受験者の声一覧

西洋史 D1

大西 悠

医学部で6年間医師になるために学び、その後2年間、新臨床研究制度で全科をまわる。それから現在の病院に常勤として勤務している。精神科医。2015年に大阪大学大学院入学。専門はイギリス経済史。

インタビュー

- 研究テーマは

大西:専門は、イギリス経済史です。特に産業革命とエネルギーの関連でして、石炭エネルギー、化石燃料ですが、エポックメイキングな役割を果たしたという事を改めてイギリス経済史の中で実証していく事が当面の目標です。

- 大学(学部)では何を勉強していましたか

大西:6年間医学部にいました。そこで研究をしていた訳でなく、そこで医師になる訓練を受けてその後2年間、新臨床研修制度といって全科をまわる。それから今の病院に勤めています。

- 働きながら研究する事をどう思いついたのですか

大西:医師としての仕事が数年経って、歴史に興味がある昔の事を思い出して、歴史の本を読んでいこうという感じでいろいろ買って読んでいた時に、今師事している秋田茂先生の本を読んで、非常に面白くて「先生の本すごく面白かったです」とメールを送り質問をぶつけたところ、丁寧に回答して頂いて「そんなに興味がありますか」と返信を頂いて「はい」と申し上げたら、「会ってみますか」と言って頂いて。お会いして、トントン拍子のうちに大学院にという感じで、こんな風になるとは思っていなかったのですが、楽しいと申しますか、そういう流れでした最初の起点と言うのは。

- もともと西洋史に興味があったのですか

大西:小学校位の時の話ですが、歴史がすごく好きだったんですけど。特にヨーロッパが世界を変えていく過程に興味があり、今はこういう言い方はしないかも知れませんが、トップリーダーだったイギリスが、どういってこんなにベラボウな影響力というか、パワーを行使出来たのかというところが、だいぶ気になっていました。それを見ていくうちに産業革命が大きいだろうなと。色んな本も読んだんですが、これといった満足出来る回答というか自分自身が知りたいと思うところが無かったので、それがずっとわだかまっていて、この歳になって改めて、知見を得るなり、研究するなりそういうチャンスに巡り会ったという事ですね。

- 他に興味を持った著者の方にも連絡をしたのですか

大西:いや、それはしてません。ただ、秋田先生が以前から大阪大学で歴史の勉強会をしている事はネットで知っていました。一般の方々と大学の人間が交わる様な場がある事は知っていたので、そういうのも含めてやってみました。最初は勉強会的なものだと思っていたのですが、自分がまさか大学院に来るとは意識していなかったのですけれども。研究をしなければということであるならば、やはり大学院に来なければならない事が分かったので、自分が望む答えを研究しなければ掴めないという事になれば、もう行くしか無いとなりました。

- 一週間のスケジュールはて

大西:一週間のうち常勤で仕事しているのが火曜と木曜日、金曜と土曜日の週4勤務になっています。金曜と土曜日は外来でかなりバタバタしていますが、水曜日は空いていて、この日は非常勤の仕事が入ったりするので、だいたい月曜日を大学院の研究にあてています。時間はキビシいものがあるとは思いますが、元々好きな分野というか興味のある分野なので、例えば通勤の間、電車通勤なので一時間ぐらいは電車の中で本や論文を読んだり、そういうのが積み重なっているという事があります。日曜日は家でゆっくりしています。

- 入学に踏み切った決意とは

大西:やはり周囲には驚かれました。何を言っているのかみたいな感じの反応はあったんですけれども。それは、その通りだと思いました。まぁでも、意外に容易い。一歩踏み出す事に関しては秋田先生が手取り足取り教えて頂いた事もあって、そんなにハードルを感じなかったんですね。大学院に来た事に関して、自分で何か研究したいと言うよりは偉い先生方の本や研究を議論する事が好きだったんですけれども。いわゆるゼミですね。ゼミみたいなのが好きでした。ところが実際に研究をしてみると、これが結構面白いという事もあって。ハードルも段階踏んで上がっていって、自分もそれを乗り越えているところもあったので、最初大きく身構えて、研究をしなければならないとか、絶対に一人前の論文を書かなければならないとか、そういう気負いが強くあった訳でも無かったので、そこまでハードルはあまり感じなかったというのはありました。勤務との関係はありましたが、自分自身で整理をして勤務日を割振れば、そこまでハードルにはならなかったという部分はあります。それも勤務先がかなり寛容だった事もあると思います。

- 入学するまでにかかった時間は

大西:コンタクトをとってから入学したのが一年後ぐらいでした。その間に、秋田先生から歴史研究における卒論に値するものを書いていないから、それを書いて来なさいと言われて。見よう見まねで書いてみて、提出して先生からアドバイスを頂いて、論文を初めて書いてみました。それも楽しかったです。それを提出して、同じ年の12月頃だった思うのですが、試験を受けて、修士として迎えますというお話でした。秋田先生とコンタクトをとってから入学まで一年弱ぐらいだったと思います。

- 論文に関して

大西:論文というのは形があるじゃないですか。問題提起があり先行研究を踏まえ、自分なりの理論を展開して実証して、結論を出すという。その研究部の中に自分の研究を位置づけるという話だと思うので。最初は全然分かりませんでした。なので少し叙述的になったり、通史的な内容になったりしたのですが。それはまぁ卒論にあたるという事だったので、こんなもので良いのかなというところがあったので、それでやっていきました。論文を書くと同時に、秋田先生から3冊本を指定されました。今、先生が研究しているところと大きく関わる部分があるから、これを読んで来る様にと英語の本を頂いて。その本を読んで、「論文とはこの様に書いていくものか」とそういうのも踏まえて書いていきました。

- 入学を考えている方へ一言

大西:意外にハードルは高く無いという事をひとつ申し上げておきたい。「大学」「研究」「教授」というだけで、単語がズラッと並ぶと、皆ためらいというか、心理的な逡巡があると思うのですが、そんな事は無いですというのがまず1つ。意外に容易いという事。入学してみて、それまで思っていなかった事、感じていなかった事、思ったり感じたりする事もあると思うのですが、それも恐らくプラスに働くと思いますので、まず入学してみる、踏み出してみるという事ですね。踏み出す障害、ハードルは皆さんが思っているほど高く無いと強調しておきたいですね。あとはそれぞれ個人の情熱というか、やりたい事だと思うので。今、アドバイスするのは中々難しいですね。それで大学に入学する以上は自分の考え方とか、それまで思っていた事が良くも悪くも裏切られる面があると思うんですね。つまり他者から批判を受けるという事だと思います。他人から批判を受けて、なおかつ自分の研究、テーマなりをブラッシュアップして先に進める覚悟と言うか認識が必要だと思います。要するに入るのは容易い、でも入ったからにはいろんな事を言われますよ。でもそれを踏まえた上で先に進む事が求められますよ、というところかなと思います。

- 阪大でのこの先の目標は

大西:ゼミで議論するのが好きと言っていましたが、それがいつのまにか研究がだんだん好きになって、その研究を沢山、複数まとめて来ると自分なりの歴史観みたいな、歴史みたいなものをまとめたいという思いがだんだん増えて来ました。博論を書いて、更に研究をかさねていつか本を一冊書きたいというのがまずあります。実際、秋田先生からも言われているのでそれがひとつの共に目標だと思います。歴史が終われば、まぁ終わることは多分無いと思うのですけれども、歴史をしながら、他の人文系、社会科学系にも興味、関心があるので、そちらも研究していきたい。

- ありがとうございました

大西:ありがとうございました。

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