フランス国立東洋言語文化大学・大阪大学 国際共同シンポジウム

モノと文献でわかる古代・わからない古代

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日本古代史の理解のためにどんな新資料が必要か?

ロラン・ネスプルス(イナルコ准教授)

フランスであろうと日本であろうと、古代は文字通り学際的なアプローチなしには研究できない時代です。文献があるとしても、稀少だったり断片的だったりするために、より明確なイメージを持つためには史料の範囲を広げなければなりません。つまり考古学、金石学、芸術史学、文学などの分野のあらゆる方法を用いることが必要なのです。大阪大学はこのような人文学の様々な学問分野を擁しています。本シンポジウムの開催はしたがって「古代の知」について大阪大学とInalcoとの協力を開始しようとの意図に基づくもので、その第一の使命は、日本における可能な限り広い意味における古代研究の最新成果の現状報告をすることです。

この最初の学術交流は相互補完的で具体的な二つの方式に則って進められます。

1)2016年12月2日に研究会を開催。日仏の日本古代研究者が集い、Inalcoの建物内で日本語によって行われます。ここで扱う古代日本研究に関わる具体的な諸問題は以下の通りです。考古学の発掘成果によって明らかになった事実との比較に基づく文献の有効性(フランスの状況との比較)、古代初期の墳墓における中国の影響の消失、塩のような必需品の流通、古代国家確立以前の宗教感情の表象、古代研究における『源氏物語』およびその様々な写本の位置。

2)パリ日本文化会館で公開シンポジウムを開催。同時通訳付きで、広く一般市民を対象としつつ、ヨーロッパの古代世界を専門とするフランス人研究者と日本人の古代史研究者の意見交換の機会とします。その目的は古代日本の研究に固有の課題をヨーロッパにおける同種の研究との関連において討論することです。以下のようなテーマを予定しています。a)古代、原史時代および天皇陵の関係、b)宗教感情と古代彫像の研究、c)最初の文字の使用、d)古代世界を再現する上での図像資料(絵巻物)の有用性。

フランスには古代研究の長い伝統があるにもかかわらず、古代史とその研究のための資料が日本との学術交流のテーマになることは稀です。そのため多角的なアプローチに基づくシンポジウムの開催は喜ばしく、これが新たな学術交流の始まりとなることを願っています。