グローバル日本研究国際シンポジウム

開く日本・閉じる日本 —「人間移動学」事始め—

<< プログラム

日本における国際離婚:旧ソ連出身女性と日本人男性の事例から

キム・ヴィクトリヤ(大阪大学)

近年、日本における国際結婚の数が下がる傾向にあり、最も多い2005年の41,481組に比べ、21,488組(2013年)まで減少した。それに対し、国際離婚の数は最も多いときで19,404組(2009年)まで上り、2003年から2013年までの間、年間15,000組以下に減少したことはない(厚生労働省2015)。

本発表は旧ソ連出身女性と日本人男性の国際結婚の問題と離婚に焦点を当てる。現在日本において、ロシア・ウクライナ・ベラルーシ・ウズベキスタン・カザフスタン・キルギスタンといった旧ソ連諸国出身の男女で「日本人の配偶者等」と「永住者」の在留資格を有するものは合わせて5,903人に上り、そのうち70%は女性である(法務省 2014)。発表者はそれら旧ソ連出身女性と日本人男性とのカップルに注目し、2006年から2012年まで女性たち(48人)と日本人男性(20人)からインタビューをはじめとするデータを収集し、2012年から現在に至るまでそのうちの30組のカップルの実態を継続的に観察してきた。調査協力者48組の中で、2006年から2014年の間に11組が離婚した。その他に、離婚を検討している女性が3人いる。このような結果を踏まえると、国際離婚のきっかけとなるマクロレベルの問題(特に、法的、社会的、文化的な要因)とマイクロレベルの問題(個人の相互作用)、そして離婚以降の女性の生活について分析する必要があると考えられる。そうすることによって、日本在住の結婚移民女性の生活実態を明らかにし、その上で、彼女たちの日本における定住過程、そして、彼女たちのこれからのエンパワーメントとなる対策などについて考察したいと思う。

略歴

キム・ヴィクトリヤ(Viktoriya Kim、Ким Виктория)。大阪大学大学院人間科学研究科特任助教。アルファラビ・カザフ国立大学東洋学部卒。大阪大学大学院人間科学研究科修了。博士(人間科学)。2012年から現職。研究テーマは国際結婚・離婚(特に旧ソ連出身女性と日本人男性のカップル)、移民(トランスマイグレーション、強制移住など),家族社会学、多文化共生、国際教育。