グローバル日本研究国際シンポジウム

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人の移動の非合法化:人身売買と密入国取り締まりの脱構築

アレクサンドリア・J・イネス(イースト・アングリア大学)

グローバルな人の動きが増えるにつれて、人身売買(主として性的搾取を目的にした女性の人身売買)に関心が向けられるようになってきた。これは、隠れされた国境を越える人の移動であり、未だに存在する奴隷制でもある。特に、隠された国境を越える移動は、先進工業国における、亡命希望者や難民、その他の移民を余儀なくされた人々の合法的移動を排除するような移民制限の動きに関係している。非合法な動きを防止する手段としては、移動手段の提供者に対する制裁、検査を通らずに国境を超えて人を移動させることに対する刑事罰、さらには亡命希望者を助けることに対する刑事罰まであるが、人の移動を管理する手段として、それに関わる行為を犯罪とする動きは、おそらく隠れた人口を作り出し、特定の人々を弱い立場におくことにつながっている。日本は米国国務省から人身売買と密入国を犯罪化するモデルに移行していないと批判されているが、この調査は、日本において人身売買、密入国、搾取に立ち向かう人々のネットワークを分析する。日本における分散化された、慣習的方法をとらない管理のプロセスは、アメリカやヨーロッパで広く取り入れられている犯罪化モデルを脱構築する手立てを提供する。日本における人身売買および密入国防止のネットワークに関するディスコース分析によって、このアプローチが犯罪化モデルとは対照的な人身売買と密入国を管理する方法であり、その実践をこのアプローチを普及させる過程として捉える可能性を検討する。

略歴

アレクサンドリア・J・イネスはイースト・アングリア大学の国際関係講師である。ヨーロッパにおける亡命の政治的側面、ヨーロッパに向かう移民の安全保障問題について研究を行っており、論文は、Security Dialogue、International Relations、Global Society、Journal of Contemporary European Studiesなどの雑誌に掲載されている。彼女の研究は国際関係におけるフェミニズムやポスト植民地主義に影響を受けており、国際関係における経験的知に焦点を当てるためにエスノグラフィックな方法を使っている。特に関心を持っているのは移民という生きられた経験についてである。最近の著作には、Migration, citizenship and the challenge for security: An ethnographic approach (London: Palgrave, 2015)がある。