神山孝夫 『脱・日本語なまり:英語(+α)実践音声学』 (大阪大学出版会

解説と音声・映像データ 

(音声データ) (音声・映像データ) を含む付加的な情報を掲載しています。自習等にお役立てください。

正確な音声表記のため、一部で Doulos SIL font を使用しています。

うまく表示されない場合は ここ からダウンロードしてインストールしてください (お金はかかりません)。

 

序章 気づかない日本語なまり

 

§1

 

ショーの戯曲 「ピグマリオン」 を通して 「母語なまり」 のしつこさを知ってください。

 

ピグマリオンのモチーフはローマの詩人オウィディウスに由来します。

例えば下記で元の話がご覧になれます。該当箇所は短いので安心してください。

オウィディウス『変身物語(上・下)』(中村善也訳、岩波文庫) アマゾン

 

別途DVD等にて、映画化された My Fair Lady (1964)を是非ご覧ください。

(かつてはYouTubeに載せられていましたが、その後削除されてしまいました。残念です。)

 

George Bernard Shaw         Audrey Hepburn

     

1856-1950                      1929-1993

 

 

 

§2

 

Eliza とHiggins教授のやりとり(その1) 

 

Higgins : All right, Eliza. Say it again.

Eliza : The rain in Spain stays mainly in the plain.

Higgins : The rain in Spain stays mainly in the plain !

 

Elizaは [ eɪ ][ aɪ ] の区別ができません。後者を常用します。

 

Eliza とHiggins教授のやりとり(その2)      (YouTube)

 

Higgins : In Hartford, Hereford and Hampshire hurricanes hardly ever happen.

Eliza : In Hartford, Hereford and Hampshire hurricanes hardly ever happen.

 

Elizaは [ h ] のあるなしも区別できません。

大概は [ h ] を脱落させます(実際には声門閉鎖音 [ ʔ ] を発しています)が、

時には ever の最初のように余計なところで [ h ] を発音しちゃいます。

 

特訓の結果、なまりが抜けて喜ぶシーン    (YouTube)

有名な歌 I could have danced all night も入っていますのでお楽しみください。

 

 

 

§3

 

ちょっと留学すりゃあ発音なんてすぐさ、なんて楽観的な考えを持っている方、

例えば下記などごらんいただいて認識を新たにしてください。

 

http://blog.livedoor.jp/bonjourparis/archives/50172972.html

 

http://www.kkoisland.com/diary/d980111.html

 

皆さん苦労なさっているのがわかるでしょう?

現地にいればひとりでに発音がよくなるなんて幻想なんですよ。

 

留学するつもりの方も、そうでない方も、留学先でも日本でも、

コミュニケーションの道具として使うつもりなら

発音は丁寧に学ばねばなりません。

後になればなるほど矯正は困難になります。

 

 

§4

 

では、ご自分の「日本語なまり」の有無を予備的に確認しましょう。

以下の英単語 @ 〜 I は日本語に存在する音だけから成っていますが、

極めて多くの方が誤った「日本語なまり」誤った発音を身に着けています。

特にCEFGHIなどは、留学経験がかなりある人でも結構間違えますよ。

 

 

誤った発音

誤り(記載箇所)

正しい発音

@ top

   

末尾に余計な母音が発されています。(§8, 93-94

  

   

A missing

   

[ sɪ ] が正しく発音されていません。(§29-30, 113

語末の [ ŋ ] の後に余計な子音(映像ではさらに余計な母音までも)が発されています。(§21, 38, 120-122

   

B award

   

綴り字に影響された誤った発音です。(§144

映像では末尾に余計な母音が発されています。

  

   

C Chicago

   

第1音節の母音が発音されていません。(§85, 95-96

[ g ] が正しく発音されていません。(§38, 125

  

第1音節の母音と [ g ] は正しく発音されていますが、

最初の子音が間違っています。

過剰矯正(§113)が原因でしょう。

D king

   

語末の [ ŋ ] の後に余計な子音と母音が発されています。(§21, 38, 120-122

     *

E one

   

末尾の [ n ] が正しく発音されていません。

§51-60, 122

日本語の語末のの音 [ N ] が発されています。

   

 [ m ] が発されています。

F he

   

語頭の [ h ] が正しく発音されていません

§24-28, 114

 

G knee

   

語頭の [ n ] が正しく発音されていません。

§17, 119

   

 

H who

   

語頭の [ h ] が正しく発音されていません。

§24-28, 115

  

I baby

   

2番目の [ b ] が正しく発音されていません。

§37, 125

   

   

 

これらはもちろん氷山の一角に過ぎません。

しっかり学んで 「脱・日本語なまり」 を達成してください。

 

 *  これらの録音では母音が少し違っています。§128を参照。

 

第T章 日本語の音と音声学の基礎 その1

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