☆オーストラリア歴史の旅

 さて、私の唯一の著書(単著)を紹介しておきます。時々、読み直すことがありますが、読みやすく(寝ながら読める)、とてもおもしろい本です。最近少し売れ行きが落ちているので、ぜひとも買って下さい。1300円(税別)で、決して買って後悔はしない本だと思います。その本は、
 『オーストラリア歴史の旅』朝日新聞社です。朝日選書の407です。本屋で置いていませんか。と聞いて下さい。置いてないという返事なら。いい本なのにと答えて下さい。そして、注文して下さい。
 内容は

1,建国の神話

 オーストラリア植民と白人国家の建国の問題を、入植に至る過程や建国に関する祭日の歴史を絡ませながらストーリーを進める。
フィリップの肖像画
アボリジナルの親子

2,最後のタスマニア人

 先住民アボリジナルの歴史をタスマニアの「アボリジナルの滅亡」を通じてみる。(この章はあまり好きではありません。)

3,もうひとつの侵略

 白人の入植によるオーストラリア大陸の環境の変化を、ウサギの導入を通して考える。ウサギの歴史です。
ウサギ
カンガルー

4,カンガルーの大虐殺

 国を象徴するシンボルであると同時に、害獣として駆除されるという矛盾した存在であるカンガルーを通して、人間と動物の関係を考える。カンガルーの歴史です。(手当たり次第なんでも歴史にする男です。)

5,白豪主義

 オーストラリアにおける白人至上主義の歴史、反アジア人意識を考える章です。分析的ではないだけに、読みやすいと思います。(この分野のプロとしてはもちろん不満です。)ところで、オーストラリアの一部の人にとって、ET is better than Asians. Because E.T. ( )( ). 括弧には何という単語が入るでしょうか。答えは本を買って、見て下さい。
ヘビ

6,スポーツ共和国

 オーストラリアは、スポーツが神聖な国家です。この章はクリケット、プロのラグビー、オーストラリアルールのフットボール、海水浴をとりあげました。(盛りだくさんで、突っ込み不足の章です。)

7,女王陛下の国

 君主制と愛国主義の戦争の問題を考えた章です。この章は、少しバランスが悪いのですがよくできていると思います。
 「同盟国のための戦争への参加が、オーストラリアの戦史を規定する構造であったのである。強力な同盟国との関係を保持し、同盟国と自国の利害を同一化する幻想を維持するには、多くの戦争に参加する以外の道はなかったと言えるだろう。」これを書いた後、オーストラリアは、労働党ホーク政権の下で、アメリカ、イギリスに続いて3番目の湾岸戦争の域外からの参加国となりました。この構造は今も続いているのです。

8,今日もステーキ 明日もステーキ

 オーストラリアの食生活の歴史です。オーストラリアを代表するベジマイト、ダンパー、ビリーティーなどが登場。オーストラリア・ワインも扱う。ベジマイトについて一言話せるようになり、少しはオーストラリア通になりましょう。

9,ドマイン

 ロンドンのハイドパークのスピーカーズコーナーのような、シドニーのドマインのスピーカーズコーナーから、オーストラリアにおける言論の自由の歴史を振り返ります。何でもイギリスの習慣を再現するオーストラリア人、シドニーにもハイドパークがあるのに、スピーカーズコーナーはハイドパークではなく、何故別のところにあるんでしょう。このようなことに解答を与えてくれる英語の本はありません。この本を読んで解答を得て下さい。
集会
タウンホール
国会

10,キャンベラへの旅

 これは、計画的に建設された首都キャンベラの設立にまつわる歴史的な背景を考えた章です。少しこれは手抜きの章です。
 あとがきの「文献リストをわざわざ作るほどには史料もよんでいないので」は、ウソです。史料はたくさん読んだが、文献リストを作るのがじゃまくさいのでが真実です。ここに訂正いたします。