― 『論語町』解釈データ凡例 ― ・原文における序・跋の漢文は省略した。 ・原漢文において振り仮名送り仮名等がないものは書き下す際、入力者の判断により[]で補読を施した。 ---------------------------------------------------------- 虚來先生著 論語町 北椒房梓 論語町 町音徴謂吉原                後波  師 文 撰 学テ〈而〉時之ヲ習ハス亦説カラズヤ〈乎〉 <さいけんをみならひむかいのばんとうにさそわれはじめてしんぞうをあてがわれるなり> <ならうはとりのかずとぶなりとびたつようにいきたくなるとなり> (三オ) 遠方自[リ]来[ル]又楽[シカラ]ズヤ〈乎〉 <みにかえておもうひとにはとおざかりといいえんのじにあらずまたじいろのたのしみにあらず> 人知ラズ而ルヲ愠ヲラズ亦君子ナラズヤ〈乎〉 <ひくうでかけてあそぶべし> 言ヲ巧ン色ヲ令スルハ鮮ナイカナ〈矣〉仁 (三ウ) <じょろうをあやなしくちぼこにかけよいかげんにながざおにするのたぐい> 民ヲ使フニ時ヲ以ス <ねてのちいもとじょろうかぶろをつかうにこころあるべし> 君子重カラザルトキハ則[チ]威アラズ <とおりものというはあなしりのこととこころえだいじんのこころざしをうしなわぬようにすべしこうまんからひとがらあしくなるぞのち@のじぎをうしなふる> (四オ) 過テバ則[チ]改ルニ憚ルコト勿レ <こはふしんしたといいさかずきはあらたむるにはかかることなかれというなり> 譬北辰ノ其ノ所ニ居テ〈而〉衆星ノ之ニ共ガ如シ <おおもんぐち(@)はほくとのごとくしょかくはほしのごとしこれをぞくによわいぼしという> 思ヒ邪無[シ] <じゃはよことくんずよこなからんことをおもうとよむべし> (四ウ) 唯其ノ疾ヲ〈之〉憂フ <ゆびのまたからそろそろいできてかくすとすれぞえたれずああなんとせんわがおもい> 酒食有ルトキハ先生饌フ <なじみてきてのこなべたてしったじょろうがよりあつまり> 人焉ゾ廋クサンヤ〈哉〉人焉ゾ廋ンヤ〈哉〉 <なんぼむごしでもぶしはぶしとみゆるちょうにんのまねするはやぼなり> (五オ) <あるくに   ひとはなぜけいじょうにきらわるる> 其レ何ヲ以テカ之ヲ行ンヤ〈哉〉 <もめるさかずきなるべし> 義ヲ見テ為ザルハ勇ニ無キナリ〈也〉 <たてひきなるべし> 夷狄タモ〈之〉君有リ諸夏ノ〈之〉亡キガ如キニハアラズ (五ウ) <おかばしょにいちぶんありこのさとにたゆうなきをなげく> 升リ下タテ〈而〉飲ム <はやるじょろうなるべし> 其ノ争ハ君子ナリ〈也〉 <じょろうまっしゃうちまさざりてけんしゅ(@)なるべし> 絵ノ事ハ素キヲ後ニス (六オ) <ゆあがりのみごしらえなりかみすきにいわくしげきようたいとりそろえとうんぬん> 素ヲシテ以テ絢ヲ為ス〈兮〉 <はっさくのいでたちばえなるべし> 祭ルコト在マスカ如クス神ヲ祭ルコト神ノ在カ如クス <やくそくのよるはきゃくきたらされともむさとねす> 吾レ祭リニ与カラザレバ祭ラザルガ如シ (六ウ) <ふりつけられてねたりおきたり> 夏后氏ハ松[ヲ]以シ殷人ハ柏ヲ以[シ]周人ハ栗ヲ以[ス] <きのじやのだいのもの いちめいせめどうぐという> 管仲カ〈之〉器小シキナルカ〈哉〉 <かんはあいだなりちゅうはさけのかんのよきなりさかずきはちいさしちゃわんでのむべし> 邦君樹シテ門ヲ塞グ (七オ) <そうじまいしょうじをたてかけ> 里ハ仁ヲ美シト為ス <ものくるるをだいじんとあおぐ> 蓋シ之レ有ラン〈矣〉我未ダ之ヲ見ズ〈也〉 <きゅうたいのまことなるべし> 一タビハ則[チ]以テ喜ビ一ハ則[チ]以テ懼ル (七ウ) <つめはがしてよこしてもしょうがつのしまいはむねにつかえ> 徳孤ナラズ必ズ隣有[リ] <はやりじょろうのみょうだいなるべし> 屢々人ニ〈於〉憎ニル <やりてがたびたびざしきへでるこころ> 宰予昼寝タリ (八オ) <いりあいかぎりにかえるきゃく> 或人醯ヲ乞フ〈焉〉 <ますのみのさかななるべし> 今ハ〈也〉則[チ]亡[シ] <たかおうすぐもあげやちょうの@> 山川其レ諸舎テメヤ (八ウ) <やまはやまのしゅくべかわははなかわどあたり(@)なり> <としあけてあてのなきじょろうもかたづくばはあるべし> 中道ニシテ〈而〉廃レナン今女ンチ画キレリ <おおもんにつけてとらまえられ@によりかみをきらるるなり> 行クトキハ径ニ由ラズ (九オ) <なかのまちでみしったじょろうにものいいかけられつれのまえのみえらくこころうれしきにむかいのちゃやのにょうぼうかちとおよりなんしにしあんのほかのいたことおそるべし> 知者水ヲ楽ム <みずはさけのいみょうのみすぎずたのしむをちしゃという> 是日ニ於テ哭スルトキ則[チ]歌ウタハズ <くぜつのあとはしょうでんぶしにせなかあわせねてみてもしまいつかず> (九ウ) 吾ガ好ム所ニ従[フ] <おおぜいつれてみたてほこうはなかまわれになりてあしこころしずかにみたつべし> 亡ケレドモ〈而〉有リトシ虚レドモ〈而〉盈テリトス <ざしきおさまりてしんぞうかぶろかかぎをならしたんすのあけたて> 弋シクスレトモ宿ドリヲ射ズ <せせりおこしてかなり> (十オ) 人ト歌ウタフテ〈而〉善キトキハ必ズ反リフセシテ之ヲ而シテ後ニ和ス〈之〉 <@もはだしでもてたいちざ> 丘カ〈之〉祈ルコト久シ〈矣〉 <つねにはなのおおからんことをねがう> 威アツテ〈而〉猛カラズ恭シウシテ〈而〉安[シ] <こうしじょろうなるべしいまはなしちゅうさんのなかにも> (十ウ) 深淵ニ臨[ムガ]如ク薄氷ヲ履如[ク] <まぶのであいなるべし> 任重フ[シテ]〈而〉道遠シ <@ふとった人をのせしかごをいうかならずさかてをねだる> 吾レハ御ヲ執ン〈矣〉 <とこいそぎなるべし> (十一オ) 仰ケバ〈之〉弥々高シ <よかぜなじみてはるのはつやくそくよりねんじゅうのもんびよぎふとんのしきぞめたたみのおもてがえかんがえみればむねにつかえむかしはものをおもわざりけり> 無寧二三子之手ニ〈於〉死ナン乎 <うられてもゆかしいはこきょう(@)なるべし> 善賈ヘヲ求[メテ]〈而〉諸[ヲ]沽メヤ (十一ウ) <みうけのそうだんなるべし> 沽メヤ〈之〉〈哉〉沽メヤ〈之〉〈哉〉我賈ヲ者ノ也 <おちゃひきてねむるべからず> 川上ニ在シテ曰[ク]逝者ノハ斯ノ如キカ〈夫〉昼夜ヲ舎テズ <いきかえるちょきぶねなるべし> 未ダ其ノ止ムヲ見ズ〈也〉 (十二オ) <のぼりつめてのしあんやむときでなければやまず> 後生畏ル可シ〈焉〉 <ひさしぶりていけばかぶろはしんぞうとなりしんぞうはとしまとへんじわがあたまははげたわけはやまず> 言コト能ハザル者ニ似レリ <むりにさそわれてはじめてじょろうをかいあんどんのかけにいる> (十二ウ) 趨リ進ムトキハ翼如也 <かぶろのそでなるべし> 気ヲ屏メテ息セザル者ニ似レリ <ふすまのひとえのそんならん> 足蹜蹜トシテ循ラコト有ルカ如シ <どうちゅうなるべし> (十三オ) 長一身ン有フ半 <あねじょろうのうわぎかりてざしきはすめとなかのまちのみるめうるさし> 吉月ニ必ス朝服シテ〈而〉朝ス <もんびのみえはしきせこそでのほかぞ> 飪失ニ食ズ <やきものかたしむさとくうことなりき> (十三ウ) 薑ヲ撤テズ食多ク食ハズ <みょうだいをもすこしはくうべしこれれいなり> 徳行ニハ顔淵閔子鶱冉伯牛仲弓言語宰我子貢政事ニハ冉有季路文学ニハ子游子夏 <やくしゃぞろいのおおいちざなるべし> (十四オ) 堂ニ升レリ〈矣〉未ダ室[ニ]〈於〉入ラズ〈也〉 <もうのみなんすなねなんし> 過タルハ猶及バザルガゴトシ <いきすぎはしょしんにおとれりめれんはげこにおとれり> 小子鼓ヲ鳴シテ〈而〉之ヲ攻メンコト可ナリ〈也〉 <まっしゃひきつれふみにいくだんごう> (十四ウ) 吾レ女チヲ以テ為ス死セリト <てんじょうかぞえなるべし> 大臣ト〈与〉謂フ可シ <おんわにあそぶきゃくなるべし> 其ノ言訒ヘリ〈也〉 <ふたまもちのくどきはほのかにさえききとりがたしからかみひとえのむつごとはことば(@)しのびやかなり> (十五オ) 人皆兄弟有リ我レ独リ亡シ <つきだしじょろうはさかずきをいただいてたびたびわらわれこはおがみんすをおずおずいいならう> 君子ハ質〈而〉巳〈矣〉 <くんはけいじょうのいみょうしはかぶろをいいむこうのひととよんでやりくりのつかい> 駟モ舌ニ及バズ <かけるじょろうなるべし> (十五ウ) 速ナランコト欲スル無シ小利ヲ見ルコト無[シ] <ためになるきゃくとみればいささかのむしんはいうべからず> 直キコト其中ニ在リ <じいろにしつはおきあけながらもやりてをこわがるこころあり> 君子ハ泰カニシテ〈而〉驕ラズ小人ハ驕テ〈而〉泰ナラズ <@さんとめにあまみありくろはぶたえにからみあり> (十六オ) 剛穀木訥ハ仁ニ近シ <そらいろのもんつきあさぎうらのやきもちきゃくはうるさけれどなみだひとしずくがせんきんせんきん> 彼ヲサヘヤ〈哉〉彼ヲサヘヤ〈哉〉 <ひゃくぞうのゆびきりなるべし> 髪ヲ被ムリ衽ヲ左ス〈矣〉 <わざくれのびょうきなるべし> (十六ウ) 君子ハ上達ス <うえのいきのことなるべし> 小人ハ下達ス <あなをしりどくをいうの@これをいきという@なり> 必ズ近キ憂有リ <そでどめまえのしんぞう@くさきかぶろをじしじょろうになじめばこのやくのがれがたし> (十七オ) 鶏ヲ割ク焉ゾ牛ノ刀ヲ用ン <みずあげまえのしんぞうはけっきのわかものをいむべし> 焉ニ往クカ〈而〉三ビ黜ラレズシ <ぶおとこのくせにあなをいいどくをいいかたがたでふりつけらる> 更ムルトキハ人皆之[ヲ]仰グ〈也〉 <かぶろもしんぞうとかしてさまづけとなる> (十七ウ) 難ヰカナ〈乎〉恒ネ有ルコト〈矣〉 <きのうのはれぎはあすかがわのながれふゆかたびらをじしじょろうをきかす> 我レ仁ヲ欲スレバ斯ニ仁至ル〈矣〉 <しょかいにもらわれとびかたかのみょうだいをとる> 倹ナルトキハ則[チ]固シ <そろばんなしにあそぶべし> (十八オ) 拝シテ〈而〉之ヲ受ク <ほりのにょうぼうにはなをやるとはいまどきないこともらうきもないところへおもいのほかに> 聚斂シテ〈而〉〈之〉附ケ益ス <じょろうとぐるなけんとう> 既ニ其ノ生欲又其死ンコトヲ欲ス <ほうげんいわく■やりくりなり> (十八ウ) 言察シテ〈而〉色ヲ観ル慮ンバカリテ以テ人ニ下ル <けんとうのよわたりなるべし> 誠ナルカナ<哉>是ノ言也 <あるひといきをといてこじんうすぐもがいわくくるわはくるひとにいきなしみなやぼりなりいちどきてそのあじをしりしかしてのちにこぬひとをいきという> (十九オ) 夷狄ニ之ト雖ドモ棄ツ可ラズ〈也〉 <たかくらながやまなどしながわへふたたび(@)のつとめ> 辞達リ〈而〉已〈矣〉 <きゃくのともだちへことづて> 更[ニ]〈之〉辞[ヲ]為[ス] <きげんわるくかえりしきゃくへはふみのもんくもなかし> (十九ウ) 顔淵季路侍ベリ <ふたりかぶろなるべし> 不幸短命ニシテ死ス <よいきゃくかついでそでどめまえにおしいかな> 芸ニ〈於〉游ブ <でいりやしきのやくにんをつれだち> (廿オ) 三人行トキハ必ズ我ガ師有リ〈焉〉其ノ善者ヲ択テ〈而〉〈之〉従フ其善ザル者而モ之ヲ改ム <れんのなかにもきにあうとあわぬかあるべしよからざるはみあいてまくべし> 有レドモ無キガ若[ク]実トモ虚しキガ若ス <ひとのふところをあてにするやつにはなきふりをせよとなり> 必ズ寝衣有リ (廿ウ) <よごれてもしろむくなるべし> 必ズ明衣有リ布ス <かきゃくにかすべしかけかえなければわれはただ> 駕シテ俟ズシテ行ク〈矣〉 <よふけてはかごなししりひっからさげて@さんにきたぐにさしていそぎいくなり> 女楽ヲ帰レリ (廿一オ) <おどりこをふねへかえしてあとはとこへはいるばかりこころづかいもなし> 楽ミ亦タ其ノ中ニ有リ〈矣〉 <いやなきゃくしゅうのくせにいつづけそのうちにいろきゃくにみょうだいをとらせておき> 帰[ランカ]〈与〉帰[ランカ]〈与〉吾堂[ノ]小子 三ビ嗅デ〈而〉作ツ (廿一ウ) <ざつきのすいものほねまでほぐりくえからすしるばかりすいてやむべしとなり> 禹吾レ間然[トスルコト]無シ <うちのだんなと@するじょろうなるべし> 東里ノ子産之[ヲ]潤色ス <よしわらをほうりといいふかがわをとうりというしさんはふかがわのとちのさんということにてよびだしなりよしわらへつきだしにでてひとはやりいろをますとなり> (廿二オ) 賢者ハ世ヲ辟[ル] <かしこきものはとうせいじょろうがいのきをさりてむだをつかわずにあそぶとなり> 其次ハ地ヲ辟ル <そのつぎのりょうけんよしわらのちをさりていきさえせねばよしとなり> 其次ハ色ヲ辟ル <またのりょうけんにはいろごとさえとおざかりさればじょろうがいのきもなしとなり> (廿二ウ) 其次ハ言ヲ辟ル <ひどいやつはよしわらのはなしさえせぬようにすればぜにはいらずとなり> 其先生ト並ビ行クヲ見ル也 <はこちょうちんをともさせなじみのじょろうしんぞうかぶろをつれてごちょうまちをけんぶつみえの@なるべし> 今ハ亡イカナ〈夫〉 <むかしはおおもんをうちしきゃくもありしとなり> (廿三オ) 下太夫ト言ハ侃々如也 <しもだゆうとはちゃやふなやどのむすこをいうりぞくにあにさんという> 上太夫ト言ハ誾々如也 <かみだゆうとはちゃやふなやどのていしゅというぞくにおてさんという> 虎豹之鞟ハ猶犬羊之鞟ノゴトシ <@のかいとりも@にひとしきとなり> (廿三ウ) 夫子ノ之[ヲ]求ルヤ〈也〉其レ諸[レ]人ノ之[ヲ]求[ルニ]異ナルカ〈与〉 <よいじょろうのものをかうは@ようにねぎらずひとにはかわったところがありとなり> 事ヲ敬シテ〈而〉信用ヲ節シテ〈而〉人ヲ愛ス <じはものごとなりせつはせっくなりそうじてもんびのやくそくをうけこみものまえのつけとどけなにによらずようをまちがえずやるはじょろうをあいするがゆえなり> (廿四オ) 何ノ遠コトカ之レ有ン <かんだからしながわへかようきゃくさえあるによしわらへなんのとおいことかあろうぞ> 鳳鳥至ズ河図シ出ズ吾レ已ルカナ〈矣〉〈夫〉 <いつまでかよってもはてのないところだもうあそびもよいかげんにしてやめようとなり> (廿四ウ) ------------------------------------------------------------- 注) ・四オ  @→原文「儒粋」:読み方不明 ・四ウ  @→「だいもんぐち」か? ・六オ  @→「けんざけ」か? ・八ウ  @→原文「名而已」:読み方不明 ・九オ  @→「はなかわどへん」か? ・九オ  @→原文「仕内」:読み方不明 ・十ウ  @→原文「楓江」:読み方不明 ・十一オ @→原文「任音人」:読み方不明 ・十一ウ @→「ふるさと」か? ・十五オ @→「し」か? ・十六オ @→原文「唐」:読み方不明 ・十七オ @→原文「徒宗儒」:読み方不明 ・十七オ @→原文「甚非」:読み方不明 ・十七オ @→原文「強食」:読み方不明 ・十九ウ @→「にど」か? ・廿一オ @→原文「一」:読み方不明 ・廿二オ @→原文「色」:読み方不明 ・廿三オ @→原文「一事」:読み方不明 ・廿三ウ @→原文「壱分」:読み方不明 ・廿三ウ @→原文「中三」:読み方不明 ・廿四オ @→原文「大」:読み方不明