昭和二十九年三月十五日国語審議会報告 

当用漢字表補正試案

 このたび、漢字部会から当用漢字表に対する再検討の結果が報告された。これは、漢字部会が、当用漢字表を中心として広く社会に日常使用される漢字について2か年間二十六回にわたり、熱心に審議した結果であって、将来当用漢字表の補正を決定するさいの基本的な資料となるものである。
 思うに、当用漢字表の補正資料は、このさい一般の批判をもとめ、今後なお実践を重ねることによって、その実用性と適正さが明らかにされると考えられる。
 この漢字部会の非常な努力によって、当用漢字表が全体的に妥当なこともわかった。この点についても同部会の労を多としたい。

  当用漢字表審議報告

一、当用漢字表(音訓表・字体表を含む)から削る字
且 丹 但 劾 又 唐 嚇 堪 奴 寡 悦 朕 濫 煩 爵 璽 箇 罷 脹 虞 謁 迅 逓 遵 錬 附 隷 頒

二、当用漢字表(音訓表・字体表を含む)に加える字

亭,テイ
俸,ホウ
偵,テイ
僕,ボク
厄,ヤク
堀,,ほり
壌,ジョウ
宵,ショウ,よい
尚,ショウ
戻,,もどす
披,ヒ
挑,チョウ
据,,すえる
朴,ボク
杉,,すぎ
桟,サン
殻,カク,から
汁,シュウ,しる
泥,デイ,どろ
洪,コウ
涯,ガイ
渦,カ,うず
溪,ケイ
矯,キョウ
酌,シャク
釣,,つり
斉,セイ
竜,リュウ

三、音訓を加える字、字体を改め音訓を加える字
個,コ→個,コ・カ
燈,トウ→灯,トウ,ひ