― 『真女意題』翻字データ凡例 ― ・庵点は「¬」で示した。 ・文字の左横に添えられたルビは【 】で括って示した。 ・丸で囲まれた文字は( )で括って示した。 ・手紙文もしくは小唄と注が付されている箇所は〔文〕〔歌〕と示した。 ・「つ」は字体に関わらず、小さく右寄りに書かれているものを「ツ」と表記した。 ・「り」は小さく右寄りに書かれているものを「リ」と表記した。 ・漢字の繰り返しは「々」で表記した。 ・三オ〜五ウ、七オ、七ウの句点は「。」、それ以外は「.」で示した。 ・ JISコードに無い漢字や、虫食いや印刷が不鮮明である等の理由により解読できない文字は@で表した。後者の場合は、末尾に洒落本大成の本文該当箇所を付した。 ・本文中の漢字のうち、字体を変更または統一したものは以下の通りである。 膽→胆 臺→台 讀→読 聲→声 處→処 萬→万 國→国 假→仮 氣→気 禮→礼 賤→賎 錢→銭 賣→売 艸→草 燈→灯 實→実 躰→体 證→証 據→拠 佛→仏 哥→歌 ------------------------------------------------------------- 自序 高天原仁神留坐須{たかまがはらにかみとゞまりまします}. 其神{そのかみ}さまも訳知{わけしり}の娼之一夜{しやうがいちや}の契{ちぎり}には. 鮓醴{すしあまさけ}も喰{くふ}て来{き}た. 通{つう}も不通もおしなへて. 雲{も}と成{な}リ雨{あめ}となる 傾城買{けいせいかい}の@肝{こんたん}は. 先達数万{せんたつすまん}の書{しよ}に綴{つゞ}リ. 仙波{せんは}が牛に汗{あせ}すれば所詮{しよせん}いふても口真似{まね}と (一オ) 取つても付かぬ仙台訛{せんだいなまり}. 赤腹{あかはら}たれぬの万八なく. 豊後{ふんこ}のモサを取つて退{のけ}. 唯一神道{ゆいいちしんたう}交{まし}リなし. 混源地{こんげんぢ}色の味事{うまごと}を浮気{うはき}の中へ持込{もちこ}みしが少{ちと}新{あたら}しひ今年の趣向{しゆかう}. 真女意題{しんめいだい}【まことにしようろのこゝろいき】と@せしは. 謌{うた}の心の替名{かへな}にて只読声{たゞよみこゑ}を仮{か}るのみなり 何を申も作者{さくしや}の新米{しんまい}. (一ウ) 三本たらぬ 毫{ふでのけ}にてやたらむしやうに引かきたれは. 究{きま}らぬ処{ところ}も多かるべし. そこが作リの卵割{かいわり}と. 眼腐祭{めくされまつり}の業{がう}を湧{わか}さず. 科{とが}なき本屋に見料{けんれう}を. 波羅意玉意{はらいたまい}. 喜餘目出玉.{きよめてたまふ} カラ/\/\ 時に安永丑の初春@{まぐろ}のかす禰宜天竺老人. (二オ) 字は森羅万像とて. 智恵はもとより梨{なし}打ゑぼし. 何も白張{しらはり}引かけて分らぬことを木綿{ゆう}たすき書して否{いや}がる書林にあたふ (二ウ) 陸野奥右衛門国詞{みちのおくゑもんくにことば} (い)主{いし}<江戸にて。ぬし。きさまなとゞ云に同。> いつくしねへ。<うつくしい事> 伊勢屋しつぺい<酒をほむるに云。酒屋の名也。> いきび。<しり。の事> いす<詞のすへに付。「いし。「もし。「ゑす。「ちや。いづれもすへにくわし。> (は)ばかたれ。<馬鹿の事>又。馬鹿たり奴。又。ばァかァ。<いづれも人を。のゝしるなり。> (に)にぐむ<ゑのぐにてぬる事>にんがう<人形の事> (三オ) (へ)べすむ。<かほを。しかめる事。> へゝ。又へゝこ。<玉門> べろ。<舌也> (と)とゝろなし。<心なし。分別なしの事。> とかう。<いやもうといふきみ也> どゝ爺 (ち)ちくと。<ちつと。すこしといふ事。> (ぬ)ぬうだり/\<のさり/\なり> (を)おかなひ<おつかない。おやつかなといふにひとし>おかなく。<とんだつがもないといふ事。> (三ウ) (わ)わこ<男の。子> わらし。<子どもの事> (か)がゝ。<嚊の事> がァさま。<かゝさまといふ事> かけて。<やりかけてといふ事> (よ)よ。し。やれ<よしやれと。詰ていふを。切つていふ。「そ。り。や「こ。りや。「あ。り。や。など同し。此国のならひ也> (た)旅{たび}ざとうのつゝ立かへりイ見るやうだ。<ひつくりかへる事また身のかるひを。ほめるなり> だんぽう<おやかたもとじめの事> (つ)つけへねへ<とんじやくないといふ所へも@ないといふ所へもいふ> (ね)ねへな。<なにさ。いやさ。いんにや。> (四オ) (な)なには。<なに何さ> 脳{なづき}<あたま。> 脳がやめる。<づつうのする事> なく<ものゝ音のする事なるといふ事なり> (く)くらわれ<玉茎> (や)やめる<せつない事> やんだ<否也> やんだら<いやなら也> (ま)まかく<真赤く也又まかいはまつかい也> (け)けね<家内也> (ふ)ぶくめん<不工面。くめんのわるい事> (四ウ) (て)てつへん袋{ぶくろ}。<末に出> 出来る。<出あるく事> 出る。<ものゝ出来る事> てふ。<今日といふ事> (あ)あらく<すさまじくといふ事> (さ)さみい。<三弦> 肴町{さかなまち}のおてう。<女をほめる時いふ末にくわし> さかる。<にぎやかなる事> (き)きこ/\<びい/\する事。すべて此国の人物の音をいふ事いたつて下手也末にくわし> (し)しゞこ。<玉茎> しめづける。<しめこむといふ事末にくわし> しこる。 (五オ) <かたくなる事> (ひ)ひぶくろ。<末にくわし> 兵糧{ひやうろう}をしめづける。<めし喰ふ事> 此外に方言{はうげん}多けれども。此書にあづからざる事は。もらし侍る。 (五ウ) 真女意題{しんめいだい} 神{かみ}は人の敬{うやま}ふに依{よ}ツて威{い}をまし. 人は神の冥慮{めうりよ}によつて. 幸{さいわい}有りと菊{きく}月の御祭礼{ごさいれい}の貴賎群集{きせんくんじゆ}. かまくら時代{じたい}のみご竹履{ざうり}より. 三まひ裏{うら}付の今の世にいたるまで. 蹴{け}上ケの塵{ちり}に交{まじはり}給ふ. 和光{わくはう}の影{かげ}は神鏡{しんきやう}の. 形{かたち}を天{てん}の月日に表{へう}し. 神楽{かぐら}の太鞁{たいこ}は神馬{しんめ}の勇{いさ}み. 豆{まめ}は女中のはな緒{を}ずれ. (六オ) さねかづらやらぎん出しやら. ぬらりくらりの花の露{つゆ}. 大こうあんがびん付ケに. 一トきは目立ツ御ゑいどう. 衣裳{いしやう}ごのみのひな形は. 若まつが能かろふか. 香煎{こうせん}かどうせふと. 物ずきしたる出たちは. 嘸{さぞ}やおやごの肩{かた}の張{はり}. 片{かた}うで脱{ぬい}だる舛屋がかんばん. いつわりなしは見せ物の. 丹波{たんば}の国の猫むすめ. タツタ木戸銭{きどせん}八文とは. (六ウ) ニヤンと。 安ひで御ざりましよ。 サア先の方お替りと。 ごつたにまぜる覗{のぞき}からくり。 わづか二間の箱の内。 唐土{もろこし}。 おらんだ。 忠臣くら。 梅幸が似顔{にがほ}は。 高麗{こうらい}屋と一つにして。 本屋の店にならへられしは。 嘸心外{さぞしんぐはい}にや有るべきと。 当推量{あてすいりやう}の光リ手あい。 そゝり小唄{うた}の鼻{はな}をはぢくは。 おみやげに持能ひのじや。 生姜{せうが}の匂ひと知られたり 折しも角{かど}の煮売{にうり}やより。 ほろ酔{ゑい}きげんの国侍。 (七オ) 仙台紬{せんだいつむぎ}の綿{わた}入羽おりに。 十六うちの長紐{ひも}を。 片ひざに結び下ケ。 花色太織{ふとり}に浅黄うら。 あき様ざうりを引かけて大小を貫抜{くはんぬき}ざし。 お高祖頭巾{こうそつきん}をのつけかぶり鳥居の方へのさり/\歩行 後{うしろ}よりけんぼう小もんの袷羽おりに。 合羽色のばら緒ひも。 岸縞{きししま}の小袖さつぱりと帯は黒なゝこの大名しま本多{ほんだ}くづしの意気{いき}なる男 [忠七]モシ奥右衛門様とちらへ御出なさります. (七ウ) [奥]コ.レ.ヤ忠ひぢ. どこさいきやる. 今日{てふ}や非番{ひばん}でいす故. 参詣{さんけい}に出来申た. [忠]コレハいゝとこでお目に掛{かゝ}りました. ソンナラ御一ツ所に参ンじませふ. [奥]旅や道づれ世や情. ソンダラ同士{どし}にまかるへし <と.くんじゆの中をおし分/\神前にもなれば柏手チヨン/\中音に六こんしやう/\の祓をとなへふし拝み/\> 主{いし}も.拝み.やつたか [忠]ハイもふ拝みました <とつれ立ツてそこらをぶら/\> 何ンとごろうじまし能く御宮が建ますね. [ヲク]あらくゑい普請{ふしん}もし <と.咄ながら吹矢の前へ行かはしんそこおもしろそうに> (八オ) (挿絵八ウ・九オ) 兔角{とこう}/\. おかなくゑい仕掛{しかけ}もし. ア.リ.ヤ真赤{まか}く塗{にじん}だ人形{にんごう}か舌{べろ}を出した <と.見とれてよねんなし> [忠]モウいゝかげんになさりまし. ちつと烟草{たばこ}に致しませふ <と.そこらを見て> コリヤアどこもおさかんた. 透{すい}た所へめへりましやう. [ヲク]ナニバ@国の釈迦堂{しやかだう}さ見るやうに. おかなくさかるちや <と.あるく内に土弓の音> アノきりん/\.どんがり/\と鳴{なく}はなにもし. [忠]アリヤア土弓さ. [ヲ]ナニ鞁弓{こきう}もし. [忠]イヱ楊弓{やうきう}さ. (九ウ) <程なくやしろのかたへなるきれいなる茶見世へ> [女]おかけなさへしアイお茶. [忠]お茶も当仕{あてじ}めへだす [女]ホヽヽつい云付たがくせになつてさ. [忠]ホンニおめへは中洲あたりで見たやうだ.か [女]アイ夏中は幾田屋におりやした. [ヲ]然らは主達{いしたぢ}や. 知り人{ひと}いし <と.茶わんとり上ケ> 此湯{このゆ}や.おかなひ埃{ごみ}もし [忠]ソリヤアおめへ香煎{こうせん}さ. 爰とあたかア.茶のかわりにみんな是でごぜへす. またつんとして.いゝやつさ (十オ) [ヲ]どふやら粉薬{こくすり}いみるやうだ [女]うさアねへ. <引手若者喜介> [喜]モシ旦那{たんな}高松屋へお出なさりまし. 子供衆も揃ツております. [忠]<厚板織の下ケたはこ入に銀のごけ張り少し指を下ケめにして> どふしやうか. [喜]マアごろうじてお気に入らざア. どちらへなりと御出なさりまし. 此ごろ氷川から来た. いゝ中としま衆{しゆ}がござります. [ヲ]<女郎と聞てほいやり> 忠公主{いし}やひまでゑすか. [忠]わたしやア. おめへ様ンへの勤だといやア. いつ迄でも能ふござりますが. (十ウ) あなたはどふてこさります. [ヲ]翌{あす}迄は非番{ひばん}もし [喜]ソンナアすぐに御出なさりまし. この節で御ざりますから. おそひといゝのはふさがります. [女]お出なさるならはゑへがいゝのさ. [忠]夫だがいまツからア半ン端{ぱ}だす. モウ何ン時だヱ. [女]アイ此通りさ <と.かけあんとうへひをともす> [ヲ]何{ねへ}ても角{けへ}ても. つけへねへ行{いき}.やれ/\ <と大せつ込み忠七四文銭をさら/\> [忠]大きにお世話. [女]おゆるりとおしげりねんし. (十一オ) <少しはかり歩とおもへは高松やの門口> [喜]<くゞりをぬつと> およしどんお客が有るよ. サアお上リなさりまし. モシ旦那. おこしのもの. [ヲ]ソ.リ.ヤふちかた棒. [喜]お小柄がござりませぬ <と.かみさまへ渡せば大小へもはき物へも番附の札を付る上はたらき.およし> [よし]サア二階{けへ}へお出な@りやし. 見通しに致しやしやう. ヲヤくれへ行灯{あんどん}だ. <と.かんざしにてかき立る.小ぢよく片手にさしたばこぼん.片/\にはしゆんけいぬりの丸ぼんに青きりのちやわんすわう色のどく/\> [ヲ]コ.リ.ヤ女中. そのすだれへまくりやれ (十一ウ) [忠]爰のすだれは上ケつこなしさ. マア下にお出なせへし [よ]おめへさまがた女郎衆は. [忠]いきな中としまを二ア人さ. [よ]ソンナアうつくしいのを見立ツて来やしよふ [忠]コウまちな. たしか氷川{ひかは}とやらから来た子が有じやアねへか. [よ]ソリヤアおかのさまンさ [忠]夫をおれに出てくんな. [よ]しかも今出し申ス内さ. [忠]有がてへ <とおよしは下へ行程なく酒さかな持てくる> [よ]サアお上リなさへし. [ヲ]マヅのみ.やれ. (十二オ) [よ]ソンナアお憚ながら <と.てうしてかつちり.> ハイお上ケ申やす. [ヲ]只ハアおかなくつぎやれ <と.一口呑て.頭をひつしやり> 伊勢や新平{しんへい}つけへねへ. コ.レ.ヤ生一ツほんもし. <と.こくうにした打この間少し酒もり忠七は下戸也> [よ]サアおいでなさへし. <と.女郎お大.とび色つむぎにくろしゆす帯.本田あけの切まへかみ銀むねをちよつとさし.かんさしで頭をかきながらびたり/\同しくおかの花色ちりめんに金なしもおるの帯髪はさつとたばねた斗.気しよくでも悪ひか面やせたれ共にくからぬ風ぞく忠七と顔を見合びつくりした体にてざしきへ直る忠七もきものつぶれた顔付にておよしにそつと> [忠]アノ二ばん目がかのか [よ]しれしさ. (十二ウ) [忠]ソンナアよし <と.あんどのやうす> [ヲ]忠公さしやれ. [忠]マアお順{じゆん}さ <と奥右衛門お大へさす> [大]<ちよつとのむふり> [忠]ヲツトよし [よ]モシおかのさまン [かの]おりよげへながらお近付のため. [ヲ]君のお盃{さかつき}い戴{いたゞく}も他生の縁もし. [大]ヲヤげんさんを{ヲ}見るやうな事をいひねんす. [よ]ホンニ夫で思ひ出した. 雲海{うんけへ}さんはどふなせへしたね. [か]今夜来なさるとつて.おいちさんが心まちさ. (十三オ) <とやこふいふ内膳出る> [よ]おめへさんかためしけへやし. <二人の女郎立> サアお上リなさへし. コレ金治どん. おめしばちよふ持て来な. <おかのかざしきのけぶりどうやらわけか有リそふ也> [忠]おめへは御酒のうへだから飯はあがられめへ [ヲ]ネヱナ酒へ呑んだれば迚. 兵糧{へうろう}しめつけるにや. つけへねへ事いし. ムヽあらくいゝ汁{しる}た. コ.レ.ヤ.姫のりもし. [忠]ナニ肴のつみ入さ. 平のはつ茸{たけ}がつかもなくありがてへ [よ]おけへなすつて上リやし. (十三ウ) [忠]モウそふは喰{くへ}やせん. ソンナアぐつと茶づりやしやふ. [よ]あなたお茶わへ. [ヲ]から飯いモウ四五盃しめづけて. そふた上で. さつかけべいチヤ. <たらふく飯を喰のめしぜんを下る.間もなく二人の女郎下には古き小袖を着.平くけを.ちよつとむすひ.はじめの上着をはおつてくる> [忠]サアもつとこつちへ寄なさへ. 思ひなしか.でへふ淋しいやうだネ. [大]此ごろきつゐもんさ. おもてはつかし賑{にきやか}でごぜへす. [忠]どふても霜がれになるからさ. ソリヤアそふと. アノはま松町の女郎の行灯は. (十四オ) ごふてきに奇れいでごせへすね. [ヲ]イヤソ.レ.ヤ.見ぬ事いし. 只たくさんに有ツたのは. わくにはつた火袋{ひぶくろ}もし. [かの]ヲヤひふくろたア何ンのこつたヱ. [ヲ]ハテおつべし行灯の事もし [大]ソリヤアマアとんな物だへ <と二人ながら笑> [忠]アリヤアてうちんのお国ことばさ. [ヲ]物の名も所によりてかわる也. お江戸のちよぢん国のひぶくろ. イヤ忠公. アノ鳥居のまへにならべて有るちつこひ箱は何ンてごいす. (十四ウ) [忠]アリヤア搏風{ぢき}とつて. 爰の名物さ. [ヲ]おれやナニ小人嶋のおかわだんべいとおもつた <と咄の内となり二かいてげいしやのこゑ> [大]アリヤアたしか乙吉さまンの声だよ. 「天が下恋と情{なさけ}はうらおもて. ほれて見さんせいとしけれともかとごさる [ヲ]<つく/゛\聞入> 何のハアかたかんべいチヤ. ほれた中だらじだらくだんべひ. [三人]うさアねへ <と笑ふ内に女来る> [よ]サアちつとあちらへおいでなさへし (十五オ) [忠]サア奥右衛門様ン <とつれ立床へ行中ろうかにあんとうを置き床を二間に分てとる> コリヤアしんに有りがてへ. 割床といふやつアどふも気ざな物ンだよ. [よ]そりア又通さ. [忠]置アがれ [よ]モシ例{れい}こくを [忠]ぐつと今夜アぶんながした. [ヲ]おれが銭{びき}も遣{ヤ}るべいチヤいくらもし [よ]宵{よい}とまりで一ツふんさ [ヲ]ソ.リ.ヤ.取リやれ <ともへぎらしやに金入裏のはながみ袋よりなげ出ス> [忠]ソレよしか <と南鐐二まひ> [よ]アイおゆるりとお休みなさへし. (十五ウ) <と下へおりる女郎来る> [大][か]モシお休なさへし. [忠]モウおよりやし [ヲ]寐ろなら寐るへし <とてんての床へはいる> [大]おめへの羽おりやア何だヱ [ヲ]是もしか コ.レ.ヤ.かな山の霜ふりつむぎです <といひながらとびさやの帯を前へ廻しよこにころり大きせるをとりあげ> [大]ヲヤどふせふ煙草がねへ. [ヲ]おれがたはこさ飲なさひ [大]コリヤアとんだ色のくろひたはこだね [ヲ]ソレヤおいの河原{かはら}もし [大]ナンダさいの河原だヱ (十六オ) [ヲ]ねへナ.おいの河原といふ所の烟草でゑす [大]ヲヤいとこのかはらが聞てあきれる. ソシテどふやらきつそふだね [ヲ]ナニハやつこひ事いし [大]ホンニ人にやア添{そつ}て見ろだ. 見かけによらねへ. やアらかなたばこだね ドレおめへのきせるを見せねへ. ヲヤとんだいゝかる張{は}リたの. コリヤア水にうきやすか [ヲ]あづらへて拵{こしらへ}たから. 御当地などに有るよりは. かるひ事もし. (十六ウ) ぞよう風が吹て来ると. 空中{くうぢう}へ上るでゑす. [大]ヲヤとんだむだアいひねんす <と云なから夜着の中へむく/\> [ヲ]爰の家内{けね}にぢうろしゆや. いくたりごいす. [大]わつちまあし十七人さ. モシおめへがたのお国にも女郎屋が有るかへ [ヲ]お国の肴町に茶屋が有るが. 又お長{でう}といふが. おかなく. いつくしないじや. あかねうらの七寸ぶきイ着{き}かけて. ナニハ朱{し}ぬりの駒下駄{こまげた}アはいてありく. (十七オ) いきび風{ふう}だ. 天人の影向{ゑうごう}もし [大]いきび風たア何ンの事ツたヱ [ヲ]ハテ臀尻風{どんじりふう}の事いし. [大]ヲヤついぞねへ. ソシテおめへの来なんす時分はやつた唄{うた}でも有つたかへ. [ヲ]おれや先月のはづか頃に. お国よ出来たが. 其時分はやつた唄や. 兔角{とかう}すべきやうもなく. 能々書た文句もし [大]どふぞうたつて聞かしねへ. [ヲ]<どう声をはなへぬいて> (十七ウ) 「爺{ど/\}と嚊{がゞ}とがアむしで. 夜{よをろ}になアると. ぬうだり/\. 這出{はいで}来るチヤアくつちやく/\ [大]おかのさん聞ねへ. とんだ唄{うた}たの. ヲヤおめへがたアもふ寐たか. [ヲ]<声をひきくして> コ.リ.ヤちくとこ@ちさ. よりなさひ. くらわれや. おかなくしこつた. [大]ソリヤア何ンのかへ名だへ [ヲ]<大か手をとつて> これや此事もし [大]ヲヤ馬鹿らしひ何ンの事ツたな. [ヲ]サア足イはだけやれ [大]少{ちつと}まちな. (十八オ) サアよしと <是より少しの間はなしとぎれる忠七おかの何かとんだしつほりにてはなし声もしめやかなり> [か]ほんに縁{ゑん}といふもなアあぢな物ンだね [忠]おれも顔を見合た時やア夢のやうな心持だつた. ホンニ氷川から来た子と名ざしよふしたも. 大かた虫のしらせだろう [か]ヱヽもふじれツてへ. いゝてへ事アいくらも有るが. あんまり嬉しくつて. ひツとつも出ねへ. わたしもおめへの顔をみると. (十八ウ) つもる事をはなしたかつたが. およしどんのめへも有り. お大さまンは口わる也. しらぬふりようして居やした. 私も親たちに別れてから. 四ツ谷の兄さんの所へ行て居やしたが. おやしきイ奉公に出すとつて. ちやんと氷川へ売ツてから. 欠落して仕めへなさる. ほんに憂{う}ひ事もつれへ事も. 誰{だれ}にこふと相{そう}だんする人アなし. 嘘{うそ}かアしらんけれど. おめへの云ひなすツた事が. (十九オ) 身にしみて忘{わす}れられねへから. いづれちよつとなりと逢{あい}てへとおもつて. 文づけへを頼んで. おめへの所を尋たが. 神田にそんな紙屋アねへとつて. 三度ながら只けへる. なつかしゐとじれつてへで. とう/\気病にやみ出して. 客衆のほうはねつから勤{つと}めずくらげへして. こけへ来やした. ホンニどふした廻り合で. フツト今夜逢ツたやら. (十九ウ) わたしはまだ夢のよふな. 心もちだよ. <此はなしのやうすをみるにおさな名しみの地色と見へたり> [忠]おれも神田の親方が田舎へ引ツ込しつてから. 川越へ戻らふかたア思つたが. 迚もの事なら江戸で挊で見やうとおもつて. 方/\と聞立たが. 芝口の鼻紙袋屋へ口入する人が有つて. すみ込ンて居る内に. どふやらこふやら. 烟草入がたちやア. ぬいならう. 実体{じつてい}にして居りやア親方の気に入ツて (二十オ) 始終{しじう}は養子{やうし}にするとつて. 子も同前にして下さる. 何やかやで工面もよし. アノ連立ツて来た客人も出入屋しきの御家中さ おめへの事も一ツたん女ぼうにしやうと. 生血{いきち}まてしぼり合つた中だから. 末/\砂にかふり付ても. 夫婦にならふと思ふから. 川越へ便の度に. 伊介とんの所迄. 文を頼んで遣つたが. 届かねへもどうり. ホンニとんだ身の上になつたの. (二十ウ) 成るほど人の行衛と水の流りやアしれねへもんた [か]夫でさつはり訳{わけ}が知れた. シタガ別てから丸三年になる内. 何ンそ意気な事も出来たろうし. 嘸わたしに逢なすつたが. うるさくツて成めへの [忠]ソリヤアそつちの事さ兄さんに売れたのか. 色男と欠落したのか. 地めへ稼{かせぎ}で續{つゝ}けて遣るも. いけへ事有る点{てん}さ. [か]<なきこゑにて> おめへそんなむげへ事をいひなさる. (二十一オ) 是見なおめへの手でほつて有る此忠の字が証拠{しやうこ}だアな. [忠]ナゼ [か]なぜとつておめへ. 色事をするくれへて. 此ほり物を消{け}さずにおく物か. おめへを人にして見な. 死ね死ふといふくれへでこんなほり物をうつちやつて置なさるか. 又そんなに根ぶかひ事てもなかア. 誰がすいけうに身をうるもんかな. いかにした手なもんだとつて. あんまりな事を云なさる (二十二ウ) [忠]ソンナア夫でよしさ. 何もなく事アねへはナ. 意気な事ても出来たろふの. 逢{あつ}たかうるさからふのと. 心にもねへ事をいわれたから. おうねへそつちの心に. 引くらべての事たろふと. 邪推{じやすい}の廻ツたも. いやみをいつたも. 平ツたくいつて見りやア. うそツこなしにほれたからの事さ. [か]ソンナア是から今のやうな事. いゝなさらねへか. (二十三オ) [忠]モウうたげへも何ンにもしねへよ. [か]やつて置ひ@きしやうが有かへ. [忠]夫がなくつてどふするもんだ. <とふところより.ぶつ込のはな紙袋を出し> ソレ角もすれすにちやんとしている <となげ出スきしやうと一ツ所に候べく候の女ふみ> [か]コリヤアなんだヱ. [忠]ソレかそりやア内の娘御の付ケ文さ. [か]ドレ見せなさへ <と.やつきとして引たくり> それみな. 口ぎれいな事をいゝなすツて. 是だものを. [忠]マア何ンだろふと読{よん}て見た@. (二十三ウ) [か]読{よま}ねへでどうするもんた 〔文〕「あまり/\つれなき御心ゆへ御気にいらぬ身をはかへりみずおよばぬ御うらみ申あけ候べく候 〔忠〕夫ててへげへしれたもんた. モウ読まずと置たかいゝ [か]シテ器量{きりやう}はどん.なだへ [忠]つかもなくかあゐらしい. ほつとりとしたふり袖さ. [か]ナゼ夫にかまひなさらん. [忠]ハテ十八のとしから. 云かわした. (二十四オ) 命かけての女が有から [か]ソリヤアどこに [忠]ツイ爰{こゝ}にさ <と引よせられ> [か]ナニうそや <といふ声も.とぎれにておもしろくなりかゝつた@中時の鐘かこん/\> [大]モウ八ツになるそふだおかのさま/\ [か]なんだナ. [大]ちよつと下へ行ツて来よふか <と云ながらたはこぼんの引出しより名の書付た小サな木札を出ス> [ヲ]<起きかへり> 其札や何ンていす. [大]何ンでもさ <と上そうりばた/\> [か]じきに行て来るから. 帯をしめずに其なりで居な <と是も木札をもつて下へ行是はねずに勤るといふ所をかみさまに見せるの也> (二十四ウ) <此事近ころはやみたるよしなれど忠七おかのがうま事へ月に村雲花に風ちよびとさく者のやきもち也> [か]<ぢつきに二かいへ戻リしやうじひつしやうすぐに床へはいり> もふよつほどさむくなつたよ. ちよつと下へ行て来ても. こんなに足がつめたくなつたよ. [忠]ドレ [か]ソレみな [忠]ホンニかなつこほりのやうだ [か]かたから風が来るしやアねへか [忠]ソンナアこうしやうか [か]久しぶりだの <此あとは御すいりやう向ふ部やには坊主客うん海女郎おいちがこゑとして> [市]コレ起{おき}ねへな [雲]ムヽなんだ. おらアねぶつてへ. (二十五オ) [い]ソレデモおきなよ. [雲]ヱヽそんなに出家をいぢめるな. [い]何ンだ出家だヱ. ほんにおめへもむしがいゝぞ. [雲]ソリヤアなぜ [い]なぜとつて. 肴ア喰ツたり女郎を買ツたり. 只の衆よりやアおしがつゑゝ [雲]置きやアかれ. いわしやくひたし女郎とア寐たしたアむかしの事よ. いまの世界て女郎を買はねへは. 十六羅漢{らかん}とおや玉ばつかりだ. [い]そりやアそふと. 此ころはナゼ来なさらなんだ (二十五ウ) [雲]ハテ銭が皆無{けへむ}だからさ. つリ鐘{かね}ヤア大きくつても南鐐の替リにやアならずか. 世間の医者{いしや}が上手だか. 業道{ごうどう}めらアくたばらず. ひやうし木で擲{たゝき}出すより外工面{くめん}しかたに雪{ゆき}の空. @明寺{さへめうじ}もときを遣ツたのさ [市]ナニうそや. ねんぶつに出るものが. 夕べのくれかた日和下駄{ひよりげた}て. 門ン前ンのほうへ行ものか. おゝかたどこぞの囲{かこ}ひものと色事でも出来たろう [雲]また見通しから覗{のぞい}たな. 色事しやア無かつたが. (二十六オ) 俊了{しゆんれう}ぼうがれこさで. 鼈汁{すつぽんしる}を拵{こしら}へたから. そりよヲ喰に行たのよ. [市]ヲヤ気味のわりひ. おめへすつぽんを喰なさるか [雲]ウヽサ橋池{はしいけ}のすつぽんはみんな腹{はら}へ葬{ほうむら}ア. またおこしや落雁{らくがん}で. そだつからしやうしん物も同前{とうぜん}さ. [市]ヲヤ憎{にく}らしひ口だの. ソシテその囲ひ者ヲ俊了さんとやら斗か [雲]斗リかたア. [市]ハテおめへ方の囲者ア. 二三人てもやうしやアねへか. (二十六ウ) [雲]こゐつアきつい. とうしてそりようしつて居る. [市]どうしてでもさ. おふかたおめへも組合だろう. [雲]いんにや. おりやア仲ケ間はつれさ. [市]イヤさつからとんとわすれて居た. おめへやくそくの寐どうぐはどうしてくんなさる. [雲]夫も此ごろいふ通リ. 廿日過に法事も有る. 手に入るむじんも有るから. 半金ぐれへはどうともしやう [市]まちがつちやアならねへよ. [雲]ハテうたげへの深ひ. 夫じやア成仏{じやうぶつ}アならねへよ (二十七オ) [市]ヱヽおめへも久しいもんだ. モウ寐よふしやアねへか [雲]用がすんだらモウ寐やうか. 夫しやア手めへ牛{うし}になるぜへ. はらツこなしに. こつちイ寄ツたり [市]<寐声にて> ヱヽおめへも付けがあれへぞ <と爰もひつそとなる奥右衛門はのつたりそつたりお大が来るをまちかね> [ヲ]〔歌〕「岩{いは}のはざまの鹿子{しゝこ}めや. 生れおぢると頭{かしら}ふる. <キツザコ/\/\ヤピツピコ/\/\ヤと壱人うたふている所へかた手に火入をもち> [大]「義理{ぎり}一ツぺんのあだ付きは. けつく心のもめるたね. <と小こゑに新内ぶしをかたりながら障子をさらり> (二十七ウ) まだおめへ寐なさらねへか. 世によろしい化{ばけ}ものなら足をあらつて寐る時分だアな. [ヲ]何ハア夜のふけるや. 何時でもつけへねへ事もし. 夜番{やばん}に当つたばんげは拍子木{ひやうしぎ}イぼんがり/\鳴らして. おやしきイよつぱらありく事もし. [大]ソンナアおめへ折介かへ [ヲ]ナニおれが名やおく右衛門もし. [大]ヱヽモ中間かといふ事さ [ヲ]身がお役目や足軽{あしがる}てゑす. マタ主{いし}が顔{かほ}を詠{ながめ}てや眼{まなこ}をつぶして. (二十八オ) ねまられべいか. 命たくりの君さまめ [大]よく人を嘲{てう}しねへす. 吸付て上ふか [ヲ]マツねまりなさい. コ.リ.ヤ.いしに少{ちく}とむしんが有 [大]何ンだへ [ヲ]いきびイたくらせやれ [大]何ンとへ [ヲ]<手を丸くして> この無心もし [大]ヱヽおもひ付でもねへ. そのくれへなら. あすこのかげま茶屋へ行なんしな [ヲ]いしもとしろなしイ語リやれ. 若衆{わかし}やいしたぢより南鐐一ツ片高ふごひす [大]ヲヤきたねへ事をいひねんす. ソシテかげまもちけへこらア弐朱{にし}たかな. (二十八ウ) いきたかア今でも行な. 夕べろくに寐ねへから. ねむつたくてならねへはな <と@しろを向て狸寐入> [ヲ]コ.リ.ヤ.いしがそだにうしろを向てや. おかなく不工面{ぶくめん}てゑす. コ.レ.ヤ.こぢきなさい. 主{いし}やそれへふるといふでいすか <とこよりを拵へ耳をくす/\> [大]ヱヽよく人をいぢめねんす. する事が有るならどふともしてねかしてくんねへし. マタ翌{あす}が有るもんだアな [ヲ]ソンダラこぢさ向なさひ. (二十九オ) マタそふた顔付やおかなく悪{わ}りくねへじや. [大]わるくつても能くつてもいゝのさ [ヲ]そだに腹を立てやるな. いきびのむしんも否{やん}たらよすべし. モチツトこぢさよりやれてば <と引よせる> [大]とふとも仕ねんし [ヲ]<鼻声にて> その袖をのけなさい [大]舌{した}がくずれていてへから. どの客衆にもかふして居やす. 何の角のといわずとはやくしめへなんし <と情けもかぎも@きあしらい也> (二十九ウ) <此所のならひとて羽音羽たゝきおひたゝしくコツケツコウ/\> [か]アレ@がなくはな [忠]ハテ鳴たとつて. どふするもんだ. 居所さへ知れて居りやア. マタいつでも逢れらアさ [か]ソリヤアそふたけれど. 夜の明るがしみ/\いやだ [忠]おれだとつてうれしかアねへのさ [か]ナニ内へけへつて娘ごに逢ふとおもつて [忠]またしやうこりもなくそんな事を. 此口が有るからやかましひ. [か]ふさいでくんな [忠]知た事さ. コウしてふさがア (三十オ) <と.ちうといふ@@聞@しは.何の音やらまたひつそりとなりけれはおくよりはみれんなしに> [ヲ]コ.リ.ヤ忠公モウ東か真赤{まか}くなつた. 起やれ/\ <と高呼はりおかの忠七は楽しみもそこ/\> [忠]モウおけへりなさりますか. <小こゑになりて> いめへましいけへらざアなるめへ. [か]ドウソ今夜来てくんな. 私か方で仕廻つて居るよ [忠]さつからしつアかくして居たが. 文を付た娘といつしよにするとつて内証に. 相だんか有る. なんにせい. 今夜来て. 相對{あいたい}つくで了簡{りやうけん}しやうはサ [か]了簡とつてどふしなさる (三十ウ) [忠]ハテ生て添ふか死ンでそふか. はなれねへ了簡をさ. [か]夫ほどにおもつてくんなさるか [忠]ハテしれた事さ <とこくうむせうにありたい事はかり> [ヲ]ア.リ.ヤ.@{とり}がきつかう/\鳴くは. サアいくへい [大]むかしやア輪@{わちげへ}/\と鳴たそふさ. <忠七は羽おりを着ながら廊下へ出るかのはしほ/\と付て出る目のくぼみしはうまい事也> [忠]モシお大さんとやら夕べはとんと咄にもめへりやせん. 是からア又お心安く [大]お頼ん申やす <はしことん/\若ひもの> [喜]ハイおこしのもの. (三十一オ) おはき物は. どふてごさります. [忠]草{ぞう}りやアあなた裏付はわつちサ [ヲ]コ.リ.ヤ.若へふと寐間に有るてつぺん袋をとつて来てくんさい. [大]何をへ [ヲ]てつへん袋もし [大]何ンだかむちやだす <といひなからはしごを上り笑ひなからばた/\> 何だと思つたら頭巾の事さ [ナ]コレ.ヤ.お世話 [大]お慮けへ申やした [か]<小こへにそつと> かならず晩によ [忠]ムヽ承知{しやうち}さ [喜]よふ御出なさりました (三十一ウ) くゞり戸のぐわら/\も. 戸ざゝぬ御代の. 御いさほし. 神楽{かぐら}の太鼓{たいこ}のどろつくに. 八声{やこゑ}の鶏の東天紅{とうてんこう}. 誠{まこと}や諫鼓{かんこ}苔深{こけふか}ふして. とりおどろかぬ君{きみ}が代の. めでたき春{はる}の御笑草{わらひぐさ}と. かひつくるものならし. <後編>娼之意知{しやうがゐち}追而出来 (三十二オ) ------------------------------------------------------------- 注)データ中の@について (JISコードにない漢字の再現,および判読不能文字に対応する洒落本大成本文の該当箇所) 一オ七 @=云(上部)×鬼 一ウ六 @=号×乕 二オ十 @=魚×止×止×止 四オ九 @=しんにょう×麦 九ウ十  @_cf. 大成355上6「お」 十一ウ十 @_cf. 大成355上16「さ」 十八オ十六 @_cf. 大成358上16「つ」 二十三ウ二 @_cf. 大成360上3「た」 二十三ウ十四 @_cf. 大成360上8「り」 二十四ウ六 @=うかんむり×取 二十六オ六 @=うかんむり×取 二十九オ四  @_cf. 大成362上10・割注「う」 二十九ウ十三 @_cf. 大成362下4・割注「な」 三十オ二     @=奚×隹 三十一オ六・割注 @=奚×隹 三十一オ八    @=しんにょう×麦 三十ウ一・割注 @@聞@_cf. 大成362下12・割注「音の聞へ」