グローバル日本研究国際シンポジウム

開く日本・閉じる日本 —「人間移動学」事始め—

<< プログラム

国際結婚・離婚をめぐる法的課題

長田真里(大阪大学)

結婚や離婚について規律するのは、家族法と言われる法分野である。家族法分野では、今日でもなお、その国の文化や伝統の影響が大きく、取引法分野に比べて、各国法の内容の差が極めて大きい。例えば、カトリックの影響の大きいフィリピンでは現在でもなお離婚は認められていないのに対して、日本では紙切れ一枚で簡単に離婚ができてしまうし、夫からの一方的意思表示のみで成立する離婚制度が存在する国もあるなど、離婚1つとっても法の中身は様々である。

経済活動のグローバル化や、国境を越えた移動手段へのアクセスのしやすさなどを背景に、人の国境を越えた移動は活発化の一途をたどっている。それにともない、国際的な要素を含む家族関係も増加しているが、家族法分野での法統一は全く進んでおらず、各国法の内容の違いから来る法の抵触状態は深刻である。

他方、家族のあり方自体も、価値観が多様化した現代社会の中で変容しつつあり、結婚とは何か、家族とは何か、ということが改めて問い直されている。国際的な要素を含む家族関係においては、国内的な要素しか持たない家族関係においてよりも、このような多様化の影響を大きく受けやすい。本報告においては、多様化かつグローバル化した社会における国際結婚や国際離婚について法的側面から課題を指摘し、その課題に対する国際社会および日本での取り組み等について紹介したい。具体的には、(1)法律婚の多様化、(2)親子関係の多様化、(3)離婚後の子どもとの関わりを中心としたい。

略歴

長田真里(ながたまり)。大阪大学大学院法学研究科教授。専門は国際私法・国際民事手続法・国際家族法。博士(法学)。大阪大学法学部、大阪大学大学院法学研究科修了後、大阪外国語大学講師同助教授を経て、2004年から大阪大学大学院法学研究科助教授・准教授。2013年より現職。