インターネットによって利用可能な哲学関係の情報源について(改訂版)

浜渦 辰二(静岡大学人文学部)

(jsshama@hss.shizuoka.ac.jp)

(注記: これは、『情報知識学会ニューズレター』(INFORMATION AND KNOWLEDGE NEWS) 39 [1996年8月発行]に掲載されたものです。多少データが古くなってしまい、サーバーの引っ越し等のためリンクが繋がらなくなっていたものを、1999年5月現在、分かる限りで新アドレスに訂正しておきましたが、まだいくつか行方不明のものもあります。

 哲学の世界は、最新の情報が瞬時のうちに世界中を飛び交うというインターネットの世界からはほど遠いように思われるかも知れない。しかし、そこにもインターネットの波はすでに着実に普及し、インターネットは哲学研究のこれまでのあり方を根本的に変えて行くのではないかという認識が広がりつつある。そこで、ここでは、現在(1996年7月初旬)の時点で、実際WWW上にどのような哲学関係の情報源が構築・公開されているかを紹介し、哲学研究におけるインターネットの果たす役割について考察する手掛かりを提供したい。

  1. 一般的なインフォーメーションを得るためのサイト
  2. 哲学関係の情報源への一般的な入口となるリンク集
  3. 哲学文献の電子テキストへの入口となっているサイト

1、一般的なインフォーメーションを得るためのサイト

  • Electronic Texts in Philosophy [http://pollux.zedat.fu-berlin.de/~aporia/ephtexts.html] =>行方不明で繋がりません。
    (哲学における電子テキストについての紹介文で、アメリカのカーネギー・メロン大学のLeslie Burkholder氏によって作成され、ケンタッキー大学のEric Palmer氏によって改訂された、1994年の3月改訂の第3版が、ドイツ・ベルリン大学のサーバーに保存されている。いささか情報が古くなっているが、世界の各地で既に作成された電子テキスト、および現在[当時]進行している電子テキスト作成のプロジェクトが、哲学者ごとに分類されて紹介されている。)
  • Philosophy Services [http://www.phil.ruu.nl/philosophy _services.html]=>行方不明ですので、Philosophy on the Web [http://www.phil.uu.nl/philosophy-sites.html]をご覧ください。
    (オランダのユトレヒト大学のArno Wouters氏によって作成され、1995年2月にVersion 4.2が公開された「哲学者にとってのインターネット・サービス」で、これは、インターネットに慣れていない、またはその利用に懐疑的な哲学者に有用なリソースを紹介するとともに、インターネット上の情報にどうやってアクセスするのかについてのヒントを提供しようとする紹介文である。哲学に関心をもつインターネット利用初心者にはピッタリのページで、彼自身の作成した、哲学サイトへのリンク集もある。ロードするのに時間のかかる画像データなどの余計な飾りが一切ないことが、利用しやすい。)
  • Computing Resources for Philosophy: An Introduction [http://sable.ox.ac.uk/departments/humanities/philit.html]=>引っ越していますので、Oxford Text Archive Home Page [http://ota.ahds.ac.uk/index.html] から辿ってください。
    (イギリスのオックスフォード大学の人文科学コンピュータ・センター[CHC: Centre for Humanities Computing]による、哲学においてコンピュータを利用した資源についての紹介。オックスフォード大学におけるコンピュータ・サービス[OUCS]、同サービスにおける人文科学コンピュータ・プロジェクト[ 特に、オックスフォード・テキスト・アーカイヴ] 、インターネット上の資源、電子テキストとテキスト解析、などについての紹介がある。1995年8月に作成されたもので、少し古くなりつつあるが、インターネット上の哲学関係の資源の利用についての基本的な知識を得るには、十分役に立つ。)

2、哲学関係の情報源への一般的な入口となるリンク集

  • American Philosophical Association [http://www.udel.edu/apa/]
    (合衆国における哲学者達の主要な専門組織であるアメリカ哲学会[APA]のホームページ。案内板、会員紹介、学会案内と論文募集の案内、補助金と奨学金の案内の他に、哲学的内容をもったウェブ・サイト、各大学の学科・研究所・センター、図書館・コレクション・参考資料、文献情報、出版社などへのリンクも豊富に張られている。)
  • Philosophie-Seiten [http://www.philo.de/Philosophie-Seiten/]
    (ドイツ・ハイデルベルク大学の Dieter Koehler氏によるサイト。すでに世界中に数ある哲学関連のホームページのなかで、ドイツで作られ、ドイツを中心としたヨーロッパの哲学関連情報を提供するものとしては、最も充実している。膨大なリンクが、研究[オフラインおよびオンラインの文献案内、討論・フォーラム、哲学者達のホームページ等]、組織[学部、研究所、プロジェクト、学会]、その他に分類されている。)
  • Voice of the Shuttle: Philosophy Page [http://humanitas.ucsb.edu/shuttle/philo.html]
    (アメリカ・カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校のAlan Liu氏によって作成されている哲学関係のサイトの膨大なリスト集。一般的な哲学リソース、哲学者と著作、ジャーナル、リストサーブとニュースグループ、学会と論文募集、学科とプログラム、などに分類されている。充実しており、一見の価値あり。)
  • The World-Wide Web Virtual Library: Philosophy [http://www.bris.ac.uk/Depts/Philosophy/VL/]
    (イギリス・ブリストル大学哲学科に置かれ、Daniel Brickley氏によって作られているヴァーチャル図書館で、哲学関係のさまざまなインターネット・リソースを提供しようとしている。哲学のリソース・ガイド哲学ジャーナル、国別の哲学科、討論グループ、電子テキスト、メーリング・リスト、哲学者のためのリアル・タイム会話、インターネット上の哲学サイト、といったグループ分けがされている。また、関連するヴァーチャル図書館として、人文学、言語学、認知科学、美術史、社会学、ドイツ哲学といったコーナーへのリンクもある。)
  • Philosophy in Cyberspace - Home Page [http://www-personal.monash.edu.au/~dey/phil/]
    (オーストラリア・ Monash 大学のDey Alexander氏による哲学関連のソースガイド。メーリングリスト、ジャーナル、電子テキスト、ビブリオグラフィ、プレプリント、出版社、哲学関係の組織・学会、大学の哲学科、等にグループ分けされている。)
  • Philosophy on the Web [http://www.phil.uu.nl/philosophy-sites.html]
    (オランダのArna Wouters氏 [前出] によるリンク集。さまざまなサイトが、ディレクトリ[一般的なリソース集のページ]、文献案内、学科、ジャーナル、電子テキスト、Gopherサーバー、雑誌と学会、プレプリント、プロジェクト、出版社、ソフトウェアに分類されている。)
  • Guide To Philosophy [http://www-und.ida.liu.se/~y92bjoch/]
    (スウェーデンのBjorn Christensson氏によるサイト。19人の哲学者の肖像と簡単な紹介と関連するページへのリンクあり。また、249のウェブ・リソースを、カテゴリーによるトップ5、マガジンとジャーナル、電子テキスト、リンク集、機関などに分類している。)
  • Index Page -- McGill Philosophy [http://www.philo.mcgill.ca/]=>行方不明で繋がりません。
    (カナダ・ McGill 大学のAnrew Burday氏が作成している哲学科のサイト。同大学哲学科についての情報を提供するとともに、哲学者達がインターネット上の情報を使いやすくすることを目指している。様々なレベルの利用者を顧慮して、いくつかの短い説明文のついたリンクと、沢山の説明なしで名前だけのリンクを張っている。)
  • Philosophy [http://www.santafe.edu/~shalizi/hyper-weird/]=>データが古くなっており、繋がらないものが多い。
    (アメリカのMitchell Porter氏による"High-Weirdness by E-Mail"をもとに、Cosma Rohilla Shalizi氏が作成している、ftpサイト、gopherサイト、ハイパーテキストのページの膨大なリストの哲学部門。古代・中世哲学、近世・現代哲学が更に個々の哲学者に分けられたもの、人工知能、認知科学、心と脳、宗教と霊性、といった主題別に分けられたもの、などの包括的なリストがリンクされている。)
  • Research Institute for the Humanities - Philosophy [http://www.arts.cuhk.edu.hk/Philo.html]
    (香港中文大学・文学院・人文学科研究所の哲学部門のホームページ。中国哲学関係を中心にさまざまなリンクが、哲学関係のサイト、各大学哲学科のページ、主題別、論理学、哲学者、などに分類されている。アジアにある、おそらく一番大きな哲学関係リンク集であろう。)
  • 哲学情報センター[http://www.sal.tohoku.ac.jp/phil/PHILOSOPHY/index-j.html]
    (東北大学文学部哲学・倫理学合同研究室が提供しているリンク集。学会・研究会等、研究者情報、雑誌・書籍・データベース、哲学関係--便利なサイトに分類されている。)
  • 哲・倫・宗 [http://philosophy.onweb.to/links/]
    (筑波大学大学院哲学・思想研究科の永崎研宣氏が、「ホームページ運用の経験を積むことを兼ね、ASAHIネットのホームページ作成サービスを利用して個人的に運営している」、哲学・倫理学・宗教学関係の国内リンク集。学会等、研究機関等、リンク集、資料集、テキスト等、雑誌等、などに分類されている。)

3、哲学文献の電子テキストへの入口となっているサイト

  • Oxford Text Archive Home Page [http://ota.ahds.ac.uk/index.html]
    (イギリス・オックスフォード大学のテキスト・アーカイヴのホームページ。このアーカイヴに保存されているのは、ギリシア語・ラテン語・英語・その他の言語の主要な作家・著者の作品の電子ヴァージョンである。1500を越えるテキストが、プレイン・テキスト、SGML、HTMLという異なる形式で保存されているが、すべてのテキストがインターネット・ユーザーにアクセス可能なのではなく、オックスフォードのユーザーに制限されているものもある。TEI [Text Encoding Initiative]とSGML [Standard Generalized Mark Up Language]についても詳しい説明がある。)
  • University of Chicago Electronic Text Services [http://www.lib.uchicago.edu/LibInfo/ets/]
    (アメリカ・シカゴ大学にある電子テキスト・サービスのサイト。フル・テキストのデータベースが、英語・フランス語・ドイツ語・ギリシア語・ヘブライ語・イタリア語・ラテン語と、使用言語によって分類されている。同大学に保存されているテキストと、他で保存されているテキストへのリンクとがある。ウィトゲンシュタインの英訳著作集は前者であるが、版権の問題から、利用は同大学のメンバーに制限されている。)
  • The University of Virginia Electronic Text Library [http://etext.lib.virginia.edu/uvaonline.html]
    (アメリカ・ヴァージニア大学の電子テキスト図書館。同大学のユーザーにはすべてのテキストとイメージが入手できるが、一般のインターネット・ユーザーには制限されているものもある。すべてのテクストは、SGMLでマーク・アップされているが、ユーザーが利用するときには自動的にHTMLに変換される。英語・フランス語・ドイツ語・日本語・ラテン語と、使用言語によって分類されている。ウィトゲンシュタインのドイツ語のテキストが三つ入っているが、利用制限されている。因みに、日本語のテキストとしては、同大学図書館電子テキスト・センターとピッツバーグ大学東アジア図書館の協力によるJapanese Text Initiativeが唯一、『小倉百人一首』を英日対訳テキストとして公開している。)
  • Philosophische Seiten: Personen [http://www.philo.de/Philosophie-Seiten/]
    (ドイツのハイデルベルク大学のDieter Koeler氏 [前出] が作成しているサイトで、世界中に散らばっている電子テキストのサーバーへのリンクを張ったリンク集。英語のテキストだけでなく、ドイツ語、フランス語、イタリア語のテキストもあるのが嬉しい。哲学者別に分類されているほか、源泉になっているサーバーへのリンクもまとめられており、大変充実しているので、ブックマークしておく価値がある。)
  • ATHENA: BOOKS, LITERATURE, ARTS, SCIENCE, MINERALOGY [http://un2sg1.unige.ch/www/athena/html/athome.html]
    (スイスのジュネーブ大学の Pierre Perroud氏によるサイトで、電子テキストあるいはそれを保存したサイトへのリンクを収集した膨大なリンク集。2500件以上の電子テキストへのリンク[著者名のアルファベットで分類されている]、スイス人の書いたもの、フランス語で書かれたもの、美術と科学、科学、鉱物といった分類がなされ、哲学・科学・古典・文学・歴史・経済等という広い分野にわたって、しかも多言語での電子テキストへのリンクを収録している。スイス人の書いたもののなかには、ルソーのフランス語のハイパーテキストもある。)

 ここでは、私が蓄積しているブックマークのなかから、できるだけ哲学プロパーで、しかも一般的に役立つものを厳選して紹介した。これ以外にも、電子ジャーナルや学会・組織や各大学哲学科のサイトなどもあるが、それぞれ以上に挙げたものからリンクが張られているので、それを辿って頂きたい。また、私が作成中の「はまうず・ホームページ」(http://www.hss.shizuoka.ac.jp/shakai/ningen/hamauzu/hamauzu.html) からも若干リンクを張っているので、それも参照されたい。以上の材料をもとに、インターネットが哲学研究にいかに役立つかについては、稿を改めて論じられねばならないだろう。
(本文冒頭に戻る)

はまうず・ホームページへ戻る。 フッサール・データベースのホームページへ戻る。