文部省科学研究費補助金 特定領域研究(A)
環太平洋の「消滅に瀕した言語」にかんする緊急調査研究
A04 日本班


最終更新日 2002.5.20

消滅する方言アクセントの緊急調査研究

 研究組織

 氏 名  所  属  機  関  E-mail 
研究代表者 上野 善道 東京大学大学院人文社会系研究科   
研究分担者 中井 幸比古 神戸市外国語大学   
研究協力者 新田 哲夫 金沢大学文学部   
研究協力者 大和 シゲミ 梅花女子大学非常勤講師   


                           2002年度

 研究の目的
 日本全土をほぼ網羅していると言われているアクセント調査研究も、実は限られた範囲の語彙に関してであって、全体の体系は不明な方言が多い。その限られた範囲の中でも、誤った、あるいは不十分な記述が多々見られるのが現実である。しかも、そのような方言アクセントのかなりのものが、現在、消滅の段階をむかえつつある。
 本調査研究は、特色がありながらも消滅に向かいつつある方言で、かつ、今ならまだ良い話者の見つかる地域のアクセントを対象にして、できるだけ正確で、できるだけ深い調査研究を行い、その体系記述とデータの保存をめざす。


 研究実施計画
・具体的な調査計画地点は次の通り:青森県青森市、石川県白峰村、福井県上中町、香川県伊吹島、岡山県日生町寒河、山口県見島、鹿児島県枕崎市、鹿児島県黒島。その他の若干の地点の補充調査も行なう。
・担当は、中井が岡山県寒河、上野がそれ以外の地域とする。石川県白峰村は協力者の新田哲夫(金沢大学助教授)、福井県の上中町は協力者の大和シゲミ(梅花女子大学非常勤講師)に依頼する。同時に、上野は代表者として全体を統括する。
・調査は、現地で直接面接により行う。調査はテープに録音し、資料の保存をはかる。
・調査結果は、これまでの一連の調査の総まとめとして論文やアクセント資料集として公表する。
・成果の一部は、海外の国際会議でも発表する。



                           2001年度
 研究の目的
 日本全土をほぼ網羅していると言われているアクセント調査研究も、実は限られた範囲の語彙に関してであって、全体の体系は不明な方言が多い。その限られた範囲の中でも、誤った、あるいは不十分な記述が多々見られるのが現実である。しかも、そのような方言アクセントのかなりのものが、現在、消滅の段階をむかえつつある。
 本調査研究は、特色がありながらも消滅に向かいつつある方言で、かつ、今ならまだ良い話者の見つかる地域のアクセントを対象にして、できるだけ正確で、できるだけ深い調査研究を行い、その体系記述とデータの保存をめざす。


 研究実施計画 
・具体的な調査計画地点は次の通り:青森県青森市、静岡県松崎町、石川県金沢市、石川県白峰村、福井県上中町、福井県三方町、京都市、香川県伊吹島、岡山県日生町寒河、山口県見島、鹿児島県枕崎市、鹿児島県黒島。
・担当は、中井が京都と岡山県寒河、上野がそれ以外の地域とする。石川県白峰村は協力者の新田哲夫(金沢大学助教授)、福井県の上中町と三方町は協力者の大和シゲミ(梅花女子大学非常勤講師)にそれぞれ依頼する。同時に、上野は代表者として全体を統括する。
・調査は、現地で直接面接により行う。調査はテープに録音し、資料の保存をはかる。
・調査結果は、これまでの調査資料と合わせて論文やアクセント資料集として公表することを始める。特に中井は、これまで蓄積してきた京都方言アクセント資料の総まとめを行なう。
・成果の一部は、海外の国際会議でも発表する。


 成果報告
 1 代表者の上野善道は,特に青森市方言と香川県伊吹島方言を数次にわたって詳しく調査した。青森市では,複数のアクセント単位に分かれるという特異な現象が見られる複合語を調べ,その分かれる条件を解明した。伊吹島では,複合動詞の過去形と5拍の複合名詞のアクセント調査を行ない,それぞれの規則を明らかにした。今後,対象を他の活用形や6拍以上の複合名詞にも広げる予定である。その他,石川県金沢市方言,鹿児島県黒島大里方言の調査も行ない,その結果をともに論文にまとめた。青森・伊吹島・金沢の3方言については,日本と外国の地名のアクセントも調べた。
 2 分担者の中井幸比古は,岡山県日生町寒河方言を調べ,4モーラ体言のアクセント体系は東京方言と同じで5つの型があり,所属語彙の面でも類似することを明らかにした。この方言は2拍名詞第2類が特異な現われ方をすることで知られるが,それに類する現象は4拍語では見られなかった。中井はまた,中央式諸アクセントの整理も進めた。
 3 協力者の新田哲夫は,石川県白峰村字白峰において動詞・形容詞の活用形のアクセント調査を行なった。従来の報告どおり「下降式」の存在を確認するとともに,近隣の方言には見られないパターンが存在することが明らかになった。
 4 協力者の大和シゲミは,福井県上中方言アクセントの記述的研究を行ない,2〜6拍名詞を調査した。対立する2つの式音調の実相と頻度,下降式語の核の有無およびその位置による対立,併用される音調などについて,方言内部の個人差の存在が分かった。



                           2000年度
 研究の目的
 日本全土をほぼ網羅していると言われているアクセント調査研究も,実は限られた範囲の語彙に関してであって,全体の体系は不明な方言が多い。その限られた範囲の中でも,誤った,あるいは不充分な記述が多々見られるのが現実である。しかも,そのような方言アクセントのかなりのものが,現在,消滅の段階をむかえつつある。
 本調査研究は,特色がありながらも消滅に向かいつつある方言で,かつ,今ならまだ良い話者の見つかる地域のアクセントを対象にして,できるだけ正確で,できるだけ深い調査研究を行ない,その体系記述とデータの保存をめざす。


 研究実施計画
・ 調査計画地点は次の通り:青森県青森市,静岡県松崎町,石川県金沢市,福井県上中町,香川県伊吹島,山口県見島,鹿児島県枕崎市,鹿児島県黒島。
・ 担当は,今年度は上野が中心になって調査を行なう。福井県上中町は協力者の大和シゲミに調査を依頼する。
・ 調査は、現地で直接面接により行なう。調査はテープに録音し、資料の保存をはかる。得られた多量のデータは,パソコンに入力をし,整理をしながら分析をする。
・ 現地調査の他に,伊吹島方言のように,先人の調査テープ(話者も故人)が残っているところは,それも活用して古い姿を明らかにする。これは中井が担当する。


 成果報告
 1.調査地域--下記の地点で3名がそれぞれアクセントの調査研究を行なった。
 代表者の上野善道:青森市方言で複合名詞,石川県金沢市方言で複合動詞と後部1拍複合名詞,香川県観音寺市伊吹島方言で複合動詞と3〜4拍名詞,鹿児島県三島村黒島大里方言で複合名詞,鹿児島県枕崎市方言でアクセント体系,を目的とする記述調査。
 分担者の中井幸比古:伊吹島方言で,現存する最古の録音テープのアクセントの分析と,2拍体言が独特の類の統合をしている岡山県和気郡日生町寒河方言の記述調査。
 協力者の大和シゲミ:福井県遠敷郡上中町方言の記述調査。

 2.調査成果
 上野:青森市の複合名詞は,内部に複合語を含んでいればその枝分かれ構造とは無関係に複数単位形になる。金沢市の6拍以上の複合動詞は2単位形となる。伊吹島方言の複合動詞は,第1要素の連用形の式を受け継いだ無核型になる。黒島大里方言の複合名詞の型は前部要素の型を引き継ぐ。枕崎方言は下降式音調をもつ重起伏調の2型アクセントである。いずれも先人の研究では知られていなかった事実である。
 中井:昭和40年頃に和田實・妹尾修子によって録音された伊吹島方言のオープンリールを聞き取り,4拍語までの詳しい資料を報告した。寒河方言についても,補充調査をし,調査資料の整理を進めた。
 大和:上中町方言は2つの式と核を持つ体系で,式音調に特徴があること,各型の所属語彙に偏りがあることを明らかにし,1〜6拍名詞のアクセント資料を作成した。
 3人の成果は,科学研究費報告書『消滅に瀕した方言アクセントの緊急調査研究』として公刊した。上野「伊吹島方言の複合動詞のアクセント規則--付 3モーラ体言のアクセント資料--」「鹿児島県黒島大里方言の複合名詞のアクセント」,中井「香川県伊吹島方言のアクセント資料」,大和「福井県上中町におけるアクセント体系の概観」である。


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