学習支援者の方へ

日本語ポートフォリオとは

日本に住んで働いたり家庭を営んだりしている、日本語を母語としない人たちの多くは時間的あるいは経済的に学校に通うことができません。地域の日本語教室に通っても、通常、1週間あたりの学習時間は1時間半ないし2時間しかありません。ですから、できるだけ早く生活や仕事で必要とされる言葉を覚えたいと思ったら、学習支援者に依存しないで、自分で学習のイニシアティブをとり、仕事や生活の中でも言葉を学んでいけるようになる必要があります。言い換えれば、学習者の方たちが日本語の学習に対して当事者意識をもって、積極的に取り組むことが大切だということです。そのために、日本語教室での活動には以下のような仕掛けが必要だろうと思います。

これらの仕掛けを作るための方法はいろいろあるだろうと思いますが、『日本語ポートフォリオ』はそのための道具の一つです。『日本語ポートフォリオ』は、ヨーロッパ言語ポートフォリオ(ELP)というものをもとにしています。現在のところ、ふりがな付きの漢字かな混じり版、ローマ字版、英語版、中国語簡体字版、ベトナム語版、韓国語版、ポルトガル語版、スペイン語版、インドネシア語版があり、これらはレイアウトがまったく同じになっているので、学習支援者と学習者に共通の言語がなくても、『日本語ポートフォリオ』を介して、学習の計画についてある程度の意思疎通をすることができます。

どなたでもご自由にダウンロードしてお使いいただいて構いません。私たちは『日本語ポートフォリオ』を市販のポケットと一緒に2穴ファイルに綴じて使っています。

『日本語ポートフォリオ』を使ってくださる方たちの意見交換の場としてメーリングリストを立ち上げました。参加をご希望の方は、お知らせください。

連絡先

naokoアットletドットosaka-uドットacドットjp

(Spamメール対策として、上のような表記にしました。通常のアドレスの表記に変換してください。)

ダウンロード

日本語ポートフォリオ

リソース

あの時こう使った、こう使えたかもしれない
2005年度に阪大の日本語教育実習に参加した人たちが1学期間の実践を振り返って『日本語ポートフォリオ』の使い方についてやったブレインストーミングの成果です。
外国語学習のコツ
2006年度に私の授業で『日本語ポートフォリオ』を使って諸外国語を学んだ学生たちがまとめた、学校に行かずに外国語の学習を続けるコツです。
問題解決法
学習者の人たちが何かができないという問題を感じた時に、その原因と対処法を考えるヒントを作りました。学習者の人たちの母語で情報を提供できるといいのですが、まだ翻訳ができていません。また、目下、以下の3項目しかウェブで公開できる状態になっているものがありませんが、今後、増やしていくつもりです。
学習のためのリソース
学習者の人たちが「日本語でできます」にある項目から次の目標を選んだ時に、その目標を達成するために役立つリソースをかんたんに探せることが自己主導型学習を実現するには不可欠です。これも、少なくともA2ぐらいまでは媒介言語による情報が必要だろうと思います。以下はとりあえず作ってみたものです。
汎用目的のチェックリスト
『日本語ポートフォリオ』は、A0からB2までのレベルで、学生ではない人を頭において作りました。「日本語でできます」の能力記述文には、C1とC2の学習者、大学での学習や研究に日本語を使いたい人のための活動は含まれていません。この文書はヨーロッパ協議会がELPの開発者のために公開している、15歳以上の学習者を対象とした汎用性の高い能力記述文のリストに日本語訳を挿入したもので、『日本語ポートフォリオ』にない能力記述文を補うために作りました。出典を明記していただければ、ご自由にお使いいただいて構いません。
『自分で決める日本語学習:学び方を学ぶためのガイドブック』
2012年度に文化庁の「生活者としての外国人」のための日本語教育事業として、兵庫日本語ボランティアネットワークが開いた日本語教室に来てくださった学習者の方たちのために書いた自己主導型学習への手引きです。この日本語教室用に書いたものなので、他の教室ではあてはまらないことも含まれていますが、適宜アレンジしてお使いください。他に英語版中国語版ベトナム語版もあります。
『外国語学習アドバイジング;プロのアドバイスであなただけの学習プランをデザインする』
外国語を勉強している人向けに、外国語学習アドバイジングとは何かを解説する本を書いてみました。たぶん学習支援をする時に、どんなことを考えたらいいかを知るヒントになるだろうと思います。Kindle本ですが、Kindleの端末がなくても、スマートフォンやiPadがあれば、無料のKindleアプリをインストールすることで、読むことができます。

資料

いろいろなところで『日本語ポートフォリオ』についてお話した時のハンドアウトです。

2004年02月14日
東海日本語ネットワーク研修会
2006年10月30日
香港中文大学 国際日本語教育・日本研究シンポジウム(英語です)
2006年12月16日
神戸国際コミュニティー・センター日本語ボランティアステップアップ講座
2007年2月16日
神戸定住外国人支援センター日本語ボランティア養成講座
2008年9月20日
日本語教育学会研究集会(アドバイジングの話がメインです)
2009年4月30日
もくもく会(『日本語ポートフォリオ』をうまく使うためにはアドバイジングの考え方を利用するとよいという話です。)
2009年5月30日
フランス日本語教師会研修会(学習者オートノミーの概説です。この研修会の報告書のWeb版ができました。)
2011年3月13日
兵庫日本語ボランティアネットワーク研修会
(『日本語ポートフォリオ』をうまく使うために、もう一つ必要なのがリソースへの自由なアクセス。それを実現するのがセルフアクセス・センターだという話です。)

関連サイト

European Language Portfolio
Council of Europeのヨーロッパ言語ポートフォリオに関するホームページのトップです。ELPに関する文献がたくさんあります。使われている言語は英語、ものによってはフランス語版もあります。
ELP: Guide for Teachers and Teacher Trainers
ELPを使う人たちのための英語による手引きのpdfファイルです。
ヨーロッパ共通参照枠による自己評価表
ヨーロッパの29言語による自己評価表がダウンロードできます。上のリンクをクリックすると出てくるページの下のほうにダウンロードのためのリンクがあります。
国際交流基金『ヨーロッパにおける日本語教育事情とCommon European Framework of Reference for Languages』
ヨーロッパ言語ポートフォリオの章のpdfファイル
ヨーロッパ言語参照枠の章のpdfファイル
国際交流基金『海外日本語教育レポート』「アイルランドにおけるヨーロッパ言語ポートフォリオ(European Language Portfolio: ELP)の日本語学習への活用例」
JF日本語教育スタンダード
国際交流基金が開発した日本語能力の記述の枠組みで、『日本語ポートフォリオ』の背景にあるヨーロッパ共通参照枠に大きく影響を受けています。