― 『浪華今八卦』解釈データ凡例 ― ・【 】内は左ルビが入る。 ・☆内には音曲が入る。 ・漢字の読み方については、固有名、連濁等も含めると確定できないものが多いが、いちいち注すると煩雑になり過ぎるためこれを略した。 ------------------------------------------------------------- なにわいまはっけじょ ぼうふがいざんおうざいせのむかしなにわゆうりのじょうをつくさんとこうなんだいさいていのにわなるかわやかくしのはぎがきをめどにおりこうおわっていろはっけのいっしょなる いまこのしょをかんがうるにこうへんじてぜんかのごときはとおがいちなり ことしてこのへんをたださずんばこうしんむなしとしょうじょうかんせいのちをもとむるにひんがしのさんかにきとくのいっていあり このおおやねのものほしにのぼりてんちしほうをらいはいしにけんぢゃやのくしをぜいちくとなしかんがうるにちちがいろはっけのいちじをのぞきなにわいまはっけ すでになるかいのあきらかなることよみえてしるべし (乙お) なにわがいざんおうちゃくし びしけん(@注1) (乙う) なにわいまはっけ きちこう【ききょう】のか しまのうちならびにさかまちのかなり ○かっきのひとおおくきたりよろずかれいをこのみいろごとときどきかわりてひさしからず ここはっかのなかにてさかんなることのだいいちなりとちちがいざんおういろはっけのさいしょにかきしるしたるたいいはかわらねど そのこまかきにいたりじょろう(@注2)げいこのいきごみきゃくのすいがりようていしゅかしゃなかいのもようてんちこくびゃくとかわるがせかいのありさま かわりゆくこそきょうあれ しくじったれどなはちがさかさまざしきこじんしょうぞうがからくりにわもみなあたらしきをもとむるゆえなり なすびばたけはりょうりやのちんにふさがれかわのまんなかにおやまやのできるこしらえ よばんかえってちょうだいをかむというじせつ (一丁ノオ) とかくふるいはきょうなし てんのうじというよりてんちょうじというがとうせいなりというもりくつがのうておかし さてこのかのかわりめというはじょろうのふうぞく いしょうのものずきなどいろはっけじだいにはもんももようもおおきにうがちすぎていやしきばもありしが いまはものずきをこめてずいぶんはすわにならぬようにぐっとはりこみけっこうをだいいちとするなり すこししんまちのふうぞくもくわえたるていにてじょろうのいきはりもいろはっけじだいにはやくしゃにもせよなににもせよそのいろというものをかくさずつようあらわにするところかえってきゃくへあたり ものいいのあるじょろうほどはんじょうせしがいまはここけっしてなし そのじだいにはいろをかくさぬというつよみをするをそのいろがってんじゃときゃくもしんのすいをつこうてこれをとがめずなじむことなりしが よくよく思えばすいはすいでよけれどたいせつなきんぎんをまきみすみすじょろうのいろをしりながらおもしろがっているはすいだおれというもの (二丁ノオ) じつはこころのそこがすめずかねつこうてそのようにきがねするはこれたわけのてんじょうとしょきゃくほんまのところへきがついてなかなかいまはこのすいをつかわず いちへもどってじょろうにおおきにりんきをしぶらぶらいろのおとこがしれてあってもじょろうのくちからいろはないいろはないとむりやりにないにせねばあわぬこころ よくふんべつしてみればみなきゃくのせちになりたるにてきんぎんのかわりだけじょろうにもほねおらさねばおかぬというものになりたり じょろうもよくここをしりてみすみすいろをかくしつめおのさまならでというどびつこいばをけいちゅうにてつとめにじゅうねんまえまでいなかぎゃくにあてごうたところをいまはじのひとにもってゆくなり かえっていなかぎゃくはまけおしみにてすいにさわぎみなせりふもあちらこちらなり とにかくここへいれこむきゃくはりこうすぎるがやまいでべっしてちゅうよりいかのきゃくなどそのあなもすかさぬこのあなもくわぬとざしきがすすどうてそとからみるとそばにきているたいこもちのほうがやっとのどかにみゆるなり もってでるさかなにさえこころをくばりこのしょちゅうにくちをやくようなたまごとじもおもしろい このつぎのすいものはなんにもなしにかいわりまびきのすましじたてであろう もういつものあおばがでるじぶんじゃといたもとのしょうねまでさがすはつれなし (二丁ノウ) またげいこのふうぞくをみるにかのやっこといえるがいなるひとつていすたり げいよりいろをかざることをもっぱらとす むかしいろはっけのじだいはいろというものをかたくもてなしきゃくがほれたとみるほどかんじんのところをかたくあしらいかしゃなかいにきゃくよりふきこみいろいろときゃくにほねをおらせたうえみのためになることどもかとうやくそくしてけいちゅうのだんにおよぶことなり それゆえきゃくもげいことちぎるはせかいにないものをわれひとりえたるここちにてあじわいもじょうもかくべつにおぼえ さてさてくどきおとすにひまのいったはずじゃ ほんまのはつものであったとにいまくらのじまんたらだら かたわきできいてみればこのげいこあとのつきのことであった さるてらのおしょうとしんじゅうにでたのをようようつれてもどった (三丁ノオ) こはおろしたげな とらちもないうわさ このみちもりょうりとおなじことでうつわばんじくわせかたがだいいちなり いまはこのようなげいこのばなくいろすることすこしもはばからず なかいあいてについするはなしにもかこうさんならわしゃするきじゃと なのたかいほうがんにははやあてがいはだになるゆえ そこでかのだいほうがんおもうにはおれとさえいえばどいつでもすぐにできる むむこりゃどいつもよくまたじゃとさとりがひらけるゆえ あいそつかしてふたたびめもかけずここでひとつかしこがあると どっこいいやじゃとふみとまると こいつてごわいやつじゃとほうがんおもしろみがついてこれからせりふづきこいらしうなってついにはうけだしというものになる (三丁ノウ) いまのげいこしゅうここらをがてんしたがよいといまひいているふるげいこのひひのようになりたるがいうたもきんげんなり こういまのようにげいこがはしばようてはしょくがたきののどじめにおなじくじょろうのまたじめというものなり またきんねんていしゅというものもはなはだすいがりてきれたこともするゆえひくいきゃくをとろがるばもあるからしぜんとくろがりちゃやはいきつくことおおし またなんねんたってもりちぎにていしゅはめったにざしきへでぬものとこころえきゃくがしばいばなししかけると ただいまのげいはとかくりくつがつまりませぬ あさからみなにくいにくいとおもうている いちにちのむほんにんをぜひよばんめでくびをうたねばならぬところをねっからかすりきずもつけずきょうはひもばんじましたればこれきりではたしまするとうたえもんがことわりをいわれまする (四丁ノオ) どうもすまぬことでござります さてこちのほうのねりものごろうじてくださりましたかといえばきゃくさればげんじじゃそうなが あのすずむしというにあたまにやをさいたむすめはどうしたこころじゃ ていしゅこたえて あれはわたしもぞんじませいでとっくりとききましたらかるかやどうしんのじょうるりにしんどうざえもんがむすめゆうしでししゃにまいるときこころをみださんためにすずのみきとっくりのなかへいもりをいれてそのさけをのましたというしぐみ すずのとっくりのなかにむしがはいってあるゆえそこですずむしでござります よういたしましたたいしょうでござりますとほめる さりとはからやまとをさがしてもこのようなわるいしゅこうもまたとあるまい (四丁ノウ) ひっきょうしたてがきれいなればこそしゅこうはみみもあてられぬしだいなり めんようこのねりもののさくしゃはきくてんじゃというひょうばん いとしなげに なんのきくてんじゃあろ みなおもいおもいにむちゅうにくろがるのなり このていしゅおりふしいつづけきゃくがあるとおもてのこうしのまへざしきまわりのおとこをよびこごえになりて まだだんなかえらしゃれぬ ああきのどくな これなよとみつでらのじぞうさまへまいってあしうごかしのがんをかけておじゃ あしどめではないぞやといいつけるようなばかちゃやはだいだいきゃらもたかず へへへへへとかしゃがついしょうわらいしていまにかどをたやさぬなり とかくわっというおもしろいちゃやはしんだいのもてにくいもきゃくがとろうなるゆえなり (五丁ノオ) きゃくにもなだいばかりでみいりのないけんしきだおれというほうがんおおし このちははなやかをおもてにしたるところゆえきゃくにはじょうちゅうげいろいろひんありてつかいかたはなはだふどうあり ならじまのきゃくがあぶないものでもなくじょうふのきゃくがあてになるものでもなし なりのきたないきゃくにもめききしてぐっとあそばすという ていしゅのきもはこのこうなんよりほかになし ちゃやのはなやかはいうにもおよばず なかいのきれることここにきわまりちゃやもだんだんあらたなるはなやかちゃやできるもやめるもはやくこれみなはんじょうのするどきものなり ふるきなだいにてはのっとりかいはんてっしりだいしちはんなりかわさくわっさりいづつしっとりとみいちわかえしまきゅうどっこいだいふじはきじょうものやまがたのせはるてしろくかいいちかいせいまるしょうかくとまるもよくとおりそのそとしまのうちどうとんぼりがわかずもかぎらぬはなやかちゃやいちいちいうにもおよばず しばいがわでよくもうれたるはやおろく さてきんねんちくごのしばいのむかいはまぢゃやにさかいやさんえもんというしばいぢゃやいできたり あそぼうといえばなんでもよびにやり このあるじはたけもとさきだゆうなり このちゃやにょうぼうとしはいのひとにわたしてあるじはけっしてちゃやのていしゅならず さんようきかず きゃくあしらわず ねんじゅうちゃりじょうるりのしゅこうばかりをくふうしてしばいみにくるきゃくもあそびにくるきゃくもわがおんぎょくのとくをしとうてくるとおぼえきゃくのざしきへおりにはゆかたがけでさげきせるででてわがじょうるりのあたったはなしいうてしまうとついとざをたつ きゃくとめてさけひとつといえば (六丁ノオ) さけはきらいじゃともぎどうなこたえ まことにしばいがかりにはめずらしいへんぶつなり とかくひとはなのうれるというがかんじん すいにもかぶのあるものでたとえすこしおとろえてもすいかぶをもちたるはいまにもちいられることでみなみでもせいそううなずけばそれをよしとし とうなんほむればひとなるほどとどういする まえそどうといいしかぶもちきんねんはちまんやまとなをかえゆみやはちまんすいをやめず このむれにいろいろかぶもちありたれどいまはこむつかしいひとになっているもあり (六丁ノウ) これらはいくたびれというものにてだいだいのおとろえなるべし またとしふるきかぶもちにりとうといえるあり しょげいつたなからずしてなにをしてあてようというたくみなくとみもせずまずしくもあらず ただものにこらぬあそびずきしんののらというはこのひとにてついにあしきひょうばんなくよいうわさもなくきらいなくだれにもつきあうというめいぶつ ばいばいにするとこれらはとりわけたかいかぶじゃ きんねんはかしらもはんばくとなりかけたればいるいばんたんはでをやめどうこうかしらかというようなただのおやじふうなれば いまだかってしらぬわがほうがんくいかけてみてあとへもさきへもゆかずついにこうさんしてさんりゃくのだいじをきくことなり (七丁ノオ) このひとのひとがらはなはだこうとうなるゆえさるかたのばんとうもうすは このほうのわかだんなのことばんじきこうさまをおたのみもうす とあればりとうこたえて おおぶねにのったようにおもわしゃれとうけあいだんだんこのむすこをひきまわされしが おおぶねにのったようにとうけおうたもどうりずいぶんふとながいほばしらほどなしゅこうをたてさせあそびのおきへこぎださせみずのおんにひかれてとうどうすいにしたてひとつのかぶもちにしてやられた とかくすいのみばえをもりたてけちみゃくのたえぬようにほねをおるろうかのいちぶつなり いちのうあるものはもちいられずということなくあしをよくまくものはすなわちけんそくとときのみかどよりかんみょうをたまいこれまたひとつのかぶをうるほうがんにまたすいかぶありてすいこうとよになりしあといまなをついでさかんなり (七丁ノウ) すもものさとにすめるすけまつほうがんきんねんこうめいまたここにろうかのまなこなるまちにくろがねというほうがんあり かえなはかくかくといいてかくはつるのじか ただせんねんへてもこころのかわらぬということ このひといったいみえをとることときこえにぜいをすることははなはだきらいにてばたつかずうわつかずきのたかいところこのほうがんにならぶものなし ろうかこうなんにおいてなをもとめんとほっするものはまずちゃやをえらむことなるにこのひといったんちなみたるひとをすてず ひとしらぬふくしんというちゃやをひきたてかいせいをすてず じしんはうたうこともこのまねどながうたずきにてほうしつづいてげいこのさらえこうなどずいぶんのどやかなるあそび しかもげこにしてざしらけず きんらいのみょうぶつなり さゆうのひとにはえつさとううそのほかべんけいかぶもちょうしにのってかおをかえることがきらいはなはだよきさばきというところなり (八丁ノオ) きんねんふとたけもとつなだゆうにであいはなはだきにいりこんぼうせらるる さてこのつなだというはあのしょうおんにしてけんぶつのみみをゆかへひきつけこれをよくきかすというめいじんじょうるりのかたりうちにおいてはいまのよのじょうずこのひとにおよぶものなし ちいさいなりしてざちゅうをこしにつけるはずなり かかるじょうずあるたゆうなればひとのきにいることもはやくこれらたゆうちゅうのすいにてそのむかしはにわかになをとりあいのあること このようなたゆうもなし このつなだみぎのかくほうがんにはじめてあいしときかくよりおくりものありしがあるひかくほうがんのたくへつなだゆうまいりあないしてなかどまえへとおりしがつなだがあとにひようとおぼしきおとこふたりつききたりなかにわをすきくわにてめったにほりかける みせのてだいなかしおどろき これはなにをするのじゃととがむる つなだゆうしばしとおしとめ これにはだんだんようすがござります おめなごうごろうじてくださりませ といううちかくほうがんうちよりいで これはたゆうどのなにごとかともうさるるあいだに はやなかにわはばいっしゃくそこへにしゃくばかりくだんのひようほりこみければ つなだゆうひようをひかえさせ さてだんなさまへもうしあげます せんじつはみにあまりましたるごいんもつありがとうぞんじますがおれいのおじぎをいたしますのがどうでもずがたこうござりますゆえおにわをこれほどほらせました とみぎのほりこんだるところへかしらをつっこんでいちれいをなしたり かくもあきれこれはこれはいたみいるとてをたたき こどもよそれかなだらいにゆをとってたゆうどののあたまをあろうてしんぜいといわれた (九丁ノオ) つなだはひようにそれそれとしらせばやまつちふたににないこみみぎのあなもとのごとくにうずめて さておいとまとつなだゆうはかえりけり とかくほうがんはしにせがだいじにてかねつかいながらべんけいのようにみゆるほうがんあるもの ふとだいどころざけのみつけるとそのくせがつくものじゃ ふんしのわるいきゃくはちゃやにもめいわくすることなり あぶらやさんちょうよにあられしころぬるいのなんのというたけれどまたこれほどのほうがんもめったにはないもの このひとのほうがんかぶそのあとがあそんであるのぞみあるひとこのかぶをゆずりうけてそうぞくすべし いわじもこじんとなられたよし ここのかはごうきはなやかにしてここちかきにすむひとにはそうもいしゃもすいをつかう べっしてここにてりょうじきんねんおおはやりえいさいのりょういあり (九丁ノウ) びょうかへいてもやまいのみたてのよいうえにすいをつかわるるゆえに びょうろんのほかのはなしにびょうにんもきをはらしいましかかったずつうもついわするるゆえ このひとのとくをめいちゃになぞらえいちもりさまいちもりさまとはやるなり よのものずきというものかけあうとかけあわぬがあることなるに きんねんのなかいのまえだれのひもめったにけっこうがよいとこころえ おおみねだいせんだちのゆるしげさみるようなきれをしりにまきたてよっぽどきのどくせんばんなもの なかいのこんぱくがまえだれのひもにとどまってあることなり したぐくりをあらわしてするもたゆうというばにはないこと (十丁ノオ) とにかくこめろうこやっこにいたるまできものえらいところかごのもののしりのふりようまでがほかのさとよりだてにてごうきはなやかのかべっしてろくしちがつだいじよくかいをしんじてちからをいれてかようべし ここをはじめたいこのことをださぬは けんとうすかん みぎのしょきんじついだしそうろうゆえさたにおよばずそうろう りうたん【ささりんどう】のか しじみがわそねざきしんちのかなり がいざんおうかのおもてにしんまちにきょうのぎおんまちをくわえしところとありふしぎなるはこのちちがいろはっけのじだいにすこしもかわらず (十丁ノウ) じょろうげいこのいきじもまえにかわることなくじょろうはしょしょのしかえもながれもいれこむどここのふうぞくにおしうつるゆえぼいやりとなるほうにてかどはなけれどもいったいぬるし そのかわりにげさくにはならぬほうなり しじみがわきたがわひがしのはじめよりにしのはてまでちゃやのあいあいにあるきざみたばこやふくろものやそうたいもようのいきごみすんぶんまえにたがわず かわりたるはみなみがわのひしやこいやまつざかやおもかげなきこそへんかなり おうみうへいじというたいこもうしちはちじゅうでもあろうがやっぱりけんのつよいじまんしているげな ぜんたいはまてのきゃくはろうにゃくにかぎらずあそびかたのいつでもかわらぬものにていったいここちょうしのくるわぬかなり (十一丁ノオ) このへんかになかまちといえるはいろはっけじだいよりはなはだおとろえていまはようようにさんげんのこりきゃくていはやはりくらやしきのしたやくげきさもんたんべえなどそのほかおもいもよらぬとしよりきゃく しかもいんつうさわなるがなんぞほかのようのようなかおしてずっとうちへはいりうらざしきであいかたをよびもとよりげこなればさけはきんじかわちやへさんじゅうにもんののっぺいふたついうてやってじょろうとはなつきあわしてこれをくいとこへいってのそのながさあじようつとめるとひぢりめんのしたぐくりぐらいはうけおうていぬる これらここのふところきゃくなり (十一丁ノウ) またこっぽりちょうはしじみがわのひがしにつづきはるかしなくだりたり これもいろはっけじだいとはそういしていまはちかきまちのはたらきにんあるいはざいごうにんうちまじりむしょうにくろがる みないくたりきてもいろせりふにて さてさてあつかましじょろうはかえことばのせんぼうあがくは さておきさんしょうまでいみそんなじゃないということをいまだにいうているところなり ここのろじをいきぬけるとき さてさたないのもあるものじゃとおもうてたっていることかならずむようりんきするおとこがうしろからあしかいてこかすものなり おそるべしおそるべし やまさきといふところこれもきんらいのわきもの そのはじめはりょうりやでんがくやにおこりはなびのけんぶつじょなりしがいまはいろせんこうをたきてひときりふたきりのさだめとなり (十二丁ノオ) よくこえたらんちゅうもあればしろとでのさんきょくもあり はいったがさいごそとへぬけるところなくこれをなづけてねずみふくろまちというびょうぶのごくらくおとしにかかることうたがいなし おなじいろはっけのじだいになかりしならむらやしきうめがえしんちだいきょうじまえしんやしきというはおはつてんじんよりいなりやまのきんぺんなたねごてんといえる みぎごかしょおおかたどうじにゆじゅつせしところにてむしょうにめかしかけきゃくもそのはちぶしもっぱらやりかけくわつかうひとはすこしはねつけるようのいきおいもおかし ここらみなむしょうにすいがりみなみのはやりことばをすうきをもってききつけおぼえじまんもおもしろし (十二丁ノウ) かくりょう【つるびし】のか たかつしんちろくまんだいしょうまんあまでらこのかにあたる このたかつしんちはいろはっけじだいもせじょうのうけあしくさみしかりしがねんねんにおとろえかけあんどんもまだらにてらせつりがねすじはやっぱりざいしょものをひきたおしみぞのかわはやぬしよりちかごろふしんありていえいあらたにむこうのおおみぞもそうじしただけとうぶんはくさみもうすし たろのきとうしゃおろしぐすりやなどなにわのはきだめじょとなりゆうじょのすがたはなし どうぞしてもちなおしはあるまいか ひびここにてしょうばいにかかるはそうかといやばかりなり (十三丁ノオ) ろくまんだいまえにかくべつあいかわらずひらのあたりよりみなみのひゃくしょうめんのできはつほむぎのぬすみだめここにてきえゆくことなり ふごをひとににのうていそいそはいるとあるじのおやじらたなべのひこさんなんどおもうてでてきてじゃ いやきょうはさやしにきた とにをおろし どうじゃいそめはまめなか とたずぬる かかこたえて まめなだんかいの おとといのばんもむこうのやくしやへきゃくしゅうといてなんじゃやらいいあがっていそさんがにはちのはちをにわへうちつけてわったげな きもなこではあるわい おおなんでもきょうはあいつうってとろ ほんにおやじこのしろものよいようにしてとふごからぬののふくろとりだす (十三丁ノウ) おやじくちをほどいて こりゃあずきじゃな いつものしろものならうたしかえるけれどあずきはいやなものじゃなあ はてさてあずきじゃてておなじことじゃ ちょうどそれがきゅうしょうある しかもようにえるのじゃ おやじあたまかきかき めいわくなものなれどにじゅうよんもんがえできゅうしょうしめてにひゃくにじゅうよんもん それよりはどうもならぬ [きゃく]それではやすけれどきがせく まけてやろう おっとそれかかいそさんよんでこい あいとはしる きゃくわらんずときおくへあがる たこのあしにほんにさけひとちょうしたんぽにてこしらえる [きゃく]こえをかけ ひやがよいぞひやがよいぞ といううちじょろうくる このあいだきょうのすけがかるわざしばいできいてきた (十四丁ノオ) きたわいなあといううたをじょろうこごえにてうたいうたいおくへはいる みなみのほうからなすびしろうりにないつれてここのうちをみいれ ひこべえやはきているか もどりにくるのじゃもどりにくるのじゃ といいいいはしる ところがらのもようおかし あまでらまえやっぱりまえのごとくかどぐちにたちはだかってしろものがみずからよびこむところはしなくだりてまえのとおりじゃが きんねんよきおきやいできてほりえなんちのでみせしんやしきのでばりなどありてよびやもだんだんいできてじょろうもよほどめかすこと きゃくがひどうさけにようとじょろういたわり このようによいなさったにはうすちゃがよい という あるじのかかが しけさんこいちゃというのもあるそうななあ (十四丁ノウ) はいそりゃあるけれどな こいちゃというのはつねはのまぬのじゃわいな がんじつにもみのきれにぬいこんでふりだしてさけでのむのがこいちゃじゃわいな ととそととりちがえているとみえる こんなこというくせにきゃくがふとはなしに きのうせんにちでごくもんみたがすじかいのきゅうすけというやつじゃ というとじょろう むむそれはこわいものごろうじたな そりゃすいほうであってにじゅうよんかこくがつけてあったがみせだしがあったげな ときぶいこといいだしてしらけるあんばいちゃのゆばなしにかけあわぬそぎつぎなおかしみ とにかくきんねんはなやかめくことなり しょうまんいろはっけじだいとはおおいにかわりはなやかになりたるはこのちなり (十五丁ノオ) さかのほとりよきおきやよびやいできずいぐかどさきのしんちゃやよりきよみずのあたりまでつづく ひまなひはじょろううちぎのゆかたがけでせんだくもののあいづちうっていれど おくりこむだんにはえちごじまのこんがすりてりがきにかのこもん もちろんげいこというものありてよほどはなやか ぎょうじゃこうのさんかいへいざぶろうでしゅえん ふっとよんだげいこのつりでやまいちぐみのだいせんだつなじみいできてこうちゅうもいれこむからなじみじょろうのかがみぶくろにだらすけもたえずやぶいのたぐいもはいりこむおりにはしのかいたおうぎもっているじょろうもみえ かめのさんしさいらしいおうぎじゃなあ とよびやのかかがとがめると (十五丁ノウ) あいこれはながくもんのかいてあるおうぎじゃ とこたえる(@注3) またやまぶしともいしゃともみえぬきゃくここなよびやにておおうだてよなかじぶんに こりゃもてぬ といいいだし これからはたけへねぶかぬすみにいてこのさかなにでてあるたいをなんばににしょう といいだしじょろうげいこやどやのかかひきつれてものずきのあそび とってもどってさけになりくぜつになりじょろうがいうには わしゃしんじつにょうぼうになるきじゃ ときいてくだんのきゃく そしたらありようのこというてきかそ おれはいけばなのせんせいじゃ とおのがくちからせんせいというようなまちがいものもはいりこみにぎやかにあそぶことなり (十六丁ノオ) かりょう【はなびし】のか あじかわれいふうはっけんぢゃやあみがさぢゃやさなだやまたまつくりどうしんたちいえ あじかわいろはっけじだいにかわらず やはりふなてばかりのところ ほかのきゃくすじまれにてすこしもまえにかわらず かわりたるはひぢりめんのゆぐ ふるいのにあたらしいはつかけもやみすっぱりとしたこと かんのんまるのげんさまかすがまるのしちさまときゃくのわざになれてじょろうもよくひよりみるなり (十六丁ノウ) れいふはとうとくもてんまんぐうのひがしどなりにてさんけいのなぐれあし ここへたちよりおかげをこうむる ここもはなはだはなやかめかしのくのなじむのとひがしてんまあたりいろごとするわかものもはいりこみおりにはもめんどんやともみえたるばんとうおとこちゅうもんでまちまわりのついでにたちよりなじみへひとやって さてのみかけるとなにかなしにたこのつぶつぶぎりにしょうがすひやしもののかわりにはみやのうちへすいかのきリうりをかいにはしり なんとよかろがな とあるじのにょうぼうがしこなし かおきれるかかじゃ というてきゃくそうおうによろこぶこと おやじはるすか ときゃくのたずねに さあきいててくれなされ もあのこちのおやじのうたをよむのでたいていひまがとれてめいわくでござります (十七丁ノオ) そこのかべにみなはってござります みておくれなされ という きゃく どれとかべをみればじょへいひょうでしたごもじづけのまきなり うたとおぼえたもおかしくこんなところはおりおりゆくとよいはなしがあるものなり はっけんぢゃやここれいふうにちかしといえどれいふとはおおきにしなかわれり じょろうはおじゃれのすがたありてしろとづくりのたいなり きゃくはさむらいにおやじきゃくたびがけのしょうにんなどのぞめばにもんめごぶ(@注4)ぜんもできじょろうはおもてはまえだれきゃくがくるといしょうきがえめしくえばきゅうじする さけのめばしゃくする いろはっけにいいしかんばんのくびなどはひとがくわぬゆえいまはとんとないこと おもてにみえるがしょうみのくびなり (十七丁ノウ) おこうにまいったぜんもんなどしんもんからはいってそっとあそびみどうのやくしょへやろうとおもうたつつみがねのいちりょう ついじょろうにさしだし あせてぬぐいなどかわしゃれ なんまみだなんまみだ あみがさぢゃやすずめずしにみせをかざりきたのかたのいえじりにいりぐちあり きゃくていばんじまえにかわらずおおくまちいろごとのであいにはんじょうするなり さなだやまたまつくりしんたちいえ このあたりまえにあいかわらずしなくだりたり しんけのほうもざいしょうけなればはかばかしきこともなくたまつくりいなりのへんはきんらいしろとでおおし にくくいゆだんすべからず ちょうりょう【つたびし】のか うえしおまちのわたりまちばばさきこのさんじょいまはみなひとつなり いっちょうめははるかしなくだりたり みぎさんしょのよびやみなはなやか ちゃやおきやもれっきといろはっけじだいとはおおいにふうぞくかわりきんらいはなはだはんなりなり まえはおうめしまいとしまくろつむぎしたぎにだてをみせておくゆかしうごけでてかけおちろうにんのむすめなどというてもまことしげにしっぽりどころなりしがきんねんはんじょうするにしたがいしんのいろざとめかしたいこみせあんどんかがやかしじょろうげいこのいしょうずいぶんはでにしまのうちにまけじとりきむことなり (十八丁ノウ) ばばさきしおまちよびやはなやかにかずしらず ふ(@注5)らんせとしげよくひとのみみにあり のどまちにてはこじんしゅんらにとあんのぐっとわかいじぶんさかといいしころまたまえのらんこみぎさんすいのとうりゅうのなかとうぼうあんとなづけしいっていあるじのあざなはあわてともいう そのほかたなかやあともきょをかまえまためにたつはくまさかやというのれん さるきゃくこれをみて おおきにはぎそうなよびやじゃ といえばここのざもちどのこたえて まったくさようではない ちょっときたおきゃくでもあしがとまりとうどうよくじつのあさめしくうておかえりなさるゆえちょうはんからでたくまさかやでござります とやった おきやにはもりたやというものはだちてじょろうばんたんいまはけしからずこうじょうめくところははんじょうしてよけれどまえのようながなるところはうすくなりたり (十九丁ノオ) しかるにここにひとつのいんくつあり のどまちばばさきすじよりはんちょうきたにおもてぐちにたくしのひょうさつをかけてきとくさいといえるあり このあるじはひとのしりたるすいかぶもちにていぶつのるいなり ぜんたいこののわたりまちのよびやのすがた まずずっともってでるとさんもまっしかくなからくりだいのようなにいやみなさかずき とかくきりずしというものはださねばかなわぬことのようにこれがここのしょうねにてすのものだしてひやしものだすともうこのうえはじしんつなみがきてもかまわぬとなんにもださぬことじゃ (十九丁ノウ) とこころえているがここのおしきせなるにこのきとくさいというはまずきゃくはいるとなんじゃもしらずそっとことばがかかりざにつくとずっとだすさけさかなうつわ いっときはものずきありてただのおやじならず りょうりははなはだこころをもちいまたあるときはざわざわとやすうつけるりょうりにもおもしろうくわせめいはんなんどきでもゆきがかりにまにあわせりょうりはかあいそうにはずかしげなきことなり ていしゅもうまのあいしきゃくにはざしきへでてさまざまとうがちばなし おりにはとっておきのさみせんにておかしいこえでながうたもいっきょう さきげいこよべともじょろうよべともいわず (二十丁ノオ) にょうぼうはさすがそのきゃくそのきゃくのきをくんでそうおうによびものあてがいおもしろがらすことじゃ ていしゅのうまのおうたきゃくにざしきへでているはよいがそのあいだにりょうりばはりょうりにんばかりなればさかなとうのしうちただのことになるなり ここのにょうぼうといえるもこれまでげんきもまたおもしろみもいろいろとしてきてもはやとしもしまりたればすこしもすいのつかいたいことはなけれどおやじかかるせんにんゆえ かかきょうげんをわこうくめたろうがげいのしょうねにてつとむることなり なんでもめおとともいやみのないのがうまいところじゃ おおきからねどざしきへとおればとうしんにてむこうはふるのやまねいこまうちつづきにわもつくりすてていやみなくばしょうにあめをききかたえにはかわずとびこむみずのおとともいうべきいけもあり (二十丁ノウ) かきをひらきひがしのかたへしごほゆけばはたけありてなすびまびきななどおのずからなる つゆをもちけいしちゅうをのがれたるここちすずし なににもせよこのちへくるひとここへこぬはふうりゅうのいたらぬなるべし このごろもとなりざしきへじゅうごろくなうつくしいげいこがきてさみせんつぎかける なにをひくであろう おおかたひとつよぎあたりであろといううちひきだすをきけば としをかさねてよわいおきゃくはみなかどぐちでおれいもうすや とわるくちのてまりうたいまだにうたう さりとははらをかかえること (二十一丁ノオ) ここらがここのむかしののこりたるところか にさんねんもまえのことであった じょろうがよびやのかかとのはなしにささやきごえで いんまあそこのほそあいでいたちさんにおうた というのをこのきゃくききとって いたちにさまづけするからはどふでねこまたかなんぞばけものであろう とかいずてにしてうらみちからにげてもどったきゃくがあった さまざまとおかしきもようあるところ ことにこのきんぺんしょすいありてひとすじにしへいくとしおまちななはっちょうめにもいろいろのいんしあり はっちょうめにはなんかというたのうのひと これもすいのかぶもちにてなんでもばばさきだんだんはんじょうきんねんのうちぜひねりものがでるはず (二十一丁ノウ) そのときにはさくしゃにはことはかかぬ おれというものがひかえている となんかたのしんでいらるるげな きんねんようきひびにさかんのかなり ちからをいれてあそぶべし <げんしょうじのいきあたりこまがいけのほとりひょうにおよばず> かいせん【ひおうぎ】のか なんばしんちのかなり ここのじょろうげいこはしんまちにもほりえにもかまわずちかきしまのうちをてきとしてこれにはげみあうこころありてかえってりきむことつよし ちかごろはげいこもげいをはげみばんじはなやかなり しまのうちのていしゅなかいいろごとであいのば このなかにもじょろうげいこにはなはだふどうあることあたいかわらずしてえほうかほうあるなり (二十二丁ノオ) ここもいろはっけじだいにさしてかわることなし しんやしきこれもこのかにぞくす ここはぜんたいむかしはうきすというてふなかたのきゃくはいりこみしところ おおいにはんじょうせしがなかごろとんとさびわたりたり(@注6)しをちかごろまたみせつきをはじめばんじはりこみしよりまたたてなおりきんらいはじょろうげいこもはなやかにいしょうはさかまちにかけあいしろとでというものはいずれのさとにもすくなきものなれどここにはくろとのしろとというものおりおりあり かこわれていたじょろうのきゃくにはなれおやのうちにまいまいしているうちしろとどうぜんになり まあみつきでてみよう というようなもあり (二十二丁ノウ) またせたいやぶりのなかいなどくろきなかのしろうと これをくろにくというてうまみのあることなり ここらをかんがえあそぶべし げいこというものはなかなかながうたではとんとまにあわぬこと そのはちぶしというものあたりじょうるりなればやっこのみちゆきとあしかりとにばんおぼえていればとうじはかかず げいこしゃみせんもつとみぎやひだりのちょうじゃさまとめりやすうたうときゃくもこころえおうぎさっとおしひらきちゅうやくしゃのものまねさわぎどうなかへよなきのうどんやよびこむもおかし (二十三丁ノオ) とかくきんねんはじょろうおおきにはなやかそうおうのぜんせいにぎわうことなり ここのおきやのたいしょうはよしのや じょろうあまたあり つづいてはりしんさつまやよきしろものをいだす なんでもいまいちだんはやらそうならばこのとおりすじのまちはばをもうごろっけんひろうしてにしのはまのつきあてやなぎのあるところにでぐちのもんをこしらえひがしのすだれやのあるところにおなじくもんをこしらえみどうすじからどうとんぼりへわたるようにはしをかけじょろうにもかぶろをつけひがさをおとこにさしかけさせておくりこみしんまちのうつしをしたいとここにとしふるいふんべつしゃがいわるるゆえ なるほどそれはよかろうがまずひきふねかぶろひきつれてはそれほどのにんじゅのはいるひろいよびやがあるまい (二十三丁ノウ) といえば いやいやかぶろやかさもちのおとこはおもてのみせにこしかけさしておくとあるやぶいかやまぶしのとものようでおかしかろ といえば いやまだかんじんのことをわすれた やりてにあとからまきえのたけのつつにせんこういれてもたすとやっぱりしんやしきがはなれいでおかし ちかごろめっきりはなやかだんだんはんじょうすべし くろふねしんちひげそりきんねんのわきものひげそりもかけあんどうにてめかすことなり うちまけのてんごうしがみそかにょうぼうをだすなどひょうしがなおるとかねたててつれていぬるなどこれらしろとでにておりにはあれどとかくでいりせわしきか かおのかわることはやし (二十四丁ノオ) なんばおくらつつみちかごろしんたちいえありてこそのていのものやりかけたれどはかばかしからず なんちののかわしちけんのまさかどちゃやといえるみせつきのるいいでくれどもかくべつのこともなし ほうけつ【たからむすび】のか ほりえのかなり しゅうじんいりきたりむかいはなはだせいきゅうなり とがいざんおうぜんかにもうされしとおりここそのときよりかくべつかわらず すこしいやしみあれどきりょうよきげいこをだすところにしてじょろうげいこのかねつけそでつめなどはなやかににぎわしきばしょ かねつかいというものでなくぜにつかいというもののおおくいりこむかなり (二十四丁ノウ) とうだい【きりのとう】のか しんまちのかなり ここはばんだいふえきのすがたなれどときどきのなりゆきにてがいざんおうじだいとはそういせり かわらぬものはどうちゅうはちもんじあげやいりのすがたとじょろうのかりかしもんもんのかためたいこのさだめなり いつのころよりかあわざにべつのみせつきこのものずきはとんとしんまちけをはなれてみせのかざりもあやつりのよだんめとおぼしきどうぐにてこのさますこしおとりたれどまずにぎやかながいっきょう (二十五丁ノオ) そのほかよこまちよこまちろくじゅうちゃやもそなえよくなりべっしてこのろくじゅうというものきんねんのはやりにててんじんをあやまらすほどのいきおいじゃというてそうじょうぼうというなり ここのふうぞくおおようにしずかなるをもととするゆえろくがつのにわかもやっぱりみなみのふうにてはあたらず しんまちにわかというものひとつていあるももっともなり たゆうのふうぞくもじゅうにんがなかにふたりはすこしがっさりもあれどせりふしうちそなえをみださず (二十五丁ノウ) くるわというばをすてぬこそいのちなれ なんぼういろをきかしたるすいもとしがおいこんでめじりにこじわができはもみがくといたむようになってはすいがってもくろがってもじょろうのうけあしきもの ここでこそいんつうというものでなければいかぬところたいびょうにんににんじんのますというばなり いんつうでいろをもたすとしよりきゃくはとかくしんまちでなければかなわず はくじんなどのてにかかるとあっちのかってばかりして よいやさとむごいめにあわせる これしんそこつたなきゆえなり しまのうちでいやがることはしんまちでもいやなはずなれどぜんたいかぶろだちよりきゃくのつとめかたはこうしたものとおぼえこみけいちゅうのじょうをだいじにつとめるところゆえとしよりきゃくをやらず (二十六丁ノオ) やさしきこころざしあり ほれるではない しぜんとそのじょうになれたるものにてつたなみのないゆえなり わかおとこのわけひきあしきにはおおいにはじをあたえるようのことあれどとしよりきゃくをやるというはしんまちになきこと これなんきんといまりとほどじょうのちがうことなり このあじわいをかみしめよろずぬるいところにおもしろみあることをおぼえこみしきゃくはいっしょうわすれずしちじゅうになりてもはちじゅうになりてもかねつかべばくるわへくるものなり たゆうのじょうにあげやのすがたかけあわねばゆかぬこと さんすんはちぶのばちでながうたがひけるものでなくほそいいとのどうへしみこむようなねじめでせんねんごうしゅうたながみがわがかたらるるものでもなし (二十六丁ノウ) ここはけいちゅうのしきじょうあつくもてなしすがたはあどのうしたてる このだんはじょろうばかりのことにあらず しょげいしゃにもあるところ げいにはしみてすがたにしまぬようにするがすなわちじょうずなり たかいのなり げいにしむとはしゅうしんあつくこるところ すがたにしまぬとはかたちにそのもようなきなり たとえばはいかいしがよそへいてのあいさつにもごしちごをあわせて ☆おやどにかようじがありてぎょいえたし ときれまでじいれていうたらうっとしゅうてたまるまい (二十七丁ノオ) なんばしんちにしんぞうぶれをするおとこ ☆さるやしきいでほんにくしろとふくしんからでられます きんねんのしろものでござい というがなだいにてみなひとのみみにとまるこのおとこつねにとちゅうでちかづきにあい ☆きょうはきつうあつうござい とやっぱりしんぞうぶれのおんせいしみついてあるなり たけもとしばいのしゃみせんにつるさわぶんぞうといえるあり じょうるりしゃみせんのどてんじょう さてひとがらはくげのおとしごかともみえすがたことばにもしゃみせんひきらしいことすこしもなくひとしおじょうずにぞおもわるれ とかくかたいじはへたのはじめ あるひとかぶきやくしゃのひょうばんにげいにすこしのくせなくまるうするはくめたろうなり といえばかたわらにいるかたいぢせんせいのいわく いやいやくめたろうにもやはりくせがある むむどうしてくせがござります とおしてとえばくだんのいぢせんせいいわく そのまるうするのがかれがくせじゃといわれた かやがなってあってもきはしいのきじゃというやつにはのいてとおすがよし しんまちのふうぞくはくせのないところがいちだんこうじょうなば ときどきのはやりことばをきんじはやりぞめをきず ばんじこのていゆえぬかってみゆれどこれくせのないじょうぼんなり きんねんかくちゅうにげんきんうりのりょうりやみせなどいできたるはつらいけれどくらいもののはやるがとうせいのふうぞく ほんまちからきたのさかいすじによみせのさかなやのあるじせつなればしょうことがない いかていのほうがんたりともこのしんまちのあじおぼえざるはどこやらあそびかたにめがつまぬなり (二十八丁ノオ) ちまちだゆうのうけだしせんさんびゃくりょうみごとこのほうがんのしょうばいすじせんさんびゃくりょうがこめをつんだらよっぽどみごとにあろとぐちなわろがくやむもおかし これにつけてもおしきすいのかぶもちはかわさきやがぶつ きっとほうがんのかぶもち もうひとたびはなやかがみたい あたまのはげるがおしいおしい なにはともあれなをなさんとおもわばろうかさいほうじょうどにいたりきゅうけんのうてなにのぼりさどやまちにしうんのうちかけえちごまちのおんがく ここにはちすのうえをちぎらずんばせいせいたるぼんぶすいどうにうかみあがることあるまじ しゃくしかけをかうかじやのごろうすけもごりょうすごりょうすといわるればしぜんとかみもごたいづけにすることをやめてうでまくりせぬようのきになる (二十八丁ノウ) すなわちこれがひとがらのよくなるゆえなり ろくじゅうとてもこころはまつのくらいにならいかいげりして まさのやあ とかぶろよびつれるすがたおかしうもあるけれどこうするものじゃとおぼえしところつくりものにあらず うるわしここのかいははじめてはいってなかほどにぬるしとうとみそれよりほかのゆうりをへていたりいたれるところまたこのちへもどる とおをへていちにかえるのかなり にんげんろくじゅういちのほんけよりかくべつおもしろみますところなり こじんはいじんのていがつえにすがりてかめぎくだゆうによごとかよいしもここなればなり しんをあつくしてかよえばぶおとこたりともいろがききだすというところはここばかりなり (二十九丁ノオ) しんずべししんずべし ふろく しちじょうせいのうら じょろうをはじめちのおんなにもせよ いろごとにてさきのあいてのきょじつようだいをうかがううらかたなり おんなよりおとこうらなうもくりかたちがうばかり ききみょうみょうのうらかたなり せんぽう ひだりにあらはすところのしちせいうらなわんとおもうときおんなをにじゅうとたておとこをじゅうとたてあわせてさんじゅうなり うらなうひついたちなればひとつといれふつかなればふたつといれる みそかまでそのかずのとおりりいれる (二十九丁ノウ) たとえばだんじょあわせてさんじゅうとたてうらなうひここのかなればこれをここのついれてさんじゅうく これをはらいというてななつずつありたけひく さんじゅうくのうちごしちさんじゅうごはらうとよっつのこる これをしちせいのいちのしるしよりしだいににさんしとみぎののこりよっつめのところをみてしるべし おんなからおとこをみるはやはりみぎのとおりにしてのこりたるかずにてほしをくるときななつよりぎゃくにろくごとさかにくりとまるところにてみるべし このうらはただだんじょきょじつばかりのほうにてとおがとおあたらずということなし あざけるべからず しんずべし あんえいにみずのとみばんか (卅丁ノオ) 挿絵 (卅丁ノウ) ------------------------------------------------------------ 注) 1 ・「備四軒」:読み方不明。 2・以下「女良」「女郎」、いずれも「じょろう」と表記する。 3 ・原本十六丁ノオ「答{こた}べる」とあるが、大成本「こたへる」に従い「こたえる」と読む。 4 ・原本十七丁ノウ「弐匁五ウト」とあるが、大成本「弐匁五分」に従い「にもんめごぶ」と読む。 5 ・「辰」:読み方不明。 6 ・原本二十二丁ノウ「さび渡りたるしを」とあるが、大成本「さび渡りたりしを」に従う。