用語解説
大谷窯跡の理解のため重要な表現・用語を以下の通り集めました。

窯(かま)

 斜面に築かれた焼き物を焼くための窯のうち、焼成のための部屋が一つのものを窖窯(あながま)といい、焼成室が複数あるものを登窯(のぼりがま)といいます。須恵器を焼くために使われるのは窖窯であり、登窯の方は近世から今日に至るまで使われています。焚き口を塞いで還元状態をつくることができ、須恵器などを焼くのには必要な設備です。

窯道具(かまどうぐ)

窯内では、土器を失敗せずに焼き上げるために、いろんな工夫が必要でした。窯に用いられる道具には以下のようなものがあります。

1三叉トチン(図14

施釉陶器(緑釉陶器)などを重ねて焼くときに、間にかませることによって、器同士がくっつくことを防ぐ道具。

2焼き台(図12・13

窖窯などで土器を焼くときに、斜面になっている窯内で器を水平の状態に保つために土器の下に置く台。

高台(こうだい)

器の底を一段高くするために付けられる、台状の部位。現代でもお茶碗などにみられる台のこと。製作技法から大きく3種、形状からも大きく3種ぐらいに分けられます。

1貼り付け高台(はりつけこうだい)

粘土を底部に貼り付けて作り出す高台のこと。



2削り出し高台(けずりだしこうだい)

工具を用いて底部を削り、成形される高台のこと。



3糸切り高台(いときりこうだい)

ロクロから成形された製品の底部を糸で切り離して、そのまま調整などが施されない(糸切り未調整)高台のこと。篠窯の製品では一般に、削り出し高台は糸切りの後に成形され、貼り付け高台はへらで切り離された後に高台の貼り付けがおこなわれます。



A輪高台(わこうだい)

輪状にめぐらされた高台のこと。高台の幅が狭い。



B蛇の目高台(じゃのめこうだい)(図1・2

 高台の幅が広いもの。蛇の目のように見えることから、このように呼ばれます。

C円盤状高台(えんばんじょうこうだい)(糸切り高台の図を参照)
 
 底部が円盤状を呈している高台のこと。ベタ高台などとも呼ばれます。


須恵器(すえき)図5・6・7・8・9・10・11

焚口(たきぐち)

 窖窯(あながま)の下端部分。燃料を燃やす燃焼部(ねんしょうぶ)の末端に当たり、窯全体の入り口ともなっている部分です。須恵器を焼成する際に塞(ふさ)ぐのもこの焚口部分であり、焼成したあとは閉塞(へいそく)部を壊して製品を取り出します。

灰原(はいばら)

窯の前方斜面に灰原があり、通常は、灰・炭や失敗品(壊れたり、焼けひずんだもの)を捨てる場所のことです。操業時には窯内の不要物を直接焚き口から掻(か)き出して灰原へ落としていました。

窯体(ようたい)

窯を構成している床・壁・天井などのことを窯体と呼びます。その構造は大きく分けて三種類(地下式・半地下式・地上式)あり、内部には火のまわりを良くするための工夫が見られることもあります。

緑釉陶器(りょくゆうとうき)図1・2・3・4
篠大谷3号窯