辰巳之園安永二年再板本翻字データ 凡例 ・漢文の返り点は「【 】」でくくって示した。 ・漢文中の送り仮名は「《 》」でくくった示した。 ・押印部分についてはその所在を「〔 〕」でくくって示した。 ・半濁音を示す右肩の小黒丸記号は「●」で示した。    例) ひ● → 「ひ」の半濁音 ・後人による書き込みは「〔〔 〕〕」でくくって示した。 ・後人による塗りつぶし部分は「■ ■」でくくって示した。 ------------------------------------------------------------------------------- 参人述【レ】之 明和七庚寅林鐘撰之 櫓閑街 紫楼 安永二癸巳年    再 板 〔印〕〔印〕 (二オ)            自弓奄 大坂枕に楽の夢ハ     祇桑〔印〕 盧生か五拾年の 夢とやいわむ 邯鄲と 同し枕や 花の夢 (二ウ) 辰巳之園敘 京都辰巳鹿社住江都辰巳有【二】遊楽【一】夫者宇治山是者深川富賀岡之邊《二》遊情婦之郷也勤 (一オ) 悉々書集吉原《二》北国之急有《レハ》学《テ》【レ】之《ヲ》辰巳之園題《シテ》書肆何某住【レ】@北国之美君《ノ》噂《モ》不【レ】顧如【二】井之内蛙【一】吉原雀《ノ》閉【レ】雌深川 (一ウ)    自序 富賀岡{とみがおか}八幡宮{まんくう}は。鎌倉{かまくら}鶴ヶ岡{つるがおか}をうつ@@{たてまつ}り。 貴賎{きせん}老若{らうにやく}の信々{しん/\}日々{ひゞ}に弥{いよ}まし四季{しき}おり/\のにぎやかに。 二けん茶{ぢや}や其外{そのほか}。やうじみせよしづ茶屋等{とう}の。美婦{びふ}は紅粉{こうふん}をよそほひ。 品かたちのうつくしきを。みればたのしみは外にあらじとおほゆる。 さるにより此とちにたのしむゆうみんは。北国のおもしろきをしらす 美{ひ}こくの。吉原{よしわら}にくらぶれば九牛{きう/゛\}が一毛{もう}とやいわん。 さりながら。餅好酒の酔{ゑひ}事を。そねみ。 酒好{さけずき}は餅{もち}のふうみをにくむ 吉原の (三オ) 位あつてしづかなるあそびを。しらずして。此所の素人{しろと}らしき娘ふうを悦{よろこ}び。 又此土地{とち}の。わつさりとしたるたのしみを。吉原好{ずき}はしらずと。深川好{すき}北国をにくむ 吉原容{きやく}は深川はげびなりと笑{わろふ} いかであらそふ時は水@けろんとやいわん 吉原に昼三{ちうさん}あれば仲丁{なかてう}土橋{どばし}あり。 打附{うちつけ}あればやぐら下佃嶋{つくたしま}あり 壱分弐人{ひつはり}六寸には新地{しんち}入{いり}ふね石場{いしは}三間堂{さんけんどう}をたとへて。こゝにたのしむ。 姉女郎{おいらん}あれば年{とし}ま有 禿あれば小女郎といふあり 花車{やりて}あれば送迎{まわし}男あり たいこ持はげいしやといふ 浅草くわんおんにくらぶれば八幡大ほさつを信{しん}ずる。 (三ウ) 聖天{せうてん}はすなわち。永代寺{ゑいたいじ}の寺中{ちちう}に有。 九郎助いなりに。仲町のいなりをたとへ。 松田いなり@黒江丁のいなりをいわん。 又朝日如来{あさひによらい}には。永代寺の本ぞんをなぞらへん。 大うんしまへあれば永代寺門前{もんせん}あり。 大門{おふもん}あれば。大鳥居あり。 土手{とて}あれば永代ばしあり。 ゑもん坂{さか}には。やくら下{した}の火{ひ}の見{み}をたとへん。 此火{ひ}の見{み}を見て。ゑもんをつくる。 さくらのかわりに。山びらきといふ有リ とうろうのにぎやかあれば。八幡のまつりあり。 舩宿{ふなやど}をよぶは。むかふの人をよぶにひとしく。 ひけ四つのしづか有レは。四つさ。きなといふ事有。 (四オ) 吉原{よしわら}に意氣地{いきち}あれば。此とちにたてひきあり。 丁に振{ふる}といふ事あればこゝにてらすといふ事あり。 照{てる}と降{ふる}との事にや。 姉女郎{おいらん}御亭様{こてさん}のかへ名あれば。茶屋の女房を。一{いつ}流におば@んとよふ 其外お針いんきよさんなどの。通言{つうこん}あり こゝに略{りやく}して末にこと/\くあらわす 誠{まこと}@おつれば同じ谷川の水のとく(@) 若衆好も吉原好も深川好も遊ひにかわる事はあらじ。 ことわざにいふ立臼も二かいへのぼるのどうりなり。 さりながら此所の疵には。はれたる遊里あらざれば。 (四ウ) 北国より禁{きん}ずる時{とき}は。けいどうといふ。百日あまりの大紋日{おふもんひ}あり されど。丁{てう}より禁{きん}するとも深川客{きやく}吉原{よしわら}へはゆかす。 井{い}に水なきときは。川水のたすけあり。 すでに慈童{じどう}は。菊{きく}のつゆに長寿{てう@ゆ}を。たもちしと。聞{きゝ}つたへしなれど。 此{この}艸紙{そうし}は。深川のくわしきを書{かき}あつめたれば。 吉原の目をしのぶ已而{のみ} 而あなかしこ/\ (五オ) 春風{はるかぜ}は。花{はな}のあたりを。よきてふけ。 心づからやうつろふと見ん。 上野{うへの}飛鳥{あすか}の花ざかり。日ぐらしの風景{ふうけい} 所々{しよ/\}にぎやかなる折{おり}から。きさらぎなかばのころ かやば町。薬師{やくし}如来{によらい}の参詣{さんけい}おびたゞしきくんじゆの中に けいしや八丈のはおりに。黒{くろ}つむぎの小袖{こそで}八丈代リ縞{しま}の下着{したき}八反かけの立よこ嶋のおび。はな紙{かみ}袋{ふくろ}小菊{こぎく}三つ折丸角屋がほねおりの利久形{りきうがた} 髪は本田{ほんた}にあらず。茶洗坊{ちやせんぼう}にあらず出ず入らずの。男{いき}女好{ちよん}と結せつたは鼠@{ねつみを}の下リ皮{かわ}。 細身{ほそみ}のわきざしをさして。伊勢屋が床机に。 (五ウ) こしをかける [いせや女房]志厚さん。きついお見かぎりで。ごさりやす [志厚]此間は石燕{せきゑん}が花の會{くわい}に そして屋舗{やしき}に鞠{まり}がありやして。 さん/゛\にわか氣つめで。ぶら/\心{こゝろ}。これではいかんと おや玉隠れのちよんの間と。出かけやした [女郎]夫はきつい御心労{こしんらう}。 今日{けふ}もおさへかへ [志厚]久しぶりだにちよとまいらふかと。思ひやす [女房]おはやうおかへり。なさりやせ <はなしの内に> 髪{かみ}を大ほんだに結{ゆひ}。 飛{とび}八丈の小袖{こそて}の。すこしよごれたるに。 黒じゆすのそで口に。 はヾせまのおびに。 小短{こみしかき}大小を。おとし指{ざし}にさして 山岡づきんをよこ丁にかむり。 (六オ) 日和{ひより}下駄をはき。 大キなる顔{かほ}にて来{きた}る [志厚]かみさん見ねヱ 凄ひ男だ [女房]まだぬしをしりなんせんか 如雷さんといふて。てヱ/\やかましのしやござりやせん <うら門の方より> 御国衆{おくにしゆ}と見へて。 花色{はないろ}小袖{こそで}に。浅黄{あさき}うらをつけ。 あらいはげたる。黄{き}むくの下着{したぎ} 黒沙綾{くろさや}の帯{おひ}に。ぐんない嶋{しま}のあわせばおりに。かいきの裏{うら}を@け。 袖{そて}頭巾{つきん}を。ひら/\とかむり。 尻{しり}をしん/゛\ばしよりにして。 き木綿の足袋{たひ}に。わらぞうりをはき 大小を閂ざしにさして もへぎ羅紗{らしや}の。柄袋{つかぶくろ}を掛{かけ}て。 楊枝屋{やうじや}の娘のうつくしきに氣をとられ。 (六ウ) 傘{からかさ}の沢山なるに@きやうをさまし ちよき舩の早きにおどろき 金魚{きんきよ}のかずにあきれ。 植{うへ}木の青/\としたるに目をさまし。 楊弓{ようきう}のカツチリちりりんにむねをびくつかせ。 からくりのたいこに氣をぬかれて。 大キなる鼻紙袋{はなかみぶくろ}の落{おち}そふなもしらず。 うか/\と来かゝり 如雷が顔{かほ}を見ると。きよろ/\顔にて。 <袖頭巾を取て> 貴公にはいづ方へお越{こし}なさるヽ [如雷]こりやアめづらしい。ぬしやアひとりか。 [新五左衛門]イヤ 下拙も初の出府ゆへ方角もぞんぜず。 薬師{し}とやらが。今日はにぎやかじやと。福才老のすヽめにまかせ (七オ) にぎやかな町を通りぬけて。やう/\たづねて参りました [如雷]そんな事ならつれだつて来よふものをどふだ。此にぎやかな事はおそろか [新五左衛門]いやはや。とつぴやうじもねヱ。こんだアむし [如雷]主はなんと。深川{ふかがわ}へいくきはなしか [新五左衛門]どこへなりと行キますべい [如雷]そんならもつと。身重{みゑ}をして来{こ}やうものを。 イ。 しつたやつらにあつたらづいがくれのずいにげにしよう。 ちつと用もあれど用事流{なか}しのちよんの間あそびと出よう 舩{ふね}に乗{のら}ふか。 日本橋へは遠し 江戸橋の田村屋にしやうか。 但し西村のおさよが所で乗{の@}ふか。 (七ウ) いや/\。 此間大和屋のむすこと乗{のつ}た渡{わた}し場の中村屋にしよう。 新さんこつちへ。 きなこもち/\ [新五左衛門]そつちへ行のかへ <是より如雷新五左衛門をつれてよろいの渡しの方へ行 中村屋にて> [セントウ次郎]舩か/\ [如雷]なんのこつた。舩か/\と他人かましくするな <次郎 ついそ来ぬ客なれ/\しくするを 上手ものなればなしみ顔に> これはお見ちがへもふしました。おつや殿お茶を上ねヱ [セントウ長吉]そんならおれはいつて来{こ}よふ。 イヤ 稲荷堀{とうかんほり}は何ンばんか出たな [次郎]七百二十一と出た [長吉]なむさん 薬師のもかきを喰{くふ}。此頃は七百六百が。いヽわへ [次郎]今日はどこへ行 [長吉]九十九里の旅人{たひうと}のしまいがある [次郎]早くしまつたらめくりをうたふ (八オ) [長吉]後に/\ [如雷]あいつはどこの舩印じや [次郎]横町の西村におりやす [如雷]西村の舩頭か。あいつも見わすれたそふな。きつく年寄になつたそふな。 <女つや茶をもつてくる> [如雷]イヤ美しくなつた久しく見ねヱが。とんだ茶釜{ちやかま}になりおつた。どふだ地色でもできたか。 <知らぬ客ゆへ氣味をわるがりかつてへゆけば引かはり女房出る> [女房]よふ御出遊しました。 先御上りあそばしませ 次郎殿舩を早く拵さつしやい <如雷たばこ呑付る女房火入へ手をあて> お火がござりますかな [如雷]ありやす/\ [次郎]かみさん。仲町の亀山への文がありやせう [女房]今見てやろふ舩をはやく拵へな <せんとう次郎火なわ箱なと手にもつて (八ウ) くわへきせるにて舩ばの方へ行> [女房]是次郎どん。 くわへぎせるはあぶないによ [次郎]アイ <女房此間にかつてへ行て状指を尋る 如雷手拭を出して顔をふく> [如雷]新五左{しんござ} かならず。つきな事をいふまいぞ [新五左衛門]何サ おれらもいなかじやア。お女郎買{じよろかい}だ。 今度{こんど}も軽井沢{かるいさわ}であそんだら。 峠迄{とうげまで}おくつてなむし。 おかへりにやア。かならずよらしやりませとくれ/゛\いふて 大{おヽ}もてゞあつた [如雷]なんの事{こつ}た 人が聞{きく}。 そんな事{こと}は御{ご}めんだ/\ [次郎]舩ができやした [女房]<かつてより> 舩ができました お出{いて}遊{あそ}ばしますか [如雷]サア新さんめえり。やせう イヤかみさん。 女中に西宮{にしのみや}が所の。長哥{なかうた}を買{かい}にやつて。くんねヱ (九オ) [女房]ハイ。 つや。 新六さんの所{ところ}へいつて。めりやすを買{かつ}てきや [如雷]<ふところよりぜにを出し> はやく買{かつ}てきて。くれ 木川岸{きがし}/\ <つやはめりやすかいにゆく 女房先に立て如雷新五左衛門ふねへ行> [次郎]さアめしませ [如雷]<舩え乗る> 新さん 乗{のり}やすぞ [新五左衛門]<ちよきは初て乗ばやう/\取付/\> アヽこりやア。ぶ細工{さいく}なもんだ [如雷]ころひでもせまいぞ。 ひとりでころんでぬれるやつと。出{で}まいぞ [次郎]うそわねヱ。もしかみさん。 舩縄{もやい}をといておくんなんせ [女房]先{まづ}ちつとまちな。 めりやすがくる <下女つやめりやすをかいいそがしそふにかけてくる> [女]朧月{おぼろつき}と。五色丹前{ごしきたんぜん}を。買{かつ}て参{まい}りやした [如雷]ヲヽきまり。すいめ。重{しげ}さんどうでもはだしじや/\ [女房]<舩のへさきを持ツておし出す> (九ウ) おかへりに。おより遊{あそは}せ [如雷]アイいつてめヱりやせう [女房]イヤ次郎どん。 白木屋{しろきや}の清助さんのふみを [次郎]それ/\そつからなげておくれなんし [女房]そんならなげるによ。 そりや [次郎]おつときやした <ふみをふところへ入 舩はよほど出る> [次郎]とりかぢ/\やんわりと/\。 ヱヽべらぼう。 あとさきみてこげヱ [如雷]新ぼう此新川{しんかわ}すじの。蔵{くら}どもを見やれ。 是{これ}がみんな。酒{さけ}だによ [新五左衛門]大{おヽ}けなものじや [如雷]是{これ}より又{また}油堀{あふらぼり}の。孫兵衛{まこへヱ}か。 かしぐらが見せたい [新五左衛門]孫兵衛{まごひやうゑ}とは [如雷]国でもしつて居{い}る。親和{しんな}が事さ。 三{み}ツ井{い}孫兵衛と云{いつ}ては。手跡{しゆせき}はよし。金{かね}は沢山{たくさん}あり (十オ) 孫兵衛さんの事だ <舩は永代橋の近所へ行> [次郎]もし旦那{だんな}お頭巾{づきん} [如雷]<頭巾を取て> 新さん頭巾{づきん}をとりねヱ [新五左衛門]頭巾{づきん}をなせ取ル [如雷]@ヽは舩改{ふなあらため}の。番所{ばんしよ}だ。 見ねヱ くれかたからは是{これ}に火{ひ}を燈{とも}す。 此橋{このはし}が永代橋{ゑいたいばし}といふのだ 橋下{はしした}から見へるが。仙{せん}だいがし。 こちらの火{ひ}の見{み}の下{した}をはいると八まんの裏{うら}。二軒茶屋{けんちゃや}やぐら下{した}(@)などへ行{ゆく}て [新五左衛門]やぐら下{した}とやらは。 国元{くにもと}でのはなしにはやけたと聞{きい}たが [如雷]やけたとて。できねヱでなるものか。 仲丁{なかてう}もやけたがりつぱにたつた。 やくらしたなどはまへかたはかくしまどであつたが。 惣{そう}ごうしになつて。すとんだもんだ。 土橋斗{どばしばか}リやけなんだが 又やけたからやけぼとりやらで。又りつはにできやう (十ウ) [新五左衛門]此ちよぴりとした所{ところ}は。なんじやへ [如雷]是{これ}は八左衛門嶋{しま}といふ。 向{むかふ}がつくだ嶋{しま} [新五左衛門]こヽにもあるか。な [如雷]イヤこヽはりやうし斗リ居{い}る 女郎{ぢやうろ}のあるは。八まんの向{むかふ}のさ。 新地{しんち}も近{ちか}し 石場{いしば}も近{ちか}けれど。 新地{しんち}などは。下卑{げび}じやて。 のふ舩{せん}しう [次郎]イヤ其{その}やうに。きたなくもござりやせん。 新地の播磨屋{はりまや}などはよくいたしやすよ。 子供{こども}は揃{そろ}つて居{い}るなり。 女共も。よくいたしやす。 ちつとお出{いで}なんし [如雷]こいつは。はりまやに色{いろ}があるな。 もふせんでもかぶるなよ [次郎]つがもねヱ。 そんな事するのじやアござりやせん。 (十一オ) 旦那{だんな}どこへお出{い@}なんす [如雷]されば。どこがよかろふ 仲町{なかてう}にしやうか土橋{どはし}にしやうか。 河邊{かわべ}の娘{@すめ}が半四郎をまねるも久{ひさ}しいもんだ。 山本{やまもと}にしやうか。 山本は腹{はら}がちいさいから。尾花屋{おばな@}にしやう [次郎]いつそ。亀山へ御出{おいて}なんせ [如雷]イヽヤ小花屋/\ [次郎]稲葉{いなば}や。 おなじみならさきへお出なんし [如雷]さア新さんあがんねヱ [新五左衛門]早{はや}ひもんだ。 ゆめのやうにきた [如雷]そんなら先へゆくぞ 新さんこつちへきねヱ <如雷と新五左衛門新道より小花やへ行 又ちよき来り川岸へ付> [センドウ忠五]亀山{かめやま}/\。 ヱヽふけいきな亀山/\ <やう/\かめ山にて聞付て女来> [女]忠五{ちうご}どん御{ご}くろう 蝶郷{てうけう}さん。おいでなんした (十一ウ) [蝶郷]此間{このあいだ}は御世話{おせわ} [女]おかげで面白{おもしろ}ふ。芝居{しばい}を見やした [蝶郷]これはおれいで。いたみもろはく <蝶郷は女とつれ立て亀山え行 忠五舩をしまいて> [忠五]是/\次郎 そしらぬ顔{かほ}をするな [次郎]どふだ忠五 久{ひさ}しいの。 いひ事{こと}でもあるか [忠五]とんといけねヱ。 ゆふべも屋形{やかた}にいヽのがあるからいたりや。手{て}ふりあみ笠{がさ}になつた [次郎]おいらも裾{すそ}つぎの丁子{てうじ}やでめくりをうつて。六七百まけて。 それからおもての春岡{はるおか}でこまがあるからまはしたら。半分斗{はんぶんばかり}まけはかへつた [忠五]そりやア先{まつ}よかつた。 なんとそつちの吉{きち}は。どこにいるの [次郎]此間{このあいだ}聞{きけ}ば。のぶと舩{ふね}を乗{の}ると聞{きい}たが。ついそ見かけねヱ [忠五] (十二オ) あいつもいけねヱ。 とうなすだよ [次郎]とうなすだか。茶釜{ちやがま}たかわからねヱやろふだよ。 客{きやく}がまつていやう 後{のち}にきやれ [忠五]とのやうな客{きやく}じや [次郎]なんだか雨落{あまおち}のきしやご。見たやうにしやれのめすよ [忠五]そんなやつもくがい三年と附合{つきあつ}てつとめたがいヽ [次郎]のちに/\ <次郎は新道より小花やへ行 忠五はふねをしまふ> [小花屋娘お中]とふだ次郎どん きついものたねヱ。 前{まへ}のお松どんがいねヱけりや。亀山{やま}へ斗{ばかり}いきなさるな [次郎]こりやアめいわく。 客衆{きやくし}さへ来{こ}やうといへばいつでも参{まい}りやす [お中]うそをつきねヱ <咄しの内におくより女来り> お中さん志厚{しこ@}さんの。ちよつときねへと [お中]横座鋪{よこさしき}てか (十二ウ) <お中はざしきへゆく 次郎もかつての火にまたがつてあたる 料理ばんも客大ぜいゆへいそがしそふに> [料理番]八助どん 水をたのみやすそ(@) [八介]アイ水{みつ}汲{くみ}も。てヱ/\ではねヱ [料理番]お松殿{とん} 硯{すヾり}ぶた。持{も}つて行{いき}ねヱ。 おくへはまだ吸物{すいもの}がでるによ <客四五人きたる> [若イ者料理番]お中さん。 お松どん。 お客{きやく}があるによ [女]是{これ}は五郎兵衛さん ようお出なんした [五郎兵衛]けふは御やしきから。お出{いで}遊{あそば}した。 随分{ずいふん}そまつのないやうに [女]アイ/\。 さあこつちへ御出なんし [五郎兵衛]だんなお上{あが}り遊{あそは}せ <客はのこらずおくざしきへ行> 客{きやく}の風躰{ふうてい}は。御大名{おだいめ@}の。勝手用人{かつてようにん}共いふかつこふにて。 御納戸茶{なんとちや}。羽二重{はぶたへ}の小袖{こそで}に。浅黄{あさき}むくの下着{したぎ}。茶色{ちやいろ}の帯{おひ}。りつはなる。大小{だいしやう}にて。 京扇子{きやうあふき}をぱちつかせ (十三オ) 髪{かみ}を合{あわ}せび@@@@@結{ゆひ}を四角{しかく}にまき。 宗十郎づきんを持{もち}きたる。 跡{あと}に@@いて。弐人来る。 是は勝手用人{かつてようにん}の下役{したやく}手代{だい}と。いふなりの男{おとこ}ぶりにて。 郡内嶋{ぐんないしま}の綿{わた}入羽織{ばおり}に。小もんのちヽぶ絹{きぬ}の小袖{こそで}。 ひとりは。ふとりのはおりに上田嶋{うへだしま}の小袖 はるか跡{あと}より。さんとめの布子{ぬのこ}に。小はく嶋の帯{おび}。 手に海黄{かいき}嶋の風呂鋪包{ふろしきつヽみ}を持{もち}。かつてに居{い}やうとするを [客]これ/\長助。 酒{さけ}でものみやれ [長助]ハイ <跡につヾいて行 是はかつて用人の小づかい手附中間なるへし> 五人ながら座鋪{ざしき}え行{ゆく} [客]さあみんな平{たいら}に/\ [四人]ハイ/\ <此間にたばこほんなと出る> [客]是{これ}/\。 屋鋪{やしき}は屋鋪こヽはこヽじや。 平{たいら}にし給へ [四人]ハイ/\ (十三ウ) <女鉢盃硯ぶた持出る 娘お中てうし持来る> [五郎兵衛]たんな壱つ召上{めしあげ}られませう [客]しからば初{はじめ}て <一ツ盃のみて次の男へさす>        [次の男]傳六殿. お先{さき}へ <酒をのむ所へ女来り> [女]五郎兵へさん お百{ひやく}さんはさしで居{い}なさりやせん [五郎兵へ]アヽたれこれはねヱ うつくしいのを揃{そろへ}てたのみやす [客]これはざんねん.びんしけん 五郎兵{ひやう}がおなじみを.見やうと思ふたら [五郎兵衛]又だんな わる口{くち}斗{ばかり} <吸もの出る 女郎あね来る しやうじのかげより小ごへに> [女郎]お中さん [お中]サアきねヱ <女郎四人来りてならぶ きやくは一ばいのんで女にわたす 女盃を上座の女郎にわたす 女郎盃をよこにまげてちつ斗のんで女にわたす 女は次の男へ盃をもちゆく 次の男のんで小こえになりて@@めへ@@ふて女にわたす 女三人めへ持行 女郎のんで女に渡す 又女三人めの客に@@@@@@@@のんで女に渡す 女二人めの女郎に盃差す 女郎のんで五郎@@@@@@ @@@@@さしづめ四@@@@@@@@@> [客]長助/\. どこへなといつて.たのしめ/\ (十四オ) @@@@@@@@@たて。よふこざります [五郎兵衛]西宮{@しのみや}の舩頭{せん@@}@@@前{@@}の。あふぎやへいかんせ [長介]イヱモ [客]いけ/\ [五郎兵衛]サア/\ <むりに長助をひつたて舩頭と一しよの堂前へやる> [五郎兵へ]にぎわいにげいしやをよびませう。 これおまつどん。 たれそたのみやす [女]はおりにいたしやせうか 男{おとこ}げいしやにしやせうか [五郎兵衛]梅大夫{むめたゆふ}が。よかろふ [お中]おまつどん。 梅大夫さんをきヽにやりねヱ [女]アイ <女は梅大夫よびに行 跡は女郎ときやく別々になり座もすこししらけて居る所へ梅大夫来る> [梅大夫]これは五郎兵衛さん。 おひさしぶりで [五郎兵衛]まちがひ久{ひさ}しうお出會{であい}も。致{いたさ}ぬ@ 山でのんだまヽかな [梅大夫]さやうさ 宮本{みやもと}。以来{いらい}で。ござりやす (十四ウ) [客]ちかづのため。さそう [梅大夫]是{これ}はありがたふそんじます [五郎兵衛]なんぞ。おもしろいものをたのみやす [梅大夫]風流{ふうりう}の。馬士{まご}ぶしを。お聞{きヽ}なさりやしたか [五郎兵衛]よかろふ/\ [梅大夫]豊丸{とよまる}さん。 てうしをあわせねヱ [豊丸]よし/\ <梅大夫鼻をかみせきばらいなどする ざとう豊丸三みせんにかヽる> [梅大夫]ヱヘン △うたひはしらず。 儀大夫{ぎたゆう}は。しらぬわれらがふつヽかに。 哥{うた}はもとよりしらいとの。なにわの [お中]五郎兵衛さんへ。 梅大夫さんに。此間はやるおいらをきつねが。はらませたといふ。哥{うた}をあて身ぶりをさせなんせ [五郎兵衛]梅さん/\@きつねがはらませたに。しなさい (十五オ) [梅大夫]ハイ こいつはちとつらいねヱ [客]しよもう/\ <梅大夫ぜひなく狐の身ぶりをする> [梅大夫]豊丸{とよまる}さん。 うたひねヱ <ツヽテン/\> △おいらを狐がはらませて。御亭{ごて}になろとは.わしややです。 やです/\やでもです。 しんじつ。やあでは.なけれども。 ひとめはづかしけりや。わしややです。 やですといふことは。いわねヱもんです [大ぜい]ハヽア [客]是は一ツ興{けう}/\ 一ツぱいのみ給へ [梅大夫]是は/\ <さかつきをいたヾく お中酒をつぐ> おつと。ござんす/\ [お中]梅大夫さんの久しいもんだ [梅大夫]いやもうとんと酒{さけ}がいけやせん。 ゆふべも。二見{ふたみ}やでけん酒{さけ}の。相{あい}手をしたりや。 こへは大ヱなしに。なりやした (十五ウ) [五郎兵衛]一ツばかりはよかろふ [梅大夫]イヱ一トツごさります [女]五郎兵へさん。 ちとあちらへ。お出{いで}なんし [五郎兵衛]なるほど/\。 旦那{だんな}ちとお休遊{やすみあそは}せ <客すこしめれんのていに見へて> ウヽまづ/\ <お中おまつ梅大夫口揃て> ちとげしなりませ <五郎兵衛むすめ客はみな/\床えゆく> [女郎]梅大夫さん。 つきだしの子と一チ座{ざ}しなさつたか [梅大夫]イヽヱ一チ座はいたしやせんが。 此あいだ中川{なかかわ}でうしろから。見かけやした [女郎]すかねヱ子だねヱ [お中]まだなれねヱからさ [女郎]いけるのじやアねヱ [梅大夫]おかんさんのくさすも。久{ひさ}しいもんだ <大せい口をそろへて> アヽらつちもねヱ <みな/\床へ行 客床にて小ごへに> [客]此さヽら。さつとすてヽ。さそふらへばアヽプウ <女郎来り (十六オ) 客そらねいる> [女郎]もし/\ [客]アヽきつく酔{よ}ふた <女郎たばこのみて客にのみ付て出ス> [客]これは/\ <たばこのむ 一チ座の女郎三人なから来る> あなた。お休{やすみ}なんし おかんさんお休{やすみ}なんし [女郎]アイお休なんし <みな/\床へ行 おかんひやうぶ引まはして> まだおさむう。ごさりやすねヱ [客]さればさ。 朝{あさ}ばんははださむい <などヽいひていろ/\におもしろき仕うち有リ> [隣座鋪{となりさしき}] [如雷]新ぼう。 おもしろいか [新五左衛門]いなかとはちがつたものだ <といひながら山半し出して鼻をかむ> [如雷]是{これ}/\。 主の紙{かみ}はそでねヱ 小菊{@ぎく}にしねヱ。 小菊{こぎく}を買{かわ}ふなら。ばくろ町の。紙屋{かみや}五郎兵衛が所{ところ}がいヽ。 たはこも。両{りやう}に四斤{きん}ぐらいのこくぶがいヽによ。 匂{にほ}ひ袋{ぶくろ}のやうなものはな。 室町{むろまち}の (十六ウ) 桐山{きりや}三了{さん@やう}が所{ところ}から.取{とり}ねへ. 又{@@}きせるをはらせるなら. 池{いけ}の端{はた}より米沢{よねさは}町の村田{むらた}が所{ところ}がいヽ. 主{ぬし}ははいかいも.すこやらかしたな [新五左衛門]国{くに}でちつと斗{はかり}.して見たが [如雷]そんなら宗匠{そうせう}へ弟子入{でしいり}を.しねヱ. 存儀{ぞんぎ}でも.金羅{きんら}でも.祇徳在転{きとくさいでん}なりと湖{こ}十などもよし. 菊堂{きくとう}なりと.気{き}の有{あ@}にしねヱ. みなおいらが心やすくするから.ついできる事{こつ}た. 朱肉{しゆにく}や唐墨{とうすみ}のやうなものは. 古梅園{こばいゑん}か所{ところ}から.通{とおつ}てとつてやろう. ろうせきを買{か@}なら. 四日市より.おやじ橋{ばし}の弥五郎が所{ところ}て買{かい}ねヱ 筆{ふで}も思恭か流なら御成小路{@なりこふじ}の。せんちんしと.いふが有{あり} (十七オ) [新五左衛門]そんな事より三味線{さみせん}が.ならいたいものだ [如雷]そりやアなを/\安{やす}ひこつた. 儀大夫{ぎたゆふ}三弦{さみせん}なら. 五八でも.富八でも. 豊後{ぶんご}ぶしなら. 文字豊{もしとよ}ても.文字久{ひさ}なりと.芳{よし}町の竹沢園{たけざはその}もよし [新五左衛門]文字清{もじきよ}とやらは.どふしたの [如雷]何文字清か. 今では中村秀松{ひでまつ}が女房{@ようぼう}になつて. 子{こ}をもつてかみさんかぶだ [新五左衛門]どこにゐるの [如雷]川岸{かし}の.富田屋{とみたや}といふのがそだ. 今{いま}はわきへこしやした [新五左衛門]役者{やくしや}が.茶屋{ちやや}をするかの [如雷]するの段{だん}か. 高麗蔵{こまぞう}が内{うち}は.こうらいやといふ 芳{よし}丁に人形{にん@やう}つかひ.西川{かわ}重三郎が.ぞふしがへやと.云{いつ}て有{あり} (十七ウ) 其外{そのほか}に.中村屋嶋五郎.萬屋新万屋{しんよろつや}は市松. 竹いせやといふは隠居{いんきよ}した伊勢大夫が内じや。 鹿{か}の子{こ}もちは又大郎音八と兄弟{きやうだい}が@せじや. 角{かど}の八百{やを}やは大谷廣{ひろ}右衛門. 今では人形{にんぎやう}と.にしきゑを賣{うり}やす. いくらもこんな類{るい}がある <しつたしまんに色々の事咄ス所へ女郎来る> [お長]是おとよさんゆふべはねヱ [お豊]おもしろかつたねヱ [如雷]どこで [お豊]梅本{むめもと}でさ [如雷]梅本はごうせいなもんだ。 やくら下タなどはのこらず。梅本の地{ぢ}だ 根津{ねつ}にも店{みせ}があり. 芳町{よしてう}では子供{とも}や也 [お長]豊{とよ}国さんの内たねヱ [如雷]豊国をどふして.しつてゐる [お長]いつそや拳角力{けんすもう}の時{とき} (十八オ) 出{で}なさつたねヱ [お豊]それ/\梅{むめ}の紋{もん}を付て [如雷]豊国{とよくに}が拳{けん}ときては.すごひもんだ [新五左衛門]日がくれるじやねヱか [お豊]まだ七つすきて.ごさりやせう <しやうじ引たてひやうぶ引廻し> おてふさんお休{やみ}(@)なんし <らうかばた/\> [女]お長さん/\ ちよつときねヱ [お長]何{なん}だヱ <お長はしこきのなりにて出る> [女]志厚様{しこうさん}かきなさつたに [お長]見通しにか [女]イヽヱ横座鋪{しき}で <お長横ざしきへ行 如雷はきをまはしらうかに立聞する> [お長]おまへはさつき来なさつたしやねヱか [志厚]裏{うら}の関口{せきくち}に清兵衛や@忠公{ちうこう}がゐるゆへ付合{つき@@}に.今迄居{ゐ}た [お長]又おいかさんをよびなさつたか [志厚]おいかはわきへ出{で}た [お長]聞{きヽ}にやるやつさ (十八ウ) [志厚]帰{かへ}りそふもねヱか [お長]武{ぶ}サだから。とまりはしやせん [志厚]そんなら又うらへでも。いつて来{こ}よふ [お長]なにさかみさんの。部屋{へや}にでも。ねて居なさりやせ [志厚]それも久{ひさ}しいもんだ [お長]なぜそこに。居なさりやす 「如雷」酒に酔{ゑふ}たから <ねところへ行 すめぬ顔つきにて哥うたふ> かあひ男にあふ時は。すかぬこちらがしこなしに <又女来りてしやうじこしに> [女]お長さんあけてもよしか [お長]なんだねヱあけねヱ [女]セケントコノヲコヒキノカヽネケヲトコリキニキツタ [お長]イキマカニシキコヽウクサカンカヾモコツテクヽルクカヽヲカソコレケマカテケト (十九オ) イキウクテクヽレケナカサカイキ [女]そふいひやすよ <女しやうじ引立かへる 又間もなく来り> [女]お長さん。 鳥渡{ちよつと}きねヱ [お長]なんだの <お長は出て行 如雷てうしの口より酒を呑> [お長]ヲヽよく呼{よふ}事{こつ}た <といふてお長床へ入 如雷ましめになりてすめぬ顔にて居る お長は心付て色々とつとめる> [お長]たばこのみ。なさりやせんか <如雷へんしもせすにらみ付て居る> [お長]おまへの顔にやア何かきつくできやしたねヱ。 是にやア和国橋{わこくばし}の。実路孝{じつろかう}を。付{つけ}なさりやアいひ [如雷]そりやア色男のする事だ <お長ゆひにて如雷が顔をつきながら> [お長]お前ほど色男なりやアいひ [如雷]なんの事{こつ}た。 此ふんばりめは。いひかとおもつて喰{くい}のめすな <といひながら手をたヽく> [お中]あいイ [如雷]是お中さんとやら 此賣買女{はいため}さけてくんねヱ (十九ウ) [お中]とふなされます [如雷]あんまり心いヽとおもつてなんのかのと茶{ちや}にしやアかる 其上やろうのねつけ.を見るやうにふとんとおれ斗おいて廊下{らうか}斗そヽりやアがる [お中]おてうさん おまへもどこへ行{いき}なさつた [お長]どつこへも行{いき}はしやせんが となりざしきでたばこのんだ斗さ [如雷]何た こいつはうぬがいヽやうな事ばつかりぶちころされんな <硯ふたをふり上る> [お中]お長さん おまへはあつちへいきねヱ <お長はかつてへ行 女共来る 新五左衛門帯取はたかにて出る> [新五左衛門]どふだ/\ [如雷]マア聞ねヱ ぬしもしつて居る通た 其上今もとなりでたはこをのんだの馬をのんだのと おれが目をば (二十オ) こんへいとうの附目太鞁{たいこ}二たとおもふそふな 人を附にした <皆口をそろへて> 何さ あの子も其やうに悪敷{わるく}する氣{き}もねヱけれど [如雷]なんだ うぬら迄。上ケ下ケ{あけさけ}を取な <次郎かつてより聞付とんて来る> [次郎]とふでごさります。 あの子が氣{き}にいらざア。外の子でもおよひなんし 先氣直{きなを}シにひとつお上{あか}りなんし [如雷]こヽのどぶ酒がくらわれるものか <といひながら大さらをほうり出ス 次郎新五左衛門やう/\だきとめければ> [如雷]とめるな/\ <次郎新五左衛門やう/\とだましてむりにかた。にかけてつれゆく> [如雷]ぬしたちはどこへつれてゆく 此分しやア男かたヽねヱ [次郎]そんな事いわすとつくたのひかしやへても。行{いき}ませふ [新五左衛門]いやもうすくにかへろふ 門かやかましい (二十ウ) [如雷]門{もん}がとふするもんた. くいつきはしまひし [次郎]それでもぬしが.氣{き}をつかいなさりやす [如雷]氣をつかつてもいヽ. 打捨{うつ@やつ}ておけ. すヽはきにやア出る [次郎]マア何{なん}てもお出{いで}なんし <やう/\とたまし二人して舩場の方へゆく> [若イ者]どふも.いけねヱ客{きやく}だ [志厚]とんだにぎやかな客{きやく}じや [お中]いへもふいけるのしや.こさりやせん. サア二かいへお出なんし <お長お中志厚三人二かいへゆく> [お長]お中さん そろつたとんちきだねヱ [お中]おまへがなんのかのと.いヽなさるから.わたしやそばで.氣{き}をもみやした [志厚]やろうかいと見へる <お松来りて> [女]わたしも.芳町{よしてう}の俵屋{たわらや}.にも居{ゐ}やす. 新道{しんみち}の二文字{にもんじ}やにも (二十一オ) 三四年居やしたか. あのやうな.若衆買{わかしかい}は見やせん [志厚]ひやうたくれ. ゆふてくの. そろひだ <お長お中口を揃へて> ついそねヱ [お中お松]志厚{しかう}さんお長さんお休{やすみ}なんし [志厚]もちつと咄シねヱ [お中お松]後{のち}にめヱりやせう <お中お松勝手へ行 お長せうじを引立て> [お長]忠兵衛さん清兵衛さんはまた関口{せきぐち}にかヱ [志厚]今日は おかるとおりゑと一チ座{ざ}してむめ太夫で.さへて居た [お長]おまへはたれを.よびなんした [志厚]たれをよぶものだ <お長志厚@ひ@をしたヽかつねりながら> [お長]サアいヽねヱ/\ [志厚]アヽいおふ/\ [お長]たれを呼{よび}なんした [志厚]こヽからいつた大坂女郎さ [お長]あの子はどこに居るねヱ [志厚]何{なに}屋に居{い}るか (二十一ウ) [お長]名{な}はなんといふねヱ [志厚]おつるとかいつた [お長]何 名をわすれるものだ <などヽいヽて色々おもしろきしうちこと/\く有 折かららうかばた/\と> [客]とうた. 又さしかな/\ [お中]アイ 昼{ひる}から.出{で}て居{い}なさりやす [客]又.出ものか [お中]おまへは又.今{いま}迄どこに.居{ゐ}なさりやした [客]表{おもて}やぐらに.居{ゐ}やした [お中]表{@もて}は永{ゑい}らく屋にかへ [客]何 あのやうな.ばけものやしきへ行{いく}ものだ [お中]何. 今じやア出やしねヱ [客]尾張{おわり}屋で.めつらしいものを.よびやした [お中]たれをヱ [客]このごろ名代{だい}の.六部{ろくふ}女郎さ [お中]おつな子だねヱ. そしてつれ衆{し}はヱ [客]外{ほか}の者{@の}は.土橋{どばし}の鶴{つ@}屋へいつたから. おれひとり来{き}やした [お中] (二十二オ) そんならたれぞ.よひなんし [客]げいしやを十人斗{はか@}よんでくんねヱ [女]とんだ事いひなさる. よし/\ わたしがいひやうに.しよう [客]お松どんでなけりやア.ならねヱ <お松はげいしや呼にゆく> [客]おいせさんは.とうしたねヱ [お中]あの子はねヱ. 七さんといろをしてねヱ. かぶつて居{ゐ}なさりやす <女お松来る> [女]七兵衛さん こふよびにやりやした. 利中さんとしげさんと.梅太夫さんが来{き}なさりやす [客]よし/\ [梅大夫]豊丸{とよまる}さん こつちだ/\. こりや七兵衛さん おいでなさりました <利中さしき行とひとりすもうのまねをする> [利中]すもふとろふならこふ [繁大夫]かない/\かない@せん。 (二十二ウ) めく/\。めくらに [客]とんた事た とんだ茶釜 [梅大夫]茶釜/\かまがまたりの大臣 [繁大夫]大臣/\大臣の所へ毛がはへた [利中]はへた/\はへたとは物くさ太郎が娘かへ [大勢]ハヽア [梅大夫]お肴に一トツ出ます所か中村の仲蔵 [大勢]よかろう/\ [梅大夫]△皆様の御ひいきにて。 一チ郎別當と。たいにんしたる左衛門祐経 [大勢]いよ/\ [お中]秀鶴さんとはおそろしい [客]繁さん 一トツ頼やす [利中]私が出ませう △藤兵衛さんか@花さん/\といひなさつても お花さんはやです/\と。いヽなさります [大勢]きつし/\ [客]聞か/\ヱヘン △こいつは/\これてやぼならしよう事がねヱ (二十三オ) [繁大夫]旦那の三八は利中さんのよりすごひはヱ [女]もし七兵衛さん。 たれぞおよびなんし [客]今夜はさへ一トとをりにしやう [利中]さへ一ト通リの名方 ホヽヲウ [女]よびやすよ [梅大夫]およびなさるのさ [繁大夫]よびねヱ/\ [客]さわぎねヱ/\ <女は女郎呼に行 利中豊丸繁太夫梅大夫連ふしにてうたふ> △とうなす程の血のなみだ 落てかぼちやにやアなりやしよまい キタきた/\きたさの讃岐の金ひら <女郎来りせうしの外より> [女郎]お中さん [お中]サア/\きねヱ/\ <女郎来る 七兵衛酒をのんでさす> [女郎]ちとお上ケ申やせう [客]まづ/\ [利中]おこうさんにはまた私はまちかつて [女郎]ハイお頼申やす (二十三ウ) [利中]是は/\ [客]利中さん 一ツ拳まいらふ [利中]サアめヱりやせう [客]ゴウサイ [利]ロマデヱ [客]ハマ [利]ロマとつてヱ [客]キウヤア [利]トウライとつてヱ [客]かなわぬ/\ <お長小便に行てとなりざしきにぎやかなればそつと見ければなじみの七兵衛なり 名代の女郎居るゆへにきやくはしらぬふりにてざしきへゆく> [お長]おゆるしなんし [お中]お長さん のみねヱ <おこうたばこのみ付てお長にやる きやく盃をもつて居けれは> [客]一トツあげやうか [お長]ハイ [繁大夫]お長さん。 中川ではひとい目にあわせなさつたねヱ [梅大夫]何拳か <お長たばこのみながら手てひげをなてるまねしながら> [お長]何そうもねヱのさ <お中きせるふりあげてお長をたヽくまねして> [お中]髭なでの。きん/\か@@@@ [お長]イヤいつてめヱりやしよう あなた。ゆるりと。 おこう@@。お中さん。みなさんこれに (二十四オ) <お長は床へ行> [利中]問ひませう/\ [梅大夫]とわしやれ/\ [利中]力は(@) [梅]政宗 [利]小袖は [梅]羽二重 [利]羽おりは [梅]ちりめん [利]男は [梅]権左衛門 [利]女は [梅]権助 ハヽアまたまけた [利中]どふだ。 すごひものか [繁大夫]ばけるで。まいろう [利中]来給へ/\ [繁]ばけるは/\ [利]茶釜は [繁]やくわんと [利]むすこは [繁]こつさま(@) [利]かぼちやは [繁]とうなす [利]娘は [繁]かヽさん [利中]ハヽア おそろ/\ [繁]どふだ/\ <鐘なる ゴン/\> [客]明るそふな。 かへろふ/\ <女郎お中口を揃て> まだ/\。 もちつと。お出なんし [梅大夫]帰ろひよこ/\三ひよこ/\ (二十四ウ) <豊丸三弦引き@@ 繁太夫利中梅大夫> △六{む}ひ●よこ.七{なヽ}ひ●よこ.八{や}ひ●よこ/\.九{こヽ}のひ●よこ/\.十{と}ひ●@@/\.しよんかヱ引 [客]帰{かへ}らふ/\ <繁太夫梅大夫利中とも/\> まだ.おそ@は.ごさりやせん [客]いや/\. 帰りやせう <とや/\とかつてへ行 お中は先へ行てせん頭をおこす> [舩頭]舩はとふに.きて居{ゐ}やす [利中梅大夫繁太夫]ハイ よう.お召{めし}なさりませ <客は舟にのりかへる けいしやはのこらずかつてに@して居る> [隣座鋪{となりざしき}] <客手をうつ> [女]アイヽ [客]帰{かへ}るから.五郎兵衛を.よんでたもれ [女]ハイ 五郎兵衛さん/\ [五郎兵へ]ヲイ/\ [女]おかへりなされ.ますと [五郎兵衛]よし/\. 駕籠{かご}は来{き}て居{ゐ}るかの [女]アイ とふから.待{まつ}て.居{ゐ}やす [五郎兵衛]サア傳六さん.新助さん. 帰{かへ}りやすぞ <客羽おりなときて座鋪へいで (二十五オ) 傳六新助目を摺ながら> [客]ねむそふな.顔{かほ}じや [五郎兵衛]お中さん. お酒をもつて来{き}て.くれねヱ [客]酒より帰らふ/\ <客先に立てゆく @より女郎不残送る> [女]おこしのものを <めい/\わきざしなとさしかごにのる 五郎兵へ跡へ立かへり> [五郎兵衛]是{これ}お松どん. 長助さんが来{き}なさつた.ならしつかに跡からきねヱと.云ておくれ [女]アイ/\ [女郎四人]アイ おはヾかり.申やした [お中お松]よふお出{いで}.遊{あそば}しませ <きやくはみな/\帰る よこざしきにて志厚も目をさます> もふ夜{よ}があけた [お長]けふは.居{ゐ}ても.よかろふ [志厚]帰{かへ}らにや.ならねヱ <お長おひしめて志厚に羽おりなと着せて 二人らうかへ出る> [お中]お帰{かへ}り.なんすか [志厚]此間にめヱり.やせう [お中]そんなら.舩{ふね}をいひ付{つけ}や.しやう [志厚]舩じやア目立から歩行{かち}かよふござりやす [女]おかへりなんすか (二十五ウ) <ぞうりをなをす> [志厚]是ははヾかり/\ <志厚出て行ければお長何か用有けに> [お長]志厚{しこう}さん/\ [志厚]何/\ <志厚立かへる お長およびごしになりて耳に口をあてヽ> ナヽ [志厚]よし/\。 烏{からす}啼{なく}カア/\ 烏{からす}の声{こへ}に。目はさめて。 残{のこ}るは枕{まくら}斗{ばかり}なり。 邯鄲{かんたん}は五拾年 是は一チ日一チ夜の楽{たのしみ}もきへて 跡なき夢と成にけり       通言 ○ばからしい               ○うそはねヱ ○よふあてなさつた            ○どふしやうのふ ○けしからねヱ              ○ほんにか ○あゝらつちもねヱ            ○きいてあきれる (二十六オ) ○よくいふものだ             ○よしか ○ついぞねヱ               ○おきのどく蠅のあたま 上総木綿    @うのなき客を    | かぶる     もうせんをかぶる事也 いふ                 |         芝居より出たる言なり ひやうたくれ  あしききやくをいふ  | いきな男    男にかぎらすすい                    |         たといふ事なり とんちき    右同断        | 大  吉    せう{小}のわるい{悪}といふ事也                    |          ゆふでく    いなかものをいふ   | 黒  ひ    役者評判記より                    |         出たり吉の事也 本所の穴蔵   しつぶかをいふ    | 白  ひ    右同断@の事なり 長  竿    あしくすると     | 虫がいひ    おしのつよい事をいふ         いふ事なり      | 出{で}もの  右同断        | 喰{くい}のめす あやなす事又ばかに                    |           するをいふ (二十六ウ) ちよ々ら    弁口にてあやなす   | 打捨{うつちやつ}ておけ煤掃{すすはき}には出{で}る         人をいふ       |  ちやら     うそつ@人になぞら  |    かまわぬといふ事なり物の見へぬとき         ゑていふ       |    いふ事をしよじにもちゆるなり 右之類{るい}.専{もつはら}に.用ゆる外{ほか}に. 唐言{からこと}と.名{な}づけて五音{ごいん}を以{もつ}ていふ事人の知{し}る所なれど爰{こヽ}にあらわす   アカサタナハマヤラワ 此通りへ  カ   イキシチニヒミヰリイ 此通りへ  キ   ウクスツヌフムユルウ 此通りへ  ク   ヱケセテネヘメエレヱ 此通りへ  ケ   ヲコソトノホモヨロオ 此通りへ  コ (二十七オ) 右之ごとく.カキクケコの.五音{ごいん}の字{じ}を付ケいふなり. たとへは.客{きやく}といふ時は.キキヤカクク 又女などヽはねる時は.付字{じ}にてはねるなり. 女はオコンナとオの字へつく. コの字を.はねるなり. 清濁{せいたく}は.本字{ほんじ}に.直に濁{にごる}なり. 此外に.し付き付なとヽ云て.其時に.おうじて.一チ字置{おき}に.つけるなり. 知{し}れざる事を.いふ時.はやく此事を.考{かんかう}へし. 又此通し言葉{ことば}も@付ていふ時は.いかやうにも.はやくいわるヽなり 諸人知る所なれども知らさるもののたよりにと (二十七ウ) 爰にあらわす    ○とんだ茶釜{ちやかま}の辨 是は谷中笠もりに有しおせんがうつくしきを見て顔と顔と見合せ よき女ともほめられす 茶釜になそらへてとんだ茶釜と云出したると也    ○同やくわんとばける辨 おせん引のいてのち山下に水茶や出る 又此うつくしき女にたとへとんだちやがまがやくわんとばけたといふなり    ○ひとりでころんで啼{なく}と云辨 これは丑のかほみせきやうげんに坂田佐十郎云し事なり これを今もつばらには女げいじや又ちや屋舩宿の女房むすめ女郎の目をしのびてころふといふ通言あり なくといふは泪を出すといふ事にや くわしくあらわすときは下かヽりとなる よつてりやくしてあらましをしるす (二十八オ)       夢中散人 安永二年         寢言先生著〔印〕  癸巳再板         〔〔九五店〕〕 ■芳町@道南@三軒目■ 〔〔和田氏〕〕      ■本屋八左衛門■               ■板■         ■同 清  七■ (二十八ウ) --------------------------------------------------------- 注) 五ウ9    @=糸×委 二十六ウ7下 @=白抜きの「吉」 三オ2 欠損 「し奉」か? 三ウ4 印刷不鮮明 「か」か? 四オ2 印刷不鮮明 「は」か? 四ウ4 印刷不鮮明 「さ」か? 四ウ6 印刷不鮮明 「に」か? 四ウ7 本文には「とく」とあるが、合字「こと」の第一画が落ちているか? 五オ4 印刷不鮮明 「し」または「じ」か? 六ウ6 印刷不鮮明 「つ」か? 七オ1 印刷不鮮明 「。」か? 七ウ9 印刷不鮮明 「ら」か? 十ウ2 判読できず 十ウ5 「やぐら下」の「や」の右肩部に濁点のような二点あり。あるいはカタカナの「ニ」か? 十一ウ1 汚れ 「で」か? 十一ウ3 印刷不鮮明 おそらく「む」。 十一ウ4 印刷不鮮明 おそらく「や」。 十二ウ9 印刷不鮮明 「志厚{しこう}さん」か? 十三オ2 汚れ 「たのみやすそ」は「たのみやすぞ」か? 十三オ7 判読できず 十三ウ1 洒落本大成本文では「髪を合{あわ}せひんにて。元結{もとゆひ}を。」とあるところ。そのうち「んにて。元{もと}」に相当する個所に、十四ウ1の破損部位「[長助]イヱ御酒…」の一部「助]イヱ御」が上から貼り付いている。 十三ウ2 洒落本大成本文では「跡{あと}につゝいて。」とあるところ。そのうち、「つゝ(つヾ?)」に相当する個所に、十四ウ2の破損部位「舩頭{せんとう}と。堂前{どうまへ}の。」のルビ部分等が上から貼り付いている。 十四オ8右 欠損 洒落本大成本文では「小声になりて三人目へといふて」とあるところ。 十四オ8左 欠損 洒落本大成本文では「盃渡ス三人目の男」とあるところ。 十四オ9右 欠損 洒落本大成本文では「兵衛は」とあるところ。 十四オ9左 欠損 洒落本大成本文では「人目の新造へきまる」とあるところ。 十四ウ1 欠損 洒落本大成本文では「[長助]イヱ御酒戴{いたゝい}たで。やうごさります」とあるところ。 十四ウ2 印刷不鮮明 おそらく「{にしのみや}」。 十四ウ2 欠損 洒落本大成本文では「船頭と。堂前{とうまへ}の。」とあるところ。 十四ウ9 欠損 句点があると思われる。 十五オ9 汚れ 「梅さん/\」の部分に他の丁の一部が貼り付いている。 十六ウ7 汚れ 汚れにより判読できないが「{こぎく}」か? 十七オ1 印刷不鮮明 「{さんりやう}」か? 十七オ1 印刷不鮮明 判読できず 十七オ5 印刷不鮮明 「る」か? 十七オ8 印刷不鮮明 「{かう}」か? 十七オ9 判読できず 「{おなり}」か? 十七ウ5 印刷不鮮明 判読できず 十七ウ9 印刷不鮮明 判読できず 十八オ3 汚れ 「み」と思われるが汚れが強く判読できず。 十八ウ4 「休」のルビは「{やみ}」のみで「す」に該当するルビなし 十八ウ8 解読できず 「々」、「こ」、「。」? 十八ウ8 解読できず 「{つきあい}」か? 二十一オ3 印刷不鮮明 「{うつちやつ}」と思われる。 二十一ウ7右 汚れ 洒落本大成本文では「{お長志厚かひさを}」とあるところ。 二十一ウ7右 汚れ 洒落本大成本文では「{お長志厚かひさを}」とあるところ。 二十二オ5 印刷不鮮明 判読できず 「{おもて}」と思われる。 二十二オ9 印刷不鮮明 判読できず 「{もの}」と思われる。 二十二オ9 印刷不鮮明 「鶴(雨×隹×鳥)」のルビに「{る}」が加わるか? 二十二ウ1 判読できず 「{り}」か? 二十三オ1 印刷不鮮明 判読できず 洒落本大成本文では「ま」とあるところ。 二十三オ7 印刷不鮮明 判読できず 洒落本大成本文では「お」とあるところ。 二十四オ9 欠損 洒落本大成本文では「にくいの」とあるところ。 二十四ウ1 欠損 洒落本大成本文では「さん」とあるところ。 二十四ウ2 「力」とあるが、あるいは「刀」か? 二十四ウ6 「こつさま」→文脈上は「とつさま」か? 二十五オ1右 欠損 洒落本大成本文では「掛」とあるところ。 二十五オ2 欠損 洒落本大成本文では「よこ」とあるところ。 二十五オ3 欠損 洒落本大成本文では「く」とあるところ。 二十五オ5左 印刷不鮮明 洒落本大成本文では「咄」とあるところ。 二十五ウ2左 判読できず 洒落本大成本文では「跡」とあるところ。 二十六ウ3上右 判読できず 「ぜ」か? 洒落本大成本文では「せ」とあるところ。 二十七オ2上右 印刷不鮮明 洒落本大成本文では「く」とあるところ。 二十七ウ8 印刷不鮮明 「口」か。洒落本大成本文では「口」とあるところ。