フランス国立東洋言語文化大学・大阪大学 国際共同シンポジウム

モノと文献でわかる古代・わからない古代

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フランス(ヨーロッパ)と日本における原史時代と古代

ロラン・ネスプルス(イナルコ准教授)

古代社会の到来において原史時代が重要な役割を果たしたことは疑いない。古代の社会制度が完全な移入だったにせよ地域的な導入だったにせよ、その機能の仕方は先立つ諸社会によって条件づけられたのだった。フランスあるいは西ヨーロッパにとって古代国家の形成を可能にした条件という問題は結局のところケルト諸社会の性質を問うことに帰するのであり、日本にとって「律令制」を可能にした原動力の問題は、古墳時代が古代社会の秩序を作り出す上でどのような位置にあるかという問題に行き着く。

文字の利用を広範囲に広げなかったこのような社会については、日本と同様にフランスにおいても、考古学の最新の成果による以外にはほとんど何も知られていない。文献は本質的に次の二つの性格を免れない。それらが後世に書かれたもので信頼性に限界があるか、または文字を恒常的に利用し、成熟した国家社会の方式に従って機能する近隣地域に由来しているかである。

原史時代についての文字資料は用心して扱うべきであり、また考古学の成果も慎重に解釈しなければならないとしても、それでもやはり古代とそれに先立つ不明確な時代との関係が研究の重要な問題点であることに変わりはない。両者は互いに照らし出す関係にある。この関係の歴史と、最新の研究成果によってこの問題について導ける結論との比較検討を行う。


ロラン・ネスプルス:Inalco准教授、原史・初期古代日本についての考古学および物質文化史を講義。考古学の博士号取得(Inalco/パリ第1大学)、4年あまり大阪大学考古学研究室で研究。日仏会館(2012-2016)、および外務省日本研究所の研究員。研究テーマは政治権力の複合化過程および初期の国家社会の形成。日本考古学形成の問題や今日の日本における考古学、文化財および文化財保護の関係にも関心を持つ。主要業績として、『日本の考古学と文化財』(2008、MSH、執筆分担者)、「西ヨーロッパから見た古墳時代像」(『21世紀の古墳時代像』2014、同成社)、「日本および東アジアにおける文化財と国家アイデンティティー」(『Ebisu Études japonaises』第32号、編集)。