◎コトタマ往来313(会報20 1930.9.30)
「行かう」を「行かず」と云ふのが、甲、信、三、尾等の諸地方に広がって居る。或る人は「行かんず」の転とする。実際尾張では「行かアずに」などと使って、否定そのままの云ひ方ではない。然るに甲州の人は、信玄公が軍略の必要上肯定を否定に言ったのに因ると言って居る。
☆金田一春彦「入間言葉さまざま」(『金田一春彦 日本語セミナー四 方言の世界』筑摩書房 1983.3.31発行 p99 もと雑誌『旅』1947.8)
土地の人は、これは信玄公が敵国からのスパイに国内の様子を探らせない手段として土地の言葉をわざと反対にしたのが始まりだ、と言っているが、