International
Workshop on
Comparative
Study of Cadastral Survey in Modern East Asia
<開催の趣旨>
2005年度から、科学研究費補助金の研究課題「1930年代広東省土地調査冊の整理・分析と活用」(基盤研究(A)、2005〜2008年度、代表:片山剛)がスタートしました。当初は、1930年代の広東省で実施された土地調査事業の際に作成された「田畝調査冊」を主対象に、本課題を進めるつもりでした。しかし種々の偶然があり、時代的には1930年代だけでなく、その前後の時代も含め、また地域的には広東だけでなく、中国の他省、特に長江下流地区も含めて考察する必要と面白さを感じるようになりました。さらに、近代的土地調査の方法や技術の東アジアにおける移転という視角から、China
Properのみならず、日本、沖縄、台湾、朝鮮半島、中国東北部(旧満洲)なども視野に入れて研究を進める必要性を認識するにいたりました。
とはいえ、本科研メンバーのうち、人文地理学の小林茂教授を除き、中国史関係のメンバーは、従来、時代的には明清から近代、地域的には華北から華南のChina Properを研究してきた者が多く、1930年代〜40年代といった現代史や、台湾・中国東北部・朝鮮半島といった地域を専攻する者は少ない構成となっています。ただし逆に言えば、明清から近代のChina
Properを研究してきた者の視点で、新たな切り口を示せるのではないか、とも思っております。
このような現況および今後の研究展開に鑑みまして、本ワークショップの開催を企画するにいたりました。その趣旨は、本ワークショップにおいて、主に本科研メンバーが報告するとともに、土地調査事業に関する中国明清史や中国現代史、さらに朝鮮半島・中国東北部の先駆的研究者をお招きして、その独自の蓄積・視角から、コメントやアドバイスを頂戴し、今後の研究の展開に活かしていきたいと考えたからです。
報告者のうち、台湾からお招きする陳淑銖博士(国立台湾科技大学副教授)は、『浙江省土地問題与二五減租,1927-1937』(国史館,1996),『従減租到扶植自耕農:抗戦時期至戦後国民政府的土地改革(1937-1949)』(文史哲出版社,2002)等の著書を公表されています。小林茂は、近代的土地調査の前提となる、土地調査の方法や測量・製図の技術について、その近代東アジアにおける伝播・移転という視角からの報告を予定しています。稲田清一は、1998年前後に中国大陸で出版された「土地志」を分析・活用した報告を予定しています。片山剛は、1947年前後に作成された地籍図を紹介するとともに、本地籍図から窺える農村社会の実相をさぐります。
大阪大学 片山 剛
<プログラム>
期日 12月2日(土)午後 & 3日(日)午前
会場 大阪大学文学研究科(大阪府豊中市待兼山町1−5)
◆12月2日(土)
受付開始 12時00分(文学研究科本館2階 第一会議室前)
開会 13時00分(文学研究科本館2階 第一会議室)
<報告4本、1本あたり45分。簡単な質問>
報告1 小林 茂(大阪大学教授)
「近代東アジアの土地調査事業と地図作成」
報告2 陳 淑銖(国立台湾科技大学副教授)
「1940年代閩西龍巖縣農家經濟與地權異動」
報告3 稲田清一(甲南大学教授)
「民国期、江浙における地籍整理事業の作業過程」
報告4 片山 剛(大阪大学教授)
「1947年前後作成の南京江心洲の地籍図と農村社会」
終了 17時30分
レセプション(立食パーティ)18時00分開始 20時00分終了
◆12月3日(日)
再開 9時00分(文学研究科本館2階 第一会議室)
<コメント8本、1本あたり15分。報告者&フロアからの発言>
コメント1 田口宏二朗(追手門学院大学講師)陳淑銖報告向け
コメント2 鶴見尚弘(山梨県立大学学長 明清史)
コメント3 宮嶋博史(韓国 成均館大学校教授 朝鮮史)
コメント4 江夏由樹(一橋大学教授 中国東北史)
コメント5 笹川裕史(埼玉大学教授 中国現代史)
コメント6 小島泰雄(神戸市外国語大学助教授 人文地理学)
コメント7 山本 真(筑波大学助教授 中国現代史)
コメント8 岩井茂樹(京都大学教授 明清〜近現代史)
閉会・解散 12時00分
◆会場展示
南京市江心洲の地籍図
南京市江心洲の空中写真
外邦図
◆片山剛 連絡先
電話: 大学 06-6850-5102(直通)
FAX: 大学 06-6850-5091