時49分55秒
なるほど、現代人も中世中国人もそれほど違った発想はしなかったはずだという前提の上に立つわけですね。でも、目下読みさしのThomas B. Stephens, The Shanghai Mixed Court 1911-1927(University of Washington Press, 1992)は、中国と西洋社会の異質性を前提とした法制度研究です。ホッブスの言う「万人の万人に対する闘争」の対極にあるはずの秩序のとれた社会の姿が中国と西洋とでは全く異なっており、両者が全面的にぶつかりあった19世紀後半から20世紀に何が起こったかを研究するときには、この2つの異質な文明秩序の双方の制度をつまみ食いする人間が重要になるのです。たとえていうならば、この両者を右手と左手で奏するソプラノとバスの声部とすると、時には右手で、時には左手で同時に演奏しなくてはならないアルトのパートに相当する人間が重要だという意味です。バッハの平均率クラビール曲集の3声のフーガみたいだとお考えください。でも、このアルトのパートに相当する人間の事跡を史料で追いかけるのは並大抵のことではありませんよ。
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『清末民初文書読解辞典』 投稿者:管理人・青木 投稿日: 4月 6日(火)01時10分58秒
山腰先生:
先ほど、お礼を書いたのですが、間違って削除してしまった。ご紹介、改めて御礼申し上げます。語彙が倍増なんですね。非常にありがたいです。宣伝するまでもなく、みなすぐ入手するでしょう。価格が高くならないといいのですが、高くてももちろん入手します。
対位法的研究:
はい。わたしも、まったく対位法的研究を念頭に、いまやっているつもりなのです。例えば、法制史研究というのは概ね主旋律を徹底解剖するわけです。対旋律のほうは、10世紀では、ちょっと遠すぎて聞こえない。そういう時は、現代とか清代の中国的和声から、10世紀の対旋律を想像する。だけど、当時は現在にはないような、和声があったかも知れないのです。
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ブラウザの故障について 投稿者:本野英一 投稿日: 4月 5日(月)15時50分46秒
青木さん、かまいません。さっき別な原稿を投稿しようとして、このHP全体がおかしな動きをしてしまったので、ひょっとしたらと思っていたところですから。内容については特に変化がないですし、これでいいです。ただ、タイトルは「中国のイメージ戦略」とするべきところを末尾を書きそびれてしまいましたが。
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対位法的研究法 投稿者:本野英一 投稿日: 4月 5日(月)15時48分47秒
山腰さま、そうでしたか。でも、辞書の刊行を心待ちにしています。話は違いますが、清末民初期の研究の醍醐味は、漢文史料の内容を他の外国語、とりわけ英語や日本語史料と照らし合わせることで、中国側の独りよがりな主張を打ち砕くことにあります。太平天国期から日中戦争を経て内戦に至る時期なんてまさしくこの方法でなければなりません。この方法でイギリス側史料をあさっている立場から言わせていただくと、日本の時代小説作家っていうのは怠け者ですね。古代史について適当な小説を書いている宮城谷某なんてその典型。この時期のイギリス側、アメリカ側、そして日本側の持っている中国語史料にも面白いことが一杯かいてありますよ。モースも面白いけれど、10年ほど前に出た、P. D. Coates, China Consuls (Oxford University Press, 1991)には色々と興味深いエピソードが詰まっています。それからトレヴァ・ローパー『北京の隠者:エドマンド・バックハウスの秘められた生涯』も面白いですよ。この本の冒頭には小生の留学時代の指導教授が出てきます。ご存知でしょうか。
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内容について(補遺) 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 4月 5日(月)13時31分14秒
本野さん
残念ながら、王志彬主編『新編公文語用詞典』はできてません。
語彙は倍に増えてはいます。
基本的には戦前の日本人の仕事をかき集めるという方針に(なってしまいました)。
それも、不充分なのですね。東川徳治『典海』とか入れたかったのに
余り史料も読む時間もないし、
できれば自分がまだしも実感できる語の通釈にはしたいので清末民初が限界ですね。
ただ、タイトルは変えようと思っています。
やはり『太平天国異聞』はご存じでしたか。
三国志ほどポピュラーになるとはとても思えませんが、
大河小説として成立しており、
そこに清末の諸習慣やらがちりばめられており
(1例:「米国人ごときに、名前を呼ばれるのは面白くなかろうから
君は米国人には字の美順をもじってMasonと名乗り賜え」というあたり)
常勝軍が作られたり、
李鴻章が颯爽と登場してくるあたり吃驚しました。
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すみません! 投稿者:管理人・青木 投稿日: 4月 5日(月)12時34分17秒
本野さん、
すみません!!操作を間違って、せっかくの本野さんの投稿を、削除してしまいました!
「中国の」というタイトルで、以下の文章を投稿いただきました(ブラウザの「戻る」で出してきて、コピーペーストします)
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中国が外国人に対して自国の現実を隠蔽し、幻想をふりまくプロパガンダの名人であることは良く知られています。パークス・コーブルの有名な研究以来、現代史研究の間では常識です。ただ、中国共産党は国民党ほど上手ではありませんね。いかに共産党幹部が背広を着、アメリカの大学院で学位を取得し、法制度改正を試みても、現実を見ている外国人が多くなった現在、以前のような手法が通用しなくなっただけです。
『中国と私』は私も読みました。松本重治『上海時代』同様、好きな本です。スノー『中国の赤い星』やスメドレー『偉大なる道』ばかりが中国現代史ではありません。でも、現在の中国の状況を見ていて、中国の「民主化」って一体何なのだろうかという素朴で重要な疑問はいまだに解けないままです。
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新末民初文書読解辞典 投稿者:本野英一 投稿日: 4月 5日(月)10時56分56秒
山腰先生、ご高著『新末民初文書読解辞典』は重宝しております。改訂版の刊行を心待ちにしております。ところで王志彬主編『新編公文語用詞典』(復旦大学出版社、2000年)の内容は入れられるのでしょうか。こちらは人民共和国以降の公文書用語も入っており、なかなか有益です。尤も小生の学生は、清末から辛亥革命前後の新聞記事や論壇雑誌記事だけでせいいっぱいですが。
次に『太平天国異聞』は学部学生時代に読みました。英語と漢文史料を同時に使える研究領域を捜し求めていた頃です。ただポルポトの大虐殺と太平天国を同じ範疇で見ていたこともあって、太平天国に良い印象を持てず、結局この時代についての研究をする気はなくなってしまいましたけど。
21世紀にいたるまで、清末の歴史の基本的な見方を設定したモースの歴史家としての力量には感服しております。ただ、あの小説の主人公のように、英語を自在に話す中国人はあくまでもフィクションではないでしょうか。現在だって、外国語を自在に操る能力はたやすく身につきません。映画『ラストサムライ』で渡辺謙が演じていた西郷隆盛と後醍醐天皇を混ぜたような人間同様、あれはあくまでも空想の産物でしょう。
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宣伝ですが <(_ _)> 投稿者:山腰敏寛 投稿日: 4月 4日(日)22時31分44秒
チェックはしていたのですが、久しぶりに書き込みます。
私のHPではすでに告知のようなものをしておりましたが、
『清末民初文書読解辞典』の改訂出版の作業をしております。
3学期のうちにどれだけできるのか、あわよくば版下を出版社に
渡せないかと思ったのですが、3月の終わりに発表も入れてしまい
新学期が始まってしまいました。
辞書部分はもういじるつもりはないのですが、
ピンイン索引が8割状態で、今思案中です。
多くの研究者の方は見ていると思いますので、
出版社の方にも在庫はない状態です。
6月までには出したいと考えていますが、
演習で利用を考えておられる方は取り敢えず、
『中日大辞典』と私のHPの文書読解を併用下さい。
リンクも張ってもらっており、2度目となりますがHPのURLを示しておきます。
ところで、本野さんはH.B.モースの小説『太平天国異聞』を読まれたことはありますか?
さすがはモースと感心して読んだのですが、
本野さんの英文著書の内容を仄聞するに
あの小説の主人公が太平天国の時代の英語が使える中国人であることが想起されてなりませんでした
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Reply 投稿者:管理人・青木 投稿日: 4月 3日(土)23時19分1秒
>西洋人大衆が中華帝国に対して持っている神秘的なイメージを増幅
>させるためだと思いますよ。
そうですね。私もそうだろうと思います。
対米工作は蒋介石の十八番ですね。逆に言えば、それ以外、特に得意技はなかったのかも知れません。内戦中、宋美齢たちが米国で美しい話をし、米政府から支援を受け(この辺のいろいろ裏話がO.ラティモア(磯野富士子訳)『中国と私』1992に出てました)、日本の台湾資産をごっそり接収し、国営企業で台湾人を働かせて世界一の金持ち政党となり、湯水のようにお金を使って対米工作をする。例のFABAって言いましたっけ、米国ロビーの団体がありました。中華航空のDyastyも、そうした戦後のイメージ戦略の一環として出てきたものなのかも、知れません(調べてみなければ正確にはわかりませんが)。中国が民主化することを歓迎しない日本人はあまりいないと思いますが、有色人種・共産主義という中国の二重の負のイメージのうち、後者がなくなると、果たして日本にとって良いことなのか悪いことなのか。
たぶん、研究者になるまえの本野さんのお考えって、私と非常に共通する部分があると思うのですが、ここで自分の若い時代の逡巡を述べる勇気がないので、今度お会いしたときなど、私の高校〜大学時代のことでも、ちょっとお話させてください。
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中国の対西欧イメージ戦略 投稿者:本野英一 投稿日: 4月 2日(金)16時48分12秒
中華航空が英語名にDynastyを使っているのは、おそらく西洋人大衆が中華帝国に対して持っている神秘的なイメージを増幅させるためだと思いますよ。人民服を着た政治家や人民よりも、清朝時代の旗袍を着た女子十二楽坊の方が一般大衆受けするようなものじゃないでしょうか。国民党政府要人は、共産党政府に比べて実に効果的に伝統文化をイメージ戦略に利用していましたよね。でも、私は、帝政後期王朝文化を最終的に拒否する研究者になってしまい、全く魅力を感じなくなってしまいましたが。
台北故宮博物院の伝統王朝絵画も嫌いじゃないけれど、私は先日ご紹介した展覧会に出品されるような西欧絵画の方にはるかに魅力を感じます。高校生時代に西洋美術史を専攻しようか、それとも東洋史にしようかと真剣に悩み、ヨーロッパ人研究者と肩を並べるだけの研究ができそうもないのであきらめた経緯がありますから。
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re: 展覧会 投稿者:管理人・青木 投稿日: 4月 1日(木)12時30分57秒
すばらしい展覧会、ご紹介ありがとうございました。17Cオランダ絵画、大好きです。大学1年の時の英語のテキストが、Kenneth Clark著What is a Masterpiece?という本(出版年我不知道)で、絵画に目覚めました。レンブラントって、カラープリントでなくて、スライド写真見てるみたいで好き。しかし、フェルメール「画家のアトリエ」がクレイオーだって、知りませんでした。そういえば、東大西洋史が10年前に出していたクリオという雑誌は、すぐなくなってしまった。
『宋王朝』、出た頃2冊本のを読んだのですが、あまりよく覚えていません。宋美齢、私は、あのまま永遠に生き続けるのだと思っていたけど、やはりなくなりました。恐らく彼女が最後の反共国民党ではないでしょうか。飛行会社のコールサインって、例えばSingapore Airlinesは"Singapore"、Japan Airlinesは"Japan"、Eva Airは"Eva"というのですが、中華航空は"Dyasty"っていうんですよね。豪華絢爛ですが、まだ近代以前かよって感じで。
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展覧会 投稿者:本野英一 投稿日: 3月31日(水)16時42分3秒
そうそう、さっき書き忘れたのですが、以下の展覧会は是非ご覧ください。
フェルメールの最高傑作が日本で見られるなんて思いもしませんでした。留学時代にわざわざウイーンまで見に行き、感動したのを覚えています。モデルになっている女性が扮しているのは、何と歴史の女神、クレイオーなのです。歴史研究者はすべからくこの絵のポスターを研究室に飾るべし。小生も、留学時代に買ったぼろぼろになったポスターを研究しつんぼ扉にはっています。今度、新しいのを買いなおすつもりです。ちなみにこの絵は、アドルフ・ヒトラーが旧所有者から強奪し、戦後所有者から返還を求める民事訴訟が起こされ、所在不明になったヒトラーの最後を、明らかにするようイギリス軍から要求されたヒュー・トレヴァ=ローパーが行なった調査の報告が名著『ヒトラー最後の日々』です。余談ですが。
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授業負担について 投稿者:本野英一 投稿日: 3月31日(水)16時24分22秒
研究熱心だなんてとんでもない。家庭の事情で科学研究費補助金の報告書締め切りと授業負担に追われているだけです。それにしても、借金逃れと脱税をテーマに学位をとり、今度は偽造品販売シンジケートや裁判所をめぐるならず者の暴動で学術書を書こうとしている私って一体何なのでしょうか。先日、スターリング・シーグレーブ『宋王朝』を日本語訳で読みました。そちらが専攻されておられる中世の王朝のことではありません。蒋介石のパトロンだった悪名高い一族の伝記です。こんな連中が威張っていた時代だから、清末民国期で研究論文を書くと、どうしてもピカレスクロマンになってしまうのだなとあきらめ顔です。
次にそちらの授業負担について。これではまるで早稲田並みではないですか。こちらも大学院を入れて週7こまですよ。そうそう、明日からそちらも官立ではなくなるのでしたよね。これから色々大変です。今日、生協書籍部でUP最新号を入手しました。吉沢さんが色々な本を薦めていらっしゃいましたっけ。恥ずかしいのですが、小生はドストエーフスキーを全く読んでいません。今年の定例教授会は、ホイジンガやSimon Schamaを読むつもりでしたが、こちらに変えようかな。さて、今週から授業の準備にとりかかります。概論講義の大筋は昨年と変わらないのですが、特殊講義は、大幅に内容を改訂します。それとゼミも。大学教師にとっては、明日が本当の正月三が日です。今年も頑張りましょう。
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reply 投稿者:管理人・青木 投稿日: 3月30日(火)02時27分34秒
王さん:いや、度重なるご教示、誠に恐縮です。
自分の粗忽さを、露呈していると恥ずかしくて。でも、いい勉強になります。
本野さん:
>あいかわらずの研究熱心さに頭がさがります。
過分のお言葉、痛み入ります。しかし実際は、昨年読まなければならなかったものを今読んでいるだけのことです。
>辛亥革命から軍閥時代の対外経済関係に関するいい中国語史料ってなかなかありません
私は無案内ですので、どなたか詳しい方、レスお願いします。
月末に研究会報告があり、今一生懸命やってるのですが、もう春休み終わり。4月1日にはガイダンス、2日にはオリエンテーション、教育支援室という厄介な事務、そして週7コマの授業開始。負担が多いのは今の時代仕方ないとして、阪大の東洋史にいると、自分が研究者であることを思い出すのに時間がかかるかも。
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没問題 投稿者:王瑞来 投稿日: 3月28日(日)11時26分14秒
青木先生:「泰斗」という使い方自体は全く問題がありません。生きている人を「泰斗」と称してもできます。しかし小生自身は「泰斗」のレベルではないので、「不敢当」です。
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(^^; 投稿者:管理人・青木 投稿日: 3月27日(土)17時33分21秒
王先生:我好像是比較誤會了。慌てて調べましたら、唐の韓愈がなくなってから、「自愈沒,其言大行,學者仰之如泰山北斗云」などとあったので、亡くなって泰山に行かれたような方について言うのかと、勘違いしました。我不是まじめ了、只是粗忽了。
このサイトのタイトルを「Hall of Shame」にしようかな。
本野さん:ほんとに、思わぬオフ会になってしまいましたね。実はあのあと文庫で、他の登場人物にもあったりして、ほんとにオフ会の一日でした。でも、あんなところでもいろいろ教えてくださって、ありがとうございました。
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思いもかけぬ出会い 投稿者:本野英一 投稿日: 3月27日(土)09時49分12秒
青木さん、先日は思いもかけぬオフ会となりましたね。あいかわらずの研究熱心さに頭がさがります。こちらは、ここ数年もっぱら英語史料だけを使った論文をかいており、そろそろ中国語史料も読まねばならないなと反省しきりです。辛亥革命から軍閥時代の対外経済関係に関するいい中国語史料ってなかなかありませんね。
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不用道歉 投稿者:王瑞来 投稿日: 3月26日(金)10時00分43秒
やはり青木先生はまじめすぎた。お詫びが必要ではありません。「寿命が縮まる」という言い方は半分冗談であり、半分謙遜でもあります。「泰斗」は小生に対して、褒めすぎた「過奨」だけで、全く悪い意味がありません。先生に誤解させたのは、かえって小生は深くお詫びを申し上げます。
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私の無知識により、大変な失礼をいたしました。 投稿者:管理人・青木 投稿日: 3月25日(木)11時59分46秒
王先生、
ご指摘の点、大変な失礼を申し上げました。
「泰斗」は、日本では、ある専門分野の権威、第一人者、という意味で、第一線で元気に活躍している人に対して使われる言葉であるために使ってしまいました。しかし、確かに「仰之如泰山北斗」などと言えば、上の世代の先人について言うわけですので、この使い方は王先生には非常に不適切であったと思います。
臥してお詫び申し上げるとともに、ご教示に深く感謝いたし、王先生の一層のご健康と研究のご発展をお祈りいたします。
早速訂正させていただきました。
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「泰斗」不敢当 投稿者:王瑞来 投稿日: 3月25日(木)11時29分50秒
メモを拝見いたしました。皆様にお知らせいただきまして、感謝いたしますが、「泰斗」という言い方を受け入れると、寿命が縮まるおそれがあるため、大変恐れ入ってびくびくしております。
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そりゃあ、 投稿者:管理人・青木 投稿日: 3月24日(水)02時41分0秒
編集者の権限で決定では。
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なやむだけです 投稿者:小瀬 投稿日: 3月23日(火)15時18分59秒
業績なんてものではないのです。
論文集での表記統一作業を行なっているのです。
資料のタイトル、資料引用文は元のままとしました。
しかし、全体としてはピンイン準拠。
混在となるはずです。AmoyとXiamenとか。
YangtzeとYangziは…
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ご教示ありがとうございます。 投稿者:管理人・青木 投稿日: 3月23日(火)11時23分21秒
小瀬さま
こんな便利なサイトがあるとは存じませんでした。ご教示、ありがとうございます。
あの独特の書き方、郵便なのか、宣教師なのか、あるいは別のものか、混在か、どういう系統なのでしょう……とうことも調べてみなければと思っていたのですけれど、小瀬さんのご業績に着目していれば分かることであれば、特にここでお尋ねはしません。混在を避けたい一方、YangtzeをChangjiangとは、ちょっと書きたくないですね。少しその目で古典的な洋書を再度チェックしてみます。
小瀬さんのタイトルには「人名」とありますが、人名に関しては本人の尊厳の問題ですから、Chang Sen-douをZhang Sheng-daoなどと書くわけには行かない。これについて以前、私は弘文堂に強硬に申し入れをして、漢語ピンイン式一辺倒という当初の『歴史学辞典』のレギュレーションを改めてもらった記憶があります。
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地名・人名表記 投稿者:小瀬 投稿日: 3月23日(火)04時19分29秒
はじめまして
地名表記の問題は、現在個人的に熱い問題となっております。
(詳細はいずれ判明するでしょうけれども)
種々の考え方があって、なかなか確信までにはいたりません。
かえって混在という状況になって、どうかなぁと思っています。
さて、作業の途中で以下をよく利用いたしました。
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re: 地名表記について他 投稿者:管理人・青木 投稿日: 3月20日(土)13時53分18秒
本野さんの博論作成過程でエルビン先生はそのようにおっしゃってたわけですか。たしかに中共式のthe Changjiang Riverでは、ぱっと見ても分からない。ChinaをZhongguoと書くような感じです。Chronology of Catholic Diocesesというサイトが、参考になりました。歴史研究の話題ではないのですが、日本の街の中国語表記は簡体字が多いですね。でも字体というのは、それぞれの国の事情で決まってるわけですから、康煕字典の字体か、いっそ現代日本の字体の方が適当かな、といつも感じます。役所は簡体字、羽田は国内線ターミナルが簡体字、以前台湾便があった国際ターミナル方面が繁体字、鉄道では小田急が繁体字。
>20世紀中国の対外関係を考察するときは、英米関係の知識が不可欠です。
なるほど。米中関係、英中関係だけ考えてはいけないわけですね。対外関係というと、例えば明清経済史では国際経済を考慮する研究も増えてます。主に銀ですが。土地価格も銀流入と物価上昇で上昇するという、貨幣供給先行的、ケインズ的な見方ができる。しかし、そもそもその研究とほぼ同じデータが用いられている別の研究では、人口増にかかわる、相対的な土地逼迫が指摘されている。では土地の「価値」とは、銀貨表記の地価で考えるべきか否か、実は社経史の共通論題では、Kang Chao再考も含め、そのようなことにも、少し触れたいと思っているのです。
台湾の学会発表、IAHAでしょうか?参加希望を周囲で何人か聞いています。
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噂 投稿者:管理人・青木 投稿日: 3月20日(土)01時54分59秒
陳水扁大統領銃撃事件について、日本の報道に(多分)ない噂:
狙撃地点はビル(利用された銃については報道なし)。テレビで陳聞倩などが、民進党自作自演説を述べており、銃器の専門家などを登場させる予定。一方、前回陳水扁支持で今回不支持の層が南部を中心に陳水扁支持に戻る可能性がある。李登輝は涙ながらに、テレビで嘆いていた。選挙運動は自粛だが、支持者は深夜まで台北市内を練り歩いている。正副総統の収容先は奇美醫院、許文龍氏が経営する台南有数の病院。「愛國同心會」なる団体が、21日李登輝逮捕(一説に殺害)などを主張していた。
ネットのある投稿
犯人の可能性:(1)青軍―低。(2)青軍支持者―低。(3)賭博の胴元―高。(4)中共―低。(5)民進党―高。
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地名表記について他 投稿者:本野英一 投稿日: 3月19日(金)14時13分25秒
今週は家内孝行のために2泊3日の旅行をしていたため、返事ができずすみませんでした。地名表記ですが、かつてElvin先生に博士論文の原稿を読んでいただいたときに、「中国の地名は、こちらが表記したいように表記すればよいのだ、共産党にとやかく言われる筋合いはない」と言われたことを覚えています。対象となったのは、「長江」をChangjiang riverとするか、それともYangtze Riverとするかでした。先生は断然後者を主張しておられましたっけ。ちょうど日本人が中国の都市名を時には中国語読み、時には漢語読みするのと同様に、時代によって違っていくのだと思います。人煙に膾炙しない地名のときだけpinyin表記でいいのではないでしょうか。
次に英米関係ですが、ご紹介したのはほんの啓蒙書だけで、英米関係についてはそれこそ色々な研究書が出てますよ。他にもB.J.C.McKercher, Transition of Power: Britain's Loss of Global Pre-eminence to the United States, 1930-1945(Cambridge University Press,1999)という本もあります。まだ読んでいませんが。20世紀中国の対外関係を考察するときは、英米関係の知識が不可欠です。
最後に今年の社会経済史学会大会案内読みました。2日目の共通論題で発表なさるようdすね。残念ながら、今年は同時期に一橋大学で開催される歴史学研究会に参加する予定ですので、そちらにはまいりません。年末の台湾での学会発表での渡航費用を残しておきたいので国内旅行に旅費予算を使いたくないのです。悪しからずご諒承ください。ではまた。それから、メールへの返事が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。
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ミスプリ 投稿者:管理人・青木 投稿日: 3月16日(火)23時25分54秒
最近、大阪にお住まいのある先生から、本サイトの「良著の中のミスプリ」というページに関連して、倉石武四郎『目録学』の最新版にも、少なからぬミスが見られるということをご教示いただきました。貴重なご指摘ですので、近いうちに是非、該ページに取り入れさせていただきたいと思います。
先生、ありがとうございました。改定まで少しお待ちください。
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reply to 本野さん 投稿者:管理人・青木 投稿日: 3月16日(火)23時21分17秒
レスが遅くなり、失礼しました。K先生やUCLAのH氏の薫陶でハバマスはチェックしてたが、Civil Society: History and Possibilities読んでない、David Dimbleby & David Reynolds An Ocean Apart, 1988なんて聞いたこともなかった、ここは何かしかるべきレスをつけなくては、どうしよう、と慌てふためいていたら、日がたってしまったのです。調べてみたら、『「台湾経験」の歴史的展望』という本が、ラモン・マイヤースと共著で1991年に出てたんですね(全然知りませんでした)。英語原書がいつなのか分かりませんが、台湾経験という言葉は90年代に入ってからだと思っていましたが、実はそうではなかった。日本の「中国社会論」「地域社会論」は言うまでもなく、英語圏においても、Han-ethnicなどというのは人類学を意識した用法で、歴史分野では圧倒的多数がChineseですよね。私、このごろこの話ばかりし過ぎて同僚たちに嫌がられてる(多分)んですが、「中国社会」という社会が本当に存在するのか。ここ数年、そういう疑問から論文書いてる(裁判や法律の話)のですが、実はあまり議論が進んでません。
>「背広を着た士大夫」がアメリカ経済学理論を丸写し
>違った意味で政治的で偽善的な学問
全く同感です。
地名なのですが、たとえば英文で書くときに、中国式ピンインやウェード式で統一してしまえば、苦労はない。たとえば、四川をSichuan、福建をFujianと書けば、悩みはないわけなのですが、Szechwan、Fukienと書きたい気持ちもあります。でも、そうすると、自然、湖南をHunanと書くわけにも行かなくなり、結局どこまで伝統的表記法に従わなければならないのか、困ってしまうんですね。たとえば、松江府など、Sungchiangfuでいいのか、Sungkiangなどの書き方があるのを私が知らないだけなのか。一覧表がない限り、ピンインかWade-Gilesしか使えないという結論になってしまうのです。
このごろ、放電ばかりで充電ができないので、仕事を断ろうと思いつつ、先輩が書き上げた書評を出す雑誌から頼まれた書評を、うっかり今日、「快諾」してしまいました。
編集済
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地図について他 投稿者:本野英一 投稿日: 3月12日(金)15時39分58秒
拝復、本日史学会に行って依頼原稿書評を渡してきました。書評というものは、与えられた本を読み、準備ノートを書き上げたら、一気呵成に仕上げないとだめですね。海外出張やら入試業務で穴が開いたために、たかだか22枚の原稿を仕上げるのにどんなに苦労したことか。大学院生の時のように、集中しなくてはなりません。
さて、まずお尋ねの地図の件ですが、これは小生もお尋ねしたいくらいです。結局漢字名地図としょっちゅうにらめっこし、そのPin-yin表記とWade-Giles方式の違いを暗記していく以外に方法はないと思います。あとは、OUPから昔刊行された中国人口地図のような大規模な地図帳を見るしかありませんが、これも詳しい対照表は出ていません。習うより慣れという以外にないでしょうね。
次に大陸諸国と日本・台湾・韓国の社会の仕組みの違いですが、こちらはCivil Society論で解釈するのが一番だと思います。といっても、ハーバーマスの理論ではなく、数年前にCambridge University Pressから刊行されたSudipta Kaviraj & Sunil Khilnani eds. Civil Society: History and Possibilities (2000)に収録されたThomas Metzgerの論文を読みことをお薦めしておきます。この論文を読んで以来、私は中国本土社会との真の相互理解はとてつもなく困難だと思うようになりました。仮に憲法に「私有財産権承認」をうたったところで、それは現在権力を掌握した「背広を着た士大夫」がアメリカ経済学理論を丸写ししているだけで、現実に大きな変化があるとは期待できません。
次にイギリスのアメリカ一辺倒ですが、こちらは第一次世界大戦以来の腐れ縁です。これについては、留学中に随分と関係所を読みました。1980年代後半にBBCで放送されたシリーズ番組の原作となったDavid Dimbleby & David Reynolds An Ocean Apart (BBC Books, 1988)を読むとレーガン・サッチャー時代までの両国関係がよくわかります。とても一筋縄でいくもんじゃありません。同じ英語圏でも、オーストラリアやカナダは結局脇役だということもわかります。これらの国の価値観や社会科学を丸写しし、自国文明を日本のそれよりもよく似せようと見せかけるのが、現在の中国の歴史学、社会科学者の仕事です。史的唯物論を用いて英語圏諸国よりも文明の優越度を実証しようとしていたのとは、違った意味で政治的で偽善的な学問だと、私は見ていますが。
ヨーロッパ大陸諸国の変化については、私にもよくわかりません。藤原書店で出たエマニュエル・トッド『帝国以後』でも読んで独自に思索を深める以外にないのではないでしょうか。
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同盟/地名 投稿者:管理人・青木 投稿日: 3月 9日(火)19時04分26秒
なるほどなるほど。第二次大戦は、英米が民主主義的価値の正当性・正統性を確認する、最も適当な題材なわけですね。ドイツや日本が何だったか、改めて思い出させる。中国はそこに便乗したがっているようですが、効果が出るのか否か。
確かに、日本とアジア大陸諸国の連帯は遠い未来であると感じます。これは、日本側よりも、むしろ大陸諸国側が変化することによって、実現され得るのかもしれません。本来は大陸諸国と同時に、海洋諸国(台湾、ARF)も、連帯の相手として選択肢に入れて考える必要があるのでしょう。歴史的に日本の諸政権は、海外支配・被支配の経験がなく、仰るとおり、相互無理解はすごいもんです。相手を知らずに友好が可能であると思い込むことの危険を、我々は最近ようやく理解し始めた段階だと感じます。
イギリスのアメリカ一辺倒は何故でしょう。逆に考えれば、仏独が何故、米国に背を向けてEU志向なのか。ポーランドは恐らく、英国・イスラエル型を目指しているのでしょうけど、これも成功するか否か。
(『中国はなぜ「反日」になったか』読みました。その他、私が読んでいる本は、とても恥ずかしくてここに書けません)
それはそうと、書評など終わり、時間ができたときお教え願えれば幸いなのですが、中国の伝統的なアルファベット地名表記を知る材料というものを、どこかでご覧になったことがあるでしょうか。つまり、Peking、Nanking、Szechwan、Kiangsi、Kiangsu、Kiangnan、Kwangtung、Honan、Hupehなど、英和を引けば出ていますが、こうした表記による全土の簡単な地図、あるいは一覧表のようなものがあれば、勉強のために使いたいのですが。こういう表記の来源は、郵便局関係だと理解していましたが、最近ある人が、カトリック関係かもしれない、といっていました。イエズス会士の書いたラテン語見てみればいいのでしょうけれど、まだ見ていません。
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イギリス人の軍事史好き 投稿者:本野英一 投稿日: 3月 6日(土)10時59分39秒
ていうよりか、英米人のドイツ人に対する見方は、最近の中国人の日中戦争観よりも根が深いと思いますよ。今の中国人(特に本土)は、毛沢東時代は国民党を打倒する手段として日本軍の暴行をある程度許していたけれど、その後教科書問題の出現以降はこれを政治的に利用している観があります。清水美和『中国はなぜ「反日」になったか』(文春新書)を読むとその辺の事情がよくわかります。これにひきかえ、イギリス人とアメリカ人のそれは、第2次世界大戦以降の国際政治、国際経済の中での自国の地位の相対的地盤沈下、そして何よりも1950年代のスエズ問題や60年代のベトナム戦争の失敗によって、アジア大陸文明との軍事衝突で惨めな体験をし、日本に対してあまり強いことを言えなくなってしまった心理的挫折が大きく影響しているのだと思います。自分たちが日本よりも道義的に優位な地位にあることの証左としてナチと闘って西ヨーロッパを解放したことを繰り返し強調せざるをえなくなっているからだと、96年から97年にかけてのオックスフォード滞在中に出席したあるセミナーでアメリカの外交官が本音を言っていたのを思い出します。でも、イギリスの場合、このような過去へのこだわりから脱却できずにアメリカ一辺倒でいると、完全にEUの中で孤立するだけだと思います。
さて、翻って日本を見るに、アジア大陸諸国との連帯は現状ではまだまだ遠い先のことでしょう。何しろ大和朝廷成立以来、大陸諸国と連帯したことなんて一度もないのですから。現在だってアメリカという有力な仲裁人がいてやっと平和が維持できているだけ。相互無知無理解度は信じられないほどです。「アジア経済史」なる学問を大学で教えなくてはならない必然性はここにあると思います。さて、これから締め切りを過ぎた『史学雑誌』依頼書評原稿を仕上げなくてはなりません。また来週連絡します。
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まったく、試験問題を事前に教えろとでも…… 投稿者:管理人・青木 投稿日: 3月 5日(金)20時38分29秒
「あきれる」のは与党議員だけでなく、これを「透明性を高める」措置として背景解説も論評もなしで伝えてしまう、メディアについても、です。入試情報というものは、「透明化」ではなく「秘匿」するのが当たり前です。
第三帝国ものが常時ベストセラー入りしているというお話、ありがとうございます。ベストセラーに三つも、ドイツの歴史ものですか?サンケイ『第二次世界大戦ブックス』のようなタイトルが並んでいて、驚きました。
英米仏は、近代国家になってから、戦争に負けてませんから屈託ないんですね。日本をはじめアジア各国やドイツ、ロシアは、近代以降屈託だらけ。
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ニュース読みました 投稿者:本野英一 投稿日: 3月 5日(金)12時38分19秒
青木さん、引用されているニュース読みました。これはまぎれもない、政治権力による学問への弾圧干渉だと思います。与党議員の歴史認識の低さにあきれるばかりです。でも、これって日本だけに限らないと思いますよ。イギリス滞在中にロンドンとオックスフォードの書店を覗きましたが、ベストセラーの中には必ず「第3帝国」ものが含まれています。1980年代以来一向変わっていません。今回は、「スターリングラードの戦い」と「ベルリン陥落」そして「ドレスデン空襲」でした。後は「アイルランド飢饉とアメリカ移住」、そして「ピープスの伝記」(これは今読んでいますが)だけ。自国の都合の悪い部分をえぐる歴史には概して目をつぶってしまうのは日本に限ったことではありませんよ。でも、これを黙って見過ごすべきではないと思います。
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ほんまもんのほんまです 投稿者:管理人・青木 投稿日: 3月 2日(火)18時54分31秒
新聞記事は
にあり。
下に、私が、個々の中問の責任者名を公表するという理解で書いていたのは誤りかもしれません。「世界史」というユニットの氏名かもしれません。そうだとしても、怖いことには変わりないですが。
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ほんまでっか 投稿者:本野英一 投稿日: 3月 2日(火)14時43分56秒
え、ほんまでっか、冗談でっしゃろ、と貴志俊彦流ののりで発言したくなるようなニュースですね。国立大学とはもう一生縁がなくなってしまい、主流から外された身としては、信じられない話で驚いています。ああ、いやだいやだ。でも、こんなことばかりを出題しても高校生の歴史センスを確かめることはできませんよ、あなた。「愚か者は経験からしか学ばぬが、世は歴史から学ぶ」というビスマルクの言葉の薀蓄を理解できるような出題をすることも大切では。ま、問題の実物を見ていませんから何もいえませんが。
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ニュース 投稿者:管理人・青木 投稿日: 3月 2日(火)01時42分58秒
議論を喚起するのではなく、情報を提供したいので:
センター入試の世界史で、「強制連行」について出題したことを、産経新聞等が継続的に攻撃していましたが、副センター長が自民党議員のグループに呼ばれ、今後、作問者の氏名を公表する方針を示した、という報道がありました。詳細不明ですが、文部科学省も同様のことを言っているようです。
法律を作った官僚個人の名を挙げることができないのと同様、入試問題とは一般に、担当の委員会でお互いに内容を検討して作るものであって、作成者個人を特定することはできません。それにもかかわらず、こうした措置が取られるということは、責任者の確定という意味あいがあると思われます。センターに限りませんが、今後、入試問題一問一問に責任者を定められるとすれば、個人に対する圧力がかかることとなり、入試問題作成において、出題内容の自由が大きく制限されてゆくことになります。
このサイトに、時事的問題を持ち込まないのが管理人の方針ですが、この件はあまりに深刻ですので、みずから投稿した次第です。
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reply to 本野さん 投稿者:管理人・青木 投稿日: 2月22日(日)15時36分45秒
とても貴重な情報、ありがとうございました。これから行く人にとって、
非常に有益だと思います。
商標登録問題には直接関係ありませんが、字号を交易成本(transaction cost)
の観点から扱った邱澎生の論文を、最近ある後輩の薦めで読みました。
学歴重視が労働市場における取引費用軽減に寄与しているという某洋之介先生の
論点を思い出しました。
ただ、一般的に、経済理論を経済史で跡付けることは本当に難しいですね。
この前行ったのですが、上海図書館は、本当に便利になりました。善本室も
IT化され、かなり画像で見られます。一枚あたりハードコピーが数十元もかかる
という点は閉口しますが、係員が基本的に、利用者に好意的になったのは、
なにより利用にプラスです。
※ところで、最近、「東洋史研究リンク集」のサーバがおかしくなって、全然
更新できていません。また引っ越すことにならなければ良いのですが。。。
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帰国しました 投稿者:本野英一 投稿日: 2月22日(日)14時26分26秒
6日から18日にかけてロンドン大学アジアアフリカ学部図書館と国立公文書館(旧Public Record Office,現在はThe National Archives)に史料調査と取材に行って来ました。詳しくは貴志さんに提出する報告書に書きます(現在執筆中)。商標登録問題に関する史料は1922年末までの文書からコピーをとり、この他のテーマに関する史料や教え子の修士論文で使わせる鉄道利権回収運動関係の文書や大学院の演習教材にする文書のコピーをとりました。国立公文書館は2年前に比べて警戒が厳重になり、鉛筆とノート以外の持ち込み禁止はもとよりパスポートや旅行小切手の入った腰巻を着用しての入場さえも認められず、しかも「ロッカー内に貴重品を入れておいて紛失しても、一切責任をとらない」と宣告される始末。驚くばかりでした。ただデジカメの持込は許可になっていたのが救いでしょうか。
次にロンドン大学の図書館ですが、めざす文書(ある在華イギリス領事の日記)のマイクロフィルムを注文しようとしたのですが、担当者の所在が不明で、遂に今回は断念せざるを得ませんでした。ただ、私文書の現物を始めて見ることができ、彼の書き残した文書を通して洋務運動期の中国条約港社会についての啓蒙書を書く計画は立ったのが救いでしょうか。現在抱えている原稿と、講義の準備がひと段落着いてから新しい史料に取り組み始める予定です。まずは報告まで。
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こちらこそよろしくお願いします。 投稿者:貴志俊彦(島根県立大学) 投稿日: 2月 5日(木)19時01分38秒
青木先生
ホームページ、データベースに対して、ご配慮ありがとうございました。
こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いします。
プロジェクトのゴールはイメージをもちつつも、運営途上のプロセスでは、いろいろと錯綜しそうです。
できるだけ、多くの歴史学、法学、社会学の専門家を招き、知恵を重層化させていきたいと思っています。
この掲示版をご覧になっている方も、ご関心あればメールをお願いします。
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ケンブリッジ大学の卒業試験問題 投稿者:本野英一 投稿日: 2月 5日(木)15時08分1秒
そういえば、数年前に村上衛君に頼んでケンブリッジ大学の中国史、中国文学の卒業試験問題数年分のコピーを入手してもらったことがあります。ものすごいハードな内容で驚きました。正直言って早稲田の学生ならば修士課程でも合格は難しいでしょう。これほどでなくてもいいから、学部はいっそのこと卒業試験にしてしまい、修士課程から論文に取り組ませるという方式に切り替えてもいいのではないかと思う今日この頃でした。
明日からロンドンです。18日に帰国し、20日から22日は入試。多分、20日にここの掲示板に登場します。ではまた。
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reply to paul 投稿者:管理人・青木 投稿日: 2月 4日(水)21時52分2秒
同感していただいて、恐縮です。「レベルの低いものを落とすという当たり前のこと」ができなければ、意味ないですよね。それがないなら、「合格」「卒業」の価値すら、なくなってしまう。
実は、私は最近、卒論必修でなくてもいいのかな、と考えています。大学院に行く学生は論文書けなければダメなので必修にすべきですが、そのまま就職するなら、例えば徹底的に専門の単位を沢山取らせて、語学もどしどしやらせて、30%くらい落第させる。とりあえず阪大文学部を生きて卒業できたというものは、それなりの勉強力+広さと深さ+対応力があるという、「メーカー保証書」がついているということ。
でも、最近結構、文学部卒の学生は企業に人気があるようです。実務なんて、所詮、入社してから覚えるので、法学部や経済学部出ていても大学の知識なんてあまり役に立たない。それより、なんかの意味で人間性豊かな文学部卒業学生(!)の方が欲しいという。社会が、卒論を書ける文学部生を需要してるなら、では卒論必修にして、そういう人材を提供しましょう。
本野さん、もうそろそろ調査ですよね。豊かなご収穫を期待します。
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卒論 投稿者:Paul Weller 投稿日: 2月 4日(水)10時13分20秒
>レベルを低いものを落とすという当たり前の
>ことが、国の政策の歪みから、やりにくくなっている現状が、逆に我が国の教育に
>大きなマイナスの陰を落としている
全く同感です。この問題は私大の方がもっと深刻で(W大は別でしょうが)、例えば私の場合、「卒論演習」という来年度シラバス授業題目を「卒論・レポート演習」に書き換えよ、という要請を学部教務からもらいました。理由は卒論提出が必須となっていないから(だったら最初から卒論書かせるなっちゅうねん)。卒論提出が制度的に義務づけられ、それなりのプレッシャーとなっている(はずの)阪大文学部の方がまだましでしょう。
問題は、学部教育にて高い成績評価のハードルを課しても、それが日本の企業の要求する(「即戦力」なるものを備えた)人材育成に直接つながっていない、という点です。その意味で、大学院進学志望とそれ以外とでハードルの高さに明確な差等を設ける、という関学(東洋史)形式も一案かもしれません。卒論何単位かの重みが履修生によって異なるというのは、制度公正の面で問題でしょうが、実際、日本の大学の大半がそうなっていると考えられます。
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non title 投稿者:管理人・青木 投稿日: 2月 3日(火)22時14分51秒
この辺、発言を整理してたら順序がぐちゃぐちゃになってしましました。
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reply to 本野さん 投稿者:管理人・青木 投稿日: 2月 3日(火)22時08分2秒
今は実は学生の論文読みの追い込みで、いろいろ書くと学生が興味持っちゃうといけないので控えておきますが、一般的に言って、大学が営業用の面を見せているというのは、物悲しいものがあります。もちろん、企業としての収益性を考えなくてはいけない、というのが大学に対する現在の世論だし、世論がそうなら我々は対応せねばならぬのですが、一方「ウソのない世界」にも憧れるのです。虚飾も虚礼もはったりもmanipulateもない世界。
先だっての投稿、余計な気遣いをして消してしまいましたので、今度載せておきます。「復活」というような操作はどうもできないようなので、コピーを貼り付けるという形になりますが。また、この掲示板は、投稿した端末から下の「管理者メニュー」をパスワードなしで押すことで、クッキーを利用し、自分で投稿した記事の一覧が表示され、削除と編集ができます。
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本野さん、おつかれさまでした。 投稿者:管理人・青木 投稿日: 2月 3日(火)22時07分12秒
投稿ありがとうございました。
大変興味深い内容を頂戴しました。
それに関しては、私は公正に判断し、レベルを低いものを落とすという当たり前の
ことが、国の政策の歪みから、やりにくくなっている現状が、逆に我が国の教育に
大きなマイナスの陰を落としている、という感想を持っています。
ところで、一点「博士課程進学」に関するお話は、既に学生たちに公表され、
公にしてもよい内容と考えて、宜しいですね?
もちろん、本野さんが責任を持って実名で投稿されていることですから、間違いは
ないと思いますが、万一例えば、ちょっとした気持ちの揺れで、
発表の前日にここに書いてしまった、などということがあるといけないので、
いま一応引っ込めてあります。大丈夫、心配ない、ということでしたら、
ここかメールでお知らせください。すぐ復活致します。
編集済
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営業用の声 投稿者:本野英一 投稿日: 2月 3日(火)17時19分31秒
さっきの投稿で書き忘れましたが、営業的には「すばらしいですよ、とても充実していますよ」といいながら、2ちゃんねるか「研究する人生」で悪口を書かれまくるという点は、大学も風俗も同じじゃないのかと悲しく思いつつ、あなたのコメントを読みました。このことも付け加えておきます。
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再び論文審査 投稿者:本野英一 投稿日: 2月 3日(火)17時17分7秒
万一の事態を考えて削除してくださったお心遣い感謝しております。小生の実名を出してもかまいません。どうせ、誰も落第していないのですから。というよりも、論文審査を単なる通過儀礼にしてしまっていることが問題なのです。「就職が決まっているから」という言葉が殺し文句になりうる大学院とそうでない大学院のどちらの学位を取得していくかが今後の大学院生の将来を決定していくのでしょう。小生に言わせれば、東大の大学院だって甘いですよ。つらかったけれど、若いときに海外の大学院で学位を取得しておいて本当によかったと思う今日この頃です。
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ありがとうございます。 投稿者:管理人・青木 投稿日: 1月30日(金)18時24分27秒
貴志俊彦先生
はじめまして。下記サイトのご紹介、ありがとうございます。
また新たに、有用な学術資源を公開いただきましたご努力に感謝いたします。
私は近代史には素人ですが、Hoover Institutionにいろいろ見知らぬ資料があり、整理
されていることに、改めてびっくりしました。
また、李香蘭の歌が嬉しい「不平等条約体制下東アジアにおける外国人の法的地位に関する事例研究HP」も、各先生方の最近のお仕事を知る上で、勉強になりました。
1930年代ハルビンのロシア人社会には私も興味を持っており、御成果をこれからも拝見させていただこうと思います。
両方とも、ここトップページからリンクを張らせて頂きました。
貴志先生にも、今後ともいろいろご指導賜りたく存じます。
本野さん、調査でロンドンに行かれるんですね。うらやましいです。
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科研プロジェクト「不平等条約体制下東アジアにおける外国人の法的地位に関する事例研究」のホームページをたちあげました。 投稿者:貴志俊彦(島根県立大学) 投稿日: 1月30日(金)08時46分16秒
科研プロジェクト「不平等条約体制下東アジアにおける外国人の法的地位に関する事例研究」のホームページをたちあげました。ご参照ください。
この掲示板に登場される本野英一先生もメンバーです。
本野先生は、この2月6日〜2月18日、この科研プロジェクトとのからみで、英国に調査に赴かれます。調査場所は、ロンドン大学アジア・アフリカ学部図書館、国立公文書館等です。
本年度たちあがったばかりのプロジェクトです。まだまだ課題は山積みですが、各方面からのご協力がいただければ幸いです。
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「北東アジア地域の社会科学研究のための資料・書誌情報データベース」を公開します。 投稿者:貴志俊彦(島根県立大学) 投稿日: 1月30日(金)08時37分11秒
紹介させていただきます。
搭載しているデータベースは次の通りです。
○20世紀年表データベース(1918年〜1952年)
○『(北京特別市公署)市政公報』(1938年〜1944年)
○上海租界工部局警務処文書(Shanghai Municipal Police Files)(1894年〜1949年)
○スタンフォード大学フーヴァー研究所中国関係アーカイブ)
○モンゴル(人民共和)国科学アカデミー刊行人文社会系学術定期刊行物記事索引
ご利用のうえ、ご感想をいただければ幸いです。
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書評のこと 投稿者:本野英一 投稿日: 1月16日(金)09時59分12秒
Bickers教授の書評と引用については、小生知りませんでした。ご教示感謝いたします。本日午後、中央図書館に出向く用事があるので、その際にコピーを入手したいと思います。ではまた。
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reply 投稿者:管理人・青木 投稿日: 1月15日(木)18時40分3秒
10日で5本はきついですね。私も今年は例年になく仕事が集中し、年末年始はパニック症状だったのですが、それを通り越したらなんだか平常心になってしまいました。仕事は全然済んでいないのに。まずい傾向だと思います。
>波多野善大教授の説に対する新説を出したことを
そういう背景、私はこの分野、不案内で分かりませんでした。ほんとに、もっと勉強しないといけません。そういえば、城山書評も読んでみましたが、論旨の紹介に重点が置かれているのかな、と思いました。
海外での書評について、Nacsisで調べてみたら、R.BickersによるものがJournal of Asian studies, 61:2, 2002にあるようです。それから、J.E.Taylor."The bund: Littoral space of empire in the treaty ports of East Asia". Social history, 27:2, 2002で、本野さんの著書を引いているようです。いずれも当方はまだ未チェックです。
来年もまた、理系を中心とした1年次向けに、「東アジア経済史」を担当します。恩師が商業史の大家でありながら、どうしても農業生産が話の中心になってしまいます。それでも、『宋代江南経済史の研究』の最初の概説部分は、生産も含めて、極めて有用です。私も将来、ああいうものを書けるようになりたいもんです。
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論文審査 投稿者:本野英一 投稿日: 1月15日(木)10時26分44秒
かくいう小生の所にも、審査を要請する修士論文が5本届けられました。28日が締め切りだそうです。採点や原稿仕事、出張の準備もあるというのに、どうしよう。頭を抱えています。
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書評について 投稿者:本野英一 投稿日: 1月13日(火)10時40分46秒
こちらこそ今年もよろしくお願いします。村上さんの書評は私も読みました。波多野善大
教授の説に対する新説を出したことを書いてくれればもっと嬉しかったのですが、あれだけ褒めていただけるとは嬉しい限りです。残念なのは、海外での書評が、管見の及ぶ限りBusiness Historyただ一本だったことです。でも、今回の書評がきっかけで、誰かがあの本の内容を踏まえた研究をしてくれれば、嬉しいです。
そちらは論文審査が大変なようですね。こちらは今年は卒論が1作だけでほっとしています。その分科研費研究論文や『史学雑誌』に依頼された書評に追われています。来月は前半がイギリス出張です。その準備もあります。お互い頑張りましょう。
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今年もよろしくお願いいたします。 投稿者:管理人・青木 投稿日: 1月11日(日)19時25分39秒
昨年はいろいろご教示ありがとうございました。サイトを持っていると、恥はかくけど思わぬ勉強になる、ということを痛感しました。それに、本野さんと旧交を暖めたり、山腰先生とお近づきになれたり、P.Wellerさんからまた投稿もらえたり、すばらしい体験でした。インターネットの掲示板です。もちろん匿名も可ですので、つまらないことでもなんでも、これからもいろいろご教示ください。
本野さんの本への、村上氏の書評が出ましたね。勉強になりました。
これから厳しい冬です。私も主査/副査担当の卒論〜博論を十数本かかえ、様々な雑務が山のようにあります。しかし私など良いほうで、ある委員会の先生方は、1月5日から夜10時過ぎまで会議だったそうです。お互いこの季節は大変と思いますが、がんばりましょう。
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あけましておめでとうございます 投稿者:本野英一 投稿日: 1月 9日(金)12時30分20秒
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。昨年入手した、Hitsory Mattersは、その大半が戦後世界経済を扱った内容でした。私にはさっぱりわからない難解な数式が書かれていてさながら魔法使いの呪文のようでした。結局、私たちに必要なのは、アジア大陸に生きる人間に対する洞察力なのだろうと考えます。今年も、思うところあれば、また投稿して参ります。どうぞよろしく。それから山腰先生、HP学生にも見ることを薦めております。
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reply to 山腰先生 投稿者:管理人・青木 投稿日:12月26日(金)22時42分57秒
レスありがとうございます。それから、先生すみません、下の管理人の投稿、
削除してしまいました。せっかく、私の「古い方をやっていると、現代政治史というのは、
どう趣味や政治でなく研究にできるのか、とても難しそうに感じられます。」という点に
ついて、お考えを聞かせていただいたのに失礼かとも思いましたが、やはり現状分析
に関わることを書いてしまったので、気恥ずかしくて。。。ご寛恕ください。
現状や現代史についての教育の重要性、全く同感です。私も、理系学生向けの
アジア論などこれまで殆ど毎年やってきましたが、やはり現状については
非常に学生の興味が高い。彼ら、新聞で見聞きすることの基本を知りたい、
という意識が強いですね。私も専門ではないにもかかわらず、近現代から
今の政治経済についてずいぶん話しました。偏りが出ないようにバランスを
取って話していると、「結局先生はどう思うのか」という質問がしばしば来ます。
>「根元はどこにあるのか。根元はこの時代を研究している研究者の側にある」
というのは確かに言えると思います。不謹慎というより、需要があるにもかかわらず、
供給してこなかった、教育面における何らかの反省点と考えております。
現代との接点については、阪大西洋史の川北稔先生が、最近『史学雑誌』に、
例えばモンゴル帝国の研究が一体、我々の世界にどう関わってくるのか、という
文章を載せておられました。あの問は、どの時代のどの地域をやるにせよ、
明確に答えられないといけない問と感じます。以前ここに、本野さんとの
対話の中で、私が英語で自分の研究の必要性を説得できるよう、ゼミで試みた、
と書いたのですが、それこには私なりに「川北の問い」への対応を学生に
トレーニングしたかった、という希望からでした。
>わたくし的には<1><2><3>のいずれの仕事もしてきたつもりです。
まったく、そうですね。実は私も、<2>に相当するある索引作りの仕事を引き受けたは
いいが、スケジュール的にだんだん無理になってきて、今ある方面に多大な迷惑を
かけている最中なのです。先生のこのことを考えて、少しでも遅れを取り戻すべく、
さらに頑張ります。
>台湾で「中国共産党のもとで中国は統一されるべきだ」
>とスピーカー流しながら走っていた車があったのだそうです。
あ、「労働党」じゃないですか? いろいろいますよね。
台湾の状況に興味深い点があるとすれば、おそらく地球上の対極に位置するような、
極めて異なった複数の社会秩序の原理を主張する人々が、混在している点かな、と
最近思ったりします。一方、アメリカや中国の人々と話していて私なりに感じるのは、
仮に政府批判・現状批判があっても(中国ではそれ自体比較的新しい現象であるにも
関わらず)、同じ原理の土俵の上での議論から出ないようにも感じます。
これもまた、研究たりえず、雑談の域を出ることはないのですが。。。
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高校世界史教員として 投稿者:山腰敏寛 投稿日:12月26日(金)12時32分22秒
台湾には友人に誘われて何回か行きました。その友人がある時びっくりしてました。
台湾で「中国共産党のもとで中国は統一されるべきだ」
とスピーカー流しながら走っていた車があったのだそうです。
この数年のことです。大陸に比べてはるかに政治的な自由は確立されていると感じた訳です。台湾というのは政権交代すらしてますから。
実際、私だって現代中国についてとなると、本職が高校教員故そう詳しくはないし、詳しくはなれないと思ってます。確かにネットで現代中国の研究はしやすくなったようですね。ただ私は、何しろあの1989年の天安門事件の時だって新任で小さい学校で課長もしていていきなり長安街の映像報道で当時はひたすら驚く一方でした。
ただ、高校で世界史を教える側となると表面をなぞるだけでも説明できる必要があるのです。ソ連邦の崩壊も歴史事象となって久しい。欲を言えば、簡潔にして要な授業を構築したいものです。そういうことで恒に意識せざるを得ないですね。
そもそも、自分が中国の近現代史に関心を持ったのも、これからの日本の動向を考えるにあたって中国ぐらいは視野にいれて考える必要があると考えたからです。
さて、研究する者としての私は研究の仕事は3つあるのではないかと考えています。
<1> データや資料を読解し、或いは調査により新しい知の先端で成果をあげること。
<2> <1>のようにして得られた知識を工具書やツールとして他の研究者へ還元すること。
<3> <1><2>を踏まえて、一般の人にその知識を還元すること。
このように考えた場合、<2><3>の段階では初学者や他分野の研究者に向けた間口の広さが欠かせないと思うのです。
英語でするdebateや作文の仕方を教えてくれた
ALT(各校に配置されているnative speaker)がいたのですが、
何度も言われたのは、論題についての肯定・否定のいずれの主張をするにしても
一文で考えを表現すること、それを聞いた人が判ることということを
徹底して言っておりました。
これはプラグマティズムの御国柄を示した者でしょうが見習うべき点があると思います。
不謹慎のそしりを少しも畏れない私は敢えて言おう、
日本人の中国史についての知識が三国志の時代に偏り
中国の近現代史に疎いという現状と問題の
「根元はどこにあるのか。根元はこの時代を研究している研究者の側にある」
のではないでしょうか。
すべての研究者をこうくくる訳にはいけませんし、
その末席に連なるものとして自戒しております。
わたくし的には<1><2><3>のいずれの仕事もしてきたつもりです。
歴史を知らず、外国のことも知らずしてこれからの日本が立ちゆく訳がない。
研究を取り巻く状況は厳しくなりつつあるのでしょうが
いや、わたしは大学における研究状況はよくわかりませんが
責務の大きさはいや増しているのではないでしょうか。
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来てます、来てます! 投稿者:山腰敏寛 投稿日:12月25日(木)16時24分41秒
やはり、一日に一度は来ております。
おかげさまで、11月に再開したHPもアクセス数が増えました。
再開当初の40回くらいまでは
実は自分で内容表示の確認で稼いでいた数でしたが(^^;
1日に10人前後の訪問があるようです。(^_^)v
こちらに書き込みしてから、
近現代史の勉強になると書いてもらいましたので
高校の先生方の雑誌に書いた論考として
「資料を通して理解する中国近現代史」
をアップしました。
その資料(決して難しい資料ではない)を読むことによって
その時代や事件が理解できる優れものの先学の業績を並べて
通史的な展開ができないか試みたものです。
あと、塩についてまとめていく過程で横道的に
あれこれ、考えたことなどを冬休み以降アップしようと思ってます。
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山腰敏寛先生へ 投稿者:管理人・青木 投稿日:12月23日(火)21時56分52秒
山腰先生、またおいでくださいますでしょうか?
先ほど調べごとで先生の先生の「クロウ・Crow・克勞」を見ようとしたところ、
リンク切れになっているようです。お引越しされたのでしょうか?
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洋書情報 投稿者:本野英一 投稿日:12月16日(火)17時58分45秒
そういえば、知り合いの洋書屋(本郷の原書店)で注文しておいた、Hisory Matters (Stanford University Press, 2003)という論文集も、数式いっぱいの経済史論文集でした。再来年の大学院ゼミででも取り上げようかなと思っています。週末に大学に届くのですが、19日から23日まで、広島に集中講義に出かけるので、帰ってきてから詳しい情報を送ります。
Hit
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reply to paul 投稿者:管理人・青木 投稿日:12月16日(火)01時02分1秒
ご教示、ありがとうございます。早速、Googleで調べてみましたが、仰るとおり、
結構役に立つものですね。それに、回帰分析のフリーソフトなどもあったので、
ダウンロードしてみました(本当は今日は土曜の研究会報告に向けて頑張らねば
ならぬ日なのですが)。私自身は実はこれまで、9大G氏みたいに、回帰分析する
ことが必要になった経験はないのですが、仰るとおり、Li氏の論文を読むときなど、
わかってれば理解が進むわけですね。T. G. Rawski and L. M. Li Edited, Chinese
History in Economic Perspectiveなど、私は式の難しい論文は最初っから諦めていまた。
穂積文雄がフッサールを読んでいたのですか。それというのは、専制国家論に関わって
くるのですか? とPaulさんに聞かず、これから自分で調べてみます。それで分からない
部分が出てきたらここでお伺いするかもしれません。
経済思想史は、10数年前でしょうか、本当に流行ったし、岩井氏以外にも、着目してかなり
はまってた大先生がいらっしゃいます。
先日お会いした、ある若い宋代史の先生が、現在、明清の気候思想をやっている、と聞きました。
是非、成果を早く見たいと思います。
それが誰であるかは、私にメールいただければ詳しくお話します。
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(無題) 投稿者:Paul Weller 投稿日:12月15日(月)19時40分54秒
久々にお邪魔します。
東洋文庫理事のS先生といい、もと人文研のO先生といい、まず米国でのアワードがあってから日本政府がその後を追う、というパターンが結構多いような気がします。もっとも、一定の世代以上は日本政府による授賞を忌避する向きもおられるようですが(更に、そもそも他者による評価から隔絶したところで研究すべきだ、とのスタンスもありでしょう)。
数式を使う経済史学について。例えばT分布や回帰分析などは、インターネットの検索エンジンが役に立つときがあります。といっても私も完全にマスターしている訳ではありませんが、素人向けのHPでけっこう懇切丁寧に説明してくれています。特にL.M.Liの論文などを読むとき、これさえあれば途中で挫折せずにすみます(でなければchap.全体の意味を掴み損ねることになりかねない)。ちなみにLi女史ご自身は、歴史畑の出身なのでとくに数理経済や統計の訓練を若いときから積んでいたわけでもないようです(E.Will氏による)。われわれも今からでも間に合いそう。
以上、明日の講義準備の合間に書き込んでみました。穂積文雄という、今から70-80年前の中国古代史家が既にフッサールを踏まえた議論をしていることを発見し、少し驚いています。これを中国史研究会の専制国家論とどう絡めるか、頭を悩ましているところです。
一時期さかんに出版物がでていた「中国経済思想史」、これもけっこう馬鹿にならないですね(岩井茂樹氏も京産時代はもっぱらこれが授業テーマだったそうです)。
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reply to 本野さん 投稿者:管理人・青木 投稿日:12月15日(月)02時45分5秒
恩師が学士院会員になるというのは、薫陶を受けたものとして、どう感じるのが自然か。
私に残された40年ほどの間に、金字塔を数本立て、恩師に追いつくという(殆ど不可能そうな)
目標が、ますます遠ざかっていくようにも感じます。
周藤吉之氏は、マルクシアンでした。恩師はスミシアンで、岸本先生はケインジアン。
なんとなく、私は新古典派が肌に合う気がします。
>ダニエルズと二人で駒場の経済学入門講義にもぐりこみ
とてもステキな故事だと思います。彼と親しかったんですね。
お祝いですか。。。「おめでとう」というメール出すのもバカみたいだし。
慣習的に、こういうときお祝いするものなのか、私はよく知らないのです。
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同病相憐れむ 投稿者:本野英一 投稿日:12月13日(土)14時20分4秒
経済学については私も同じです。大学院修士課程時代にダニエルズと二人で駒場の経済学入門講義にもぐりこみ、マルクス経済学についてだけは勉強しました。残念ながら半年で私は香港に行ったので、教室で授業を聴いたのはそれきりです。後は、森嶋通夫『無資源国の経済学』や杉本栄一『近代経済学の解明』その他を読み漁っただけです。職場の同僚が刊行した経済学のテキストを無量でもらえるのでこれを適当につまみ食いしています。これ以外だと、カリフォルニアからその昔刊行された『経済学と歴史学者』論文集ですとか、最近われらが学部長が光文社から刊行した『非対称情報の経済学』などを読むといった雑食学習でごまかすだけです。高校時代の教科書も実家から持ってきましたが、青木さん同様で、とても高校生時代の感覚には戻れません。統計学にいたってはお話になりません。高校時代に数学Vを履修しておけばよかったと後悔しています。でも、あのころは、旧版『岩波講座世界歴史』の古代中世編にあこがれて、西嶋定生教授や宮崎市定教授を目標にしていました。まさか、こんな勉強をすることになるとは想像だにしていませんでした。人生って何が起こるかわかりません。
次にそちらの職場環境を拝察するに、文学部って結構窮屈なんですね。こちらは入門から大学院まで一人でカリキュラムを試行錯誤しながら作り上げていかなくてはなりません。結構しんどいけれど、その代わり好きなことが教えられます。これはそちらにない魅力です。
最後に、貴方の恩師が学士院会員に選ばれましたよね。遅すぎたくらいです。お祝いする必要ありませんか。
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reply to 本野さん 投稿者:管理人・青木 投稿日:12月13日(土)02時10分51秒
>そちらはどのようしてこの問題を克服なさっていらっしゃいますか。
まず教育上は、こちらも教室の方針がリジッドですので、逆にゼミ内容で経済史をやる(ゼミは
漢文講読と英文講読と決められている)などという裁量の自由はないのです。
少し話はずれて、義務的な授業ではなく、自分の研究という面ですが、経済学の基本をどうやって
学ぶかはやはり同じように悩んでいます。経済数学入門、といった本も買いましたが、マスターして
いません。
現在の研究について書きたいと思いつつも、まだ完成していない段階で公開したくないので
具体的に書きませんが、とあるグループで進行中の経済史の研究の中で、X軸にある変数、
Y軸にそれをある関数で微分した時の値を入れたカーブを“概念図”(高位平衡の罠のような)
として描きたいと思ったのですが、これが描けない。
高校では当時のカリキュラムとして微分方程式までやったはずなんですが、すっかり忘れてます。
時々高校の数学教科書を引っ張り出して思い出そうとするのですが、とても高校時代の自分自身の
レベルを取り戻せません。
私として「どうこの問題を克服しているか」と尋ねられたとき、教育については上述のように漢文講読と
英文講読しか許されないので、悩みはむしろ幅の狭さ・教育の自由のなさにある、という点にあります。
しかし例えば趙岡のように、本格的に式の多い経済史のテキストを読む、となったとき、登場する
全ての式を説明できる自信はありません。しかし我々以上の世代は、文系志望でも高校で
かなりの程度の数学を鍛えられましたから、それを思い出すだけである程度のところまでは行くと
思います。もし仮に私が本野さんのように、経済史先攻の学生を相手にゼミを組まなければならない
としたら、もう少し高校の数学を思い出すようにし、かつ、自分自身で教えられる範囲内のテキストを
選ぶようにする以外、ないのではないかと想像します。
なお、経済史の講義では、やはり『サムエルソン経済学』上下に頼るところ、大、大です。
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自分の勉強だけでなく 投稿者:本野英一 投稿日:12月12日(金)10時12分4秒
そうでしたか。でも、私立大学にいると、自分の研究だけをしていればよいというものではありません。目下、大学院での経済史専攻大学院生にどこまで、経済学理論の単位必修を課すべきかを決めなくてはならず、困っています。私個人は、学部、修士課程時代にミクロ、マクロ、統計学などをきちんと系統だって勉強できなかったことを悔やんでいるので、最小限は認めるべきだと考えているのですが、語学や史料読解訓練と両立させることは容易ではありません。こうしたカリキュラム編成まで考えなければならないのが私の置かれた職場の現実です。これまでのような漢文史料だけを読めば何とかなるという時代ではありません。新しい構想と理論をも踏まえなくてはならないのです。そちらはどのようしてこの問題を克服なさっていらっしゃいますか。
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reply to 本野さん 投稿者:管理人・青木 投稿日:12月12日(金)02時25分8秒
諸般の事情でレスが遅れました。
>青木さん、それは考えが甘すぎます。
いや、まったく仰るとおりで、K先生がいて「助かった〜」などと書きますと、
当然こういう厳しい指摘を受ける話の流れになってしまうわけです。
演習(なぜかうちでは複数の教官で一人の発表者を相手にする形式のゼミが多い)で、
近代史の学生が発表したときに、K先生が私の知らぬ史料の紹介などすると、
「私ひとりだったらこの指導はできなかったな、彼がいてくれて良かった〜」という
風に思うことがあるのは事実で、そういうときに上記の感想が漏れてしまうのです。
蛸壺化してけないのは、まったくその通りで、私が尊敬する多くの先生方が、
実際に論文を書かれる専門以外に実に広い勉強をしているのを目の当たりにしています。
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実は 投稿者:山腰敏寛 投稿日:12月11日(木)14時23分1秒
先日の上京で体型がバレましたか(^^ゞ
実は最近フィットネスクラブに通ってます。
エアロビクスは初歩どまりですが。
うまく踊れないときに、
勉強についてこれない生徒の気持ちがよく判るという
素晴らしい効用がついてきます。
何かを学ぶときに迷うことについても
多々考えてしまいます。
本人の能力なのか、教え方が悪いのか・・・
後者については教師として自戒を込め、
迷いにくい教え方というのを考えてしまいます。
それから身体を鍛える専門の人たちに
いろいろと教わるのも、四十の手習いで新鮮です。
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健康について 投稿者:本野英一 投稿日:12月11日(木)08時46分38秒
青木さん、山腰先生、健康管理は大事ですよね。特に座り仕事が多いので、休日は必ずジョギングをしています。25から始めて今も続けています。ただ、ここ数年来時間がとれなくなりました。そして年のせいもあって、20代の時のように夏の炎天下に30分も走ることはもうできません。それから、パソコンの見すぎも禁物です。『ターザン』の記事をよく読むことをお奨めします。山越先生、太りすぎは寿命を縮めますよ。
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本野英一 様 投稿者:山腰敏寛 投稿日:12月 9日(火)10時36分4秒
学生の方達に紹介していただけるのでしたら幸甚です。
辞書がマイナーチェンジしたときにつけたおまけの文体入門編を
「これはいい」と言ってくれた人がいて気にかけてました。
その後、『現行満州帝国公文提要』をバラして語彙をひらっていくうちに
この形になりました。
先日の早稲田の会は晩のパーティも含めて楽しかったですね。
2次会などもご一緒するんでした。
ただ、3年生の担任をしており、
追い立てられるがごとく帰郷した次第です。
HPを再開したのも実は先日の早稲田の会がきっかけです。
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青木さん、中世も近代もありませんよ。 投稿者:本野英一 投稿日:12月 9日(火)10時00分11秒
青木さん、それは考えが甘すぎます。自分は宋代史専攻だからとか、同僚に清代史、近代史専攻がいるからと、蛸壺的な発想に陥ってはいけません。小生は、講義で中国古代もとりあげれば、朝鮮半島、東南アジア、日本、果ては西ヨーロッパまで取り上げます。さらに環境史を論じるときは先史時代まで踏み込むこともあります。専攻領域を生かせるのは演習のときだけです。小生の勤務先のCOEーCASのボスは、1920年代の研究からスタートした東洋史研究者ですが、今では現代国際政治学者として通用しています。専攻領域は、単なる研究経歴の足がかりにすぎません。
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HP有益です。 投稿者:本野英一 投稿日:12月 8日(月)18時12分10秒
山越様、過日は早稲田で初めてお目にかかることが出来て光栄です。HPの方も拝見いたしました。中国の公文書の読み方について懇切丁寧に書かれており、教材としても大変有益ですので、学生に紹介しようと思います。
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reply to 山腰先生 投稿者:管理人・青木 投稿日:12月 7日(日)13時59分31秒
こちらこそ、いつも勉強させていただいていることに、お礼申し上げます。
ある大学のサイトに、先生のお名前が、修士課程の学生の一人として
入っていました。少し以前のサイトですが、多くあるお名前ではありませんし、
専門も一致しているので、先生だろうと想像しました。そのゼミの担当教官の先生
には、いつも研究会合宿などでお話を伺っています。その割には近代史の方面が
勉強不足で、恥じ入っている次第です。
貴サイト「クロウ・Crow・克勞」には、このようにリンクさせていただきました。
サイトにはお名前を出しておられないようですが、調べればすぐ分かるという内容の
ようですので、「Y先生」という形なら適当かと考えました。何か、ご要望があれば、
この掲示板でもメールでも結構ですので、仰ってください。
>遅ればせながら、修士をとろうと思って入った大学院でも
>ゼミで自分の辞書を使っているという珍事態。
私のところにも、先生のような「学生」がいれば、非常にすばらしい
のですが。
こちらは、同僚のK先生が、清代専門なのですが実は近代史にも
詳しく、赴任してから「助かった〜」という感じです。
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ありがとうございます 投稿者:山腰敏寛 投稿日:12月 7日(日)00時08分21秒
辞書をご利用いただきありがとうございます。
と言っても三波春男氏のようにお客様は・・・
と言えるほどの悟りを啓いている訳ではないのですが。
自分のHPを宣伝するためだけに書き込んだ形になっても何ですので。
もう少し。
実は私のタイトルはこの春までは学部卒の学士なのでありました(^^;>
この春とったタイトルだって実は教育学修士なのです。(^^ゞ
本人的には結構気に入ってます。
そんな私の辞書をつかってどれだけの人間が論文書いたか
修士、博士になったのか。
遅ればせながら、修士をとろうと思って入った大学院でも
ゼミで自分の辞書を使っているという珍事態。
大体、1980年代末になるまで
皆無ではないが(中日大辞典だってよくできてるし)、
史料の読解の手引き書の定番がなかったなんて・・・なぁ、アホな。
今となっては
実績ひとつで渡ってきた身上というのは強みです。
思いつきひとつで渡ってきたとも言えるのですが。
友人であるとか、私が学部卒であることを意に介さず
機会を与えてくださった方々には
感謝しかないのですが。
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re:初めまして 投稿者:管理人・青木 投稿日:12月 5日(金)21時54分32秒
山腰敏寛先生
初めまして。管理人の青木敦と申します。山腰先生においでいただけるとは、
思ってもみませんでした。大変光栄です。
私は宋代史が中心ですが、先生の『清末民初文書読解辞典』だけは、
私が学生時代にあるゼミで鄭孝胥の日記を読んだとき以来、ずっと手元において
使わせていただいております。また現在の勤務先でも(日本中どこでも同じと
思いますが)、近代史の学生たちのはみな、ボロボロになるくらい使っています。
改訂版を製作中のとのこと、内容を一部貴サイトで拝見しましたが、出版されれば
学界に裨益すること、非常に大きいことと思います。
先生のサイト、大変勉強になりました。是非、リンクさせていただきたいと存じます。
Technomate、私も使っていました。
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reply to 本野さん 投稿者:管理人・青木 投稿日:12月 5日(金)21時37分18秒
はげまし、ありがとうございます。生き残って行くつもりです。
本野さんもそうだし、元指導教官もそうだし、古いところでは青山定雄氏など
もそうだし、総華的でなくとも、どこかで他人の追随を許さないような
仕事を続けていきます。今後とも、是非宜しく御指導ください。
それからこれは冗談ではなく、長生きしようと思っています。
重田徳氏、前田直典氏のようにはなりたくありません。
英語についての様々な情報、ありがとうございます。
でも、考えたら、私、関西人なんですね。
飯田橋とか神保町とか、実は関係ない世界の人だったりするわけです。
とはいえ、British CoucilもILCも大阪にあようですから、心がけて情報収集してみます。
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初めまして 投稿者:山腰敏寛 投稿日:12月 5日(金)11時50分1秒
東洋史関係の掲示板だとのことでお邪魔します。
もう10年以上も前に辞書(『清末民初文書読解辞典』)を出して、
現在、地方の高校の教員をしている者です。
昨年まで、某大学のサーバーに載せていたHPを拡張Geocitiesに復活しました。
当然東洋史関係の記述もあります。
五四運動についての論考、日本文と英文
辞書の改訂版につけたい文体入門などあります。
周知できればと、
申し訳ありませんが宣伝がてら推参しました。
また、この掲示板を見させて頂きたいと思います。
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あなたなら生き残ります 投稿者:本野英一 投稿日:12月 4日(木)16時08分38秒
心配しなくても、あなたならば十分生き残りますよ。漢文史料の訓読と日本語論文だけしか目を通さない、という次元ではないですから。それと、今日『帝国の研究』を入手しました。再来年のゼミテキストのひとつにするつもりです。
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reply to 本野さん 投稿者:管理人・青木 投稿日:12月 3日(水)23時04分17秒
そうですね、商社員にもすごい人、いることでしょう。私の周りに
たまたまいなかっただけかも知れません。ただ私が思ったのは、
外務省にしても何にしても、組織で勉強した人に、
自分の意思だけで勉強している私たちが負けていてはいけない、ということ。
そうか、寿退省の方と、Oxfordで重なるわけですか。そのあとだったと
思います、私の元指導教官のゼミに、本野さんが突然おいでになって、
いろいろお話になったことがありました。
東洋史も、「正統派」が価値を持つ時代では、まったくなくなってきている
と思います。いい意味で。私も置いていかれないように、頑張り続けます。
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ゼミ専攻希望学生面接他 投稿者:本野英一 投稿日:12月 3日(水)18時24分20秒
ハイデルベルグ大学の研究者は、Rudolf G. Wagnerという教授です。お互いにとってこの出会いは嬉しい驚きでした。同じ史料を読んだ者でなくては分かり合えない討論が出来ましたから。次に語学の問題について。香港で外務官僚(彼らは中文大学で勉強してましたが)とも一緒でしたし、イギリスでは大蔵官僚や外務官僚とも一緒でした。後者の一人はその後寿退省して、その後愛子という娘を産みましたが。確かに頭の回転が速く、語学力はあります。でも、あれは訓練する機会さえあれば、私たちだって追いつきますよ。現に貴方だって、中国留学をなさって中国語は相当の水準に達しているのではないでしょうか。実業家や商社員には彼ら以上の実力者がいます。現に丸紅や住友商事には中国語の方言を複数自由に操れる練達の専門家がおり、外務省の役人以上の活躍をしています。我々大学教師の場合は、緻密に史料を読み、大局的な歴史観を世に提供することが任務です。
さて、今日は来年の私のゼミ志望の学生4名の面接を実施しました。結局3名通しました。その中の一人は山東省出身の留学生です。はたしてどこまで活躍することやら。こちらも身が引き締まる思いです。また、昨日は毛里和子先生の叙勲祝賀会がありました。日本経済史の大家、石井寛治先生とそろっての受勲です。石井先生はともかく、毛里先生も、「東洋史の異端者」として経歴をスタートさせています。「正統派」を名乗れなくなった私にとって仰ぎ見る目標でもあります。頑張ります。
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語学一般 投稿者:管理人・青木 投稿日:12月 2日(火)22時24分42秒
私は、この掲示板のお話を聞いて初めて、ELVIN先生の存在の大きさを認識した次第です。
ハイデルベルグの報告者と言うのは、ネットで見てましたが、Catharine Yehという方かと想像しました。
英語についてはいろいろ情報ありがとうございます。何度か行きましたが、British Councilは御成門にありました。飯田橋に移ったようですね。私は、「英検」を2級まで中学で取りました。これは当時は結構快挙だったのですが、今では級数も違いますし、「英検」の位置づけも変わりましたし、何の証明にもなりませんでした。教養での二語(中国語ではありません)は、一時は、NHKテレビの講座にゲストで出たくらい究めたんですけど、その後さっぱり使わずに錆付いています。
外務官僚の語学力はすごいと聞きます。無論他官庁等のその道の実務家も同様でしょう。それに対し、本野さんはじめ多少の例外はあるにせよ、我々や外国文学教えてる教員すら、語学力の面では、まったく彼らに及ばないことが多い。「実務家とは違う」などと称して努力しないのは、情けないことです。
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英語について 投稿者:本野英一 投稿日:12月 2日(火)10時06分30秒
東洋史学科のボスどもから「国賊」扱いされた小生と、貴方の元指導教官を救ってくださったのは、いずれもElvin先生との「guanxi」です。私は博士論文で、貴方の元指導教官は名著の英訳によって今日の地位があります。ILCに代わって現在は飯田橋にBritish CouncilとBBCが設立した英語学校が東京では一番まともな英語学校だと思っています。先週も勤務先で山本武利教授が開催された東アジアのメディアとプロパガンダに関するシンポジウムがありました。ハイデルベルグ大学の教授が『申報』に関する報告をなさったので、英語で質問し、これがきっかけで懇親会の席でも彼といろいろと話すことができました。余っていた英文著書を差し上げましたが、こういう形で役に立つこともあります。無理をしても、英語をマスターしていて良かったと思います。それからフランス語も重要ですよ。東洋史研究者は語学の勉強を厭うべきではありません。
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reply to 飯岡さん 投稿者:管理人・青木 投稿日:12月 1日(月)01時34分13秒
飯岡さん!
お懐かしいです……といっても、たった3ヶ月前のことなのに。
あれから、もう10ヶ月くらい経った気分です。
濱田氏にも桃木氏にも、会ったんですね。
あのとき、私は名刺を飯岡さんにお渡ししたでしょうか。
したのであればいいのだけど、ちょっと忘れてしまったので、
早速メール送っておきます。
是非また、ここの掲示板にもおいでください。
なにか、研究上の面白い話、SINの情報など、ありましたら
お願いします。
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こんにちは 投稿者:IIOKA 投稿日:12月 1日(月)01時19分10秒
青木先生、ICASでご挨拶した飯岡です。濱田君にも桃木先生の紹介で会うことができました。またシンガポールに来ることがあれば、是非ご連絡下さい。英語で書くのも大変なんですが、最近それよりも、日本語を忘れつつある事実に危機感を覚えています。それにしても、おもしろい掲示板ですね。また遊びに来ます。
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reply to 本野さん 投稿者:管理人・青木 投稿日:11月28日(金)19時22分07秒
>神保町の岩波書店の上にあった英語学校の特別クラスに通いました。
ILCですか?SOASに留学してた知人が通ってました。本野さんが1980年代前半にそこに通ってらしたとすると、その知人とは重なりませんが。
大変なご努力をなさっていたのですね。やはり国賊扱いされた私の元指導教官にせよ本野さんにせよ、流されずに自分の方向を何十年も貫徹する精神を私も学びたいと思っています。
岩井論文の紹介、知っていただけて嬉しいです。しかしいい加減な英語です。編集に「プルーフリードしてくれるのか」と聞いたら、「我々フランス人はもっといい加減な英語なんだから、そのままでいい」と言われて、結局プルーフリードなし。なんたるアバウト。
私も同感で、岩井論文は方法論的なマイルストーンだと思いますが、まさにその方向こそが自分の方向なのか、と問われれば、確答はできません。最近、「中国史への内在的研究姿勢と外在的研究姿勢」という、書いていても読んでいても分けわからなくなる文章をネット上で書いたのですが、これはその点を問題提起しようとして、力尽きたものです。こんなもの書いていても、少ない勉強時間が更に減るだけで、仕事を「断る勇気」をもっと持たなければと反省しています。
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英語検定試験その他 投稿者:本野英一 投稿日:11月28日(金)13時08分45秒
いいえ、IELTSではありません。ケンブリッジ大学が独自に行っている検定試験です。相当ハードですよ。津田塾大学英文科がこれをカリキュラムに採用しています。その昔、大学院生時代に留学準備のために、この試験のFirstから始めて、最難関だった、Proficiencyを受け、何とか合格したことがあります。今はなくなってしまったけれど、神保町の岩波書店の上にあった英語学校の特別クラスに通いました。最後は、一回3時間、週2回の受験準備クラスに10ヶ月通いました。マクベスを暗誦したり、毎週英語のエッセイを書いたりを、大学院の演習や投稿論文の準備、アルバイトと並行して続けるのは大変でした。当時の東洋史学科の先輩後輩、元指導教授からは変人か「国賊」扱いされましたっけ。でも、「英語や中国語で論文を発表したり、討論する能力のない研究者が淘汰される時代がきっと来る」と信じて頑張った甲斐はあったと思っています。
それと、話題は違うのですが、私はこれからの東洋史研究は、ちょうど岩井茂樹さんが名作「徭役と財政のあいだ」(青木さんも書評なさっていましたよね)で示されたように、現代を歴史的な視点で把握する方法を確立しなくてはならないと信じています。私自身は、ビジネスヒストリーという分野でこれを続けるほかはありません。すると、新聞記事や外交文書(英文、日文、中文)史料が読めなくては話にならないということにもなります。こういう設定での演習に今年は4名応募者がありました。来週彼らと面接し、採用者を決定する予定です。
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reply 投稿者:管理人・青木 投稿日:11月27日(木)13時38分10秒
University of Cambridge Local Examination Syndicateが主催している検定試験とは、 IELTSというものですね。知りませんでした、ご教示どうもありがとうございます。これからいろいろ、調べてみます。
China Transformedは、実は私も2年前、ゼミで講読しました。Pomeranzにしても、Wongにしても、California school(いつからこういう名がついたんでしょう?私は1997年にネットで初めて見た記憶があります)的な論調というのは、(殊に18世紀以前の)アジアの優越性を認めなければオリエンタリストだという「雰囲気」があるのではないか、P.C.なのではないか、という気がしてならない。実証史学という点からはズレる作品ですが、私は以前、趙岡(Kang Chao)の本(英語版)を興奮して読みました。E.L.Jonesにも非常に興味を持っています。これらの研究やDavid Landes(あまり評価高くないようですね)が、結局それほど取り上げられない理由として、このP.C.があるのでは、とかんぐってしまいます。
「世を挙げての中国ビジネスブーム」についても同感です。新幹線輸出の問題を興味を持ってウォッチしてるのですが、2年くらい前は、「受注に失敗すれば日中交流の将来はない」というようなことを言っていた官僚がいた。それが去年くらいから、すっかり熱が冷めた。日本人も徐々に中国ビジネスの現実を理解しているようですが、全体的にはまだ認識が甘い部分があるのかも知れません。
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歴史研究と現代研究の融合 投稿者:本野英一 投稿日:11月26日(水)16時40分10秒
戦前の内藤湖南についての意見は全く同感です。戦前のアジア研究者についてはその限界に対する批判は確かに肯うものがありますが、未来の問題を見据えた現状分析に貢献できない明清・朝鮮王朝研究を積み重ねても仕方ないと思います。世論に迎合した現状分析研究であってはならないというならば、私は世を挙げての中国ビジネスブームに警鐘を鳴らす研究を世に問う学者になりたいと考えています。
次に、英語ゼミについて。小生もR.Bin Wong China Transformedをテキストとした外国書講読の授業を持っています。でも、この本のヨーロッパ史理解や中国史理解にはずいぶんいい加減なところがありますよ。次に、杉原薫教授の英語圏経済史研究者崇拝に対しては私は結構批判的です。いつぞや、彼や黒田明伸が持ち上げていた、Kenneth Pomeranz, The Great Divergenceなんて、文体はへたくそだし、同じことの繰り返し、日本、中国、ヨーロッパ理解もいい加減そのもので、講読も一年でやめました。こういう「知的ペテン師」にだまされるようでは、まだまだ未熟だと思います。次に英語での表現能力の向上手段ですが、世に喧伝されるTOEFL、TOEICなどよりも、University of Cambridge Local Examination Syndicateが主催している検定試験(First Certificate, Advanced, Proficiency)の諸問題を教材に使うことをお奨めします。その昔、イギリス留学を目指してProficencyの資格まで取りましたが、本当に勉強になりました。あの試験の教材も補助教材に使っています。難しいけれど、学生には好評です。これからの時代は英語と母国語以外にあと何ヶ国語使いこなせるかが問われる時代です。広東語や朝鮮語を学ばなかったことを後悔しています。
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reply to 本野さん 投稿者:管理人・青木 投稿日:11月26日(水)00時17分14秒
その人物は東大出身の日本人、専門は中国史でなく、どちらかと言えば西洋史です。2冊目も英語です。
あと、昭和史の前半までは、例えばジャーナリストの内藤湖南が政府の仕事や時事論評をしながら巨大な歴史研究をやっていたわけですし、また東亜研究所でも、東大の法学・京大の経済学方面のかなり高名な人々が非常にまじめにやっていた。とにかく戦前は、政府がアジア政策について学者を必要とし、学者もそれに応えた。だが戦後は、大学と政府はお互いを必要としなくなり、政府に関係する学者の多くは御用学者として世論形成に使われるだけになってしまった。
私は自分の「英語ゼミ」で、学生に、1週間の準備期間を与えて「教員が大学への出資者だと仮定し、各自、何故自分の研究テーマが必要なのか、教員を説得せよ」と一人一人英語で話させました。「歴史は重要である」という回答はあっても、その理由を説明ができないケースが多い。
うちの経済学部の経済史と言えば、杉原薫氏ですね。いつも、彼の英語の読書量に圧倒されています。この前はR.B.Wong先生呼んで、いろいろ話しました。うちの東洋史は……まあ、今度お会いしたときにでも話しますが、ちょっと普通の国立大学と違うんですね。フォーカスが「研究」以外のところにありまして……。「スチュワーデス物語」(と言って分からないほど、若くないですね、お互い)みたいなところです。いいとこですよ^^;
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業績 投稿者:本野英一 投稿日:11月25日(火)10時38分12秒
そのハーバード出身者っていうのは日本人ですか、そして専攻は中国史でしょうか。もし、そうならば凄いの一言です。小生のほうは、来年やっと2冊目の著書が某大学出版会から刊行になるというだけなのに。こちらもうかうかしていられません。現代アジアを専攻している研究者は、歴史的視点に立った現代アジア考察が出来ないし、歴史研究者は現代アジアにまるで関心を持ちません。
思えば、その昔、1930年代にアヘン戦争以降の中国を歴史的に把握しようとしていた研究者は、彼らにとって同時代であった時期を歴史的に把握しようとして、新しい研究分野を開拓して行ったのですが、その耐用年数が切れてしまった今は、民国期から対外開放体制を同じ方法で研究する必要に迫られているようです。斯波義信先生の指導教授であった、加藤繁先生などは、そういう関心から『清国行政法』を編集されたのですし。そう考えると、漢文文書の訓読とマルクス・レーニン主義の経典だけを頼りに研究していた時代とは、違ってやることがいっぱいあるし、充実した研究生活が出来るはずなのです。
なのに、日本の大学の東洋史研究者ときたら、どうしてあんなものしか書けないのだろう。嘆かわしいと思っています。大阪の現状をこちらから見ていますと、経済学部の経済史の方が、よほど時代に沿った研究をしているように思えるのですが。
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reply to 本野さん 投稿者:管理人・青木 投稿日:11月24日(月)13時56分20秒
なんと申し上げてよいか、Herbert A. Gilesの論文については、存在を知っているだけで、まだお読みしていません。恥ずかしい限りです。これではいかんと思い、すぐ読もうと探したのですが、結局EASは阪大には入っていませんでした。東文研にはあったんですが。
しかし、岡本隆司氏だけということはないでしょう。城山さんや飯島さんが読んでいても不思議はないと感じますが。
英文雑誌投稿の話、ありがとうございます。とても参考になりました。私も、Acta Asiaticaは依頼だったこともあり、何事もなく掲載。あと宋元関係の米国のは、編集から英文表現・重複箇所等を含め、有意義なやりとりをメールで何回かやって、掲載になりました。私などは、なにせ英語圏人の指導教官がいるわけではないので、査読誌投稿なら研究費を使うなどして何らかの方法で、そういった問題をクリアして投稿するしかないようです。
日本での論文数がそれほどでなくとも、CambridgeやHarvardで博士を取って英文の本を出した(あるいは出す)友人が何人かいます。ある同級の研究者は、Harvardで博士を数年で得、すでに米国のある大学出版社で1冊出し、今2冊目に入っているというくらい。そういう実力者がいるなかで、私など日本村の中でお茶を濁し、時々学会や雑誌で海外に切り売りしてる感じで、ほんとこれではいけないと思っています。
私は本野さんが96年Oxfordにいらしていた年から、東文研から在研で中央研究院とStanfordに1年行く予定でした。しかし、岡山大学内定で放棄してしまいました。
>お客と上役の顔色を気にせず、
そのお言葉、まったく同感です。
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Giles v. 黄承乙について 投稿者:本野英一 投稿日:11月20日(木)17時17分37秒
青木さんがあの論文を知っていたとは驚きです。日本人であれを読んでくれたのは岡本隆司だけだと思っていました。あの論文は、もともと英文著書第4章やActa Asiatica依頼論文となった材料とともに、私がFO228の中から見つけ出したものです。あんまりくだらない喧嘩なのでけど、著名な東洋学者のしでかしたことなのでカードをとり、Elvin先生の論文指導を受けにオーストラリア国立大学に訪れた際に、代償として要求されたセミナー報告が皮切りです。素材をどのような視角から解釈してよいかわからず、博士論文が仕上がる1995年まではハードディスクにお蔵入りにしておきました。投稿したのは、95年の秋です。評価は、匿名審査員(EASの匿名審査員は私もやったことがあります)から、英文表現に無駄や文法的誤りが多いからもっと文体を改善せよという指示のほか、見当違いの批判がついて返されました。青木さんがお書きのような、A,B,C,D基準ではありませんでした。96年から97年にオックスフォードで1年暮らしたときに、書き直し、プロの編集者に頼んで添削してもらったのを投稿したところ、多分Elvin先生でしょうが、旧稿の中の削った部分をも足して、編集した版が掲載になりました。Acta Asiatica, Modern Chinaは殆どそのまま採用になりました。英文雑誌に投稿すると、掲載までに恐ろしく時間を食います。でも、これからはこれも大事な仕事になります。
研究費ですが、これは当分科学研究費補助金頼みです。財団からもらう方法は、多分川島真の方が詳しいと思います。
最後に、それでも我々は恵まれた地位にいると思います。大学教師と一口に言っても、私の前任先のように、それこそヒエロニムス・ボスの作品のモデルになりそうな連中の溜まり場もありますから。お客と上役の顔色を気にせず、好きなことができれば、死なない程度の収入が銀行口座に湧くという職業を特権と言わずして何でしょうか。
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英文雑誌 投稿者:管理人・青木 投稿日:11月19日(水)13時04分27秒
レスありがとうございます。
つまり「H. A. GilesvHuang Chengyi : Siro-British Conflict over the Mixed Court, 1884-85」は、91年頃から取り掛かっていた、ということですね。
お伺いしたいのですが、「本家本元のModern Asian Studies, Modern China, Economic History Review,Journal of Economic Historyなど」の雑誌も、やはり日本のように、審査結果がA即掲載, B手直しの上掲載, C全面的に改めよ, Dだめ、と分かれているのでしょうか。査読意見の厳しさ・的確さについて、EASや上掲諸誌に関して、本野さんはどのような印象をお持ちでしょうか。
私は下で、「英語論文にはこれを言うならあれを引け、という腹立たしい思いがする」などと不遜なことを言っていますが(事実なので)、逆に英語圏研究を“内容的に”把握していないと、かならず指摘されるわけですよね。
いつかお時間があるとき(なかなかないとは思いますが)で結構ですので、是非ご教示いただければと思います。私はそういう英語の一流誌には投稿したことないので。
研究費については、コチトラもこれから、そちらと同じになります。
授業はHPに出てるくらいでしょうか。COEなど大変と思いますが、全体的な負担と給料のバランスから言ったら、やはりうらやましいのですが。
でも、不満は持ってません。会社の仕事や失業ですごく苦労してる知人が何人かいます。彼らのこと考えたら、阪大東洋史だって天国です。
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(無題) 投稿者:本野英一 投稿日:11月18日(火)10時08分31秒
英語論文を書くのはこちらだって四苦八苦ですよ。いつぞやEast Asian Historyに掲載した論文などは、出すのに7年かかりました。同じ雑誌に投稿した第2作だって、掲載決定の通知から3年近くたってもまだでません。何語で書いたって論文を書くのはやさしい作業じゃありません。目下は文部科学省科学研究費をもらった成果を日本語の論文2本にまとめる作業をするかたわら授業の準備に追われています。
それと、先週は、ゼミ学生募集案内説明会をしました。そちらと違って研究費と学生は自分の努力で獲得しなくてはなりませんから。応募者がゼロだと給料からその分差し引かれます。「しっかり、客とらんかい」と女房にしかられた年もありました。私はソープ嬢じゃありませんよ。
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訂正。 投稿者:管理人・青木 投稿日:11月16日(日)02時48分34秒
下記、「reply to paul」中、出版社はUniversity of Tokyo Pressの誤り、濱島武志は濱下武志の誤り、「reply to 本野さん」中の韓国人の先輩はHゼミではなくてSゼミでした。
お詫びして訂正します。
(この見苦しい顔の犬は叔父の飼い犬です。Silaといいます)
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reply to 本野さん 投稿者:管理人・青木 投稿日:11月15日(土)03時04分42秒
レスありがとうございます。
そうですか、マクダモト−エルビンつながりというのもあったわけですか。
参考になりました。
私の世代だと、Hゼミにいろいろな海外の仲間がいました。
固有名詞は避けますが、下に書きました韓国の先輩もそうですし。
でもひとり、とても悲しい結果になってしまったアメリカの仲間がいましたね。
英語雑誌への投稿に関連して:
あるドイツ史の友人が、ドイツ語で継続的に発表してゆかなければならないのに、
学校が忙しくて非常に難しい、将来を考えて暗澹となる、と言っていました。
本野さんは経験上優位と思いますが、私など英語で一流のもの書こうとすると、
恐ろしく時間食います。
早稲田は忙しい、とよく聞きますが、阪大東洋史も研究的にはかなり不利です。
現今、帝大の法・經で法制史・政治史・経済史担当が一番有利かも知れません。
将来わかりませんが。
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reply to paul 投稿者:管理人・青木 投稿日:11月14日(金)15時34分44秒
Hi Paul, Im gald to know you are alive and well.
彌永信美「幻想の東洋ーオリエンタリズムの系譜」か何かでしたでしょうか。
さすがPaulさん、ありがとうございます。
「ニクソンショック」。国際経済ではドル切り下げ、国際政治では米中接近という二つの側面がありますが、なるほど。日本東洋学におけるニクソンショックにもまた、ドル切り下げによる米国人の日本留学環境の変化もあるし、その後米国研究者が直接大陸へアプローチする(現実には其の10年あと以降ですが)可能性が開かれて日本の相対的地位が低下する、という2面があるわけですね。
>明清地域社会論以降、叙述が洗練されすぎて
いやあ。カルスタ文体に比べれば……。しかし、1960年代までと比較すれば、漢字が減っていますから、結果、日本語特有の肯定か否定か分かりづらい文章が増えたかもしれません。それに、「むしろ」という語、英訳の時、いつも頭をひねってしまいます。
最近、韓国人の先輩から抜き刷りを賜り、あまりのハングルの多さに、貧血で倒れそうになりました。
この掲示板で、近年の英米研究を批判してしまいましたが、考えてみれば、1984に
Linda Grove and Christian Daniels eds., _State and Society in China : Japanese Perspectives on Ming-Qing Social and Economic History_, Univ Toko P.
が出ていましたよね。本野さんが書かれていたDaniels先生とか、あとLinda Grove先生も本当に日本の研究を理解してくれている方だと、管理人は思います。
しかし、この本も、取り上げている対象が、西嶋定生、田中正俊、小山正明、小林一美、鶴見尚弘、山根幸夫、岩見宏、重田徳、濱島武志。1、2人を除いて、いかんせん、古い。90年代以降、英語圏ではグローバル経済史(Wong等)でも文化研究でもない、生産要素の研究というのが見向きもされなくなってきていますから、折角のこの本も、あまり読まれてないかもしれないですね。
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(無題) 投稿者:本野 投稿日:11月14日(金)13時09分09秒
最近忙しくって返事が出せませんでした。マクダーモットは田中正俊先生とElvin先生の弟子です。Bin Wong,Peter Perdue, Helen Dunstanやわれらがダニエルズとともに田中ゼミの出身だから、日本の学界同行に敏感なのは当然です。結局この世界も人脈、関係がものを言うのです。なにせ参入者が少ないですから。それから英文論文の投稿ならば、東大東洋文化研究所のお手盛り雑誌に投稿しても無駄。あなたはあの研究所出身だから仕方ないかもしれないけれど、本家本元のModern Asian Studies, Modern China, Economic History Review,Journal of Economic Historyなどに投稿すべきでしょう。
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(無題) 投稿者:Paul Weller 投稿日:11月14日(金)09時52分01秒
久し振りにお邪魔します。
ニクソンショック以降、日本での中国研究が米国で参照される頻度が低下した、と村田雄二郎先生か彌永先生かがどこかで書いておられましたが、東大留学生が日本人の研究を数多く取り入れていた円安時代と、今とでは、環境がやはり違うのでしょう。今でも友達の中には日本語を勉強している研究者は沢山いるものの、特に明清地域社会論以降、叙述が洗練されすぎて外国人にはなかなか文意をとりにくくなっているという面もあるかもしれません。
予算が潤沢であればRAを雇って日本語文献を収集・翻訳させている例も若干あるでしょうが、RAの質にもよるでしょうからなかなか日米で知見・認識の共有はむずかしいのかも(実は私も無能RAの一人です)。
外国人研究者といえばフランスのヴィル先生が来日される(もう来ておられる?)そうですが、カウンターパートは不明です。東洋文庫でしょうか?ちなみに今月末は人文研で講演会のようです。
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(無題) 投稿者:管理人 投稿日:11月 7日(金)22時22分37秒
私もまったく、ELVIN先生は本当に、かつての日本の強力な社会経済史を、「正当に評価してくれる碩学」だったと感じます。ポモ全盛のころ編集された_Anothe History_の序文で、「私は本当に楽しくやっていたのに、時代が変わってしまった」みたいなことを書いてました。悲しさ・強さ・誠実さのようなものを感じます。
それから、私はマクダモト先生も日本の社経史を評価してくれる数少ない英語圏学者に含めて良い様に思われます。
田中正俊先生については…学術的なことであれ、個人的な批判が出ると、管理者としては緊張してしまうのですが…恐らくそれに関連する例として…ある日本を代表する社経史家のひとりであるX先生に対し、弟子のY先生が英語訳の提案をなさったところ、米国(英米)の言語であるという理由で拒否されてしまったということを聞きました。本当に信じがたいことですが、1970年代くらいまで、そういう雰囲気があったのかもしれません。ただ一方、留学生から田中先生の高い御人格についての話を聞くこともよくあります。私は直接お会いしたことがないので、業績以外はなんとも評価しかねます。
英語の論文といえば、東文研とケンブリッジで_International Journal of Asian Studies_というのを出しますね。いつぞや投稿しようと思ってます。
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(無題) 投稿者:本野 投稿日:11月 7日(金)10時05分23秒
洋書読んでて腹立たしい思いすることは多いですよね。
日本の研究のレベルから英語文献の不足部分を徹底的に指摘する英語の本、
というのを編集してアメリカで出版したら、大変な貢献になるんだろうと思います。
というのは、その昔、私の留学時代の恩師が名著、The Pattern of the Chinese Pastで一度試みていました。あの本を翻訳する研究者は出現せず、また本人と真剣な交流を望み、これを実現したのは、斯波先生と私、ダニエリズだけ。日本の中国史研究者は、真に日本の学界を評価してくれる碩学に対してあまりにも冷淡だったと思います。その最たる例は、田中正俊だったと私は思っています。実際にそう言い切れるだけの根拠がありますが、ここには書きません。それから、これからは英語の論文を書くことも必要ですよ。
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洋書 投稿者:管理人 投稿日:11月 6日(木)00時10分22秒
あはは、私だって気付かずに投稿してくださったですか!?
それも嬉しい感じですけど。
情報ありがとうございます。P.Bolも、宋代史で見ると「それを言うならこれを引け」という論点、しばしばあります。
洋書読んでて腹立たしい思いすることは多いですよね。
日本の研究のレベルから英語文献の不足部分を徹底的に指摘する英語の本、
というのを編集してアメリカで出版したら、大変な貢献になるんだろうと思います。
COE-CASも、今度リンク入れておきます。ご紹介ありがとうございました。
>ここって2チャンネルや「研究する人生」よりもはるかに高尚な内容で私は好きですよ。
ありがとうございます。
数ヶ月まで、非常に博識な学生や匿名投稿者の方が、経済史等いろいろ書き込みしてくださっていて、私としてもすごく勉強になったのですが、突如掲示板がぶっこわれてしまいました。多少、ログを取ってあるので、今度時間があるときに議論の過程のページを作ろうかと思っています。この掲示板も使い勝手が悪いので、どこかそのうち引っ越すかもしれません。
今後とも、是非いろいろ情報の御提供をお願いいたします。
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文献情報その他 投稿者:本野英一 投稿日:11月 4日(火)10時27分34秒
なんだ、これ、青木さんのHPだったのか。投稿してからやっと気づいたしだいです。ところで、来年のアジア経済史用に最近以下の2冊の英書と中国書を買いました。前者は部分的に目を通しました。Paul Jakov Smith and Richard von Glahn eds. The Song-Yuan-Ming Transition in Chinese History (Harvard University Press, 2003)と李伯重『発展与制約:明清江南生産力研究』(聯経出版社、2003年)です。前者の序論、1章、4章は目を通しました。「唐宋変革期」説批判の根拠として、13世紀から17世紀の江南経済の順当な発展を跡付けていますが、こんなことは『稲のアジア史』で足立啓二が実証していたことじゃないですか。最近授業教材でアメリカの歴史学者の書物を読んでいますが、あちらの書物ってたいしたことないですね。それから小生も属しているCOE-CASのHPもリンクしてください。ここって2チャンネルや「研究する人生」よりもはるかに高尚な内容で私は好きですよ。
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ありがとうございます。 投稿者:管理人・青木 投稿日:11月 4日(火)04時10分12秒
本野さん、お久しぶりです。あの時以来ですね。
最近、抜刷もお送りせず、失礼しています。
このサイト、もともと自分用に作っていたのを2001年に公開、
以来、植木みたいに育てています。
もし、有用なサイトがあれば載せたいので、ご教示願えませんでしょうか。
最近も、チベット史をやっているしっかりした学生が、いろいろ指摘してくれた
おかげで、この方面を充実させることができました。
本野さんの早稲田のHP、拝見しました。実に興味深い講義概要ですね。
東京にいたら、変装してモグリ学生になりたいところです。
お忙しいですか?
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学生に紹介します。 投稿者:本野英一 投稿日:11月 1日(土)12時37分53秒
早稲田の本野です。早稲田の東洋史というと皆さん第一文学部を思い浮かべるのですが、私が属する政治経済学部、あるいはアジア太平洋研究科にも近現代専攻の研究者が多くいます。こちらは戦後、現状分析が主で、明清時代、特に辛亥革命前後を扱っているのは私だけですが。でもゼミの学生はちゃんといます。来年の講義案内にもこのURLは紹介したいと思います。よろしくお願いいたします。
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新しく立てました 投稿者:管理人 投稿日: 9月 3日(水)01時39分34秒
まえの掲示板が壊れてしまったので、
別の会社ので立てました。
こちらは投稿が会った場合に携帯に連絡する
機能がないようなので、
すぐには返答できないばあいがあると思いますが、
どうぞご了承ください。
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