―『北華通情』解釈データ凡例― ・本文中、押印部分は〔 〕でくくり「〔印〕」として示した。 ・入力者の判断による補読は( )でくくって示した。 ------------------------------------------------------------------------- ほっかつうじょうじょう さとのりゅうこうはちょうぼにうつりかわりて。せいげつをもてみ(る)べきにあらず。 このつうじょうはきょうのつうじょうにして。あすのりゅうこうにさきがけせるものなり。 きのうのしんごはきょうのふること。 (一オ) ゆうべのくぜつはあしたのきぬぎぬ。 あすのやくそくよいのへんがえまで。 これみなきょうはぜににしてきのうのきなることをおぼゆるのいいならん。 あなかしこ。 よのくひんかく。はなをひくうしてきょうのりゅうこうをみよ。 (一ウ) しからばこのつうじょうのあたらんこと。かのきたむきのふぐにひとしかるべし。 きのえとらのとしうるうしもつきじゅうろくにち たいこうぎょじんしょす (二オ) 挿絵 (二ウ) 挿絵 (三オ) 挿絵 (三ウ) ほっかつうじょう たいこうのきたにしょうりゅうあり。 あのいたいけなかいがらに。いっぱいもなきしじみがわという。 せいぜんいだとしてつりばりのごとく。れつろうながれにのぞんでともにまがれり。 ゆえにこうちょうのきゃく。はるかにかえりみてけんけんとしてさりこころじしゃくのようにきたをゆびさしてやまず。 そも。みかえりのはしとよぶは。とうざいのなかばにわたるひのはし。 ちゅうやこまげたのおとたかく。 おうらいはくしのはをひくかみゆいどこ。 のうれんをそよぐはるかぜのうららかなるそらに。かわさろうのさんがいにひくさみせん。 (一オ) そうがのこえさいかにさんじ。しょうごくもほかにさけぶ。 みまるやのげんかんとずるひなく。 まるしんのうらざしき。 なたねふんふんとして。 いながらのがけのながめありいっちょうめのはりげん。 むかいがわのすみじといえばむかいのみちのとおきにまわしはつぶやく。 いたみやのながやにひろがるはなぜん。 ろじのでいりにけんふんをこまるよりははまがわのものほしのあぶなきをおそる。 だいきちのにかい。 やくどうをがんかにみ。かわきゅうのおおざしき。 うらまちのひとごえをきく。 たいはんのみじまいべや。こうしのすだれはさくらばしのこうじんをすかしふじごいたやそはにしわきのかどなみをのがれず。 (一ウ) にけんのかわしょう。 ひがしのいれかわりたるよりまるいたちまちたいきとへんず。 きしもとやのといちがん。 かわちゅうのしょうろうそく。 てしよにしばさきというがめいあり。 とよたにはんこうぶんしちのこめいあり。 とうざいのたいこみせにむかしよりながきのあんどうをださず。 これやなかみなみにまさりたるこうじょう。 げにもきたのたいことこかにうたいしぞゆかしすみたつにわかとら。 やますけになりひら。 おとこをたてがねしてていしゅにもっているおきやあればちゃやにせわやかれというきゃくありいずへいのやえだゆう。 (二オ) きょうはんのうめだゆうこうせんにさって。つのかのおかだゆうとうとになをなすやだゆうのかみやいつきちのさみせん。 えびこのがじょうるりはいおしののいろごとになだかくかべいやとくじつになれどにわかのたにをもれずいっちょうめにぽへんみせでて。にちょうめににおいぶくろのかぜかおるしじみばしのとうろう。 そねざきばしのほたる。わかむらやのあきのゆうべはむしみせのちんちんのこえさみにまじわりやくりのふゆのひはかおみせのさんじきわりにみせをふさぐ。 (二ウ) おろくすきぐし。 いろはべに。 かわいのちゃきん。 あわぜんのうなぎ。 こうらいそばだいはちぶ かすがのはしじゅうはちもん。 わたとみにてどりのりょうりすれば。むしゆにはにんげんのふろふきをなす。 うんろくのきゅうじつ。 うんどんのはしよりふとうしてしろく。いなばのあんもちはみじまいべやのかいぐいにはやる。 ひぜんやのはなれざしき。 もみじあんのちんざしき。 だいにんのむぎめしでこいつれば。ほんじょうにとりなきさとのはまぐりじるあり。 なかやまのむえんぎょうのさきまいりのふなもよいじゅうろくにちのみょうけんさんも。じつはといえばしんじんにあらず。 (三オ) かのたかいふねかって。やすいはぜつりにゆくがごとし。 はるなつのようきうわきよりいつしか。あききぬとめにはねっからみえねどもいっせいのおどりだいこにおとずれはまのてらのたかどうろうはものほしのさわぎをてらし。むめだのえこうがねはしんちさんちょうこいむじょうをつげる。 げんじこうづくしのそろえのちょうちん。 さんちょうめのかいづくし。 こよいのおどりはなかまちにありて。なかいはかこつけてはちべえにであい。 こめろはきゃくにせがんでいたじめのてぬぐいでしゃれるよすがらのぞめきおんど。 (三ウ) めしたきむねにこたえてめもあわず。 ようようさんばのはぎちりて。すみさのきくもしもがれて。さくらばしにかきふねつなぐころ。いっちょうめにてうちのちょうちんかぜにさむし。 いくたけやのがんぎににおうちゃめりのすっぽんならねどもこいのうまみも。いろのあじわいも。ふゆこそしみじみとみにしみて。なつのうわきでちょっとできたいろごとも。つゆむすんでしもとなる。 こおるふすまのながのよの。あわぬつらさにおもいのいやまさるこそいのちなれ。 (四オ) さればあさむかいのおそいのと。はなのきまりのゆるがせなるとはゆうきゃくのかすりうた。いつづけのあさごみにひるじまいをかぎる。 ひろしまやにさかだるあらうころ。へどならぬやおやのにゆきちがい。くめながさかいなんどのさかなにきおいてわしる。 かよいあつめるまわしおとこ。さしがみくばるかりこ。はなつめにありくたいこみせ。こもくすつるばんたろう。はいふきあらうこじき。しょくだいのかみくずはくちべについてあかく。かくばしようじはいかきにいりてひなたにあり。 かわいづのりのごふくにおもそうに。だいまるのでっちきちょうあたりにやすむ。 (四ウ) のりいとよぶおんなのあきんど。 あわえいのいわおこしかみのたなおろしにじさくのはらいたまえばろくさいにまわり。あみがさのなあもおはふところでをしにせけり。 おおこわのろくべえはきつねのこ。 ほとけのじひはやおやぼうず。 そめくみとうせんすれどちくしゅうのせいきちいまだはいかいす。 せのひくいともにゅうどう。 ものまねするえりんほうし。 はりいというしゅうがはじょうるりにふけり。 しゃくはちでなだかききゅうかんはいどうにこる。 だいまんがはなし。りゅうはがおどりひのうえべにやしんへいこう。 (五オ) かんがくやきんたいえん。 いわながばんけい。 おおしばがのりもの。 やっこのようなおけやのちんやす。 げかめいたけいこやのおきんさん。 おそのさんおやすさんちょうかみゆいはでしつれてののめき。ようすけがやぶれたひとつさげにはいりぐちのかぎをかくす。 てんまやふくだやのまわりおとないて。まるやすとくしまやのこうぐにみぞがわにならび。だいこくゆにげいこのいりつどうころすもうとりのたつみあがりはこどものほたえるがごとくひらぜんのながぶろにかかりゆがおおいとておとこはぼやく。 (五ウ) べにかいゆくおはぐろもらい。まきがみこうてきたはんぞうあらい。やくそくのおやまのやどやいりれんぼじょじょとしてみるものはらわたをまといまわしがかたげたつつみには。あのはいかんのとかんことをおもうひもはやせいざんにおちこちのきゃくの。えもんつくってあいばやにゆけばりょうがわのこうしにはうちぎのおやま。けわいかざりてそともをのぞく。せんりのすし。だいきちににをあずけ。えらのかまぼこひのくれをたがえずすでにけんきさんさんとしてかがやけば。かみしょうのたっぴつかけあんどうにあかるく。とうざいのあたためぐすり。 すぎたのさんせんさんごはほっけのじゅうさんとうのごとくまつだのめじるしはこうじょうかきていねいなりつのかさんばいのにょひつ。 (六オ) かぎなかのとうさいりゅうはたいはんがしゅせきなるべく。なだすみのちくらようはすしによるさかやならん。 わかとくにかていのこつにくをゆすればはりさとはぎょくえんがかざかいだのをみしらずきげんじょうもんやしょくらんにしてにかいにさわぐたかちょうし。 たいこもちのしばいはむかいののきにひとたちをさせ。ながおかひないちのてごとにはおうらいのあしをとどむおくられてゆくおやま。 はなからもどるげいこ。 (六ウ) つけこみにまわるたいこもち。 さしこみにありくまわしおとこ。 かわへいにかなくそといえるかりこあれば。おきよどんとよばれるばばもあり。 くらやしきのしんござ。 はこちょうちんにさきをはらわせ。ぞめきほうかぶりしてほざつをねらう。 だいさんかぎやのよなきうどん。 ふりうりのちゃわんむし。 ぜんざいしょうがつやならちゃめし。 にしだやのきょうびきゃくさけんで。ひげのながいあんまぎょくてきをはっす。 たこあがれのしんかし。 ろくちょうめのあまざけあるいはそればいかしんえきすみいろのかんがえ。 すべてげいじょうにひさぐもののこえげんとうにせまる。 (七オ) こんやはどこもにぎやかなとまわしおとこのあきないばなし。 よびものかととえば。いいえかごいいにゆくとこめろはことう。 きゃくをおくるなかいはもしありがとう。 いろをいなすげいこはそんならえとぬれたり。 せいろうときをしらずといえどもだいこくゆのあんどうはむかいがわのよつをかぎり、ふろながすおとかわみずにさえはしわたるひとかげのややふけゆくけしきは。いろとなさけのまっぴるにて。あげさきしもうたおやまのかしにゆくなどしれたてくだもまずにくからぬものなれ。 (七ウ) すでにさんこうのひょうしぎちょんちょんちょんのひょうしまく。 にしのかたあんどうまばらにしてくらく。 ぶたいいちめんにげいこのもどりあし。 はなうたのこえはきゃくのみみにのこしげたのひびきにはこいまつひとのはらわたをたつ。 あるはみぞまたげてけんえつするきゃく。 かたえにはおくりのおとこはなつまんでたてり。 ぎおんめいたちいさいちょうちんにまちめいたほんしろとをおくれば。たるさげたこめろさかやのとをたたくたそやてをひいたふたりづれなにかささやいてよこまちへひそむ。 ゆきちごうてくるかごのちょうちんぎいぎいのおとにいままではなやかなりしいえいえのひかげもなくなり。 (八オ) いつでもおそうひくにしみせのあんどうも。よなきのたきびもみなきえきえて。かいじょのありあけじしんばんにのこり。かごどころのともしびかぜにちらめく。 そこのにかいににせしゃくをおこすおやまあり。 かしこのざしきにそらなみだをこぼすげいこあり。 くぜつにさわぎ。 ちわにしずまるけいちゅうのさまも。 せいとうこうとしてよいのしょくだいににずとこのまのはないけいちりんのつばきころりとおち。ひきすてさみせん。さみせん。いとひとりでにきれる。 (八ウ) びょうぶにえがけるせいおうぼもほっしりとさびしそうなるに。つりがねちょうのときがねかすかにきこえてあすのあまけをおもい。おきのなるおとにはかぜにはげしきをおそる。 ゆめむすぶまくら。みだれがみかおにあたりてつめたくかけこうのかおりはとなりざしきのいびきよりもたかし。 おきばんのなかいいねぶりがちにして。いたもとにねずみざらをおとし。いどにつるべのみずもりてくるまきおのずからがらがらとなる。 しょうべんにたつきゃくろうかをとどろけばかけいにあらぬたけづつのおと。ちりりんひびくりんのおと。わりたけのおと。なるこのおと。いぬのなくこえ。ねこのこえ。 (九オ) みぞいしからりと。いきづえに。かごまいりましたととたたくは。やつかななつか。わかれこそしろのそとつぐかんざんじ。 ごおんとひびくまくらのうえに。のこるしおちゃのあきぢゃわん。 いつきてじゃえとちょっとちぎったきぬぎむを。 あちらにきいてねているきゃくも。 どうでわかれはしののめの。 かわいがらすにあほうからす。 ふつかえいのきゃくはあがりぐちのはんぞうのてまえはずかしく。かんしゃくおこしたきゃくははちのわれたにむねをだく。 よどおしのあおざめがおくぜつしたねほれがお。 せりふのできたうれしがお。 (九ウ) むしんいわれたくったくがお。 かおのさまざまこころのべつも。おなじながれのみずあそび。 はまればふかきしじみがわ。 てぶりはぶりのすがたをうつす。 つきゆきはなののべかがみ。 そのべにぶでにけわいみずをもて。げいこがくれたれいじょうのうらに。こんなでんごうをかきすつるちょう かんせいむつきのえとらのとしのちのしもつきとうかのよ かみやさんじんいせきろうじょうにして。つきあいによんだいれこみのしんぞうのそいぶし。 (十オ) ねられぬままにこれをしょす。        〔印〕〔印〕 (十ウ) ほっかつうじょう ごきとうかいとうさんさんいんのりゅうすいをみずくみにくませ。 さいごくのじょうはくまいをとたびあろうて。 とらきゅう。ふなきのうなぎをちゃづけめし。 おごってゆかぬうまにはあらで。 つぎのないたびにこへえやたてのむちうち。 みずいらずのしろてぬぐいにきんさのてちょうのやりくりは。すみまえがみのでっちのてになる。 さればあしたのよりつきあいずのひょうしぎはとらのいってんなるべきに。 しょうべんぶねのいんだあとにうつは。 どうでもあさねするひとのおおきか。 ごりとろう。しろもやろうのはしってせわしきかけひきのまに。 (一オ) どうぐみせのわんかぐのめきき。かわうおのたちうりにあだつく。 ひなわのきえにごしょうぎのきさんじはげにもにっぽんごくをむねにたたんで。りはいのためにしんをうてども。ふんでうれえざるはしんちのたてにあらわれ。すくうてたるとせざるはてんじんこんぴらのあさまいりにみえたり。 つよきをおし。よわきをたすくるたてひきも。おとこはあたったらめったにくだけぬきたはまのいきはり。 ししていとわざるはほっぽうのゆうなりと。かのちゅうようにいわれたもちょうどごりんのかけねなし。 (一ウ) ここにそのひくにひかれぬまんじがつじのほとり。 こどもなまえのひょうさつのあるろじのおく。かいしょのはんとりばみるようなゆすったすまいは。きたいちといえるすれがらし。 こもんさいもあるかしてそこばくのほんばこつみならべ。しっぽくだいにくじゃくのおたて。つづりかけたるそうこうはしんうた。 @カ。 てうちのもんく。 あるいはすじのたたぬかぶきのしゅこう。 こたつがてらにきったろにさしむこうてはなししているはそうばやのひとりむすこ <[やぼく]きせるをひねくりまわし>ときにそのことできゃつがみそをあげるのがけしからぬ。 (二オ) しかしなんぼすいふるうておどしてみてもかわだちはかわとやらいうて。どうでしまいはこっちのかぶりになるせりふじゃぜ。 あっちのしかけがまるでいろというばできているげいじゃによって。まんざらかたずかしくわさるるほどのことはあるまいけれども。ぜんたいのこヽが<とむねをおしえて>すかじゃによってちょうあいしめたところがおさらばときている それにあののろまがゆくところまでいてみようというはらでいるのも。なんとおかしいじゃないか。 [きたいち]そいつあおちじゃ。 (二ウ) がしかしきんさんもだいのかんぐりじゃによって。そういうばやいやようすでなら。まんざらふかいところへもはまりますまい。 したがこのあいだもまるしんでくだんにおうたとき。わたしつかまえてなんじゃやらえらもうけさしにことばのたまをつこうていました。 そこでこのほうもすかさず。えいかげんにちゃらついてちょうしあわしておきましたがなるほどだいのせりふがりでなかなかきんさんとはよっぽどすもうがはじけてござります [やぼく]それにまだこのあいだもきちもんじやがよびだしたそうなけれどはまのきゃくにはあわぬとやらいうて。ふったとさ。 (三オ) [きたいち]はてきついところをしていますな。 なににもせよあのまくはちっときるのがむずかしい。 まあこのせつではどうしてもふみのすがたじゃよって。ずいぶんおもいれをひかえめにしてにんきをみあわすのがよござります [やぼく]<さればさあ>しかしこのそうばにはなんぞのふぶをひとついうてやりたいて。 ここでいっちょうぎりほどのこうげでもあったら。それこそみょうなきょうげんがかけるぜ。 (三ウ) [きたいち]さようさようどのときにはさしづめこのほうはみきしょうざといかにやなりません <とわらう ○これはれんじゅうきんやまがなじんでいるおやまのことをはなしするのなれどもあまりことばがすいがりすぎてそのいさいわからぬ> [やぼく]こうこのようにそしってはいるものの。もうでてきそうなものじゃが [きたいち]いやおおかたみえましょう。 けさむかいがわからじょうもきてござりました <ひとごといわばめしろおくたとえにてとやこういううちりょうがえやの> [きんやま]うちにか <やとわればば[およね]>おいでなされませ [きたいち]きんさんおあがりっす [きんやま]やぼくさん [やぼく]はなはだだいかちゅうじゃな<まちどおなということなるべし> [きん]さればさあいままでうちのちょうあいのことでかのしこうというやくをつとめて。おおいにしんぱいいたした (四オ) [およね]<めいめいにちゃをもっていで>ちとおぬるうござります [きたいち]せんせい。 きのうきたののはりうからよびにおこしたときにはうちにでなかったそうな [きたいち]ほんにそうじゃな。そのおりはにしのわたとみへかじまやとさんじまして。いかさまゆうべよつすぎにかえりました [きんやま]おおかたそこらではあろうとおもうたけれど [やぼく]かじまやとしてたれぞほかにきたか [きたいち]なかがわがまいりました。そしておすみにおこうというてやったところがなりませなんで。あらものやとまんしちとがまいりました (四ウ) こうおよねさんもちっとここへすみをついでつかわされ [きんやま]あのわたとみのかなやじうじのふしんもいつできるこおであろうな [きたいち]さあればまあなんでもふゆじゅうでござりましょう。 しんたくのひろめはしょうじょうのおうぎをくばりますげな [きんやま]このあいだもちっとさるようすでかのなかしょうへいたが。むこうもいまはさんまるやというかまえにしてざしきなどもおおいにゆすったある [きたいち]さようさ。わたっしもあとのつきにんぎょしばいのあったときちょっとみにまいりました。 (五オ) なるほどちゅうきょなどもだいぶおどしていますぜ [きんやま]もちろんのこと [やぼく]そのしばいはだれがした [きたいち]かのなだやすみごろう。ひのすけそれにおうごんたろうというようなれんじゅうで [きんやま]そのときであったか げいはたしかだいあんじとどものまたひらとやらきいたのは [きたいち]さよじゃ [やぼく]だいげんはどうじゃの [きたいち]いやあれはまたくみがちがいます。 かのかべやにいまくらというれんじゅうで。そのころはおきやのていしゅのびんぎょまわしがはずみました。 [やぼく]ときにあとのつきはつかごろに。かわさでしろうとしばいがあるようにいうたがなぜできなんだの (五ウ) [きたいち]さればぜんたいあとのつきのようかのばんにあるはずのをじゅうろくにちにのびましたところが。じゅうよっかのばんかわさにちっととりこんだことがあってそれゆえできませなんだ。 れんじゅうはこみじんきょうやすきつくめのてあいさ [やぼく]このあきふじえがいさもんしたというたときはきこうみたか [きたいち]もちろんみました。そのときはあづちちょうのさかいしんでござりました。 ゆうぎりにだいだのうの。きざえもんによもはち。そしてそのまえににょうごのしま。しゅんかんがきらく。やすよりがくにはち。たんばのしょうしょうがももはち。ちどりにかなひで。たんざえもんにたしなみ。せのおにふくはち。かのまくぎりにしゅんかんがやまのうえからまつのえだもっておちるところはよっぽどおかしゅうござりました (六オ) [きんやま]ふじえのいざえもんはまるでらいしというしうちであろ [きたいち]ようのみこんだものでござります [やぼく]なるほどあそびようもいろいろあるものじゃ。 あのいつやらはやったまくらずもうはしなれたはやしぎあんうんとなどがいせきでしはじめたことそうな [きたいち]さようさようそのちほうぢほうでかいがござりました。 (六ウ) しんまちではすはま。みなみではいちもんじやひしそうなどとだいぶもちあるいてはみたれども。ぜんたいがかのけんとはちごうてちょっとするのもしかけがぎょうさんながらついはやりやみました。 したがなににでもみょうがあるもので。そのなかにもひらのまちのこどうなどはべっしてようござりました [きんやま]ささせれんじゅうのさんし。えちごやのかとう。こままわすいもとなどもよううったそうなの [きたいち]こっちではかわちゅうのろちょうげたやのそうぼく。 てんまではいかいしのせいり。 きせるやのちりょう。 はなまるもてんまのくみさ。 (七オ) のちにはしんまちのせんめいおやじまでがでましたぜ [やぼく]いやどうみてもけんのほうがおもしろいいつやらかわすがでくはちがかいのあったときにはきこういかなんだの [きたいち]いいえようまいりませなんだ みな組がよったそうにござります [きんやま]けんのきれいなはしんだいわはちであったのう [きたいち]さよじゃ。いまもへいはちこへえなどがよううちます [やぼく]あのおおはたというのはどこじゃ [きたいち]そねざきばしのとこにいるのがそうでござりますそれにあのちゃめりのりはちがつよいぜきんさん [きんやま]はてなあ (七ウ) <というところへふくだやの[おとこ]ようありそうにきて>ちょっとおたのみもうします [およね]<はいなんでござりますな> [おとこ]いやきたさんはおうちかたに [きたいち]<くびをのばし>なんじゃなんじゃ [おとこ]ちょっと<とうじつく> [きたいち]<ついとたってあかりぐちへいで>どこからじゃ [おとこ]<状をいだしなにやらささやく> [きたいち]<うなずいて>よしよし [おとこ]さよならどうぞ [きたいち]まったりゃこうつ<としあんして>ああもそれでよいわ [おとこ]<いぬる> [きたいち]<こちらへきて>いろいろのことをいうてきよる [やぼく]なにごとじゃ [きんやま]またくだんのばやいではないかの [きたいち]<わらいながら>いえいえそういうようきなこっちゃない。 いずへいからちとようすがあって [やぼく]ふん。あのいずへいのおまちもいまはいかいにこっているじゃないか (八オ) [きたいち]さあむかいがわもいまはだいぶはいかいがはやります [きんやま]くはちがきくのすりもののくはてんじゅうじゃの [きたいち]きみょうじゃてな [やぼく]おしゅんのおしどりのすりものはおやじのまんぞうがはりこみじゃげな。 それにかのふじえがすりものにらいしのくはどうやらさむいではないか [きたいち]なるほどさよじゃ ぜんたいことしのじゅうがつほどげいこのいっときにひいたことはない。 まあふじえにおしゅん。それにこさとただげんだいすえ [きんやま]それよりまえにせんがんがひくじょうにんのこたかがひっこむ (八ウ) [きたいち]おやまではてしよのちどりもじゅうがつにひきました [やぼく]<ひざをひとつたたいて>おおそれよ。 そのてしよのことでおもいだした。 このあいだてんじんへまいったときあそこはこじままちのとんだまちあたりで。かのばばなかにおうたぜ。 まゆおとしてからだいぶわこうみえる [きたいち]さようであろ。 あれはなんでもそのあたりにかこわれています。 そのついでにむこうにいたみやがこのはちがつごろからみなみのかわおとへしかえられていたが。いまはあやというてあつそうにとりあげていますて [きんやま]のうやぼくさん (九オ) おまえがよんでいたおだまきがみなみへいてからおおゆすりはいっこうみょうじゃあったぜなあ [やぼく]あいつあがいぶつでえす。 それにこのじゅうみなみでかわしょうにいたことにおうた。 いまはだいこくぶろにいるそうな [きたいち]かわちゅうのまんよもみなみにいますぜ [きんやま]きしもとやのうたはひいてあのよこまちにいるでないか [きたいち]さようさ。そしててしたのまえのらいがこもちになってひのよこまちにいます [きんやま]きょうはんにいたはつせがいまはひょうごのさびえでなはせつとやらいうそうな [やぼく]はてな。それにかわへいのこむらしというさけのみはどうした (九ウ) [きたいち]いまはほりえにおります。 おおそれにそのかわへいのみきにこのあいだしものせきでおうてもどったというひとがある [やぼく][きんやま]ははあん [きたいち]なんともりんじゃな。かのしものせきのうらまちとやらいうところでやっぱりげいこしているそうな。 したがあっちでのひょうばんが。これはなんでもげいこではないおやまじゃといいますとさ。 なるほどそのとおり。 あれはぜんたいがもとしんまちどおりすじのおやまでござりました。 なんでもいまはしももみなすいになってなかなかひとすじなわではゆくものではないぜもし (十オ) [やぼく]こいつあおかしい [きんやま]そのついでにたいはんのはちろうべえげいこはひいてからかけおちしてしもうたの [きたいち]さればいな [やぼく]きんさんだれがことで [きんやま]それとものこと [やぼく]なぜはちろうべえげいこというの 「きたいち」あれはもしこうじゃぜんたいもとがおやまであったのがのちにげいこになりそれからまたおやまになりそしてまたげいこになりかのたびたびあがりつおりつというこころでかなござりましょう [やぼく]はあておもしろうもない。 はいみょうでならせんしんのこさいからきちょうのきみのやいとやなどはよくとふったものじゃて (十ウ) [きたいち]そのやいとやはこのくがつからきゃまになってますますはんじょうでござります [きんやま]いまのなはくらというではないか [やぼく]それにかのみんしがだいふさのおこうをしばきょうとつけたもおかしい [きたいち]まるいのこいとをふじえがしゃかのじゅうというたときには。とおりなになってだいぶいいましたぜ [きんやま]だれやらてしよのせいをしばたごんろくというてわらわしたことがある [きたいち]ほんにそのはいみょうのついでに。かのおこりきつもいつやらからまたはしりあるくそうな (十一オ) [やぼく]いやきゃつもごうけつじゃて [きたいち]あのひとのしりのかるいのとひたまごのいつづけとをちょうごうするとよいかげんなきゃくがふたりできますぜなあ [やぼく]このあいだもがせんがこまつやからでたが。あそこへもゆくかの [きたいち]もちろん。かのなかしょうへもいかれます [きんやま]ごりゅうはかわさばかりじゃの [きたいち]そのごりゅうとがせんとできしもとやのこさくがことにだいぶおかしいはなしがござります [きんやま]にさんにちあとすみちへいたとき。したのざしきにあわかめとだいきちのおつね。 (十一ウ) まひとりはたしかにゆうだいのたかがこえじゃとおもうたが。きゃくはなんでもじゅうにんばかりでもあろ。 たいこもちはしまはちとかめはちとでむしょうにやかましゅうさわいでいたが。 あれはやしきでもなしはまのてやいでもなし [きたいち]いやそれはおおかたみやぐみでござりましょう [きんやま]むうそうかの。 そしてしたへおりたところがいつくにのみしと。てしよのやお。かわへいのしずはたなどがいしょうきがえていたけれどもわざとみぬかおしてもどってきた [きたいち]へえん。それにあのいつやらどしゅうまちのてあいではりげんへにさんどまいりました。 (十二オ) なるほどあのちゃやはかたいうちじゃて。 まあげいこがはなもしょてからていねいにざしきへとひにでます。 そしてさかなのはちくみなどもたいていきまったある。 かのすいものもげいこへがひとりきていてもめったにだしませぬ。 あのようにきまってこそえいきゅうなれ [やぼく]はてのちといんほなほうじゃがよいことじゃの [きたいち]さようさ。ぜんたいすべてのことがこっちはこうとうにござります。 かのみなみのちゃやのていしゅときたのたいこもちとがたいていおなじじんぶつさ。 (十二ウ) みなみのたいこもちはなにがなしにそとはちまいのやくしゃときています。 こっちのていしゅやこむすこはこううちまちのてだいみるようなじんぶつでちっとゆすったがたいはんきしもとやぐらいなれど。これもたかいきなばかりでおきやくさいすいめいたことはとんとなし。 なかにもまるしんのおやじなどはきにんでんにあるたいがどうというふうでござります。 [きんやま]いかさまなあ。しかしこっちはこのどうじまというひとふうあるところのそばじゃから。よそよりはなおはにゃかになければならんがなあ (十三オ) [やぼく]いやこうきんさん。 あまりどうじまのふうもみそをあげまい。 なるほどおとこはさっぱりとはおりでもきてこうゆすったところどうやらあかぬけがしてあるようなれども。かの盆正月にかみしもでもきてからというものは。にわかにかしらのいとびんがめにたってどうもみていられぬぜ。 そこらではきんさんおまえのかみのふうがよううつる [きたいち]いやこれはきついこうろんじゃ。 ときにこのきたでおかしいというのは。はまのきゃくをおもにするからげいこがうたうたうにもみょうなきのつけどころがござります。 (十三ウ) かのふむのつくのということがきんくじゃによって。とりべやまにぞいりにけり。はやすみのえにいりにけりと。 これだけそのきみあいをつけてうとうたものじゃ。 せんだいこういえばおかしいけれども。はまのものほどみなごまのごとやらいうて。なんでもないことでもきにかけるものはない。 ちゃやのあいさつもさあおあがりなされじゃのもうおりなさったはのと。かのこうげにかかわることばをうっかりというたら。きゃくによってだいのはたきになることがある。 (十四オ) それにおやまのじょうにぞんじをかなでかけばそんするというにかようゆえぞんじとじでかきます。 もうしあげもようすによってもうしいれとかく。 かのしちがつをふみづきなどとかいたら。いやもそれこそほんにおおさわぎじゃ [きんやま]いかさまそういえばだいぶよそでしらぬことがあるの [やぼく]それにあのじゅうごにちのみょうけんのこえんにちがじゅうろくにちのはまのやすみのひになったも。なんとおかしいじゃないか [きんやま]ほんにそのみょうけんのついでに。いつやらくくちへまいったときあのかんざきのやっこじゃやに。きのまんのまんよがいたぜ。 あれはどういうもんじゃの [きたいち]いやそんなこってもあろ。 ぜんたいきのまんのうちがあのやっこじゃやさ [きんやま]はてな [やぼく]きたこういろいろのみょうなことをしっているの [きたいち]いやもうしっていることにおいてはあのげんりというおとこほどよくおやまやげいこのしゅっしょうをしっているものはござりません。 このあいだもちょっとはなしするのがいっこおかしい。 まあこのはるひいたしまとくのいろかがかかのうまれでほんまのなはおこうという。 (十五オ) そしてひいてからのなはおのぶという。 おなじみせのこはながほんまちせんだのきばしのごふくやのむすめ。 それにてしよのやおがえどのきんじょのかながわとやらなにとやらいうたけれどもわすれました。 おなじみせにめいかをいうちいさいおやまがある。 それがばんしゅうひめじのうまれ。 かべやのにしきがわしゅうありはらのうまれ。 いずこくのおのえがいせのうまれ。 [やぼく]いかさまそうかしてちとなまる [きたいち]それにだいたのゆかがきょうのかたなかじ。 (十五ウ) かなひでのことがきょうのごふくや。 かわちゅうのえみがてんまふたえもんこれはいまみなみにいるそうな。 それにおうぎさとのみつがばばさきのきょういしというおきやのむすめ。 やぎやのやぎがきょうのにじょうのしんまち。 せんきちのさんごがみなみのつるいわはちがむすめ。おおそれにまだおうぎさとのらいがきょうのにしじん。かのだいたのあさがみなみのながさのかか。 これはだれでもしっている。 おおそれにひいたちどりがきょうのうまれで。みつあげはたんばのさるだいみょうじゃげなぜもし (十六オ) [やぼく]はていろいろのてんぐがあるものじゃなあ [きんやま]こうそのだいみょうでおもいだした。 あのきょうはんのこむらさきももとさいごくのだいみょうにつとめていたじゃないか [きたいち]さればなあ。 あれはぜんたいきょうでどうじょうかたのほうこうをしていましたそうな [きんやま]いかさまできがじょうにもこむらさきとほんじでかいたり。 ちょっこりしゅいんなどでゆすっていれば。おおかたきなしほっくや。 てにはのあわぬほんかでもできるであろう。 [きたいち]いやももちろんときにあいつはなるほどへんぶつでござります。 (十六ウ) まあけんをうちます。 それにものまねをします。 まだおかしいのはきょうのおどり。 そしてきいちのじょうるりをかたるの [やぼく]みょうじゃの [きたいち]それにかのおしろいをせぬというのもやっぱりゆすりでござります [きんやま]そんなられしはと<さけのむまねして>きじしかろ [きたいち]いやさそれがとんといかぬじゃ。 かのうかれがほんきでするからいっこたまりませぬ。 それにまひとつおかしいことがある [やぼく]なにか [きたいち]<すこしおかしいかおつきにて>かのけいちゅうでかなりということをいいますげな (十七オ) [きんやま]ははあかなり。 こいつあよい <とさんにんわらう> [きたいち]ときにまたあのだいたのゆかもみょうなことをいいますぜ。 これはかのそうあんしゅうにはまのまさごをずつうにして。わからいでもげんじのこげつなどをよんでいるというはらで。ちょということもだれやらのそうでんじゃわの。いやしきしまのみちじゃわのとめったにてんぐつかいます。 つねのものいいもひっきょうずる。 あるいはそうしてつかわされ。 またはこんせきはくじょうなどというかんごもつかいます (十七ウ) [きんやま]そんならかのじょうのおくにはいってもうかかいておこすであろう [きたいち]さようさ [やぼく]しゅせきはどうか [きんやま]いやそのしゅせきではいずこくのおのえがおそれいったものじゃぜ [きたいち]さようさよう。 ぜんたいはあれはからようでござりますつねのぶんていよりはかんぶんなどはべっしてみごとさ [やぼく]それにきゃつはことをようひくて [きんやま]おなじみせのみしもてはたっしゃな [きたいち]ほんにあれもだいのゆすりかでござります。 まずみしをびせきなどとおどしてぶんていもかんじがおおい (十八オ) [きんやま]いかさま。 そしててきがことばのひつはなしにしたのもつれるようにやうすつけるのもひとくせあるぜ [やぼく]<はいふきひとつとんとたたいて>いやこれあれはつくりごえじゃの [きたいち]さようさ。 それにてきがものいいいいかたをこういからしてえりをといらうがみょうにおかしゅうござります [きんやま]いやまたあるきぶりもいつばわかってある [きたいち]なるほどくせというものはめいめいにあるものて。かわへいのはんが<とよたのらいがこと>ひとしきりなにをいうことはのうちにもまくまくということをいいました。 (十八ウ) それにふきやすのみやこがつくりわらいのようでほんまにおかしがるの。 やまだいがいつみてもつまようじくわえているの。 それにおすみがほてほてもおかしいじゃござりませぬか [きんやま]いやそのおかしいついでにひろとくのうとうとしい。 おいでているもよくとおったものじゃの [きたいち]ほんにさようさ。 それにまだつのとくにおえんというげいこがある。 これをみながさまさまといいます (十九オ) [やぼく]なんのことじゃ [きたいち]これはかのおすみやおしゅんがつきあいに。おしゅん。おすみ。などとかくふうでいいますのをそれがおえんが。かわまつ。おしょう。などとそのまねをしますゆえ。みなのげいこがおかしがって。おえんがおしょうというたあとでははたからさんとつけていいます。いっそいわしてごろうじ。 みょうにおかしい [きんやま]さまのついでにたいはんにさまというおやまがある。 かわったなじゃの [きたいち]なでもゆすったなはたまきし。 たまのい。 かしわぎ。 ともぎく。 りせき (十九ウ) [やぼく]そのりせきはいまきちょうでもとのあやはたさ [きんやま]かわしょうのさこんがこごうとかえたもよい [きた]ときにもしあのこごうはだいのきまりかでござりますぜ [やぼく]さかいそのぬいがあとのつきのにじゅうろくにちからでるが。したぢからしっていねばひとせりふいてみたいけれども [きたいち]さればさあ。てきがおやまになったのはふかいようすのあることで。 [きんやま]なるほどいまはげいこもしゃみせんのよいのはとんとすくない。 ありこうはだいえいのかかになってしぬるし。はるのはかわくめのむすめになる。 (二十オ) おしゅんはきせるやへよめいりする [やぼく]そのしゃみせんのついでにあとのつきしょうねんじでわかやまのさらえこうのあったとき。 おすみがひらぜんとのきしょうもんは。こいつはみょうじゃあろうとあんまりおもいすごしがしたゆえかとっともいわなんだの [きたいち]なるほどあれはおすみのひきものがそんでござります。 それにそのばんおかしかったのはただげんのくのとながおかとのかけあいのおそめ。 きんさんしらずか [きんやま]いいやいかなんだ [きたいち]なにがなしにうちまちのむすめじたてさ。 (二十ウ) きるものがそらいろのそうもようのおおふりそでに。ちょっこりこうえりかけというしういで。かみはふきわげにしてぎんみずひきにりょうざしというおもいいれででたときは。 いっこうえらおちでござりました いかさまやおぞうとはよういいましたぜやぼくさん [やぼく]だれやらとおはちただげんというておだてたがなるほどよいこうちゅうじゃて [きんやま]そりゃおかしかろ (二十一オ) [きたいち]ときにまたあのばんぞんのほかよかったのはさかもとやのむすめと<ひでがこと>まるいのりき<いまはたいき>とのたかせぶね。 りょうかんがたけもようふきました [やぼく]ほんにそうさそしてまたあとのつきにじゅうごにちのばんにすみたつでもあったそうなの [きたいち]いやそれはまいりませなんだが。 このじゅういちにちききようとものけんがいがすみたつであるそうにござります [きんやま]そのついでにさんちょうめにみやそのかちょうとあるけいこやはしほせのかちょうがことじゃないか (二十一ウ) [きたいち]さようさよう。せんどかいもできましたそうな。 そのときこうはちがきかいがしまをかたったげにござります [やぼく]いまはじょうるりげいこはおうぎさとのとくに。ふじごのたけ [きたいち]それにまえかたわかちゅうのみわというのがござりました。 いまかのすみさのかかになっています [きんやま]ほんにせんせい。そのすみさのこのあいだのつけはどうした [きたいち]いやここにござります<とかみいれよりなにかかいたものをいたす> [やぼく]こうきたこう。そのかみいれのたきしまもいまはあほうらしゅうてもてぬぜ (二十二オ) [きんやま]いかさまこのはるごろはそろえにしたことさえあったのに [きたいち]きしもとやのげいこのしゃみせんばこのふろしきがこのそろえでござりました [やぼく]このなつげいこのかたびらのそろえは。こうめにかなひで。おすみにうのとふじえとであったの [きたいち]さよじゃしろじにつりはないけのもようでござりました [きんやま]そのなかでふじえはかのみなみのそろえのふじのたなのをきていたぜ [やぼく]それにかわさのちゅうきょのそろえはしろじにあいでうろこがたのこもんであったのうきたこう (二十二ウ) [きたいち]あれはかのひといきはやったすみよしというものでござります [きんやま]さんまるやのそろえはつたのたてわき。 すみちのそろえがたしかしろがすりであった [きたいち]さようさよう。 それにかわきゅうがしろじにはないろでばしょうのもよう [やぼく]たいこもちもなにかそろえであったぜ [きたいち]たいこもちはにしみせばかりさ。 かのしろざらしにこうなたねのはなのようななんでもきいろなもようで。おびはもんづくしのおびでござりました (二十三オ) [きんやま]こうそのもんのついでにあのたかのはのもんのつつみはどこじゃ [きたいち]それがどうしました [きんやま]きのうだいときのかどあたりで。ひがしのほうからくるおやまがあっちからこうわろうてゆきおったがだれやらとんとおぼえぬ。 そしてあとふりむいてみたところがつつみのもんはたしかにたかのはであったがあれはごこであろうの [きたいち]それはだいたでござりましょう。 しかしだいたのうちではてしよにいたつるもごぞんじなり。 こうつ。 <しあんして> ああなるほど。 (二十三ウ) みなみからきたこまきであろう [きんやま]ははあいかさま。 そんならみなみでちかづきかいな。 ときにきのうはだいぶおやまにおうたぜ。 まずだいきちのてるにおうぎさとのとな。 いずこくのたけにきしもとやのじゅう。 しおせのりゅうとことぶきがいっしょにいくし。 そしてしまりのいとにもあう [やぼく]こうやしおにはあやせなんだか [きたいち]<わらいながら>きんさんおまえにさんどよんでむしんいわれてにげなさったげなの [きんやま]あれはこっちのせりふがわるいて。 それにまだたいはんのもりにあうし。 (二十四オ) かわちゅうのゆりにあう。 そしてたかまさのこれがとみやへはいるやぎやのくにがだいりきへはいった [やぼく]はてな。それにきたこう。きこうはあのつつみのもんにまでみおぼえがあるの [きたいち]そのだんはだいのてんぐでござります。 まあつのとくのつつみがじゅうろくぎり。 やぎやがかじのは。 しまとくがきりのと。 てしよがかげとひなたのかさねぎきょう。 だいやすがきり。 おうぎさとがうめばち。 だいふさがたいばな。 とよたがかちのは。すいやすがごさんのきり。 ひしとみがからばなかわへいがじょうもんはききょうなれどつつみはきりのと。 (二十四ウ) いずこくももんはきりのとなれどつつみはしょうぶかわ。それにきちょうがごようぎく。 たいきがかにたちばな。 [きんやま]ははあおじまがさきよりいっさんに [きたいち]<わらいながら>かべやがかたばみ。 しおせがまるにみつがしわ。 つのかがききょう。かわちゅうがかさねききょう。 きしもとやがかぶろぎく。きょうはんがつるのまる。 ありだいがよつめ。 だいきちがかましき。 かわしょうがからばな。 かわとしがきりのと。 たいはんがうらぎく。 かなひでがかじのは。 いたやそがじゅうろくぎくにふじごがふじのまるでござります。 (二十五オ) おおだいぶんくろうなった。 これおよねさんもうひをともしたりや [きんやま]なるほどよくおぼえたものじゃの [やぼく]ときになんのかのというてついひをくらした。 それはそうときんさんおまえのこんやのやくそくは [きんやま]かめとこひなとなると。 それにまざさるよにこなはちがでているはずじゃが [きたいち]やぼくさんはこうめとおこれとでござりましたか [やぼく]まだおこうもある。 それにとくとこんぶや<くめはちがことなり>とはこのほうのおかかえときている [きたいち]おとついももとはちがよろしゅうともうしていました。 (二十五ウ) それにまだきくはちとたいはんのたねとがあのせんどのことをなんたらかたらいうていましたぜ [やぼく]ははあこいつはしんざわり <[およね]かってより>もしおちゃづけをどなたにも [きたいち]さあさあこれへだしたり <とこれよりちゃづけをめいめいにすえるさいはこんぶとうめぼしとのさんばいずなり> [やぼく]こうきんさんはなぜんのつきだしときている [およね]<きのどくそうなかおつきにて>もしきのうのたまごをどうぞいたしましょうか [きたいち]おおほんにせんるいからもろうたのがあったな [きんやま]かんみまいか (二十六オ) [きたいち]さようさ。 あそこのおるいもみょうなものでござります [やぼく]あのおるいのことであとのつきやしきのきゃくがだいきちでなにやらおかしいすもうのばんづけをこしらえたげなぜ [きんやま]はてな [きたいち]おおぜきはさしづめいずととかみやすであろう <ろんごにしょくするときはものいわずとさえあるにこのさんにんはいろいろのわるいくちいいながらくいしまいはししたにおくといなや> [きんやま]さあいこうじゃあるまいか [やぼく]はてせわしない [きたいち]<きるものきがえかみおちょいとなでつけ>およねさん。こんやはねまきかけいでもだんないぜ <というかのふくだやのおとこからもってきたじょうは。いずへいからというはうそのかわにて。じつはわがいろごとしているおやまからおこしたじょうにて。こよいしばいうらあたりでであうというやくそくがしてあるゆえなり。そのところのようすはのちのだんにてごろうじ。みょうでござります> (二十六ウ) [きんやま]およねさんいつもながらおやかましいの [およね]なんのまああなた<とあがりぐちへあんどうをいたしめいめいのはきものをなおす> [きたいち]あのつくえはあんなりでなおしておくれ さあまいりましょう<とさんにんかどぐちをでる> <○ちょっとおことわりもうしあげます。これよりこのさんにんのきゃく。げいこはこうめ。かめ。こう。おこれ。こひな。なか。たいこもちはとく。くめはち。もとはちよはち。こなはちとのおおさわぎ。のちにやぼくきんさまがなじみのおやま。けいじゅうのせりふ。きた。いちはしまいうらのであいやどにてだいくぜつまで。なかなかとくりますけれども。それではあまりかみかずおおく。はんもとめいわくいたしますゆえさきはこれぎりにて。あとのところはこうへんといたし。きんじつのうちおめにかけましょう> (二十七オ) このしょ.よがてになれりといえども.しょちゅうにいわゆるやぼく.きんざん.きたいちのさんしがぞうたんを.ありのままにしるせるものにして.よがぐいをもてちょさくするにあらず.かならずやみるひと.そのじゃすいのつみを.よにこうむらしむることなかれという きのえとらのふゆうるうしもつきようか さくしゃ かがんじゅつ (二十七ウ) みょうなりきなりほっかつうじょう. あらわしてゆするものはしゅんこうえんかがんなり. もとめてひろめたるものがしゅんしょかんしゃていなり. このふたりはそもそもわがちくわのともにして.にはちのはるをさんぱちにばいましのあき. うんろくかわかにのみあいて.おのおのからみのぎをむすび.くさぞうしのくしゃくしゃばなしに.ついにこのふみをたがやすといべどもはなにかぜ. つきにむらくも.そばにすいふろのさしあいあるをうちあわせて.よにばつをこう. (二十八尾オ) かつてこじんいうことあり.まけぬはきたのならいとちせずしてそくにしかいう                 きらく                    〔印〕 (二十八尾ウ) ----------------------------------------------------------------- 注) 二十八尾オ7 「いべども」は正しくは「いへども(解釈:いえども)」か?