「意妓口」解釈データ 凡 例 ・匡郭の外側で上部にある注は、「上欄注」と記した上で、〈  〉を付して記した。 ・「「」は原文中の庵点を表す。 ・漢字の読み方については、固有名、連濁等も含めると確定できないものが多いが、いちいち注すると煩雑になり過ぎるためこれを略した。 ・原文「さ」に半濁点のついた語については、現行の発音に近い表記とした。 例)さんかつさ゜ん→さんかっつぁん ----------------------------------------------------------------------------------- おぼえ ひとつ にかいへこたつしかとつかまつりもうすあいだしくこと ひとつ かしまであんかもちだしそうらえどもふうれつのせつかたくむようのこと ひとつ きゃくじんのみのようじんたいせつにあいまもりべくもうすこと つきひ (扉/丁なしオ) いきのくちだいげん しんろていしゅじんせん(@注1) さきにかみなかちょうのほんだなをあらはしことししもなかちょうのでみせをへんず みんぴとのほくりしへいこうきのたぐいしゃれほんのもとでにしてしんのまんおうがいたきょうきにならってこのどきょうきをつくる かのふなやどのこたつはあんかにしてなじみのとこのうちをおもいださせここにおしうりのひなわうりあればけんばんにていりのにかけなんばんあり (序一オ) けだしよしわらのごちょうふかがわのせんちょうおなじみのげいしゃかいはいまのたいふはおりがなをしらず ちょうはなたねのはなしらず なたねはちょうのあじしらず きみにあうののよるのつるおばなかもとにまねかれてはちょきのあやうきをわすれかしばがあくるおおとのかぎはきぬぎぬのねぶりをさます さんしゅんかんのあきちはいまむなしくぺんぺんぐさにいちやのゆめをなげききのうのしんこきょうのいたがしらとなる    (序一ウ) これをやよせばのはちまんにそなういきのくちという [まわし]さんかつさんみのやへでます おおかたはんしっつぁんだろう みのやというとうれしそうなでようだ とはへやのそねみ (序二オ) したからのさけはたんなのなさけ うろたえてでることはねえ おまんまでもたべていきなとはおかみさん(@注2)のわるずい いえとおしになるおきゃくだからちゃやでたべます とはこどもやをでるすてことば まつみなりゃこそ たたみざんそのそろばんつくをむねとしてよきんらいよしわらをたってふかがわのちょっきりあそびをよしとす (序二ウ) ただみせのひまをおしむゆえんのほうなり ふそうきょうへんぎょべいしのいんし ふでをさんようちょうじょうにそそぐ もんじん かんとうべいしゃ (序四オ) こどもやのへやがやがやたるず とやについたこ くちがかかったこ よいとまりのあるこ おんなかみゆい あいているこ (序四オ挿絵) しまいのあるこ ひきまゆをおとしたこ たまのちょうをみているこ ようじをつけたこ (序五オ挿絵) どきょういきのくち もくじ だいいっかい あかねやはんしちふなやどにおいてにょうぼうそのがかねのさんだんをかんず だいにかい みのやさんかつよいどまりのみとおしにえんのあさなおしをかきおきす だいさんかい うちでせきぢゃにかけありへやであぶられよんどころなくつきいだすきれぶみ <ふかがわけんばん>いきのくち しんろていしゅじんせん だいいっかい はなはさかりにつきはくまなきをのみみるものかは げんしょうにちやひんがしにながれさるえいたいばしのひとおとはいえきながやのではいりにひとしくしんぼりのかしくらはしるしのやまがたあいかたのびんさしかとうたがわる さればよしなかともえごぜんのくらたこのあるももにうちこみよしつねしけのばんにさかろをおしてしんちのはなをのっきるはしずかというはおりが<あささのあすさ> (一オ) まだまだのいたこにせっこみこううのやまをつんざくいきおいもとこばなれがのろくぐしがあさなおしとなりしんりょうのこうしょくはちょっとかりをしょかいのつらでほかのとしまをよびそんちょうのちょうさいぼうはげいしゃかいともちあげられてぽちぼちぼち なおしのかきつけによいをさましとうしゅのあきないじょうずもしんぞうのさんだんにおよばず とうばがせきへきのつきみもあにふかがわのよみやをおもわざらん (一ウ) つかいすごせしあさがえりはとんだわるいこころもちとなりこうかいさきにたたざればちょうちんもちをあとにたてるとおなじくおおかわのこいかぜはうわきなつらをなぐりうちかわのあさひはめがさめてからねぶし げにもじょろうがいはよがあけてからおさきまっくらとなるものか じょうろのかくすことなれどまちびとにはさかずきをしたしめでしばりおけばそのきゃくかならずきたりにくしとおもうまじないにはそのきゃくのまえのすんをとってこよりにむすびねたるとこのたたみのしたにひそかにかくしおけばきゃくそのこよりをとりすてぬうちはたのおんなとおうてもかのことはできぬとなり (二オ) かくこんたんをしつくしてはすいかうりのあんどうもしろかみでみせかみやがてならいのししょうへねんしのれいにくるはなんのためなるかとおもえばたなばたのたんざくをうらんしこみとぞ かくさきからさきへくぐるよにあるものはじょうろのまことなきものはきゃくのしんせつなり (二ウ) そのまことをかんじてはなおにげべくきれべきはこのまどいならずや ああおもいにはどうしたはなのさくことぞ 〇<ここにふなやどのきをならべしなかにあっちらでとおりのよきいっけんのふなやどやまとやとかきしかけあんどうはよさべえがひついをあらわしそうどうこのかまのふたはいちのとりいのごとくごたいそうなり [にょうぼう]はあっちでざしきをしていたあがりゆえしろうととちがいはなしがあうゆえきゃくがおおし かたぼっけにてぶつだんのみっつぐそくをたすきがけでみがいてる ていしゅはいろでもったなかゆえなをよぶ> [にょうぼう]げんさんかんてらをみてくんなせい [げん]いちやろうはどこへいった <いちとはうちのせんどうのことなり> [にょうぼう]かしへいきやした <というところへみせもののまだあおいきゃく あとさきをみまわしてにこにこしながらかどぐちをひょいとはいる> [にょうぼう]おやじょうすけさんおいでなさいまし (三オ) きついおみかぎりね <といいながらちゃをだし> おとりさんからふみがまいっております <とじょうさしのふみをみわけてだすをいちのとみでもとったようなかおでさっそくふうをきる> [じょうすけ]ごようすかたがたもうしあげたてまつりそうろう まずとやじじのおんささわりあらせのうごきげんさまよくおんいらせあそばしそうろうやうけたまわりたくぞんじあげそうろうそえましわがみこともかわりのうながらえおりそうらえばおんきもじさまやすうおぼしめしくだされかし (三ウ) [じょうすけ]きもじさまとはたがことであろう [にょうぼう]おあんじなさるなということさ [じょうすけ]さあよめぬわ <とふみをもったてがうれしそうにふるう> 「さてとやおまえさまおんことはせんじおんかえりのせつさっそくおんいらせのようにおおせられそうらえどもおんいらせもなくそうらえばしみじみくろうになりじれったくふさいでばかりおりそうらえばすこしはふびんとおんくませくだされせめておりおりのおんはこばせありしそうらえばうえのうおんうれしくそれのみかみかけいのりたてまつりそうろう」 (四オ) ちくしょうめ [げん]ちくしょうとかいてはございやすめい [じょうすけ]「またまたおんはなしもうしあげたきことそうろうままいずれにさんにちのうちにどうぞやおんうちのしゅびあぞばしそうらいておんいらせくだされかし」 はなしがあるとかいてあるがなんのこっちゃろうな [にょうぼう]さればねえ [じょうすけ]「まことにもうしあげたきやまやまなれどごらんもあるまじくとなにごともおんめもじさまとたのしみにもうしのこしたてまつりそうろう (四ウ) めでたくかしく 「つさちくるいかんとんびめ」 とりより じょうすけさま なにべいだろうね [にょうぼう]おんもとへさ [じょうすけ]えろうかきくさるわえ     <とおさだまりのかえすがきからにさんべんくりかえしみておりめただしくたたんでかいちゅうするあそびもこのうちがほんのたのしみなり> 「ささいてやらずばなるまい はようふねをこしらえておくれ [にょうぼう]おいでなさるはいいがせんどのようにおずるけはなりませんよ [じょうすけ]げいしゃもかわん たったしちもんめごぶきりじゃ <というところへせんどういちかえりかたのてぬぐいをとるがあいさつにて> (五オ) [いち]なかがしはでやせんからおおさんばしへまわしやす <とろをおろす> [にょうぼう]にしだからふりもしめえ とまはいるめえのう <といいながらまくらばことうすべりとせんどうのあわせをふろしきにつつんでえんばなへだしておく これはみとおしへきがえてでるのなり> [じょうすけ]せんしゅうしおどきはよいかな とんともうきがせく おいそぎじゃ <とそそくさのみかけたきせるをかかてえていれかかる> [にょうぼう]それまだすいがらにおひが [じょうすけ]とんとやけじゃわえ <とたちあがってそばにあるちゃわんをけとばすところころとこけていってちんがよくねているかごのなかへはいるとちんきもをつぶしてとんででる> [ちん]わあんわあん [にょうぼう]ばかじょうすけさんだわ [じょうすけ]ちんにおれがなじみをみせたいほんまのといちじゃ (五ウ) [ちん]わあん [じょうすけ]こいつはたまらぬ <とにけだしながら> かしまでおおくりはかえってはなやかでわるいじゃ [にょうぼう]さようなら <とはきものをなおす> [ちん]<もあかりはなまでおくってでて> わあん [にょうぼう]いちどんよっつまえにつれもうしてけいらっせいよ [じょうすけ]ちんおさらばようひく <とかけだす> [にょうぼう]もしおてぬぐいが [じょうすけ]ほい <とたちかえりそのてぬぐいをとってじだらくにかぶるとや> [ちん]わあんわあんわあん [にょうぼう]きついおせっこみさ [げん]こいつもでいぶつらがしゃくんできたの [にょうぼう]おそつさまのおもりものをやるからもひとつわんといえ [ちん]わあんわあん ▲<さてきゃくはちんにおいだされておもてかぐらへといそぎいく たましいははやすそのじしんばんのわきにあがっているべし (六オ) かくようをかかえたせわしないきゃくがおおければよびだしのきりをきるもよきあんじなり さればごふくやにゆうべけのごろくにんずつたえぬももっとものことぞかし これはそれにはひきかえあかねやのはんしちがむすめおつうをおぶってくる> [うば]わっちらがだんなさんはこっちらにおいでなさりやすかえ [にょうぼう]おやおんばどんおとうどうしいの [うば]これをだんなさんへ <とそのよりだんなさまとうわがきしたふみをだす> [にょうぼう]ごしんぞさんはよくやかましくおっしゃらねえ [うば]ついぞなんにもおっしゃったことはございせん [げん]おこしもうしやな <とどてらのなりでしゃみせんをかかえてにょうぼうにけいこしてもらう よしわらすずめをつめのさきでひく> みくだり「そうしたききくとしらぎくのおなじつとめのそのなかにほかのきゃくしゅはすておぶね (六ウ) [にょうぼう]もしえおかみさんからなにかきゅうなごようをおっしゃってつかわしゃりやしたよ <とゆりおこす ここにあかねやのはんしちはじょろうかいにもってこいといういろおとこにてとしはまださんじゅうになるかならずとみえてはばのせまきほんこくらのおびにらんたつのとうざんのあわせ おくみはしまゆうきでどうをいたじめにしたあわせかさねがひざっこのとこでちらとむくれきゃくふとんのうえにわりさんしょのりゅうもんのはおりをかけたままたわいもなくねているはどばしのさんかつといきしのうというちゅうとてふとしたことからもつれだしせっこんでゆくわけとなりよどまりひどまりのうえこのごろくにちぶんながしのけさのかえりにちょっとよってやきしょうがのあさちゃによいをよびだしてぶったおれたままいまおこされてめをさまし> (七オ) [はんしち]うちからつかいがきた やしきのようだろう ああとんだわるいはらあんべいだ <とにょうぼうからきたふみのふうをきるとなかからこつぶがいくらかあるをとってかねいれへいれながら> おつうきたか かぜをひかねえようにはやくおっかさんとこへいきや [げん]おんばどんかわびたりのもちをくいにきさっせえよ [うば]あい <とおつうをおぶってかえる> [にょうぼう]またさっきさんかつさんからおてがみがめいりました <とふみをだす> [はんしち]ばかなつらなばんにきてくれろだろう <とふうをきる べにふででこせんしへごろくまいかいたをみながらかおいろかわる> [にょうぼう]なんといってよこしなさいやしたえ (七ウ) [はんしち]びょうきでひっこむからにさんにちきてはわるいといってよこしたがあすのまつりふつかのしめえもちっとこころついたこともありなんにしろがってんがいかねえ きてはわるいということがいっそくばかりかいてある いまからいってくろいともあかるいともあらってみるぶんのことよ はやくふねをこしらえさせてくんねえ [げん]あのこもなまごろしなことをいってよこした うっちゃっておきなせえし (八オ) いっぽんいれさせてなかへのっこむほうもありやす あすもまたすきにいかれるこってごぜえやすわ [にょうぼう]あのこもそういってよこしなさるほどではこんやおいでなさっちゃぁむだができましょう ごしんぞもおっしゃらねえほどむねでおあんじなさるもんだからあんどさせもうしてそれからまたおいでなさいまし ほんにきまぐれなだんなだよ おまえさんはなぜそんなだろう <とひんねじたふみがらでひばちをみがく> (八ウ) [はんしち]はやおのきれたゆめをみたからのりだすなというしらせだろう こんなやさきにいってはかならずわるいもの こんやはうちにねやしょうよ <となにくわぬかおでそとへでる> [にょうぼう]おおくりもうしましょうか [くれむっつのかね]ぼおん [はんしち]おそのとさんかつとはたとえてみればみやまぎとみやこのはなじゃなあ ▲<かくてはんしちはうちへかえらずむりにいちざをこしらえてつれのふなやどからのりだす そのわけはしょうばいにするちゃやふなやどへもめんぼくないほどあしがちかくかんをつけられるみのうえはみなこころのひがみからひとをうたがうこのじせつ ひとりではいきにくきわけなればなりかかるふかはまりとなりてはあそびくがいのつらさにまさるじょろうがいはただあさぎこそよけれ (九オ) 第二回 〈上欄注 ここのうちにはなるこがなきゆえよぶなり〉 [うらのさんばし] <にてせんどう> みのやああみのやああ [にょうぼう]<ともえのもんのちょうちんをさげてでてきたり> おやはんしちさんどなたもおいでなあいまし <とやねぶねのみよしをとらまえなかをみるとちょうちんのもんがいつもとちがっているゆえ> やまとやさんじゃぁございやせんねい <というはほかからのってきたゆえなじみのふなやどへちゃやからしらせてやることなり> [はんしち]よしかしのごじょうやというきのきいたふなやどさ しらせてやらずといいぜ [にょうぼう]それでもやまとやへあとでねい [はんしち]よしさ さああがんねえ (九ウ) [そろべえ]なにあがれこけがさざいどうへのぼりゃぁしめいしこのふねもありのえじきになるだろう <とわるぐちをいいながらさんばしへあがる つづいてくぐりでるは> [ごんはち]これさまちねえ あのわんのなかへひよぐりこんでみせよう <とさすがふかがわ(@注3)つうののりなれたとてもやってあるふねへかからぬようになにもごしょうとおぼしめしがもったかけわんがよしごのそばにいっちょうあがっているなかへしょうべんをびんさしのようにひよぐりこむ> [にょうぼう]さあおいでなはいまし <とさきにたってへいじもんのくぐりをはいりにわからすぐにろうかのさるどをあけてみなみなはいる> [はんしち]くじゃくのまよりこめいかんへへえろう <とむかってみぎはくじゃくのがくのかかっているみとおしひだりのこめいかんへはいる> [そろべえ]わかまちのゆめもとだとこあんろうというものだ (十オ) あそこのつるのさんぶくついもひさしくみたものよ [ごんはち]ここのみとおしはむこうのあきばでらといもせやまというものだ [はんしち]びいどろのとうろうをとぼしたもこないだのようだのう <というところへしょくだいさかずきだいをもってくる> [むすめぶん]おやはんしちさんさんかつさんはけさおめえさんがおけいりなはってからたしかひっこみなせえしたよ [はんしち]そりゃあしょうちだがだれぞなかどしまというところを <とくちにはいえどこころにふさぎなにかかんがえすがたそろべえごんはちはそばついている> [むすめぶん]もしおぼしめしでも [そろべえ]なしさなしさ (十ウ) [ぶすめぶん]そんならやわらかどころがよかろうねい [そろべえ]すのたったところがいい とうふがなくばゆでもすおう [むすめぶん]おいろさんがなくばおはにさんにしねえ もしおめえさんはおゆきさんだっけねい あのこをおよびなはいますか [ごんはち]うだれぞふたくみばかり [そろべえ]ひとくみだのふたくみだのとげいしゃもじゅうばこというものだぜ [むすめぶん]はおりにしょうかねえ [ごんはち]たゆうがいいわな [そろべえ]はおりとたゆうとまぜてふくろはまけてもらおう [にょうぼう]すきなことをいいなはいますよ (十一オ) <とたってよせばへききにいきだしものをもってくるとしまの> [むすめぶん]おやおやはんしちさん なんだえきついまじめだねえ おうぎをちょんとさしてさ <とおうぎをひったくって> どなたもようおいでなはいまし ちっとおすいなさいまし <とすいものさんにんのまえへなおしせんどうのかげぜんもすえておく> [ごんはち]としまだけさばくもんだの [むすめぶん]なんとかおっしゃいますね <とひやかしながらまつばながしでまえがみをかきおびへてをはさむもはやりなり せんどうはろをしまってきたりてぬぐいをてにもったままきゅうくつそうにかしこまる> [ごんはち]せんしゅうがすわったところはそうばんをうたうというみがありやす (十一ウ) <というところへけんばんからかえり> [にょうぼう]つりやへおおいちざがあがりやしたからかけていきやしたがいたにいいのはさっぱりなしさ おいろさんはさけによっているからとことわりだからおはなさんにしやした おゆきさんきやす [むすめぶん]よくあのこはいっこくをいうこだ とまりのしょかいなざぁいつでもさけによったのむしがいてえのといってでてこねえよ <というところへたゆういとへいじはおりなつきちきたりいちざのかおをつらりとみて> [いと]いやはんさんいちべついらいけさのまんまでござりますね (十二オ) あはははは [ごんはち]ちょんびらとちかづきに <とさかづきをなげる> [いと]もしふさりましたからやっぱりひろってのみていのでござります [はんしち]またふじだなへとうふをくいにいこうか [いと]いりふねのゆへへいりのやまのあさざけからつりというところもわるくはねえやつでございます こないだあげしおにはおおのやのどうのおちくちでやみとはぜがつれます [へいじ]えびつりならきょうだいじめえからさんげんどうのほうへのぼるとざらさ (十二ウ) [はんしち]えびすのみやのさんじほどつりずきなものもあるめい [なつきち]まいにちこっていなさるねえ [はんしち]やぶのとなりのかめがとこのほりはおしいことにせめえ ねづのほりもいいす [いと]せんといえきみよでまっぱだかながきっこがさいのかわらにそうどうのあったようにとりまいてえさのおしうりにあったときほどおかしかったことはございやせん [はんしち]あのまっぱだかなはらへにんぎょうをけえてつりざおのいとへやんまをいわいつけてたとおばかりのやろっこはりこうなやつよ (十三オ) <とげいしゃとはなしのあうがなじみのざしきのふうていにてはむかぬがふうふうにて> [そろべえ]これげいしゃをかったかかわねえかしれねえ ちっとにぎやかにしねえか やだぁというとはなのあなへぺんぺんぐさをいけてよせばのいろりへよしごをはやすぞ [へいじ]なるほどねおきゃくがおこころやすいとめいようしょうばいをわすれる [ごんはち]ひかずとものこったろうぜ [いと]これもごしゅうぎ [へいじ]きくもおきゃくのくかいとやらさ (十三ウ) [なつきち]みくだり「にほんばしからふかがわがよいちょきにゆられてえいたいばしじゃといな まつにすみよしつくだしんちじゃないかいな ふるいしばにしんいしばおもてやぐらうらやぐらどばしなかちょううみにすそつぎさんげんどうえびすのみやにはにけんちゃやぁひく ちんちちりちちゃんちゃん <このちょうしをあわすときふたりのこどもくる いしゃうつきはここにりゃくす そろべえは[おはな]なかどしまにてしょかいこれうたううちにそろべえはあたりさわりをいいごんはちはこくうにさわぎはんしちはふさいでいる おはなはひとつうちのこどもゆえよこをむいてなにかないしょばなし ごんはちがのは[おゆき]じみにまるまげのまたがえしというとしまにてうらだけさばきかける> おはなさんこっちへよんねえな (十四オ) <とたってすわりなおす> [へいじ]おちょうしがねえきつねけんでいこうか [そろべえ]なんだかしみったれだ [ごんはち]しみったれとはふどうさまにひきあげられたもんがくだろう [むすめぶん]おめえさんはいっそせじがいいねえ [いと]だんなはまださけがしみったれねえんだろうよ [むすめぶん]おやおやひきまみえのねこがでたよ どこでかかれてきたのだろうのう [そろべえ]ひきまみえをおっことしているところへくちがかかってうろたえてついてでてくるつらがみてい (十四ウ) [いと]ひきともうせばこのあいだやまのみなもとのにわへむつあしのひきがでたともうしますがかんがえてみるにおきゃくのあしのちけえというきっそうだろうとみんなももうしております [へいじ]もしおはなしをひとつ <としかつべらしくなり> いしかけにかにとふなむしがひなたぼっこをしていてもうすにゃぁきしどおりをふねがくるとにげるを かちとするもんだからきさまのあなへにげこむめえもんでもねえから ふなむしだのかにだのというしゃべつはねえ (十五オ) たがいにひとつにげなかまとおもってくだせえとはなしあっているところへくるちょきのおきゃくがききつけておれもそのなかまだ <とみなみなわらうところへ> [にょうぼう]<きたり> はいはんしちさんへ さんかつさんからごこうじょう びょうきでおりますからおざしきへはまいりません とこにまっておりますとさ [ごんはち]いやありがたい <とてをうち> ちっとどうとかいうところだろう [へいじ]このばはいったんひきとろう このげいしゃはいけずるい はやくはこをしまわねえか [なつきち]いとはこでもてつだいなせい (十五ウ) [いと]このいとなどをひとつでぽんはいあきますわ はんさんおまえにはついぞでません しかしこんばんはたかいものどなたもまたかさねてはまけます あははは [せんどう]そればったがえりへとっついた [にょうぼう]おやびっくりしたよ <とさきにたってみなみなどやどやとにかいへあがる> ▲<みぎみとおしのいっけんのうちにかいのかどはちじょうにははやさんにんのわりどこをまわしてある さればさんかつざしきへでられぬわけというははぎやのきゃくにあすのよみやのしまいはしてもらえど はんしちをせいてしかけをたのみしきゃくははらをたってまちがいとなり はちはたやへしゃっきんであつらえしがあたまのものもうけねばならずきがもめているところへ はんしちがきたゆえうそをいってやったしんじつがありやこりやとなりてなおじれったくざしきのながいもこんきがなくしみったれななりでははつのいちざとげいしゃのまえへかっこうわるく それゆえのにせやまいなり (十六オ) とこのまのほうへよせてびょうぶをひきまわしたるなかに[きょうだいぶんのじょろう]かみはいぼじりまきにごてんぼうをさしたやつ はやとこのりくつもすんだとみえここにおちついてはなしている> 〈上欄注 ごてんぼういちめいかくしぼうばいむすびてんじんにもさすこうがいなり〉 おめえはんんきなったじゃぁねえか [さんかつ]びょうきだからくるなといってやったにちゃんときたわな [きょうだいぶんのじょろう]そりゃぁそうとけさだんなへよばれてどうした <このだんなというはこどもやのていしゅのことをいう> [さんかつ]ききねえな まあだんなのいいなさるにゃぁてめえあすのまつりをどうするつもりだ おいろ<おいろはひとつうちにてさんかつにつづいてあきなうゆえなかのわるいこなり>はおれにはなしもあったがといいなさるから じきさまむねへきたからわっちがいったことをききなせえし (十六ウ) よんけんのちゃやじゃぁそうおうにかおもうっておりやすっさ まつりふつかのしめえぐれえおきゃくのねんをつかいなさるにゃぁおよびやせんとずっかりたってへやでさみせんをひきながらかんがえてみやすにおいろさんがはんさんのりくつをだんなへふっこんだにちげいねえのさ うらみがあるならじかにいえばいい [きょうだいぶんのじょろう]ううそうさ [さんかつ]いってみたがいい またのつきつていええるこじゃぁねえわな (十七オ) おいろさんばかりたってわっちをつぶしなさるならだんなでもおじぶつさまでもねえからたてひきによしんばねんをいれてもはんしちさんにしめえをつけさせせわになりきゃくのごにんやろくにんしくじってもとおもいやすよ [きょうだいぶんのじょろう]さんかっつぁんさんかっつぁん おめえほうこうにふたつはねえからかならずきをはやくもちなさんな いたこのもんくであたりなさるからだんなもくろうにしていなさるわな へやのもめるもしょうちさ おいろさんとものをいいなさらねえもしょうちでわたいにわけてやれといいなはったよ (十七ウ) [さんかつ]ほんにはんしちさんはしょかいからもめつけいしたきゃくじんでどういうことかよんでみたくそれからくろうくげんをしてさんだんとはたらきとやりくりとしゃくきんとでこれほどまでにわけたなか いまさらおしいとはおもいやすがいっそこんやことわってしまおうかとおもいやすよ [きょうだいぶんのじょろう]おめえというものもわからねえもんじゃぁねえかえ いえきちょうやのいたがしらでいつかかんじょうにいつもほめられるおめえがなんのいろのひとりぐれいだんなもしってしらねえかおはしょうちだ (十八オ) このごろうちおめえがあちだからはんさんもせっこんであしがちかくたくさんそうにおもいなってももしきなさらねえようになるとなんでもねえものにしてしまってさびしいばんなどへやにいてもこころぼそくむけいにやりたくってもまけおしみでてがみもだしにくくついのちごいをしやすもんだよ はんさんとおめえはたとえのこぎりでひっきってもきれるえんじゃぁあるめえわな [さんかつ]そんなにわっちゃぁわきめからものろくなったとみえやすかえ (十八ウ) ほんにおりのわるいばんにうちのしんぞうしをみょうだいにだしておいてもきをもんでよあけまえにあいにくるようにしもしとぼしはなかったかとゆでとこのようすをきいたりまださんねんのねんきもぬけもしやのすえにもとおもってる はんしちさんがつまらねえときはでいしですごすきだものを きゃくにあびせてようじをつけだんなへねがったはかまいりもむちゃくちゃでのびたとてくさばのかげからかかさんもよもやむりとはおもいなさるめい (十九オ) めはなのあかねえはんしちさんではねえがつかいすごしたあげくだもの むりなことがいわれるものか こころづかいもしておくのにここのしかたもきにくわねえ ためになるようにしょうでつけとどけもしておくのにふなやどもむねきなはらがたつ ちゃやもかえさせふなやどもかえさせはんしちさんのかおをたてざあわっちゃぁしんでもくやしくってうかみやせんよ <となみだはらはらとまつらにしがみついてなく> [きょうだいぶんのじょろう]なんのきをくさらしてしゃくでもおこしなさんな (十九ウ) あかだまでものみなんねえか [さんかつ]きがはっているからなんともねえ おめいまだこっちへきてながやぶるまいをしねえとおいろさんがいったをきいたからわっちがくろしゅすのおびをやってあしたはやくしねえくちがやかましいわな <ときょうだいぶんのよしみとてへやのたんすのかぎをはながみいれのなかからだしてやる> [きょうだいぶんのじょろう]ほんにおきゃくのきげんはどうともしいいがへやのつきええがとんだむずかしいよのう ひとつうちにいりゃぁあさばんものをいわねえでもわるいからなんでもあしたさかなをこしらえるからおいろさんとてをうってしまいなせいなよ (二十オ) [さんかつ]さきのでようによってすみすましのならねえすじもねえのさ <というところへみなみなあがりきたるゆえ> [きょうだいぶんのじょろう]とこがまわるそうだ いきやしょう [さんかつ]のちに [きょうだいぶんのじょろう]はんさんもきげんよくしてこんやけいしなせえしよ <といいすててはずす さんかつはとしがじゅうはちばかりあらいがみをおとしばらのしまだにわらにてゆいはんげつのいすのくしをちょいとさしまえがみのところよりかけむすびのかんざしをさしおしろいなしのすがおよせぎれのほんはちじょうのねまきにはばにすんのいとさなだのしたじめしろちりのしたおびにてしりをむけてねたふりをしている これはこよいはんしちをじらすさんだんなり そのところへみなみなきたりおとこげいしゃはすぐにいとまごいをしてかえる ただしおんなげいしゃはしたにまっていることなり> [むすめぶん]もしなつきちもげいしゃしょうかねえ (二十ウ) [はんしち]<ううととこへはいりさんかつがねすがたをみてものもいわずせなかあわせにねる [そろべえ|ごんはち]もとこへはいりほどなくふたりのあいかたもくる> [おゆき]なにわっちかえ おこころよしのむねきものさ <とろうかをいさんでとこへきたりおびをといてびょうぶへかけながら> さんかつさんおやかましゅうごぜいしょう [おはな]さんかつさんおたのしみだねえ <といいながらとこへはいる そろべえはぼうだらになってすじかいにねているゆえ> もしちっとびょうぶのほうへよっておくんなせえし えこじのわるいねようをしなはる <とあとはむごん このこはかかえにてまだかどがあるゆへきゃくもかいにくきかたなり となりのおゆきはじまえをかせぐとしまゆえたんごなり> [おゆき]もしはおりをしたへあずけなさらねえか [ごんはち]こうよぎのたたんであるところははつうまのししというもんだ (廿一オ) <とよぎをかけかかるとりょうほうのそでにはいってあるまくらがおっこちる> [おゆき]もしかみいちめえおくんなせえし <とじかみまくらをごんはちにあてがいかみのよすみをひんねじってがらがらまくらをする> [ごんはち]このまくらがみはできあいのちゃほうじにもなる [おゆき]もしてをだしなせえし [ごんはち]なんだ <とてのひらをだすをかたてでたたくと> [にょうぼう]<くる> およびなはいましたかえ [おゆき]ここだよ たどんをいれてくんねえ ついでにちゃもひとつよ [にょうぼう]はい <としょうじをひいてしたへいく> [ごんはち]このちゃはおれもかたてたたいたからおめいとはんぶんずつのもう [おゆき]ごぶでもすきなさらねえね (廿一ウ) [ごんはち]さようさ すいてみせるはたまごのめきき ひあたりのべっこう それごぶでもすきがあるならきりこみなせ [おゆき]ついぞねえ おめえさんがたのようなかわじゃぁごぜえせん わたいはこれでもまだしょしんさ [ごんはち]しょしんとへそのおといっしょにしまっておいておりふしほしなさるだろう しょしんのかびたなあいかねえものだ [おゆき]おきゃくのひましになったもくえねえものさねえ (廿ニオ) [ごんはち]おめえもかねざしでごぶもすかねえたちだ [おゆき]わたいはおんなだからくじらさしさ [ごんはち]おめえのようなくじらがあるとくろいゆきがふってるりこんのしらうおができるだろう [おゆき]ふなやどしのてんじょうじゃぁあるめえしあげたりおろしたりしなはいやすね <じちゅうにいわくこのしゃれふなやどのてんじょうにあるろのあげおろしのことなり> あいもし <とやっとてのはいるてまえのたばこをごんはちがきせるについでだす> [ごんはち]ああいろおとこにはなにがなるえ <ときせるをちょいとはたく> [おゆき]いろおとこたぁどんなものだえ (廿ニウ) [ごんはち]こんなものさ <としたをだしべっかっこうをする> [おゆき]あほほほほほほ へんちきなかおをしなはるおまえのはなのあなはれんこんのようだよ もうおがむからよしなせえし はらすじがざくじのようによれきれやす あんまりいろけがねえよ [ごんはち]いろけがなくてもいでというひにゃぁこのつらでもおんなごろしさ [おゆき]わたいもはんごろしにしなったうちだね なまごろしにしておきなはるといきりょうがとっつきやすよ [ごんはち]いきりょうがいやならにしゅでもとりついてくんねえ (廿三オ) これおがむ [おゆき]ふけいきなあんまりくちをきくとかきがねがはずれてみみへぬけうらになるとかみくずひろいがはらのなかをとおりぬけるからぶようじんでごぜえす [ごんはち]おれがぬけうらはいいがおめいのいどばたがはしゃいでいるだろうつわでちょうずにいきはあやまるぜ [おゆき]おやきついしゃれさ [ごんはち]そういってもこのくちにはほれたろう ほれたか これどうだ へんとうぶてへんとさまでぬうちゃかえしゃせぬ (廿三ウ) [おゆき]あいほれました [ごんはち]どこにほれた [おゆき]わたいがこういうしかくなもんだからおめえさんのようなまるいおきゃくがようごぜいすわ [ごんはち]しかくだのまるいのとあらきのもんをみるようにすみきりかくのにんげんもねえもんだ [おゆき]それでもむずかしいおきゃくがありやすわな おめえさんのようなせじのいいきゃくじんはおかほれがしやす [ごんはち]かわぼれがするとどざえもんだ そういってもおめえのあんべえしきにゃぁほれたよ [おゆき]ほんにかえ (廿四オ) うれしいねえ [ごんはち]こづかいのひとつつみもやりてえ [おゆき]なにをえ [ごんはち]ともれいのこわめしを [おゆき]きざな [ごんはち]かつぎてだの [おゆき]あいさごじゅうごしめちゅうぱらさ [ごんはち]なかきばのかしにちからもちのいしがならんでいたがおめえのなもほってあるだろう [おゆき]わたいらがようなものにほれられたもおめえさんのいんがだねえ [ごんはち]いんがもつくばっているうちはいいがたっておどっちゃぁかぶしまいさ (廿四ウ) [おゆき]よくくちをききなはる すかあならねえかえ [ごんはち]くちがすくなるとはとしたがさんばいづけになっていっぺいのめるのさ [おゆき]おめえさんはよくくちをききなはるがあたりさわりをいいなはらねえからいっそまんざらでねえよ [ごんはち]かきなさるならかわらけのしょうのじのようにざっとてがるくかきなせい [おゆき]わたいはじゅっぺんずりにかきかけるきさなどとうくからいい <とはらんばいになってちょうじをつかう> [ごんはち]うくものはあげしおのおかはじゃぁねえか [おゆき]きたねえたとえだ きれいにしゃれなせえしな (廿五オ) [ごんはち]きれいにしゃれるものはなんだろう [おゆき]あめおちのきしゃごかえ [ごんはち]ふるしふるし こうと [おゆき]わらえわらえ つかえるやつさ [ごんはち]なんぞいいてえ <とかんがえる> [おゆき]ちっとねようじゃぁねえかねえ [ごんはち]もうはんちょうほどしゃれてえ [おゆき]ほんにおめえさんのくちはかみそりだよ [ごんはち]さびたそうだ はさみこがたなとぎにちっととかせよう [おゆき]にくいくちをききなせえすな [ごんはち]おめいのあいきょうをひとちょぼほどくんねえ (廿五ウ) [おゆき]こりゃあひとのをくすねてきたのさ おめえさんのようにそとでせじのいいおかたはうちではとんだやかましいもんだよ [ごんはち]うちでこれではきちがいだ [おゆき]ほんにそうだろうよ わっちらがうちのだんななどもにがむしをくっつぶしたようなかおをしていなせえすがけんばんなどではおおじゃれだそうさ それでなくてはしめしがきかねえねい [ごんはち]しめしおんことさ [おゆき]もしおめえさんがたのいちざはどうもわからねえ どっちのほうだえ (廿六オ) [ごんはち]きょうはでばんさ [おゆき]でばんもすさまじい いまどきのたなしはたばこぞんさ やっぱりにょうぼうもちのほうがおもいやりがあっていいのさ [ごんはち]そんならおれにほのじとれのじか [おゆき]さればねえ [ごんはち]じょろうしというものはどういえばこういうとよくそらったばけるもんだ [おゆき]そうばかりでもねえのさ [ごんはち]そんならにげてくんなせえ [おゆき]あいにげやしょう さあさあ [ごんはち]ござれやせきそうろう ほうほ [おゆき]おほほほほほ おはなさんわたいがおきゃくはとんだきさんじだよ (廿六ウ) あのこはどうした ねたそうだ [ごんはち]もしそばやでございやす はこをとりにまいりやした <とびょうぶをたたく> [おゆき]あれさねかしておきなせえし わたいもこうやってねようと <あおむきになる> [ごんはち]よこにねねい [おゆき]あれさわっちゃぁいや くすぐってえよ ちょっといじってみなせえし <とゆびをとらえてはらをおさえ> しゃくのいどころをさすらせるもうらからなじみきどりだからさ これほどにしやすからぜひきてくんなさらねえければならねえぎりじゃねえかえ (廿七オ) [ごんはち]だきごころがどっしりとしていい [おゆき]どっさりしていいものはしょうばいやのおおがみさまとだいどううすじゃぁねえかっ もしおびをおときなさいしな <とこくらのおびをといてたぐりだす> [ごんはち]おっとてがいてえ [おゆき]てがどうしたえ [ごんはち]てはてさ てだからてさ <とまじめがおをみてふきだす> [おゆき]むむ <とわらいあとはひっそりとなる これきげんじょうごのじょろうもきのおれぬあそびなり> ○<こなたのとこにははらだちじょうごのよいざめとみえてはなのつまったこえで> [そろべえ]これもちっとちんまりとねろえ このおんなはふやけたそうだ (廿七ウ) [おはな]なにえ ひじきでさけでものみてえのかえ [そろべえ]なんだこいつぁさけのみきゃくをとりこなせええもしねえでおおかたざしきへでたえちごやのまつかぜせんべいやすずりぶたのゆまんじゅうのぬすみぐいでしょくもたれがしたのか へひりのかみのもうしごかあじなほうをつんむいておっぺしたかぼちゃのようなしまだのまげばかりてえそうだがしぼりばなしのまげいわえもおおかたいわいのぞうりのはなおだろう (廿八オ) これまわしもとゆいをこしらえてうるぜ かどことじもよしにしろ うしろざしもおきにしろ はこうちかつるのはしのやきつけがそうおうだ くしはとうせいふうにやまばかりたかいがきりまぜでしたものだろう ついでにめしものもふんでやろう なんだじょうもんのすがぬいがしろだむしのようだわ いけふさふさしいあまじゃぁねえかえ [おはな]ふさふさしいとはなんのこったえ (廿八ウ) このごろさすぴらぴらかひおうぎのかんざしのことかえ [そろべえ]にがしおのさつぱっこをみるようにぴこしゃくしゃぁがるとよつでのせんどうじゃぁねえがのっけにそらすぞ <とだんだんこえがたかくなるゆえおはなはじょうずをつかってみれどなおなおやかましくなりふなやどおんなどもまるめにきたりいちざもおきてたちあう> [ごんはち]なんだなほかにきゃくもあるもんだ しずかにしなせえな [むすめぶん]おはなさんおめえどうしたのだ [おはな]ちゃもくんできやす たばこもつけてあげやす つとめることもしておきやした わるかったらごふしょうなせえし (廿九オ) しょじいたらねえわっちさ [そろべえ]しりめでにらむなえ われがしりめがはやればなめっかちのひものができるわえ このじょろうはねんじゅういたをしょってみょうだいにばかりでているからねぞうがわるい けんばんへぞうきんをもっていってまわしにいたをけさせてこいしかたによっちゃぁかおをたてそうかのふだもはらせめえものでもねえがすべたにたてひきもいぬのくそもいるものか たれだとおもうえ おれがうちじゃぁみせのやつらにじょろうをそうざいにしてくわせちょきふねやねぶねさんちょうたちながしのそこりにのっこまれだいどころのたたきどはじょろうのなみだですべるわえ ふなやどのにょうぼうのすきがみはごぞんじよりのふうきらずでふきおおてんぐこてんぐのふたり(@注4)ぶね どうでたかまきえのまくらばこからかんしゃくをひきだすからはなかのうえかほんどこかちょうしをなげるようじん しろがらくためらみせさらしめらしょうがつやめあまざけめおでんしらぎくあんべいよしめ [おはな]きついめのじのじづくしだねい (三十オ) やくしさまへのがんがけかえ [そろべえ]なにがどうした <とふみにかかるゆえみなみなとりさえてろうかにそうにたちおおさわぎになる> [むすめぶん]あのこもじょせいのねえこでごぜいやすわ したへかっこうがわるうごぜえす <とよってかかってじょうずごかしにする> [そろべえ]きばのざいもくをみるようにたちごかしがきにくわねえ わかまちへいってのみなおす うっちゃっておけ <とはしごばたばた> [むすめぶん]いいだしなしっちゃぁききなさるめえからごきげんまかせにするがいいわな <とせんどうにいいいいしたへおりる> [はんしち]おれもいこうわの [ごんはち]おめえはのこってみぶんのところをわけてきなせいな <そろべえはげんかんへかけだす おくってたる> (三十ウ) [おゆき]もしにさんにちのうちに <とごんはちがせなかをたたく> [そろべえ]いまいましい ○<さておおかぜのふいたあととなりはんしちがとこのなかには> [おはな]あのきゃくじんはけいってくるきゃくじゃぁねえわな ばかばかしくながいとこでそれのきたねえからようじんをしたがきにあたってじぶくりだしたのだわな [おゆき]わたいがおきゃくはひょうひゃくでいいよ はんさんつれもうしてきておくんなせい [はんしち]おはなさんひとつのみねえな <というところへしたから> [にょうぼう]もしけんばんからふだがきれますとさ [おはな]とまりっぽうにでるはつれえのう [おゆき]もしはんさん (卅一オ) こんやはあやまっていなはるね いつもきげんのわるいといりあわせるといいよ さんかつさんもきをもんでいなはるからこんやはいじめなはんなえ <とふたりながらすてせりふありてあけてかえるあとはこんみりとなりしたのみとおしはよっつあけのきゃくとみえてたゆうのこえにて> じょうるりじんく「ふねはほでもつほはふねでもつどばしなかちょうはいろでもつ ちゃちゃちゃんちゃん [さくしゃいわく]<このほんみぎうたうころのりゅうこうなり> ▲<さてにかいはしんとなってとなりざしきのとこのなかはよっつむかいのおなしざかなにしょくだいをつけられてぎりではおりをかってちゃづるとみえ> うた「おもいきらしゃれもうなかしゃんな わしはなかねどそれこなさんが ○<こなたのことにははんしちがせなかあわせ さんかつはあんまをもませている> (卅一ウ) [はんしち]なんだかなきそうなばんだ [さんかつ]なんだかおやにはなれたようなこころもちだ [あんま]さけがすぎましょう [さんかつ]さけでものまねえけりゃぁうまらねえわな うちでつけてくれたなでもおのじなでなくてはとちにふさわねえそうでこんなにくろうをするのだろうよ [あんま]まえどおまえさんのうちからひなまつさんというがでなさいやしたがしあわせのいいじょろうしでございました [さんかつ]はじまらねえとじれっていとおもいながらおかみさんをおいだしてはいろうというほうもつみだねえ (卅ニオ) わっちはにょうぼうもちなどのおきゃくのせわになるきはむじからっきりねえよ <とはんしちにあてていう はんしちはそしらぬふり そこへ> [むすめぶん]さんかつさんちょっと [さんかつ]なんだ いいねえな [むすめぶん]はぎやからおきゃく [さんかつ]ううよしよし <とうれしそうにはねおきて> もしはんしっつぁんはぎやからかりにきやした おめえにもはなしておくぎんべえさんさ むずかしいおきゃくだがねたのむことはしてくれるのさ あすのしかけがまちがうとうちのおかみさんがひいきというもんだからおいろさんがこんだのかんじょうにいたがしらでわたいがいたわきにでもなってみなせえし (卅ニウ) どのかおでそばをふるまわれていられるものかえ それゆえてがみをだしてまつりのこんやむかいにやるわけだからねちょっといってめいりやす よいとまりとかなんとかいいやすがもしとこへでもまわるようなぎりでおそくなってもかならずわるくおもってくんなせえすなえ <とぜつにかけてはんしちをせかせるてごとなり> [はんしち]あんまりよくもおもわねえのさ [さんかつ]なんのじょせいもなくって (卅三オ) <とつんとしてとこをでていくははらのたったものなり さてまたここからはんしちがふなやどへしらせてやりしゆえせんどうげんきたりてぬぐいをひねくりまわしながらまくらもとにつくばい> [げん]おむかいにまいりました [はんしち]げんか こんやはつきええでほかからのってきたからしらせてやらずともいいととおしておいたに <というところへおんなきたり> [おんな]げんどん [げん]なんでありますこんぴんちゃん [おんな]さんかつさんの [はんしち]なおしざかなでげんにのましてくりゃ <というゆえとまりとなりおんなさかなをもってきたれどはんしちはきくたびれてすやすやねるゆえふたりでのみくいをしながら> [おんな]きのうはひまでからだにもちあずかってゐたよ きょうはおつけへされねえほど(@注5)にぎやかだった (卅三ウ) [げん]おらんほうはずでえひまだからうちへまわってもおやかたへきのどくだ あしたぁふねをたでにでねえけりゃぁならねえ ほうこうだ [おんな]そうさ ほうこうしていてもわるいきをだしちゃぁすまねえのさ [げん]こういうじあまりのいたこがはやるよ 「おれをつっつきだしほかににょうぼうらしいやくそくでもしやぁがるがせいごうぬがねんねこしたとこへももんがぁというてばけていく ええやれこれこれはいどっこい (卅四オ) [おんな]こっちじゃぁあんまりいたこはひかねえよ おめえふなうちばへとまりにいきねえ かわいそうによくするそうだ [げん]うらのちゅうやいちぶをしまっておいた [おんな]しゃれらぁ <とつきたおし> ねてでもいるかとしたでおもわれちゃぁわるい よくおよったからひいていくよ <とびょうぶをまわしげんもしたへいく かくてときうつりなんのてかしれぬよなかのすずりぶたはそのとこのなかのゆかしくねるみょうだいにねぬきゃくはこすぎにかきしこうじょうがきにあすあいにくるやとまつにつらし そのちょうばはひけてかたなかけはごうせいすむゆうのごとくつくねんたるおきばんのおんなどうこひばちのむぎゆのたぎりはいびきかとうたがわるかしばのおとこはつみかさねたるしゃみせんばことともによこたわりふなやどへやのあたまかずはとおさしのほおずきににたり (卅四ウ) ふきんはしめしかごにかけあらひばしはかめのこざるにつるしてあり すでによはあけるにさんぶはやき [はちまんがね]ぼおん [きゃく]ふねをそういってくれ [じょろう]まだはやいわな [おんな]とみおかのおふねができましたよ [にわとり]こっけこう [からす]かああかああ [ろふきぐちのつきごめや]がたりくさり だいさんかい くりあけるろうかのとのおとはいけそうぞうしくあきばでらのふせがねはでいりのさかなやのくるころなり (卅五オ) そのきぬぎぬにおくりだしきゃくをかえしてひとねぶりにはやまわしはとこをあげにきてつつんでふろしきをひっちよいじょろうはおこされてからゆうべのこうがんたちまちあおざめてこどもやへかえるきのうはきょうのひとむかし このあさなおしのときいたれるかな [げん]<おきてきたり> もうめいりましょう [はんしち]うう <とのびをしたてでびょうぶをあけてみるとひがさしこ むさんかつはなんどきにきてはいってねたかせなかあわせ> [はんしち]とんだおそくなった いっぱいのんでいこう <というところへおんなきたるゆえ> あさなおしというとおきばんはねむいかおだ [おんな]わたくしゃぁねやぁしませんよ (卅五ウ) <きょうははちがつじゅうよっかにてはちまんのよみやゆえいつもよりはやおきにてむすめぶんそろえのまえだれをかけてでてきたり> [むすめぶん]おやはんしちさん けさもまたおずるけだろうね [はんしち]されば [むすめぶん]ほんちょうしでもさんさがりでもというごあいさつだねえ <とさんかつをゆりおこす おこされて[さんかつ]はびんのほつれをかきなでる ふてたすがたにはりをもちねおきのかおのうつくしさ はんしちがまようたももっとものことなり> [むすめぶん]もうゆのできたじぶんでございやす かみゆいさんがまっておりやしょう いっておいでなさいやし [さんかつ]そんならそうしようかねえ <とぞっとすがおのながしめにはんしちにものをもいわずでていくはあじにきのもめるあさなり> [むすめぶん]ここははきましょう (卅六オ) なかろくじょうへおいでなはいまし [はんしち]にかいのみとおしからうみのけしきをみながらおがいをつかおう <となかのざしきへくる ここからうみがみえるなり> [むすめぶん]べんてんずがよくはれたよ [げん]このてんきじゃぁほをもってむこうずへとうあみにでられやす [はんしち]だれぞうつくしいところをいってやろう なつきちといえきちを [むすめぶん]あさだからねえ <というはくちあきのきゃくはえんぎにどこのちゃやでもにぎやかにげいしゃをよばせたがるものなり いれかわってまひとりのとしまの[むすめぶん]だしものとぜんをもってくる> きょうはまだなんにもございません (卅六ウ) <というところへほどなくなつきちいえきちきたりすこしはなしあって> [いえきち]あさだからにぎやかなものをひこうねえ [はんしち]つなでくるまがききていの [なつきち]おやつなでくるまをひくときみょうにえんがきれますとさ [むすめぶん]やっぱりしっぽりとごだいりきがいいよ [いえきち]<ばちをもったてをひとつなめてちょうしをあわせ> おやねがかわったよ のちにふらねばいい [なつきち|いえきち]ちゃん めりやす「いつまでぐさのいつまでもなまなかまみえものおもい ちちちんとんとんつんてん <このうたをうしろにしてさんかつほんみがきにしてでてくるそのすがた けさしたておろしのしかけはごりごりするむらさきちりめんのおりづるのすそもよう (卅七オ) したぎはしろちりめんでみっつひとがらよくきこなしこいおなんどにてっせんからくさのおりきりろじきんのおびをあだにむすびさげこすぎじゅうじょうばかりかみいれにまきておびにはさみしろりんずのぬきえりからすじかいにかけこうのひもをみせながじゅばんとながゆもじはひにかざしてもみえぬようなひちりめん ただしひちりめんのゆもじはちかごろほかばしょにてたまさかにしめることなり つむりほうめるべっこうもののあみだざしにこべにやのまつかねかをにおはせしまだづくしのもみじあけ いちがかっこうよくできてかみゆいのてぎわをみせおしろいののるうりざねがおのすずをはりしまぶたのすこしあおきもこころにくし いったいちゅうにくにしてはりありてあいきょうふかくすこしこごむがくせのおしたてなり こんなしゃっつらもけさがみおさめとおもえばいかしておくがくやしいはんしちがこころのうち もののいいたいほどまけおしみでいわれず さんかつもわきがおじまんにすましてじらしてはみるもののもしやこれぎりできなさらずはときにかかりそばへよりたいほどりきみでよられず> (卅七ウ) [はんしち]けさのあさざけはまよいのうちどめになるかしてなにかさっぱりとしたようなこころもちだ いままでせけんへつかずともよいうそをつきあだなくろうもしたもんだがこれがいいひきしおだろうよ おおしおならさんばしでなべかまでもあらおうよ [いえきち|なつきち]「たとえせかれてほどふるとてもえんとじせつのすべをまつ あい ちんち なんとしょう ちちんちゃんちゃん [はんしち]おれはかわったしょうとくではらのたつところがおかしくなりふとしたことがかんしゃくにさわりようじもおわるかろう (卅八オ) これをおもえばふうふしてかせぐがよのなかたしょゆきのなったじぶんみんなもみたであろう まだあさがえりのふねくらくあんかをいれてしゃれていくにあのいちばのむこうかしでめあかしのいお<めあかしとはあけがたのりょうくれがたのりょうはふさみという>をよっているかがりのあかりでみればふうふだがうっかりとしてはすぎられぬものだ (卅八ウ) もろまちのかみさんたちはしごとのあいだにほをぬいえさやのにょうぼはめめずをさすがはりめどよりてがるいもしょうばいにみをいるというもの にょうぼうがあてじまえのいのじのようにつのをだすもしょたいだいじにおもうからにょうぼうのばちもあたるめいものでもねえ それよむきみやのかしのごみためにさいているきくでもみていっこくもはやくけいりましょう (卅九オ) こけがしんちのすへのっかけたようにひっかかっていてごうはじをさらそうよりひがきのいかりつなをのっきるときいっそひっからまってしねばよかった これもこうのやのかしのいなりさまをいつものりうちしたばちだろうよ ぐちなことをいうようだがけさあけがたひよくござのかがりのきれたゆめをみたよ [なつきち|いゑきち]「たがいのこころうちとけてうわべはとかぬごだいりき ちんち [むすめぶん]なんだかあじだねえでえぶ (卅九ウ) [むすめぶん]はんしちさんはなきじょうごにおなりなすったそうだよ [はんしち]ないていいものはうぐいすとじょろうしばかりさ [さんかつ]おつなことをいいなせえすがゆうべことわっていきやしたからひとつもよけいとよくばってぬすみをうったわけさ さんだんだからびょうきのうそもありうちさここをひとつくみわけねえおめえさんではねえがじょろうがいのしようもわすれなせえしたかえ <としりめでにらむ> [はんしち]てめえおかしなことをいうの (四十オ) [むすめぶん]さんかっつぁんひとつのみなせえな [さんかつ]つぎなさんな のめねえによ [げん]なにのめねえということがあるもんだ <とむりにてをおさえてなみなみつぐ> [さんかつ]つれえのう <といいながらいきもつかずにのみそばにあるつつぢゃわんをだして> のどがかわくからもういっぺい [むすめぶん]きがちがったそうだ よしねえ [さんかつ]いいわな <とまたぐいのみ> くろうをじゅうまんつぼへうっちゃったからけさはひとりでうくのさ [なつきち|いえきち]「さはさりながらかわるいろなきおんふぜい とんっ [はんしち]もうなんどきだ [げん]よつでもごぜいしょう (四十ウ) むかいぶねがでましたろう [なつきち|いえきち]「やがてあおぞえ かたろぞえ ちちんてん おしきふでとめそろかしく ちゃん [はんしち]わりばなにでもしてやってくんねえ <とかねいれからざらりとあけてかねをこぎくのかみにひきねぢってなげだしついとたってうらはしごをかけおりにわへとんでおりさんばしからふねへちょいととびのる みなみなあわてておくってでる でぬものはさんかつひとりなり わかいものはふだごとはきものをもってでる せんどうはまくらばこをひきさげてでる あとからおんなはひきだしをあけてつりをいれる むすめぶんはさんばしにたっていて> [むすめぶん]げんどんこれさいいしらけにしなさっちゃぁこっちでもすみやせんからにさんにちのうちにきっとつれもうしてきてくんなよ (四十一オ) <というこえをあとにはやふねはうみのちゃやのまえへくる ひだりははちまんのもんぜんのほりにてとばでいりのふなやどのあるかしなり> [はんしち]むこうからぞうきんのようなつつっぽをきてろをおしながらなにかよんでうりにくるはなんだの [げん]あれかえ [ろくにふねのむきみうり]ばかばかばかばかばかばかばかばかばかええい ふかがわいきのくちおわり (四十一ウ) ふろく かんとうべいしき みぎえきりのだんせんせいのいきたしゃれほんにしてにしゅさくしゃとわりどこのろんならず そもそももてるふられるのおもしろみはいまだあそびのあさぎにてなじみふかくなりてはつらいとぎりとりくつとはらのたつことばかりになるものなり たとえばこれよりすえをかかばさんかつはどうしてもくると思ってていてひとつきもたちもとがほれてるふたりがなかないたりわらったりしてよびとめたきゃくゆえおしくなりてあやまりのてがみをだしちゃやからもふなやどへむかいにくる このときはんしちゆかねばいまだうんのつきざるひとなり (跋オ) ぜひたちかえるゆえさんかつもたてひきをしてどうらくにてねんきをふむようになるものなり まことにきゃくによきひきしおあり じょろうにすてどきあり さればとてじょろうのつきだすはなさけしらずにげるはむちゃなきゃくなり わけしりきゃくじんぜんぺんのくつがえるをみてこうへんのいましめとすべし ふかかわだいせん しんろせんせいさく ぜんごさつ よしわらゆうせんくつ どうさく いっさつ けいせいにんそうかがみ どうさく いっさつ しろむくよしちょうさくら どうさく いっさつ (跋ウ) ------------------------------------------------------------ 《注》 1 ・「振鷺」読み方不明。 2 ・原本「むかみさん」とあり。大成本「おかみさん」に従う。 3 ・原本「うか川」とあり。大成本「ふか川」に従う。 4 ・原本「二タリ人」とあり。大成本「二タ人{リ}」に従う。 5 ・原本「ぼと」とあり。大成本「ほど」に従う。