『改正西国立志編』 左傍訓を有する漢字語彙索引凡例 [T]資料  底本は中村正直訳『改正西國立志編』(明治十年二月刊、木平讓蔵版、澤崎蔵。以下、改正版と称する)による。これに対校資料として、明治三年から四年にかけて刊行された初版『西国立志編』の同人社蔵版(明治六年以降発行、関西大学図書館蔵。以下、初版と称する)を用いた。対校に用いた版には第二編第三丁(第五章及び六章の前半部分)に落丁があり、そこに誤って第三編第三丁が本来の箇所と重複して入っている。落丁箇所は他本によって補った。 [U]見出し語となる漢字語彙の採取  底本のうち、スマイルズの自序「自助論第一板序」、中村正直の序「自助論原序」、「西國立志編目録」、及び本文全十三編を調査範囲とし、これに含まれる左傍訓(以下、左ルビと称する)を有する漢字語彙を採取する。これに、同じ範囲(ただし、スマイルズの自序は初版には含まれない)から初版においてのみ左ルビがふられている語を追加して採取する。初版では、和綴じ本十一冊の各冊の始めにその冊に収められる各編各章の目録が再掲されている。この各冊冒頭の目録も調査対象としたが、見出し語については巻頭の目録との異同は見られなかった。  左ルビには、「考察ヲ長ゼシムル」という本文に「カンガヘガジヤウズニナル」(二編二章)とふるような例も見られる。この種の例もそのまま採取した。ただし、以下に挙げるような、英語の原文の読みを一文全体にルビとしてふるような例は取らなかった。 (例)本文「瑣小ノ事ハ、全美ノ功ヲ成ス、而シテ全美ノ功ハ、瑣小ノ事ナラズ」に「トライフルス メイキ ペルフヱクション ヱンド ペルフヱクション イス ノツト トライフルス」(五編二章)と左ルビをふる。 (例)本文「嗚呼人汝自ラ助ケヨ」に「ヲヽ メンヘルプザイセルフ」(六編十六章)と左ルビをふる。 [V]記載項目  見出し語となる漢字語彙について、以下の七項目を記す。  漢字語彙,音読み,左ルビ,右ルビ,編-章,頁-行,丁-行 (例)位價,いか,アタヒ,,01-01,1-3,1a-3 1)第一欄:漢字語彙 @漢字の字体は原則として底本に従うが、JIS漢字にあるものはその字体による。JIS漢字にない異体字の場合、通行の正字に改めたものがある。 A三字ないし四字からなる語の場合、分割しうるものについては後半部分を再度掲出した。再掲した語については、その語のあとに「#」を付した。 (例)恒久堅忍,こうきゅうけんにん,ナガクツヾキシンボウスル,,01-06,13-5,6b-11   堅忍#,けんにん,シンボウスル,,01-06,13-5,6b-11 2)第二欄:音読み  見出し語の音読み。見出し語が現代語として使用される場合は、その通常の読みを平仮名で記す。現代語に使用されない場合は原則として漢音による読みとするが、呉音や慣用音のほうが通行する場合にはこれによる。「考察ヲ長ゼシムル」のような見出し語については、「こうさつ…」と冒頭の漢字以外は適宜省略した。 3)第三欄、第四欄:左ルビ、右ルビ @ルビは底本の通りに記すが、拗音・促音を表す「ャュョヮッ」は小書きとする。ただし、「クヮ」にあたる「クハ」はそのままとした。 A「子」は「ネ」に、「井」は「ヰ」に、「┐」は「コト」に改める。二文字の繰り返し記号は「〜」で代用する。 B「エ」と「ヱ」は印刷の状態によって判別しがたい箇所があるが、読み取れるままにいづれかに判断して記し、仮名遣いの正否によって判断することはしなかった。 Cルビが見出し語の一部にのみふられている場合は、ルビのふられていない漢字の字数分を「…」によって示す。 (例)握定,あくてい,ニギル…,,11-33,611-2,31b-1  ただし、ことに左ルビには、本来語彙全体にふるべきものをたんに片寄せてふったにすぎないと思われる例もある。 4)第五欄:編-章  例に挙げた「位價」の「01-01」は「第一編、第一章」の意。編数「00-01」は「自助論第一板序」、「00-02」は「自助論原序」、「00-03」は「西國立志編目録」である。章数が「00」であるものは、各編の冒頭から第一章の始まり以前までの文章中に含まれる語であることを示す。なお、改正版と初版との間に編数・章数の異同はない。 5)第六欄:頁-行  「1-3」は改正版「一頁、三行目」の意。 6)第七欄:丁-行  「1a-3」は初版「一丁表、三行目」の意。この「丁-行」の後に( )に入れて示される数字は、初版において各冊の冒頭に置かれる「目録」から採取した左ルビを有する漢字語彙の所在である。 (例)鞋,あい,クツ,,00-03,32a-7,13a-9(10-1a-11) 「(10-1a-11)」は初版「第十冊目録、一丁表、十一行目」の意。  なお、初版における編(全十三編)と冊(全十一冊)との関係は以下の通り。  第一冊:第一編 第七冊:第九編  第二冊:第二・三編 第八冊:第十編  第三冊:第四編 第九冊:第十一編  第四冊:第五編 第十冊:第十二編  第五冊:第六・七編 第十一冊:第十三編 第六冊:第八編 [W]初版との対校 1)改正版において採取した語彙が初版にない場合は、見出し語の後に「*」を添えて示す。 (例)夥計*,かけい,ナカマ,,02-10,95-10, 2)ルビに初版との異同がある場合は、[  ]内に初版での表記を記す。初版にルビがない場合は[-]と表記する。 (例)幸福,こうふく,サイハヒ[サヒハヒ] ,,01-02,3-5,2a-3 爭賽,そうさい,セリアフ,…サイ[-],01-25,49-11,24a-8 3)初版における左ルビが改正版では右ルビに移動している場合、以下のような表記となる。 (例)瓢,ひょう,[フクベ],フクベ[-],10-25,536-10,21b-11  また、初版にのみ左ルビがつき、初版・改正版ともに右ルビがない場合、以下のような表記となる。 (例)上好,じょうこう,[サイジョウ],,02-12,109-6,14a-9 4)初版と改正版とで漢字が異なる場合、改正版の漢字の後に初版の漢字を[ ]に入れて示す。また、初版の漢字からも検索できるように、これを以下の例のように再掲する。再掲の場合は( )内に改正版での漢字を記入し、両版間のつながりが分かるようにした。 (例)勤勉[黽勉],きんべん,ホネヲヲル,,04-00,171-2,1a-2 [黽勉](勤勉),びんべん,ホネヲヲル,,04-00,171-2,1a-2  ただし、「花紬[花綢]」のように、読みが同一である場合には再掲しない。 5)初版において左ルビを有する漢字語彙であり、かつその語彙が改正版にない場合は、これを[ ]に入れて掲出する。 (例)[拍浮],はくふ,[ウチウカビ],,02-14,,20b-5 [X]配列  採取した語の音読み(第二欄)の五十音順による。音読みが同一の場合は、第三第四欄の五十音順、及び第五欄以下の数字・アルファベットの順による。