をむなかゝみ 上 それゐんやうのみちといふことは。たゝゆうけうのもてあそびのみにあらず。天地ひらけはじまりしより事おこれり。てんはやうにしてちをばゐんとす。日はやうにして月はゐんたり。かくのことくもの/\に。ゐんやうなきにあらず父母はすなはち。天地なりてんちのあひだより草木は生るなり人はゐんやうわかうの内よりうまるものなりされはほとけも一さいしゆしやうしつうふつしやうによらいとおしへ給ふ。みなこれしゆじやうさいどの御じひ二世あんらくをあたへたまはんとの御ちかひなりおろそかにおもふへからずてんひつわがうらくぢふくゑんまんといふこれすなはち天地ゐんやうのふたつとかやこれによりおとこ女のびくはひをくはうそもんだうしたまひけるもらうにやくなんによのちやうせいのためとかやされば本朝のむかしをつたへきくに神よのそのはしめいさなぎいさなみのみことあまのいはねにしてみとのまくはひしたまひしよりことはじまりていまにつたはりふうふのちきりたへずし。すゑのよまてもなをさかんにちきり。たへべからずことにわかきおりからは花のさきてまたちる春にたとへのきのたちはなにはむかしをしのべる人もこそおほけれ又月のさやかなりし夜一むらのくもかゝり。ひかりをうしなへるふぜい又いつるをまつにたとへゆきのしろたへにつもれるをおもかけになんたはふれあるひはやなきのいとのしなたをやかになれる。すかたをかたとり。むめの花のさけるを見てはにほひふかきすかたをかんじあるひは遠山のくものかすかなれる雲のよそほひそらをかけるとり。ちをはしるけだものまでたとへのかすにもいり又は思ひのいろをあらはし一どはうらみ一どはあふ。うれしさをたのしめりさればとかくしてむつべはうとき中もしたしくなりよそにおもひし人もあさからぬ中となれりけるはふうふの中なるべしのちにはひよくれんりのかたらひたかひにつゑをたよりのとしまてもおなじまくらをつしまのみつのこゝろもなをふかくのみくらしけるこのむねをかんとしてたはふれし中にもいつはりなきやうにまことなるたゝしき。心をさきとせらるべしされはこの書ををんなのかゝみとつけ侍りしはふうふのあひだのゑんを見るゆへにかくいへりける。あさとなくくれとなく。かほ見たまふかゝみとおなじとこゝろにをかせたまひてこの書をも見たまひゆたんなくおこなひたまはゞかならすふうふのあいだゆゝしくもめてたくもあらんかし 女鏡秘伝書目録 一 五しやう三しうの事 二 しんじんをなすへき事 三 女つねにこゝろえの事 四 七ツのとしよりこゝろえの事 五 ちからわさの事 六 てならひの事 七 うたをよみ給ふ事 八 ことをひきびわをたんじ給ふ事 九 さうしを見るとくの事 十 女つねにたしなみの事 十一 つねにふるまひあしき事 十二 よめ入まへのこゝろもちの事 十三 ゐやうの事 十四 たちふるまひの事 十五 こそでしたてやうの事 十六 小そでめすもやうの事 十七 小そでの地の事 十八 かたびらの事 十九 おびのひろさの事 廿 おひのそめやうの事 廿一 かみのゆひやうの事 廿二 ひたいのすりやうの事 廿三 けはひのけしやうの事 廿四 かみにあぶらをつくる事 廿五 つめのきりやうの事 廿六 にほひの事 廿七 人にあいさつの事 廿八 ちゝはゝへかう/\事 廿九 おやならぬおやにかう/\の事 卅 わらひやうのひでんの事 卅一 ものをあはれむ事 卅二 人をつかふひでんの事 卅三 ものをのたまふ事 卅四 よくふかゝらぬ事 女鏡秘伝書  一 五しやう三じうの事 五しやうといふは一ニほんてんわう二ニたいしやくてん三ニまわう四ニてんりんしやうわう五ニぶつ身なり女人としてはこの五ツになることをえずこれを五しやうといふなり三じうといふは女はたかきもいやしきも三ツのくるしみありこれを三しうとなつけたり一ニはおさなきときはおやにしたかふゆへ身を心にまかせず。これをのがれんとすればふけうのとがをまねく二ニにはとしさかりになりておとこにしたかひ侍れば心にまかせずしたがはざれば身をたつるにたよりなし三ニはとしおひぬれば子にしたがふしたかはさればたうろにそでをひろげかはねをみちのちまたにさらすこの三じうをよく心得て心のまゝならぬとてがいにふるまふへからずおやこ男にさへかくのことしまして他人には能随ふへしとぞ  二 しんじんをなすべき事 しんじんをなすといふは十にあまらは神やほとけをねんじゑんをたのむべし。殿をもちてよりは殿よりさきにおきゆふべにはのちにふすへし朝にはまつやうじをつかひてうつ。うかいをなしたのみたてまつる。かみほとけを心にねんじ侍るべししんりきけんごのかとにはわざはひの雲おこらずねんりきかうしやうのいゑにはふくゆうの月のひかりをますといふもんあり。あをぎてもおこたるまじきは三ほうなりうやまひても又おそるべきは神明なりこんじやうよりごしやうまでもごするところはぶつほうなりおさなきよりとしおひぬるまでたのみをかくべきはしんりよなるべしゆふべにふさんにはよく/\うがいし身のあかをつゝしみ給ふべしをんなはかりそめにも人や見るらんきくらんとようじんをふかくするをかんとす  三 女つねにこゝろえの事 つねにこゝろえたしなむへき事みめかたちはうまれつきなれはよきもあしきもなをすへきやうなし身のたしなみこゝろになすところはめん/\の心にしたかふへしまつ心かたましからずほねなはらす。しなたをやかにふるまふべし。たゝ身をたしなめるをかんとす。いたゝきよりあしのあなうらにいたるまてさはやかに。かみにも身にもあかつけずかみくろきやうに身をしろくなせるこそは。をんなのみちなれいかにみめよきとてもきれいになきをんなはおとこのひはんにあしきをんなとす。さてこゝろは人にそむかすはしちゝらず。こゑをばかべよりほかにもらすべからす。つめゆたんなくきりあかのつけるきる物をきるべからずことになつはあせいづるによりて身もにほふものなりさい/\ゆをつかひてあしをあらひかみなとのにほはぬをかんとすべし。ふゆはさむきゆへに大かた人々ゆたんありて身もむさきものなりなを/\ふゆにこゝろをつけたまふへしおとこはすこしの事にこゝろかはりあき風たつものなり。あきかせたちでよりはなにとしてもなをらぬは殿のこゝろとしるべし  四 七ツのとしよりこゝろえの事 されはをんなはおさなきよりしつけかんようなりことに七ツすきなば。よろつものやはらかにばしなることをつゝしみあそびのみちにもをんなのすべきことわざををのみもてあそび日にてられずあめにぬれず人のおしへをよくもちひ。はうあしきをんなのみまねをせずおとこの子をあそびのあひてにすべからず女のなかにもものやはらかなる内のをんなにつきそひ人々のほめるをんなの。ものいひ又はあいさつをこゝろにしめてきゝならひ侍るへし十にあまらは人に見ゆへからず  五 ちからわさの事 おさなきよりちからわざなとなすべからずちからわさをなしたまへはかならずほねこはくゆび大きになりかわ。やはらかならずして。いやしきものなり。あるときわかきおのことものよりあひひはんをせしをきゝ侍るに。てあしじんしやうにいろしろくしなたをやかに。やなきの風にしたがふふぜいをこそ世にまたたぐひもなきやうにいへりける。これをおもへはちからわさなんどしたまふはひとへに身をやふりきずをつけ給ふとおなじ  六 てならひの事 おさなきより。ものかく事かんとせらるべしまつふみをかゝざればよろつのようかくるそのうへ。ものをかゝざるはおろかにしてにしひがしをも。わきまへ給はず。ものゝほんさうしなどにむかひたまひても。めくらのかべにむかふがことしとのにちかづきたまひてもたよりすくなくふうふのあひもとをくなり。あるひはものをけいこをなしたまふにももの/\のすべをおそくしりたまひあるひはうたをよみやさしきことも。ものをえかゝぬ人はふつゝかにしていやしたとひすかたよくてもたまにひかりのなきににたり。いやしきをんなさへものをよくかきぬれはやさしきやうにおほゆ。まして大みやうかうけのきたのかたひめなんとのものかきたまはぬはあるへき事にもあらず。ものをのたまふもあとさきおろかにしてあやうきはしなりまことに身のたからなんぞこれにまさらなんや  七 うたをよみ給ふ事 おさなきよりこゝろかけなければにはかにはなりがたしそうじてをんなはよめ入ののち二三ねんのあいだをかんとすべしそのおりからうたなとよみ侍ればふうふのあいにもなるものなり。このゆへにおさなきよりこゝろにかくへしといへりさてうたをよむならひまつふるきうたを。おぼゆるをかんとす五百千しゆにおよびおぼえぬれば四きおり/\神祇尺教こひむじやうたび。それ/\のうたのよめるていことばのしなをしりむかしいまのうたのすかたをよくこゝろえてのちそのいゑ/\の秘書おほきをあつめ見たまふべし。たとへばいゑをつくるにざいもくをよするがごとしざいもくなければいかにじやうずのばんじやうもけづるべきものなし。そのごとくまづふるきうたをあまたおほえ侍れば。こしをれもいづるものなりしかればよしあしを人にもならひなをさせなんとすればかならずのちにはぬしのこゝろえもいできよくなるものなりうたのきらひやう花のとりやうなとはみないゑ/\の書に見え侍ればいましるすにおよばすつら/\うたのとくをおもふに人のこころをやはらげおとこをんなのなかたちともなりいにしへの人のいへるにもたけきものゝふのこゝろを。やはらげおに神をあはれとおもはせつみある人までうたのとくによりて身をたすけたまふことかそへがたしあるひはたかきくらゐにのぼりあるひは一しゆのうたによりて。まつたいになをとゝめ花を見月をなかめても人しれぬけうおほし。しかのみならず。いにしへをはかりおもふはうたをよくよめる人はやさしくみめかたちもよくしなたをやかならん見もせぬ人にこゝろをうごかし。こひしのばさる人もなしまことにいたらぬおの子まてもしたひめでぬる事みなこれうたのとくとしるべしこれはいにしへをさへ。かくいへるましてめのまへのをんなのやさしくうたをよみたまはゞ殿もなどかこゝろをうつさせたまはさらんやいやしきをんなさへものをかきうたなむどよみ侍れはうへ/\さまにもましはりやさしき事にぞ見えし。ことに大みやうかうけのきたのかたひめなんとのふつゝかに。むのうなるはゆひかいなきさまなり。ことにをんなはよそへゆくことまれなりいゑにのみありてつれ/\なるときは内のをんなともよひあつめさま/\のわざをさせ。こゝろをなぐさめける中にことにうたなととりあつかへるはよそのきこえもゆゝしく殿のあひにもなり侍るなりうたをよめる人はゐながらくに/\めいしよところ/\のなをえしさうもくまでもしり。はるなつあきふゆのおり/\のうつりかはれるありさままてもわきまへいにしへの人をともとするこゝちのみ侍るはうたのみちとぞいへりける  八 ことをひきびわをたんじ給ふ事 そのほかをんなのすべきわさを。のこさずしりたまふへき事かんなりをんなはよそへゆくことまれなれどもときにより一もんのよりあひにけいをつくしさま/\あそび侍るおりふし。むのうなれはかほもちよろしからず。もみちをちらしかたみすばりておかしきふぜいおほきものなり。かやうのときはめしつれ候をんなともたれはことをひけたれはびわのやくたれ/\さまはなに/\したまふといひまはり侍ればむのうなる人の内のをんなまでもつらをあかめめいわくす。こゝをもつてわかきときいたつらに日ををくりたまふべからずなぐさみにことよせてさま/\のことわざをかんとならひたまふべし  九 さうしを見るとくの事 もろ/\のさうしを見たまひむかしの人のよしあしをしりたまひ。人のものかたりのおりふしはそれにてあいになり。またはとのゝ物かたりにもそれはかくこれはいかにとのたまひ。ときのあいさつにもなり候かやうことにてふうふのあいにもなるなりまたおいてのちは子ともにいけんをいひ。うちのものへしつけかたものをおほえたまへはひかへになりあとさきふつゝかならず。もとよりをんなのものしりかほもよろしからず。よその人などにむさとさやうなるくちをきく事せんなし。かやうの事もふるき文におほくかきあつめしなればあたらしくいふにおよばすかたましきをんなはいよ/\ふるき事を見きゝてこゝろをなをしそのなかにいろをこのむふみなんどあまたとりあつかひたまふ事よろしからずそのゆへはしゆにいろへはあかくなりすみにちかづけばくろくなることく。みたりなることを見きゝすればかならずそのこゝろにうつりもてきて。身のほとはぢになるなり源氏ものかたりなどは二せあんらくのことをしるし侍といへどもいたらぬ女なとの見侍らばかならずこゝろみたりになりあたとなるべしよろしからぬさうしとそある人のいへりけるそのほかみだりなるものを見たまふへからずことに殿に見せまいらせらるまじ  十 女つねにたしなみの事 たい一身をきれいにもてるをかんとす。さい/\ゆをつかひみがきたて。ものごとやさしくくらゐあるていにみをにほふものなとくひたまふべからずよそのおとこのうへをのたまふべからずまたそしりたまふべからずそゝろにわれとくちかましからず。またことのほかしめりつくろはずおかしき事にはうちはらひあはれなるときにもそのびかだくうちまかせて。そこさはやかにあるへし。そうじてものをいふはわかきときはまめならずこと/\にはしばかりを。あらはし侍るこそこゝろふかけれ。かほゝあかめていひあらはすべからず殿の大じとせんことをはわか身の大じとおもひ人にもらすべからずものことにおやのかたをあさく。とのゝかたをふかくすべしこれふうふのあいのかんとしるへし  十一 つねにふるまひあしき事 ふるまひあしきといふはまつこゝろあら/\しく。はらたつましき事にもはらをたて。おかしからぬことにもけしからずわらひざゝめき。わがこゝろにあはぬときには人をそしり。よろづに人のうへをのみいひさたし。いはれまじきことをくちかましくいひわらひけるほとにもれきこえて身のあたとなり侍るなり。されはくちはわざはひのかとしたは。わざはひのねとむかしの人のいへるなるべし。かやうのをんなは気をさきとして。もの見をこのみ侍るも。見ること。きくことをいはんがためなり。ゑんにつきてよりも。おとこを見まほしくすたれにかほをさしつけ。人を見るほとは人またこれをのこりなく見侍るなり。大こゑにてたかはらひして人にこゑをきかせかくるゝよしにて見えんとす。こゝろけしやうをさしはさむゆへなりされはみゝと目はうれいをなししたとくちとはわざはひをなすといふことこれなり。またさけのみていゑのほろふるをかへりみずゑひみだれわかみのはぢをもしらずおのがこゝろのとゝのはざるまゝに殿にあひてはそらうたがひしてしゆつのかへりかりばのもとりにつかれたるおりをもしらずわかみのあきたるまゝに。くちきゝかほに。りんをいひことばがましくあるゆへにいかにおだしき殿もはらをたてたまふ。かやうの人にはつかわるゝものまてもふるまひあしくひとつつるなる。にがうりのごとし殿のいゑにすみながらよその殿に思ひをかけゆくえもしらぬうたをよみしきよくしてうかれるこゝちしてありけれはしのふとすれとあらはれて。すてらるゝ事ほともなし  十二 よめ入まへのこゝろもちの事 よめ入ま十二三のころより。ものことをたしなみ侍るべし。そのゆへはよめ入ちかくなれはうちのものまてよしあしをいひさたしよもへしるゝものなり。ものをいふにもたちふるまひおやたちへかう/\なに事につきてもばしなる事し給ふへからずもとよりおとこの子にちかつくへからず。たとひきやうだいなりともおとこの子にちかづきあそひぬればおとこのわざをまなびてばしなるものなりたゝをんなのわざを見ならひきゝならひたまふをかんとせらるべし  十三 ゐやうの事 ゐやうはひだりのひざをしたにみぎのひざをうへによせかけてひだりのてをひたりのかたのみのまん中ほとにつき身をまへにかゝりゐたまふへしものをいふにもさかつきなととりたまふにもこのはいよしこれつねの事なれともみたりなる人は大はらわになるおとこのことくばしなるゆへに。それをいましめんためにかくのことく。てのつきやうもよそのつかひまたはきやくなとのときもものをのたまふも大かたかくのことしさりながらさきのあひてによりてすこしのしなかはるへしさきさかりなる人にはひだりの手をひだりのひさのうへにをきものをのたまふべし手をつくとてもおとこのごとく手さきをさきにし。つくべからず手さきをあとのかたになしつきたまふべし。ものなとまいりたまふにもさかつきをとりたまふにもおなし。むかしはものをくふときはりやうのひさをせんよりそとにいでさるやうにとおしへけるいまもさりぬべき人はかくこそいへりける。ゐたるところもばしならざるをかんとす  十四 たちふるまいの事 たちふるまいはよく/\めしつかひし内のをんなのていを見たまふべしおとこはかやうのことにこゝろをつけて見侍るものなれば。ありくことをかんとせらるべしあまりしつかなるもやう/\し。もとよりはやきはいやし手のをきやうあしのはこびひろからずせばからず大かたはこしをつよくすへてよしこしのよはきはなへたるやうにてあしきとそさりなからこしもとはやなぎのごとくたをやかなるこそよけれといへりうしろへすこしそりたるていよしうつむきたるはよろしからずそれもよきほとらいあるべし。かやうのことも内のをんなともあまたあらんなかにしなふりたをやかにしづかなるていをこゝろをつけて見侍るべし。こしのなりをせんとすべしありくことにつきて。いやしきことわさに。上はねる中はうつむく下ははしるといへることありよき女はいかにもしつかにありくものなりうつむきてありくもよろしからず。はしることくはやきはなをいやしおびのむすびやうおびの下のうしろのなりをひらめになきやうにまろく見すべしおびの下にはなにそいれてなりをかんとせらるべしされはこしのほそきをんなはかならずうまれつきて。こしもとよきとぞいへる  十五 こそてしたてやうの事 こそでのしたてやうよく/\ねんを入へし身ひろすぐれはみなりあしきものなり。すこしはせはきをかんとすかたのゆきそてのしたなかきもいなかめき又みしかきもいやしくしやうの事もをんなどものていを。見たまふべし身のたけはながきこそよけれみじかきはいやしさりながら殿のすきこのめるほとをしるべし内のをんなともにつけ殿もかやうのさたをしたまふものなり。それにこゝろをつけてきゝたまふべし殿をもちてよりはなに事もとのゝこゝろにしたかふべし  十六 こそてめすもやうの事 こそてをめすにはしたよりはしろきをかんとすなつもしろきかたひらよししろきをかさねてきさせられたるもくらゐあるものなりうへよりのこそでかたびらなともだてなる大がらのちらしなどはおすへはしためきていやしたゞしんなるちらしのしかもだてなるこそよければしなるこそではかならず見さめせしものなりそのとき/\のはやりにしたがふといへともおとこのすきこのめるはしんにいたれるを本とす。はくなどのあまり。のりごはなるはしなすくなしそうじてこはげなるものをきたまふべからずまたわかきうちくろきものは大かた人々に。にあはずそめものなともくろみすきたるはいやしまたしろきのすきつるもこのましからず一すぢには申かたしそめもの。やうすによりてくろきもしろきもなをおもしろしおなしそめものにてもやうすによるべしとにかくしんにたてなるはわかきもとしのよりたるもにあひて見さめのなきとこゝろえべし  十七 こそでの地の事 はぶたへは地のうすきはあしくしわよりて。うしろのていよろしからず。からおりのたぐひこれまたこはばりてあしく。さやはいやしきものなりさりながらそめのもやうによりてよろしりんずはしなやかにしかもひかりありて一しほよきものなり。たい一しわよらざるものなり。ぬめのりんすはなにゝしてもよろしぬめのひりんずなとなをよしかほにうつりてさくらいろに見ゆるものなりちりめんもしなやかにふりのよきものなりこれもしはよらずそめやう。さま/\あるべしひぢりめんの事はつねに人ことにき侍るにこのましからずいやしきものなりうゑ/\にはめしたまふべからずあかきものめしたまはゞひりんずべにかのこなとよししたよりめし候しろき小そてははぶたへかめや中にも地のよきをかんとすうすんなとも人によるべしぬめのりんずなとをうこんそめにしひかりありてくらゐあるなり中よりうこんなとよしいつれも一すちには申かたしあるひはそめのもやうによりてにあはぬこともあるべしたゞめしつかへるをんなのこそてのそめやうをこゝろをつけて見たまふべし  十八 かたびらの事 かたひらはこまかなるをかんとすそのゆへはぢこまかなればしなやはらかに見ゆ。のりのこはきかたひらあしゝたゝ地こまかにのりうすく三ツほともかさねてめしたまふべししたよりしろきをかんとすうへよりもしろきかたびらくらゐありてよしそめやうの事はこそでとおなじやうにておなじからずそのゆへはこそてのおもてまてもやうよきとてかたひらをそのことくそめたまひてもよくあるまじかならずこそでとはかたびらはかはり侍るべし。これ地かはれるゆへにつやもかはりそめのいろおなじからさるゆへなり地のふときとこまかなるもそめいろかはれりたゝそめるかたびらを見たまふべしくれなゐのそめ物なとよししたよりもなをよしべにかのこのたぐひわかきうちよしそうじてかたひらをあはせにしてきたまふもよしそのときはいかにも地こまかなるうすきをかんとすゑりばかりかはれるなとよろしからずばしに見え人によりてきろふまたすきこのめる人もあるべしいつれも殿のこゝろにしたがふべしされはをんなのひはんはいかんもあれまつおとこのよりあいつねにいへる事ともあらまし書侍るものなりとかく殿のきにしたかふをせんとすべし  十九 おびのひろさの事 おびはひろきもせばきもときのはやりにしたかふこれも殿のこゝろを見るをかんとすひろすくればばしに見えいやしきものなりまたちいさすぐれはこしもとあしゝおよそ二寸五分たるべしこれも人によるべしこしの大小にもよるなり。またおびをするにたかきはよろしからずこしのふときをんなはかけをはなすべからずこしのほそきをんなはすがたじんじやうなるものなればとき/\はかけをぬきだてなるおびをして殿に見すべし  廿 おびのそめやうの事 おびのそめやう大ぢらしなどはばしにてよろしからずこれもしんにしかもだてなるをほんとすおびものりのこはきはよろしからずさげおびなどはかくべつなりそれもやはらかなるをすべしそうじておとこのをんなに思ひをそむる事三ツあり一にはみめにまよひ二にはしなふりこしもとにまよひ三にはこゝろにまよふこのゆへすかたうつくしきをんなはこしもとを見すべしとなり  廿一 かみのゆひやうの事 かみのゆひやうこれもまつはやりによる内のをんなのやうをよく見たまふべし気をつけざればむさとするゆへにしなあしゝもとよりかみはくろくなかきを本とすされどもあまりなかすぎたるはすごきものなり人によりてきらふものなりまたすける人もおほし。それそれにはかきわけがたし一すちには申がたし人のやうを見殿のこゝろをまもりてそれにしたがふべしかみのゆひやうによりてかほのなりよくなれるものなりひたいのかゝりによりてかみのゆひやうもかはるべし  廿二 ひたいのすりやうの事 ひたいをするはことに大じのものなり。ひたいのなりあしければかほのしをなくなるものなりすりたるきはの見えぬやうにせらるべし人によりてうまれつきのまゝこそよけれうまれつきによりてなりあしくはまたすれるもよしかまへて/\むさとすりたまふべからす  廿三 けはひのけしやうの事 おしろひをぬりてそのおしろいすこしものこり侍れは見くるしきものなりよく/\のこひとりてよしもとよりかほばかりにぬるべからずみゝのしたのどよりむねまてものこさずぬりたまふべしきは見えさるをかんとすくれ/\しろくのこれるはおとこたちの一しほきらひ。ものわらひくさとこゝろえべし  廿四 かみにあふらをつくる事 あぶらをつくるにつねのこまのあぶらをつけ侍れは殿によりてきらひたまふものなりくるみのあふらをとりてつけたまふべしたい一くろくなりにほひせぬものなり  廿五 つめのきりやうの事 ある人のいはくつめをきるには日をえらひてきるべしとあれともそれにおよはすなかくはへなばいつとなくきるべし手のつめとあしのつめと一とにきるへからずまたあまりふかつめこのみたまふべからずむこきものにて人によりてきらひたまふなりたゝよきほとにとりてべにもいかにもうすくさしたまふべし  廿六 にほひの事 にほひは人々のこゝろによりてかはり侍るなりじやかうはしたるきとてよろしからずちやうじはしやんとすれともこれも人によりてきらふかけこなとにほひすぐれはむこきものなりたきものゝにほひはざしきなどににほふはゆかしきものなりこそでなとにとめるはしたるき事もあるべしおとこのつねにこのめるはきやらをせんとすたゞとき/\きやらをたくべしそれも一とにたくさんにとめるはにほひつよくしてよろしからずすこしづゝたえざるこそふじのけふりのごとく名もたかけれことに火のかげん大じのものとぞいへりたちすぐればにほひつよくいやしたゞ火をやはらかにたきがらくろくならさるほとにして火すゑをとむべからずにほひもとのこゝろにしたがふべしさりながらきやらはにほひかろきゆへに人々このむなるべしかけかうなともいかうなとにかけをけるはやさしくも見えしかけがうもかろきをほんとすいつれににほひふかくしるきはいやしゝあたらしきこそでなとにきやらをとめてもとまらぬものなりそのときはあつきゆを中にをきてとむべしせんじものなともあいにはよしせんじものゝぐの事はかけがうのはうとおなしこれもなをかろきを本とすよるの物ふとんにおりふしとむべしもし火つよくにはかにとめ侍しはけふりきえてのちにそでをひろげてをくべしさあれはにほひうすくなりよきくらゐになるべしたゝみこめてをくべからずそうじてこそでもかたひらもきてとめるこそよくとまるものなれそのときはたちてすそよりとむべし  廿七 人にあいさつの事 をんなのきやくじんならばまつ人により二のま三のままでいでたまひうさ/\とあいさつをなしことばのちそうをかんとせらるべしくはしさけさかななとの事はつほね上らうなとのやくたるべし。その人のすきこのめることをなしてなくさめるこそほんいなれかへられ候はゝいかにも/\のこりおほきていをせんにすべしさやうのきやくのときはうちのをんなとものあしきことをなしてもきやくのゐられ候うちはしかりたまふべからずかやうのことをかんとたしなまるべしおとこさへはらをたてきやくのときうちのものゝとがをいへるはあしゝことにをんなはやはらかなるをかんとすればなり。もし内の女ともきやく見られたるところにてあしきことをせばなにとぞしなをあらせくるしからぬことなとゝて気のつけるほとをきやくにも見すべしもとより気のつかざるもしるべからずまたおとこきやくのときも人によりて二のま三のまゝでいてたまふべしおとこきやくもちかきしんるいならではおくへ入たまはぬものなりうき/\とあいをなしたまふべしさりながらそのときはつぼね上らうなどへむかひてちそうのほとをのたまふべしきやくへむかひてはあしゝいくたびもうちのをんなともへいひつけらるべしふみのとき上らうつぼねのこゝろえおほしことによめのいまたとしわかきうちいよ/\そばのをんなのつくろいかんなるべし  廿八 ちゝはゝへかう/\の事 おさなきときはものゝすべをしらさるゆへにちゝはゝへそむきてもあしきにもあらずをんなの子は十二三。十五六。人によりてはたちまてもよめ入をもせずうちにあらばたゞかう/\をせんにすべしなに事につけても。ちゝはゝのおほせそむくべからすおとこの子はのちまでもつきそひやしなひたてまつればゆくすゑはる/\の事なりをんなはほとなく人のいゑにゆき侍ればすこしのまを一しほかう/\をかんとせらるべし。かう/\なる子はたつとしとなくいやしきとなくてんたうふつじんの御めくみふかしなに事につけてもしあはせよきものなりてんたうふつじんの御めくみふかきものはかならずしそんはんしやうにしてとしよりても子どもにかゝりよをこゝろやすくわたるはじめなりたゝ人にはなさけあれなさけは人のためならずとむかしの人のいひをけることのは。けにもとしられ侍るかう/\のことをしるせるものゝほん世におほしこれをたつねてよきかうへにもよきやうにすべし  廿九 おやならぬおやにかう/\の事 かう/\といふはあるひはうまれおやにをくれ。あるひはいきてわかれまたは人にやしなはれなんとせしとき。まことのおやよりもふかくかう/\をなすべしさやうなるおやにかう/\あらはよにきこへいよ/\人のほむるものなりこれをあしくこゝろえ侍るはおほきなるあやまりなりこつじきひにんさへあはれみをたれすくひたまへはうちのものともなさけふかき人とておもひつき侍るなりましてまことのおやならすともおやとなつけ侍る人ならはよくかう/\をなしたまふべしゆくすゑ身のためにもなるべしたとひみのためにならすといふともよそのきこえといひみのおこなひといひおこたるまじき事なり  卅 わらひやうのひでんの事 わらひやうはおいたるもわかきも大こゑをあげてたかわらひすべからずそうじて女はこゑのほそきをよしとこそ人もいふなれまつこゑのほそきはやさしきものなりいかににくきとがありとも人をころしうちたゝきなとしたまはん事あるべきにもあらずをんなはうちをおさめおとこはほかをおさむとふるきふみにも侍るなりそのことくものをおさむといふはうちのものともうれしかりかたじけなかるやうにおとこをんなによらずなさけをかんとして殿のようにたつやうにせしこそをんなのわざなれ  卅一 ものをあはれむ事 ものをあはれむはみぎのことくうちのものともはいふにおよばすよそのことにてもあはれなる事あれば。みのうへのやうにおもひとりけだものにいたるまでむごきことをせずあはれみをくはへたすけ。もとより人をあしくいはずあしき人をもなさけふかくねんころにせらるべしじひはかみよりくたるとこそいへあしきものもなさけをかけてつかひたまはゞかならずようにたつべし  卅二 人をつかふひでんの事 人をつかふに人ことにそのみのえたる事とえぬ事とあるべし人をばそれ/\に見あはせてつかひたまふべしばんじやうの木をつかふることくすぐなるもまがれるもすつることなしそうじてわがこゝろのごとくなるものばかりはなきものなり人につかはるゝもおなじわがおもふやうには子もなきものなりいはんやめしつかふうちのものゝすこしのとがあればむさとしかりたまふ事よろしからずおほかたの事はゆるしてそのみをすつへからずある文にいはくくんしはよきことを一となせしものをはとがあれどもぬしをすてす下らうはよき事百どあれども一どのとがを大きにうらむなり  卅三 ものをのたまふ事 もののたまふにをんなはまつことばすくなきをかんとすことばおほきはあやまりおほくばしなりおとこさへことばおほきは大きにいましめりましてをんなのみとして大ぐちをきく。すこしにてもいつはりなんどのたまふべからずみぎにもいふことくうちのものをしかりたまふも大ごゑなどにていかる事なかれいくたびもものやはらかにやさしきをほんとすもとより大みやうかうけのきたのかたひめなどのあまりむくちなるもしかるべからずよきほとをはかるべしことによめ入ののち三とせのあいたをよく/\たしなまるべし  卅四 よくふかゝらぬ事 よくのふかきはをんなもおとこもつたなくうるさきものなりことにをんなは人にものをやるにもおしからぬていをかんとすべしすこしのものにてもなにをかなとなさけをふかくあい/\しきをほんとす子ともにつけをくものともにねんころにのたまひたいせつにいたし候やうにしたまふべし をむなかゝみ 中 女鏡秘伝書目録 一 ふみの書やう上中下の事 二 いひ入のしうぎの事 三 かといでのいわゐの事 四 なかえにのりたまふ事 五 おくにてざしきになをりたまふ事 六 とのいであひ給ふときの事 七 いみことばの事 八 しき三こんのいわゐの事 九 いろなをしの事 十 ざうに三こんの事 十一 きやうぜんの事 十二 ひきわたしの事 十三 七五三の事 十四 しうとげんざんの事 十五 つねのぜんいて候ときの事 十六 ねやに入たまふていの事 十七 あしたの事 十八 あさのきるものゝ事 十九 二日ひといの事 廿 ふろぎやうずいの事 廿一 よめ入ののち殿へあいさつの事 廿二 殿のきに入たまふくらゐを見給ふ事 廿三 りんをいふひでんの事 廿四 ふうふのあいだわろきときの事 廿五 とのにあいさつのひじの事 廿六 ねざめのかほの事 廿七 一もんの中へゆき給ふ事 廿八 日をゑらぶ事 廿九 花を見月をなかむるこゝろえの事 卅 あそびものゝ事 卅一 とのゝうちに入たまふときの事 卅二 よそへいんしんの事 卅三 内の女さふらひどもへなさけふかき事 卅四 殿の内のものしかりたまふときの事 卅五 しうとめにかう/\の事 女鏡秘伝書中  一 ふみの書やう上中下の事 をんなのふみはもつともかなたるべしもじのこゑにかくへき事よからずよみをもちゆべしふみのていさきのあいてによりてかくなりふみのうちもあい/\しきをかんとすわかきうちはあまりこまかにしたるきは人のひはんおほき事なり。かろきをほんとすかならず返すかきをなすべしことにいわゐのふみには返す書あるべしさりながらしうげんの事にはじめてをくるふみにはかへすといふもじきらふなりなを/\かさねて又なともよろしからずとふらひのいふみにもおなしいつれもよひこゑあしきゆへにきらふなりもとよりかみは一かさねたるべしうへにつゝみかみすべしみつひきにてゆふなりのしなとそへべしさりながらさかななとをくるときはのしなとそへたるはあしゝとふらひのふみなどにものしはあしゝいつれもふみばこにつねのことく入べししゆつけなどにはのしをそへへからずこぶをそへ侍るべしこゝろやすきおや子の中などにはむすびたるふみもよし。ていによるべし みたいさまよりなに/\下されかたしけなくいたゝきまいらせ候まつ/\御きけんのよしおそれなからめでたくそんしまいらせ候御つゐてのおりふしよく/\御れいおほせあけられ御ひろうたのみ上まいらせ候なをかさねてめてたくかしく  しん上             何の何かし内  高松殿 右はひろうのふみなり 公方さま御内さま又はこうしつさま御れんしの御内さまかたへ大みやうかうけの御内よりまいらせらるゝふみなりかやうのふみも一すちには申がたしいゑ/\にかきならはせるていもありまたときうつり侍ればそのとき/\のていにしたかふべしこれは大かたこころえのためにしるし侍りぬ  又いはく たれさまより御文下されことにあやめの御しうきとしていろ/\くたされいく久しくとかたじけなくいわゐ入まいらせ候まつ/\御そくさいのよしかす/\めてたく御うれしくそんじまいらせ候こゝもともなに事御さなく候まゝ御こゝろやすくおほしめし上られまいらせ候なをかさねてめてたくかしく                   何の何かし内  おつほねさま   まいる誰にても御申たまへ これはすくにやるふみなりもとよりめたかきかたへのふみとこゝろえべしはじめのふみよりはさがりたるべしさきのあいてによりてすこしづゝのこゝろえあるべしおやしうとなどへはしん上がきもくるしからずおとこしゆへも大かたおなじとしよりてよりはこまかにあい/\しくかきたまふべしさだまれるやうにてさだまらず人々のこゝろにまかせたまふべし  又いはく 御文かたしけなく思ひまいらせ候もゝの御しうきとしていつものごとくなに/\下されいく久しくといわい入まいらせ候まつ/\御そくさいのよしめてたくぞんじまいらせ候こゝもともかはる御事御さなく候まゝ御こゝろやすかるへく候なをめてたくかしく  おつほねさま           何かし内   まいる人々申たまへ またはつほねとも これはおなじくらゐとこゝろえらるべしあてところはおつほねさまと御さゝを御そばのしゆのなをもかゝるべしまたこなたのもそばちかき人の名をかゝれ候てもよしそれはちとこゝろやすき御かたへ大かたかくのごとし  又いはく 御文かたしけなく思ひまいらせ候そもしさま御そくさいのよしめてたくそんじ候わか身子共もそくさいに御入候まゝ御こゝろやすかるへく見え候まゝ一いろ遣しまいらせ候なをめてたくかしく  おつほね人々申たまへ     はる これは右の文よりさがりとこゝろえらるへしそのほかすこしつゝのかはりにて大きにかはれりまつまつ大かたあらはし侍ぬ  又いはく 御文うれしく見まいらせ候まつ/\そもし御そくさいのよしまんに思ひまいらせ候こゝもと子ともみな/\きけんよく候まゝ御心やすかるへく候何事もけんもしにてめてたくかしく  おたねとの 申たまへ     はる これはわれよりもさかりたる人にやる文なりいろ/\かきやうあるべしよくこゝろえてしたためらるべし  又いはく 此ほとは文たまはりうれしく見まいらせ候まつ/\そもしそくさいのよしこゝもとたれ/\もきけんよく候すこしも心つかひあるましく候あさ夕ゆかしさのみくらしまいらせ候いわゐまてにふるの小袖つかはし候なをかさねてめてたく  小まつとの         はる これは内のものへのふみなりこのほかしな/\おほきゆへにめい/\しるしかたしちゝはゝとの人などへのふみはうちのものへあてふみたるべしあてところたれとの御申などゝあるべしたそ御ひろうともあるべしこなたの名はわか身おさな名を一じなとかきてよし又めしつかひ候をんななとの名をかきてもよしかやうの事は大かた人々しれるゆへにりやくするなりさきのくらゐこなたのくらゐによりてかきやうさま/\あるべし一すちに申かたし又もくろくのかきやうこれも大かたさたまれり人々しれるゆへにのこすものなりかやうのものはいゑ/\のしつけによりてすこしつゝかはれりこれは内のをんなとものやくたるゆへその身しらせたまはずとてもくるしからぬ事なりたゝふうふのあいかんとせらるへし  二 いひ入のしうぎの事 ゑんさたまりてのち殿のかたよりいひ入のしうぎありこれは大しん小しんほと/\によりてさま/\あるべしさて日どりありてしうげんのとりおこなひ物のこしらへやうはかずおほきゆへにりやくするなりさてよめ殿のかたへゆきたまふによめのこゝろえありうちのものとてもさのみうれしきかほを見すべからすぎやうずいなとせられかみのゆいやうそのほかこしらへかれこれつほね上らうなどとにかくによきやうにさたし侍るなりその日のいしやうの事したよりしろきあはせそのうへにいろの小そでそのうへにまたしろき小そてをきたまひかつきをめしていで給ふなりなつはかたびらいろの事はまへにおなし  三 かといでのいわゐの事 かといてのいわゐしき三こんたるべししき三こんの事はおくにしるし侍るなりかといてのさしきには二人のおやその身。つきのまにめしつゝをんなとものこらずざしきの両にならべをかるべしまつ二人のおやとさかつきをとりかはしたまふもしおやなくはおやどうぜんの人あるべしまつちゝおやよりさかつきをはじめ三人にてしき三ごんあいすみ。そのゝちよめのさかつきをめしつれ候をんなともへさしたまふさしやうの事ちゝおやのさかつきをちゝおやのかたのをんなどもへつかはされそのさかつきををんなとものこらすすゑまてのみおさめをくさてはゝおやのさかつきをよめまいりてよりはゝおやのかたのをんなにさし給ふそのさかづきすゑまてのてらずまはしすゑの女おさめをくなり  四 なかえにのりたまふ事 まへのことくかといてのいわゐすみさかづき三ツなからすゑのをんなおさめあいすみて。すなはちなかえにのりたまふ。こしのときはのるもおるゝもつねのごとしながえのときはまへよりのたまひて。まへよりおりたまふものなり。さてこしのときはをんなどもをみなさきへやりすゑによめのこしをかくなかえのときははしめより三はんめによめのこしをかくそのとき一ばん二ばんはつぼね上らうたるべしをんなともはとのゝだいところよりおりてよめのなかえのともをするなり上らうつほねはおくまでなかえにのるべし。又とのゝもんのほかにてかうちにてか。ここしのうけとりわたしあるなり又だいところのまへなとにて殿いでたまひて。こしに手をかけたまふ事ありさありてのちこしをおくへ入るなりさておくにてまつ上らうつぼねなかえよりおりて。よめのなかえのそばによりなかえのわきをあけよめのかつぎなとひきなをし候てよりながえのまへをあけ候ときまちつけのをんなと。よめとたがひに目とめを見あはせ候とき。まちつけのをんなめでたきよしをいふよめのかたのつぼねまた上らうにてもおなじくめでたきよしをいふなりそれすぎながえよりおりたまふなりさてまちつけのをんなあんないしやたるによりて。さきにたつそのつぎによめそのあとは上らうつぼねそのほかみなめしつかひ候をんななりこしのときもたいていおなじ。さりなからよめのこしを三ばんめにかくゆへだいところにてあとのをんなとものりものよりおりぬるあいだをまち侍るへしこれよりをんなともみなこしのともをするなり 五 おくにてざしきになをり給ふ事 みぎのごとくおくのまにて。こしよりおりさせたまひて。しきゐのきはにてかつぎをとらせられまちつけのさしづにまかせざしきになをりたまふそうじてみちやうだいのかたにゐるものなりもしみちやうたいなくはまちつけのこゝろにまかすべし  六 とのいであひ給ふときの事 よめざしきになをりたまひ。かれこれひきつくろはせたまひてしばしありてとのいてたまひてよめのむかへかはに。ゐたまふそのときまちつけのをんなめでたきよしをいふよめがたの上らうつぼねもめでたきよしをいふさて上座にはしそめのものとてあり殿がたのをんなこれをとりてはしにてまづよめにまいらせそのゝち殿にもはさむなり。それをとりたまひてふところに入たまふへし又わきにをかせられてよし  七 いみことばの事 さるといふことば のくといふことば はなるゝといふことば わかるゝといふことば うすひといふことば きるゝといふことば さむるといふことは むゑんといふことは かへすといふことは もどすといふ言葉 やるといふことば をくるといふことば あひたといふことは しまぬといふことば しりぞくといふことは その夜かやうのいみことはをふかくつゝしみ候てよし  八 しき三こんのいわゐの事 みぎのはじそめのものすみて三ほうにさかづきを三ツすへさきにいろ/\もりものありまづよめのまへにすへそのゝち殿にすへ侍るなりさて二ツめ三ツめまてもすへまちつけまてもすみてよりしやくてうしをもちていてよめのまへにもちきたれるを三ツすへたるさかつきを一ツとりたまひて三どうけられ三ほうのひだりのわき。せんのしたにをかせたまふ二ばんめのかはらけをとらせられこれも三どうけまいりおなじく左のかはらけにかさねたまひ三はんめのかはらけをとられまた三どうけたまひ二ツのかはらけのうへにかさねらるべしさありて三ツのかはらけを両のてにてはじめのごとく三ほうにすへたまふなり。そのときしやくさかづきをとつて殿のまへにてうしをもちてまいるとのもみきのごとく三どつゝまいりたまひてのちまちつけへさゝせらるまちつけの女もみきのことくうけ。すなはちてうしをおさめをくなりこのときはたがひにさかつきのとりかはし。くはへのてうしいてともくはへもなし  九 いろなをしの事 みぎのことくしき三ごんのいわゐすみててうしぜんまでとりてのち殿のかたよりいろなをしのこそでをよめへまいらせらるよめのかたよりもおなじく小そでかみしもまいらせられ候そのとき殿ざしきをたちたまふよめもたちたまひてみちやうだいにいらせたまひみぎの小そでにめしかへいでたまふなりとのもめしかへいでたまひけるときひとつふなのすいものとてかはらけにふなをはやしいれて三ほうにすへいだすこれもよめ殿まちつけへもすへすみてそのうへにさけを一こんよめよりまいりとのもまいりまちつけも一こんづゝまいりおさめをくなりこれまてもいまたさかつきのとりかはしなし  十 ざうに三こんの事 みぎのさかづきそのほかてうしまてもとりてのち三ぼうにさかづき一ツすへじやうざになをしをくさありてざうにのもちとていろ/\きりたるもちをまいらせ候そのゝちしやくみぎのさかつきをとりてよめのまへにもちきたれるをとりあけ二こんうけたまふときしやくたちてくはへありてまた一こんまいるなりさてとのへさしたまふとのもみきのことく三こんまいりまちつけへさしたまふまちつけのまへにておさめをくなり。さありてもちいさかづきまでもとり。また三ぼうにさかづきを一ツすへいたすそののちひれのすいものとてたいのすいものをいだす。これもよめよりすへ殿まちつけもすへそのうへにてうしをいだし候なり。このときはとの人へてうしをもちきたれるをとの二こんまいりくはへありてまた一こんまいりそのさかづきをよめへさしたまふよめもみぎのことく三こんまいりまちつけへさしたまふまたおさめをくなり。そのゝちまた二ツさかつきをすへてざしきになをしをき。かはいりのすいものとてとりのすいものをいたすひれのすいものかはいりのすいものもちいいつれもまいるものにはあらずいつれも/\かはらけにもるものなりさてしやうざのさかづきをしやくとりこのたびはまちつけのまへにもちゆくまちつけどの二こんまいりくはへありてそのさかづきをよめにさしたまふよめもみぎのことくまいりたまひて殿人にさし給ひすなはちおさめをくなり。てうしをいれ。よめのまへのぜんとのゝまへのせんをもとりてまちつけのまへのぜんばかりのこしをくなり  十一 きやうぜんの事 みぎのいわゐすみてまちつけのまへのぜんばかりそのまゝのこしをきかよひのをんなきぬをもちていでよめのまへ殿のまへにひろけをくなりまちつけのまへにはみきのすいもののこしをくゆへにきぬをしかず。さてきゃうぜんをまづよめのまへよりひろけをきたるきぬのうへにすへそのゝちとのゝまへにもきぬのうへにすへ侍るなりまちつけのまへにはきやうぜんなしはしをとりたかひにまいるまなびありてはしをおさめたまふそのうへにさけ一こんよめよりまいりとのへもまちつけへも一こんづゝまいらせすなはちおさめをくなりこれまでにて。いわゐあいすむさありて殿はたちたまふかやうの事もいゑ/\のきうぎによりてかはり侍れども大かたしれる人はすこしかはりてもしゆびよくとゝのへるものなりかるがゆへに人のそしりをもはぢずあらましかき侍るなり。さればよめ入のさはうふでにもつくしがたくことばにものべかたくさま/\むつかしき事のみなりさればそれ/\のことわざはよくしれる人にたつねらるへしいまあらはすところはよめの大かたしりたまひてよきことをすくりえらびいたしてかき侍るなりかやうのいわゐにもしんさうきやうとて三いろにかはれりきやうぜんなどはつねになきものなり大かたはつねのせんたるへししき三ごんなくてざうに三こんばかりもあるべし一すちには申がたし  十二 ひきわたしの事 こぶ こがく かわらけ かちぐり こかく これは一こんまいりさて中にあるくりをまいりさて又一こんまいり又こぶをまいりさてさけをくはへて一こんまいるべしさてこれを三々九度といふなり 十三 七五三の事 二 なまとり さしみ たいしる 右 四 引のとり しる ひ物 しる なます おのある物一ツ しやうしん とり めし 一前 三 す かまほこ なます ときの物 左 これはまづひざをなをして右にてはしをとりもちさてめしをとりあげ二はし三はしまいりさてはしをもちながら右にてしるをとりあげひだりへとりうつしてしるをすはずしてみを二はし三はしまいりて又右へとりうつしてしたにをき又めしを二はしまいりてまへのごとくしるをとりてみをまいるべし三どめにはしるをすふてみをまいらずしてそのとき本ぜんの中もりよりひだりのすみへ右のすみまいるべし膳さいのしだいかきつけのごとくまいるなりそのほかくでんにあり  十四 しうとげんざんの事 みぎのいわゐみな/\すみて殿たちたまふそののちしうと両人いでたまふこれもよめのまへよりさかづきをはしめ二こんうけたまひて三こんめにくはへありさて殿しうとにさしたまふしうとまいりしうとめにさしたまふさありておさまるなり。さてよのさかつきをいだしとのじうとまいりよめにさしたまふよめまいりしうとめにさゝせられおさまるなりそのゝちよのさかづきをいだししうとめまいりそめてよめへつかはさるよめのさかづきをとのしうとへさしたまひてめでたくおさめたまふさありてしうとふうふよりよめのしうぎのものをいろ/\つかひたまふよめよりもふうふのかたへおなじくつかひたまふなりさありてしうとは二人ながらひき入たまふなり  十五 つねのぜんいて候ときの事 このときはさたまりたる事なしのちのぜんのときはとのはいでたまはぬこともあるべしくるしからず。めしいてなばすこしはまいりたまふべしあまりなが/\しきはいかゝにて候。そのうへにてうし一こんまいりまちつけのまへにておさめをくなりまたきやうぜんなくて。そのまゝつねのぜんいてぬるときはかならずとのもいでまいるなり  十六 ねやに入たまふていの事 あさのよめ入ならばばんのめしをもまいり候なりこのときもさたまりたることなし。たゞばしならさるをかんとすばんのよめ入のときはみぎのいわゐすみてまちつけのさしづにまかせられねやに入たまふべしとのもいらせたまひてのち。ねやにてたがひにさけさかななどにてさかづきをとりかはしたまふ上らうつぼねいでゝとのへもさけをまいらせよめへもそとまいるやうにまちつけのやくたるべしもとよりさだまれる事なしいかやうにてもくるしからずさて又やすみたまふやうてい。上らうつほねなともとりつくろひへやにいり。をんなともひとりふたりのこりてみな/\へやにゆくとの人てうつなとにたゝせたまふまによめはふさせたまふべしとの人それにましまさば内のをんなどもやすみたまふやうにすべしいつれもとのよりちとはやくふさせたまふべしさりながらていによりとのそのまゝやすみたまはゞよめはのちにふしたまひてもくるしからずそのときまではつほねなとゐてやすみたまふやうにきやうさんなどいひ侍るべし。ていによるべしよめもてうつうがいなとしたまふべしやすみたまふ事にしまくらほんなるゆへによめはきたにやすみたまふこのゆへにきたのかたといへるはこのいはれなりもとよりおびをもとかせたまはずそのまゝやすみたまふべしとのもやすみたまひそのまゝものをのたまふもあり。ものをものたまはずそのまゝそばへよりたまふもあるべしいつれもよめよりものをのたまふべからずさてそのゝちは人によりてしなおほく侍らんなか/\ふでにはのべがたしまことにとしおいかさなるまでたがひにちきるはじめの夜なればはもじながらうれしくもめでたくもあらんかし  十七 あしたの事 よあけなばいまだくらきうちにおきさせたまひおくのまへいらせたまひててうつうがひなとをなしけはいをもねんころにありてかみをゆはせおうへにいでたまふべしかまへてあさねしたまふべからず  十八 あさのきるものゝ事 あさのきる物さためなしなにゝても人々のこのみによれりさりながらちとあかき小そでよろしかるべきかそのゆへはその夜はよもすからねもいらずゐたまふゆへかほのいろあしく見ゆるなりかくあらんにはあかきいろの小そてをめしたまへは小そでのいろかほにうつりてはなやかに見え侍るべしかやうのこゝろえこそせんなれそれよりめしなどまいる事つねのごとく五三日のうちはとりわきはぢかはしき。ていをかんとせらるべし  十九 二日ひといの事 二日ひといのいわゐとてよめのかたのおやへさけさかなもちいそのほかいろ/\をくらるるなりかやうの事はよめもとのもかもひたまふへからずしうとふうふとりおこなひやりたまふなりいゑ/\のきうぎにより大しん小しん身のほと/\によるべし二日ひといにしうとのかたへ殿ふうふゆきたまふ事ありまたかさねて日をゑらびてゆきたまふこともあるべし二日ひとひを三ツめのしうぎといふなり  廿 ふろきやうずいの事 二日ひとひにかならず身をきよむるものなりこれさだまれる事なりそうじて日に一どづゝぎやうずいをなすべしとき/\ふろに入たまひてよしことになつはあせいてみもむさくかみもにほふものなりゆたんあるべからずなつふゆともにをんなのにほひは人によりてきらふものなりそのにほひふかきものなりさい/\ゆをつかひかたびらをかへしたひもはいふにおよばすさい/\かへたまふべしふゆはなをゐんきつよくしてにほひふかきものなりわかきうちせんとたしなみたまふべし  廿一 よめ入ののち殿へあいさつの事 とのへあいさつは五日三日ほとはことにより殿よりとはれたまふことをやう/\へんじなどかすかになされたるばかりにてはもじなるていかんとせらるべしそれより十日まではたつねらるゝ事をばこたへことによりてそのことはりをのたまふべしわるくちなどありてもさのみかまひたまふべからずかほをあかめてゐ給ふべしそれよりのち三十日にをよばゝこなたよりすこしはなしなんどありてわるくちなとあらばはらをたてたまふふりをせらるべしそれもつよくはあしゝ  廿二 殿のきに入たまふくらゐを見給ふ事 よめ入ののち殿のきにいらぬていを見えなばなを/\こゝろをゆるさす物ごとにひかへこゝろあるべしまた気に入たると見えは三十日ほどすぎばなにをしてもくるしからずざれことなどありてとのゝきげんよきやうにしたまふべし殿人をんななどをほめ給はゞすこしはりんのこゝろをなしたまふべしりんをのたまふにしなあるべしりんなともすぎざるほとをかんとせらるべし  廿三 りんをいふひでんの事 りんきはなきもしかるべからずすぐるはまたかならずゑんのつくるもとなりとのゝやはらかなる人ならばりんつよくてもくるしからずまた殿のいぢわろくみじかき人ならばかならずりんつよくはあしかるべしむかしよりふうふのあひだはなかのあしくなるはみなりむのみちよりいつるものなりそのためしいくせんまんといふかすをしらず  廿四 ふうふのあいだわろきときの事 まへにもあらはすごとくなかあしくなるはりんもじよりおこれりそのときこなたよりもはらをたていよ/\りんつよければなかく中あしゝかやうのときはをんなのかたよりきげんをとりかねてめにつけるをんななとを一どはゆるすなどしてなにとそ殿のきげんをとるべし殿いかにはらをたてたまふともこなたよりはなにとぞはらをたてぬやうにつゝしむべしつねに殿を大せつにのたまふべし内のをんなともへもさやうに大せつにのたまふよしつねにのたまへばのちにはとのもきゝたまふなりうちにばかりおもひたまひても殿しろしめさぬものなりくれ/\あさゆふ内のをんなどもへのたまふべきなり  廿五 とのにあいさつのひじの事 わかきよめなどはとのへもまたきやくなどありてもさやうにふだんあいさつはならぬものなりいかにもうき/\とあいさつよきをんなをかゝへをきたまふべし人のいひなしによりて殿もきたのかたにこゝろをうつさせたまふなりまた見ぬ人にこひをするは人のいひなしによれりしかれは内のをんなともなき事をもよきやうにとのを大せつにのたまふなどとてときのあいさつに事よせておかしきていにいひなし内さまの事をほめてとのゝ思ひつきたまふやうにすべしかちうのものともにはひとしほそばのをんなのやくなりおくへ御めにかゝる事はなしよきやうにいひなしつくろへば内さまのおほせとおもひうれしがりかたじけなかれるものなりとのへあいさつの事よめ入ののち二三ねんを大じとこゝろえらるべししみなれてのちはかはらぬものなり  廿六 ねざめのかほの事 あさねなどありてとのにねさめのかほ見せたまふへからずねさめのかほはかみなどみだれかほのいろあしくてうるさきもの也ねさめのかほはわすられぬなどゝいふときは人によりて見せまいらすべき事なれどもそれはこひ思ひてたま/\あへるちきりのねさめのすがたはわすれがたくなつかしかるべしこれはあさゆふつきそふ中なればよく/\たしなみをなすをかんとせらるべしたゝいつれも/\夜あけなばはやくおきておくへ入たまひてよし  廿七 一もんの中へゆき給ふ事 こゝろやすきとても殿をもちてよりは一もんの中へもひさしくゐるべからず日くれなばやがてかへりたまふべしよるとまる事しかるべからずあまりかへりたきふりも人々おかしくおもふなりそのとき上らうつぼねなんとのこゝろえかんなり  廿八 日をゑらぶ事 とのゝ小そでなどたつによく/\日をゑらぶべしさやうなる事も殿の内のもの。とのへいふものなりこれもとのを大せつにいたすしるしなりさりながらさやうの事もすぎぬればかならずことさはりとなるものなりをんなによりてものいまひあまりすきぬる事ありこれもとのゝこゝろにしたがふべしとのゝ内のものへたづねすぎぬほどをかんとすべし  廿九 花を見月をなかむるこゝろえの事 月花にとのすかせたまはゞにはに花をうへさせあひせらるべしかやうの事たがひのゑんとなるものなりさやかなる月にははしゐしてさけさかづきびわことなにゝにてもとのすかせたまふことをなしてゐたまふべしとのうちに入たまはゞまいらせられ内のをんなともへゆひつけかれこれとりおこなひよくあいせらるべしこれこそゑんの中だちなれ  卅 あそびものゝ事 かうをきゝ貝おゝひうたがいうたをよみさうしなどとりあつかひごしご六しやうぎなにゝてもとの人のすかせたまふをわがみもすきこのませたまふべし内に入たまひてもさびしくましませばさい/\入たまはず又あい/\しきていなればよひよりも内に入たまふなりすこしの事ながらかやうの事こそかんとせらるべき事なれ  卅一 とのゝうちに入たまふときの事 とのゝうちに入たまはゞうちのをんなどもよびいだしくはしそのほかなにいろにてもくはせ酒などのませられあひ/\しきやうにあるべしよそよりなにぞきたるときはそれを殿へもまいらせをんなともへもやりたまひとのゝ小しやうなとへもさい/\おくりたまひものごとにあひ/\しきをかんとせらるべしとのゝそばちかき人々にもおり/\なにぞとらせられおとなしゆまでもなさけをふかくしたまふべしなさけは人のためならずといふこゝろわすれたまふべからず  卅二 よそへいんしんの事 よそへおり/\ゆだんなくなにゝてもすこしづゝをくらるべしことにふたりのしうとたちへさい/\人をこしあひ/\しくなにゝてもつかはしかう/\なるべしまたよそよりをくられしときはつかひの見るまへにてはいふにおよばす内のをんなども見るにもいかにもうれしがりかたじけなきていにこゝろざしのほどをかんじふみなどあり/\とかくせらるべし  卅三 内の女さふらひどもへなさけふかき事 ぬしのめしつかへるものともはいふにをよばす殿のつかひたまふさふらひまでもねんころにのたまひあやうきをすくひ。きはまれるものをたすけとしよりそばちかきもの。やくなどいたし候ものどもへひとしほねんごろにあるべしをんなともにひまをとらせたまはゞいかにもねんごろにのたまひてかさねてもいで入するやうにせらるべしかまへて/\うらむるやうにしたまふべからずそうじてをんなはしうちやくふかくしてうらむるときは身のあたになるをもしらずむたいにほとけにまいりしうをもはうばいをもうらむるものなり。かまへてはらのたつとてむさとなさけなきふせいをのたまふ事あるべからずことばをねんころにかけわかきをんなどもありつけるとしのほどをかんかへひまをやりたまふべしをんなはたかきもいやしきもさかりのとしすぐればあいてすくなきゆへにゑんとをしゑんとをけれはのちにはあしきあいてにありつくものなりしかれはおいぬるまでうらみたへずたゝおとこをんなによらずうらみなきやうにせらるべし  卅四 殿の内のものしかりたまふときの事 あるひはころさるゝものあらばなにとぞいのちをもらひたすけたまふべしあるひはらうにんさせたまふものならば申なをしたまふべしわか身ばかりにてならぬ事をば一もんのうちにさりぬへき人にだんかうありてじひをさきとしれんみんをくはへたまふべしかみほとけをいのりたまはぬよりはかやうの事こそゆくすゑめてたきはしめなりさりながらたびかさなればのちにはわざはひとなれりおとこなどにだんかうありて人によりていのちをもらひらうにんをすくはるべし  卅五 しうとめにかう/\の事 十か九ツしうとめとは中あしくなる物なりこれをわすれずしゆたんなくまことのおやよりあひ/\しくかげにてもあしくのたまはずほめたまふべしことにしうとめの内のをんなともへいかにも/\ねんころにあるへしとのしうとはたとひあしくても中あしくなる事はなしされともよくかう/\をかんとせらるへし をむなかゝみ 下 女鏡秘伝書目録下 一 おとこをんなわかうせぬときの事 二 月のさはりの事 三 子をもつときをしる事 四 子いてきぬときの事 五 はらみたるときの事 六 おびの事 七 おびをするやうていの事 八 はらみのうちこゝろもちの事 九 うぶきぬの事 十 さんじよへ入候事 十一 はらみのうちしよくもつによきものゝ事 十二 はらみのうちあしきしよくもつの事 十三 たんじやうの事 十四 ゑなをおさめ候事 十五 さんごのしよくもつによきものゝ事 十六 さんごにあしきしよくもつの事 十七 子うまれてつゝしみの事 十八 かみたての事 十九 おびときの事 廿 はかまきの事 廿一 げんぶくの事 廿二 ゑぼしなの事 廿三 子をそだてやうの事 廿四 わが子ならぬ子そだてやうの事 廿五 おちをとる事 廿六 子のそばへつけたまふ人の事 廿七 さけをまいるていの事 廿八 おなじくさかづきをさゝれ候事 廿九 さかつきをとりたまふ事 卅 めしをまいり候事 卅一 ゆをまいり候事 卅二 くはしの事 卅三 ゆづけまいり候事 卅四 さうめんをまいり候事 卅五 すひものゝ事 卅六 ほしいひをまいり候事 卅七 ざうにの事 卅八 かんをまいり候事 卅九 まんぢうの事 四十 くはざるものゝ事 四十一 ちやをまいり候事 四十二 人の身をもつ事 四十三 やうじやうだい一の事 四十四 おきふしの事 四十五 目のやうしやうの事 四十六 かみをけづる事 四十七 はのやうじやうの事 四十八 ゆをつかふ事 四十九 あさおきるときの事 五十 としよりてのちこゝろもちの事 五十一 子まごにかゝる事 女鏡秘伝書下  一 おとこをんなわかうせぬときの事 てんちしんどうし。大かぜ大あめらいでん。つゐたちつごもり日しよく月しよくかのへさるきのへねせつかはりとうじこの日いむべし又ところには神しやぶつかくけんせいの御ゑいのまへ井のもとかまどかはやのほとり日月のひかりの下このところにてけうがうすればきしんわざはひをなすなり又はごしご六かなしき事にきをつくしはらのたつに気をさかのぼらせばうまん又ゆきゝひさしくしさけにゑいてまたわづらひたるあげく又よろこびして一月もみたざるにかやうのおりふしけうがうすればけつきつぶれすぢほねよはり身もかれかはきやまひをいたすなり  二 月のさはりの事 月ごとにおなじころにあるをじゆんとす。されどもまい月おなじころにはなきものなりたとへば正月五日にあれば二月には六日七日のあひだたるべし三月は七日八日九日たるべしかくのことくすこしづゝかはるをしゆんとす又は日かずあとへすこしづゝ。かはれる事もあるべしこれもくるしからず正月には月のはじめにありて二月にはすゑ月の中なるにあるは。さだまらずしてぎやくとす大きにあしゝあるひは一月などはなくそろはぬときはくすりをもちひらるべしまた月のさはりとまりて二月も三月もいてずはおとこをもてる人は子だねのおりてとまる事侍ればよく/\きはむべしもし子だねおりずしてさはりとまらはかならずわづらひいつべしよく/\つゝしみてくすりをもちひらるべしかやうの事はをんなのよくしれりおとこのひはんはかはり侍るなり  三 子をもつときをしる事 十二ヶ月のうち子をもつ月は四月ならてはなきものなり三月まはりにあるべしかすへやうはくでんならてはなりかたきものなりその月にあたりても月水七日ありてのち一日三日五日夜はんにとまりたる子たねはおとこなるへしさて二日四日六日にとまる子たねはおなこなり又けうかうなすにこゝろありをんなの左の手を下になし右の手をうへになしよこさまにふしけうがうなすべしかならすおとこをはらむなり  四 人に子いてきぬときの事 うまれつきにて子のいできぬをんなもありさりながら大かたはひへたるをんなは子をもつべからすさやうなるをんなは身もてあしもあたゝかならずこれにはあたゝまるくすりを御もちひあるべしふだんまいるものもこのこゝろえかむなり。きたのかたなどのまいりにくきものながら。うしをかすつけにして廿日ほどもつゞけてまいり侍らばかならず子いてきぬべし  五 はらみたるときの事 とまりたる月をよくかんがへおびをすべしはじめておひをするにかどでよき人のおびをもらひたまふべし吉日をゑらびせらるべしおび。のぞまれたるときすこしもしんしやくなくまいらせられ候事その人のきつけいになるべしすこしもとゞこほれることをさんのみちにはきらふなりなに事もたやすくとゝのへるを吉事とす  六 おびの事 子ともあまたもちしやはせよき人にもらひたまふべしおびを人のもらひたまはゞしろききぬをやるなり寸しやくも大かたさだまれりひきあはせまたはすきはらかさねてつつみてそのうへをみづひきにてゆひひろぶたなとに入つかはし候しうぎとしてたるなどつかひ侍るたるさかなにはこはいひなとにうほとりのたぐひくはへてをくるべしそうじてはかやうのしうぎにはさかなのたぐひはせぬものなりといへり  七 おびをするやうていの事 そのとしその人のよきほうにむかひてすべしおびののちに三ごんのいわゐあるべしはじめのこんは三ツさかづきそのゝちにざうにのつぎにすいものたるべしまた三ツさかづきをのぞけて三こんの事もあるべししきのはうにはしき三ごんなりこのいわゐすみてのちおびをもらひたるかたへたるなどいわゐとてまいらするものなり  八 はらみのうちこゝろもちの事 はらみのうちはつねよりもじひをふかく人をあはれみはらのたつ事ありてもはらたゝずものやはらかによこしまのこゝろなくものごとにしやうぢきをむねとしてゐたまふべしかやうなればうまれたまひし子かならずりはつにしてもの/\しくちゑありてわづらひなくせいじんするものなりこゝにたとへありさうもくのたねをはやすに。やせたるつちにはやせば大かたはきえてはへずはへいでたりといふともかじけてそびへやくにたゝずまたこゑたるところにしかもやしなひをなしたねをはやせばはやくはへて大きに見ごとにはも大きに花もうつくしきものなりそのごとくはらみたるうちにこゝろもちかんようなりさありてはらみたるうちにはちやをひきあるひはざしきのうちをさい/\ありきなに事にてもいたつらにゐるべからずてあし身のはたらきをばせんとせらるへしじゆうにゐ侍れば子大きになりうまるゝときくるしきものなりはらのうちにあるうちは子の大きにならさるやうにはらをさすりおびをしめ子をうへにのぼすべからず下へおしさげいきをつがせずすべし又いはくねふしをわがまゝにせず。みたりにくすりをもちひず。きうはりをもせず。きやしがたきしよく物をもちひず。うれいおもひをなさず。たかきにのぼらずけはしきにわたらずいかる事をなさずおもきものをあげすころびて身をうたずたかくあるものをとらず風かんにあたらずけうがうせず目にあくじを見ずみゝにあくじをきゝたまふべからす  九 うぶきぬの事 みぎのおひをのちにはとりてよのおびをせらるべしさありてたやすくはんじやうののちやがてそのときのくものいろを見くものいろのことくにうぶきぬをそめてその子にきせ候なりくものしろければうぶきぬもしろくいたしあをくあかきにそれ/\にくものいろにしたがふべしこのうぶきぬの事人よりもらひ候おびをそめてこしらへ候なり。このゆへにはじめのおびをばそといたしよのおびに。とりかへをくなり  十 さんじよへ入候事 さんのときよきほうをかんがへなをるべしこゝろをうき/\といかにもたやすからんとおもふべしこゝろをつよくもつをかんとすあまりに大じと思ふへからずさんのときにおよばゝ。はらいたむといふともこしにつうじていたまずはまだしきとこゝろへざしきのうちをそろ/\あゆむべしかくのことくすればはらのうちくつろぎ子がへりやすしこのときはらこしはなはだいたむとてうつふきさはげば子かへり。しがたしまくらなどにてはらのいたむところをおさへべからず子をおしころすなりはらこししきりにいたみてこらへがたきときは子かへりせんとのゆへなり。そのときうつぶしころびまはらは子のてあしをおすゆへに横産とて手よりむまれ逆産とてあしよりうまるゝなりいこみはなはだしきときはなをよくこらへたちてすこしあをのきはらのうちをくつろぐれば子かへりやすくして正路にうまるゝなりしかも子かへりせざ。るあいだすこしもいきづむべからず子かへりして子のつぶり産門にちかづきかみのけ手にさはらばだきあげて一ひやうしによくいきつむべしもし子がへりせぬさきにいきづめばかならずなんざんあるものなりそうじてさんのとき殿人さい/\見まひたまふはをんなのちからになるものとそいへりける。それによりしうとたちおやたちはあまりちかくへよるべからずおやたちちかくゐたまへはとの見まひたまはずかやうの事上らうつぼねなんどのこゝろえべき事なり 十一 はらみのうちしよく物によきものゝ事 大むぎ あは きび くろまめ 大こん ごばう うこぎ くこ いちご あざみ せり かき こい いか がん 産にのぞむに〓(ひゆ) とびうをよし  十二 はらみのうちあしきしよく物の事 なし むめ もゝ あんず すもゝ はじかみ くはひ くずのこ たで なまひともじ にら めんるい まめ もち くさびら はすのね いたどり あけび ひしほ かさめ さば あゆ すし なます ゑひ もろ/\のうほのかしら しゞみ かも はと すゞめ うさぎ いのしゝ いぬ よろつうろこなきうを  十三 たんしやうの事 たやすくたんじやうありてすなはちやうしやうのおもむき子うまれてまづどうべんをてんもくに半ぶんあたへて目をとぢしづかに座すどうべんといふはおさなき子のせうべむなりつねのごとくふす事なかれあをのきにたかくものによりかゝりひざをたてゝよしあしをのべべからずそばさまによりかゝるべからずかしらに物をかけまはりより風のいたらぬやうにとき/\やはらかなるものにてむねよりはらへさすりおろしあく血のほらぬやうにすべしひさしく。ねむる事なかれねむりひさしきときはそろ/\とおこすべしたんじやうして三日のあひだはすみ火にすをかけさんじよちかくをきその香をかゞすべしあるひはほしたるうるしをくだきかうろにたひてかゞしめよみなこれあく血をのぼすまじきのふせぎなりたんじやうののちまづ しらかゆをよきかんにしてすこしづゝもちゆすゑそこねたるものをしよくすべからすさんをして三日のあいだははらのいたみありともなしともあくちのあがりてもあがらずともどうべん。すこしづゝゆにもくすりにもすこしづゝまぜてのむへし三五日すぎてよりみそけしほひかへもちゆべし百日のうちはめんるいかたくいむへきなりさんして一ヶ月のあいたはうれいおもひに気をむすぶべからずおどろきおそるゝ事なかれなきかなしみはやくたちはたらきすべからすひさしく座して心をつくす事なかれなまひえのこのみあを菜又はみそのこきものしほからき物もしよくすべからずうをとりあつきゆ四足のものをいむはやくかみをあらひぎやうずひする事なかれみづにて手あしをひやさずふかくけうかうする事なかれつめきらずかみけづらずやうじつかはずかはやにひさしくゐて産門に風をひく事なかれかしらをひやすべからすしよくにあく事なかれうゆる事なかれこれはやうじやうのぶんなりさてはかせのかたへたんじやうのじぶん申こし侍れはかもんと申てうぶきぬのいろ又はかみたれの日おなじくおさむるほうがくなどをしるしてまいらせ候なりそのごとくにもちひらるべし  十四 ゑなをおさめ候事 ちいさくおけをわげおなじくおけのふたをもするなりそのおけをしろくだみてそのうへにまつたけつるかめをしろゑにしかくなりこれにゑなを入よきほうにおさめをくなりさんしよのしたにもおさめもするなりゑなをおけに入候ときゑなを水にてあらひゑなのていを見侍るべし見やうくでんあり又おさめ候やうもいろ/\あるなりかきわけがたきゆへにりやくするなりよくしれる人にならひたまふべし  十五 さんごのしよく物によきものゝ事 かゆ ひともし七日すきて はも こい うなぎ とびうを くらげ かき ふるきいものくき  十六 さんごにあしきしよくもつの事 なすび ひさご きうり わらび たで いも そば こんにやく なし にんにく さんせう こせう なまなつめ りんご やまもゝ びわ 木のこ もゝ なまひえ物 ちさ さけ す めんるい  十七 子うまれてつゝしみの事 子うまれおちばはやくわたにてゆびをつつみくちのうちのあくもつをのごひさつてわうれんかんざうをせんじしるをわたに ひたしのませてよしほぞのをおちざるあひだはしげくゆをあびせざるかよししげくあびすればほその中より水入て臍風といふやまひおこるはぐきのうへにあはつぶのことくなるものいできないてちをのまざるを臍風といふなりそのとききぬをゆびにてまきぬるゆにひたしそろ/\とすりやぶればくちひらきやすしかくのごとくせざれは死するものなりすりやぶりたるあとにひやくきやうさんをそといりてこにして蜜にてこねてつけてよしひやくきやうさんといふはまいのうちにあるかいこをいふなり又いはく子をはぬれたるむつきのうへにねさせてほそよりしつけの入事をいましむべし又いはく子に乳をのまするにははりつかへたるをまづざつとしぼりすてのまするがよし夜ルねいらば乳のかしらをひきはなしねゐるがよしさなければ乳をのみすごしむねにつかへあますものなり二三ざいになりて乳としよくもつを一どにあたゆればきやしがたきゆへあるひははらをいたみつゐにはかんのむしとなりよろづのやまひみなこれよりはじまるべし  十八 かみたての事 おとこをんなともに三さいにてするなりかみたてのやうてい。いろ/\あるべし月日をゑらびかみをたておなじくひたいがみまでもたれてまゆをつくりわたぼうしをながくしてきせのしあはび二本と山たちばな二本をそのわたぼうしにゆひそへそのうへをつねのもとゆひにてゆふべしなんしなればちやうけんをきせ候なりそうじてちやうけんは貴人のきんだちならではめさずへい人の子にはぬのゝかみしもをきする上下のそめやうの事は地はあさぎにてもんはまつたけつるかめをつくるなりおなじくひぼはむらさきがはなりつけやうつねのごとくこのほかなを/\しなおほし  十九 おびときの事 おとこをんな九さいにていたし候主人の女中などに御おびをくだされかへと申人もあり申入ぬればつけたるおびを二すぢばかりいたされず大かた小そで一かさねたまはるなりおびなをしてよりすなはちたるなどもたせしゆ人へ御れいにまいり候事つねのぎなりおびなをしてより三ごんのいわゐありかみたてのときもおなじ事なり  廿 はかまきの事 五さいまたは七さいにてもいたし候なりこれも上下たるべし又おほせによりてちやうけんをもきせ候なりこのときも三ごんのいわゐあるへし  廿一 げんぶくの事 いろ/\これある事なりつきにかみはやしの事ひんだらひにかみのだうぐを入もちいて候ときかみをゆひさてはやし候なりおなじくかみのゆひやうの事しるしたるばかりにてはなか/\こゝろえがたし  廿二 ゑぼしなの事 そのいゑにたい/\もちひられける名もあるべしまたかみはやしたる人にものぞむべしおなじくじつみやうもどうぜんなり もとよりしゆ人よりたまはる事もあるべしいつれになをつけ候人よりなにゝにてもやるものなり。かたなわきざしのたぐひたるべしさなくはやりなぎなたよろひいづれにぶくのたぐひとこゝろえべし  廿三 子をそだてやうの事 四ツ五ツまでは乳をたくさんにのますへしちをよくのめる子はそくさいなるものなりそうじて十よりうちむさとものをくはせべからすいらざるくはし。もちそのほかいろ/\のものをくはせ侍ればのちにかならずびやうじやになるこれ第一のこゝろえなりつねにあめ風にもそとへいだしなるゝやうにしたまふべしさありておとこの子は七さいとならばをんなの中へを くべからずちいさきよりおとこの中へをきておとこのわざを見ならひきゝならへるをかんとせよをんなの子はおとこの中へをくべからずたゝをんなのやはらかなる見まねこそやさしけれ  廿四 わか子ならぬ子そたてやうの事 まゝ子または手かけの子などある事あらばこゝろえおほしさやうなるものをばわが子と思ひておろかにすべからずとのにそひながらさやうなる子をにくむ事わか身をにくむにおなじ。ままはゝとはつぎたるはゝとかきたりそうじてものをあはするによきものにあしきものをつかずおなじやうなるものをこそつぐものなれまことのはゝににたるべしたにんさへむつべばおやきやうたいのごとしましてまゝ子をやしかるにわが子ならぬとてにくみそしりわがとがとはおもはずかれがへだつるこゝろのうとましきにとりなしのちにはたがひにをそるゝこゝろよりほかなきまゝにやすきこころあるへからずむりににくみ侍れば子もかならずあたをなすとのもまたこゝろをひかへらるゝ事もあるべし身のおこなひあしきゆへに身のあたとなりゆくことむかしよりためしおほしまことにちゑあさくをんねんふかきゆへなり  廿五 おちをとる事 おちをとるにある人のいはくちゝはゝににるといふにおよばすこゝろはかならずおちにもにるものなりこゝをもつてすちなきものをおちにとるべからすその子かならずあしくそたつものなりものごとにりちきにすぐなるをんなをおちにしいぢわろきをんななどをそばへもよすべからずかやうの事よくこゝろをつけ子をそだてらるべし  廿六 子のそばへつけたまふ人の事 これもおちにおなじ大かた人ごとにおさなきうちはさやうなるせんさくもなく人をつけたまふ事はあやまりなるべしまづもりをよくめきゝありてしやうぢきじひにして人をあはれみものゝすべをよくしれる人をつけらるべしもりあしくはその子かならずぎやうぎあしくものごとにわがまゝなるべしそのほかおさなきものどもをつけたまふもよく見はからひてつけらるべしいつれのみちそばのものかんようなり  廿七 さけをまいるていの事 われよりうへの人にさかづきをさしたまふにおとこのやうにあたまをさげ。れいをしたまふ事なし。うやまひたまふ人にてもひたりのてをひたりのかたに。ゆびさきをうしろへなしつきたまひみきの手をみきのわきまへによせてすこしつきたまふていにしておそれなるていをしたまふなりさけをしいたまふときも手のつきやう大かたおなじくらゐまではみきのことし。さありてそばにゐる上らうなどへむかひて御まいり候やうにとおほせらるべしをんなのきやくならばその人にむかひてのたまひてもよしおとこのきやくには右のごとくせさるべし又さけをまいるていはひだりのひさをしき右のひさをかさねてひたりへよりかゝりさかづきを右の手にてとられさけをうけられ。さしうつむきてまいるべし  廿八 おなじくさかつきをさゝれ候事 わがしゆ人またはくらゐある人のさかづきなればいたゞかれ候このほかの人のさかづきならばいたゞかれまじく候のまれ候ときもおなじしさけのしたをばすてられさゝるべしさりながらそのときは大かたの人さかづきまではみないたゞかれ候そのとき/\のていを見てまいるべし  廿九 さかつきをとりたまふ事 わがしうまたはうやまふかたのたまはりのときはみぎにもたれ候さかづきをしたにをかれみきにてさかづきをとりそといたゞきまいりたまふべしまたおなじくらゐほどの人のさかなをばみぎにもたれしさかつきをはそのまゝにてひだりのてにてさかなをとられてよしいただかれてもよし。さりながら大かたはさかつきをしたにをき右にてさかなをとらるへし又さかなにすひものなどいて候はゝそとまいりてよしまたおりのものかはらけのものをばそとまいりたまひてのこりはしたへをかるべし  卅 めしをまいり候事 さしてやうていなしさりながら大かたさだまれることもあるべしまづめしにむかひてはひたりのひざをたてられてよく候むかしはめしを大きにもりそのめしをかさへわけてまいりたまふなりいまははじめよりかさに入はちにめしをいれ侍ればそのあつかひにおよばすいまもいわゐのせんなどのときはかやうなる事もありそれもかよひのをんな。かさにわけてまいらせ 候まゝわれとわけらるゝにおよばすまづめしをまいりそのゝち大しるをまいりてはしをしたにをきてしるをすはるべしいまは大かたひだりにてしるもすはれしなり二どめにはこのしるをまいるべしすひたまふときいくたびも右のごとくなりこゝろやすきところにてはいかやうにありてもくるしからずかやうのこともむかしには事かはり侍ればいまのよの人のおしへのことくしたまふべしときのよろしきにしたかふといふはこれなりしるをかけられ候事かよひのをんなかけてまいらせ候もし。しるをそのみかけられ候はゝはしをしたにをかれ右の手にてかけらるべしおとこのやうにはしもちながらひだりにてかけられ候はあしく候またやきものなどはこれもかよひのをんなむしりてまいらせ候かやうの事ははれかましきときの事なりつねにはかやうになくともくるしからすよそなどにてはあまりあれこれはまいるまじきなりいつれも気に入るものを一ツ二ツまいりてよしことにとをきところにあるものともせんをこしてまいる事しかるべからずそうじてものをまいるにくちをとのたかきはあしゝいかにもしつかにまいるべし  卅一 ゆをまいり候事 はしをしたにをかれ右の手にもちまいりたまふべしみなまいり候はてすこしのこり候かよく候またおとこのやうにかうのものなどまいり候事あるましきなり  卅二 くはしの事 御すはりなばまづやうじをとりたまひてつかはれ候はゝおとこのやうにやうじをおられ候ましく候又やうじもちやうの事大りやくゆび二ツにてもたれ候又くはしをもまいりたまふべし  卅三 ゆづけまいり候事 もちあげてまいりてよし。またはさいしんをまいりなばはしをしたにをかれひだりにてうけられ候ものなりおなじくゆを御うけ候もおなじ事なりさりながらいまはかさをかよひのをんなとりてめしを入ゆをもつけてまいらせ候しかるときはそのゝとりてまいり候なり  卅四 さうめんをまいり候事 これもさしてていなし。とき/\もちあげてまいりたまふべしさいしんの事は大かたゆづけとおなじ  卅五 すひものゝ事 もちあげすしそのまゝまいりたまふべしもししるをすはれ候はゝこれもはしをしたにをかれもちあげてすはれてよしすひものすはられ候はゝなみを見あはせ人々すみてよりまづかさをみきの手にとりたまひてぜんのわきにをかせられそのゝちはしを御とりまいるべしめしもしるをかけたまひてのちはもちあけてまいりたまふべし  卅六 ほしいひをまいり候事 これはたび/\にもちあけてまいりたまふへしさいしんなどはをんなとりてつぎてまいらすへし  卅七 さうにの事 これはもちあげすしそのまゝまいりたまふべししるをすはれ候はゝはしを下にをかれ候てもちあけすひたまふべし  卅八 かんをまいり候事 かんをまいるにはしるをかけらるゝこともありまたかよひのをんなとりてしるをつぐこともおほしかんにしるなどいたす事いまはまれなりいゑ/\のはうによるべし  卅九 まんちうの事 たうさのときはひだりにとりてみぎの大ゆびと人さしゆびにてつまみきりてまいるべしわりてすへ候はゝはしにてつねのごとくまいりたまふなりはしを下にをかれみぎの手にてしるをはわれとうけられ候事もあり又かよひのをんなつぎてまいらせ候事もありまんちうの事はかたなめ四ツにわりてもるものなりこれもしるなどいたし候事いまはまれなりされともいゑによりていつる事あるべければいつれのこゝろえのためにしるし侍りぬ  四十 くはざるものゝ事 しやうがわさびをくへばきめあしくなるものなりやきぐりやきいもはいきくさくなるものなりそのほかなにゝてもにほふものをまいるべからず  四十一 ちやをまいり候事 ちやわんをたいにすゑもちきたり候をみぎにてとりひだりにてもちなをしちやわんをしたにをきたまふなりそのときかよひのをんなとりてだいにのせもちてかへるなりみぎの手にてとりてそのまゝひたりの手をそへすしてまいり候事もあるべしかやうの事もとき/\のはうにしたがひたまふべし  四十二 人の身をもつ事 おとこをんなによらずそくさいなるをかんとすこのゆへにやうじやうのはうをもつてさきとすよくたしなみえたる人はせん人ともなるべしたとひたしなみゑずともこゝろにかけぬればやまいすくなく侍るよしもろ/\のふみにも見えたりこゝろにわすれすしてあさ夕につゝしむときはいのちもなかく侍る事うたかひなしつねにはこのこゝろなくわつらひいつればにはかにいできたるやうにくすりをももちゆる事あやまりなるべし  四十三 やうじやうたい一の事 やうじやうといふはゐんしよく気の三ツをしるべしゐんとはみだりにゐんほんをすごしぬればかならずやまひとなる。ことに子をあまたもちぬればちのみちとゞこほりておいてのちやまひたえず。されどもをんなは殿の心にしたかふゆへにつゝしむべきやうなししかはあれどこゝろえのためにあらはすなりしよくとはめしをもすこしづゝたひ/\まいればくるしからずさりながらこれもとのをもちてよりはこゝろにまかせずといへども夜る物をくふ事ゆめ/\あるへからずされども殿人うちに入給ひて物をまいりぬればおなじくまいらすしてはなりがたしさやうなるときこゝろえありてまいりたまへばすくる事なしことにわかきうち夜ものをまいりすぐれはやすみたまひてのち。をなかなりてうるさきものなりやうしやうのためといひたしなみのためかた/\よるむさとものをまいるべからすもし物をまいり給はゞざしきのうちをすこしありき給ひてより。やすみ給ふべしそれも殿の見給はぬやうにせらるべしめしにあらさる物さい/\まいりぬればなをあしゝもとよりすこしもまいらずしてはなりかたしたゝこの心をわすれ給はずひかへてもちひらればいのちもながくそくさいにましますべしさて気といふはむさときをつかひ物をおもひなんどしてよるひるいたづらに心をうごかしあるひは物の本など見すぐしそのほかなに事につきても気のつかれにならぬ事をかんとせらるへし気のつかれたる事あらは花を見月をなかめことをひきなにゝてなくさみをもよほし気をはらし給ふべしこれおとこをんなともにそくさいのみなもとなるべし  四十四 おきふしの事 ときにしたかひかはるべし春三月は夜ふけてふしあさははやくおくべし夏三月はひるのあつさをすこしのぞけて夜に入てふしあさは日いつるまでふす事なかれ秋三月ははやくふして鳥なかばおきたまふべし冬三月ははやくふしあさはおそくおき給へそうじて春夏はひかしにむかひてふすものなり秋冬はにしきたにむかひてふすをかんとすくちをあきてふす事なかれひざをかゝめてそばさまにふしたまふべし又いはくきたまくらにのちやがて火をけすべしあしをたかきところにかけてふさゞれふしたるところにひばちををくへからずこれみないにしへのふみに見えたりしかれどもとのをもち給ひてよりはよろづ心に まかせぬ事おほしさりながらこの心をわすれ給ふべからず殿のうちに入たまはぬおりふしやすみ給はゞこれにしたかはれ侍るべし  四十五 目のやうじやうの事 つめたき水をかけてめをあらふ事なかれ月日のひかりを見る事なかれ四十にあまりてのちはさい/\めをふさぐべしさりながらめにも二いろありつかれたるめはみぎのごとくゆにてあらふべししほゆか又はくちの内をあらひそのゆにてあらふべしつよきめにちのよりたるにはゆにてあらふ事あしゝこれは水にてあらへそうじて目にはあさ。つばきをゆひにてさすべしこれ大きなるくすりとある人いへり  四十六 かみをけづる事 そうじてめしすぎてのちよしといへりされとも殿をもてる人はこゝろにまかせぬ事なればてうづうかいののちまつちやをまいりそのゝちかみをけづり給ふべしおほくけづり給ふことをよしとすくしをば手をあらひてとるなりかみをあらふ事は日を見てあらふといふ人ありそれにおよばすあかあらばいつにてもあらふべしことになつはさい/\あらはざればにほふ物なりくこといふものをせんじてあらへばくすりのよしいへりあつきゆにてあらふ事なかれ夜るかみをあらひてかはかざるにふす事なかれことになつゆひこめてふすべからすときてふしたまふへしさりながらとのによりみたれがみはきらひ給ふもあるべしたゝ殿のこゝろにまかせらるべし  四十七 はのやうじやうの事 あさゆふはをならすをかんとすさりながら殿の見たまふところにてならし給ふへからず物をまいりてすなはちやうじをつかひうがいをせらるべし夜るおそろしきところにてはをならしたまへばもろ/\のおにかみおそるゝものなりおはぐろせざるあいたはいかにもはのしろきをかんとすよくみがきたまふべしおはくろののちはむらもなくくろきこそおとこたちはこのまれけめところ/\しろきはあさましくうるさきものなり  四十八 ゆをつかふ事 とき/\くこをせんじゆに入てつかひ給ふべしあしたに身をきよむへしゆののちあせをいだす事なかれわかきうちはゆをさい/\つかひ給へふすまへかたにまい日かゞすへからす  四十九 あさおきるときの事 まづかほよりさすりながし身をさすりうしろも手のとゞけるほどをなで手もあしもさすりながしておき給ふべしこれたい一のやうじやうなり血よくめくりはれものなといですそのうへてあしやはらかになりてことに女によし  五十 としよりてのちこゝろもちの事 としおいてよりはかならずいぢみしかき人おほしまた人によりやはらかになるもありはらのたつとてよろつかんにんなく人をしかりおもふまゝなる事をのたまふべからす子もまごもおもふやうにあるへからずとしよるほどいよ/\じひふかく人をたすけあひ/\しくたい一しん/\をむねとしつねにほとけのみちをたつとみあさゆふねんふつをとなへたまふこそおいのみのわざなれ  五十一 子まごにかゝる事 五百八十年ちとせのよはひまてふうふのあいよくしてしそんまでにかゝる事ありそのとき子もまごも思ふやうになきものなればそれをはらをたてたまふへからずいかにも子まこのこゝろにしたがひねんころにしたまふべしよめなどとりたまはゞよめを一しほまことの子よりもねんごろにしたまひたとひあなたよりあしくともかまひたまふへからずあひ/\しきをかんとせらるべしわかわかきときをおもひいでゝよめのこゝろやすきやうにせらるべしふうふの中めでたきかゞみなりふかくひすべし/\ 慶安庚寅三年 仲夏吉祥日 二条下寺町 野田弥兵衛開板