第2回全国高等学校歴史教員研修会 プログラム

○テーマ アジア史と日本史の対話

8月9日(月)

◇12:20−12:50:開会挨拶と趣旨説明(桃木至朗)

会場風景

北は北海道から南は鹿児島まで、全国から集まった参加者で会場は満席に。

◇13:00−14:40:「中世日本の三国世界観と神国思想−天竺・震旦・本朝−」平雅行(大阪大学教授)

平講師

古代=貴族・旧仏教・京都/中世=武士・新仏教・鎌倉という通説的イメージと研究最前線との乖離の指摘に始まり、社会における旧仏教の位置、仏教と神道との関係、そこから如何にして神国思想が登場してきたのかなどを中心に据えて、日本中世社会の全体像を熱く語った。

◇15:00−16:40:「東南アジアにおける外来文明や「世界」との向き合い方 ――日本史との比較――」桃木至朗(大阪大学教授)

桃木講師

自国・自地域を中国やヨーロッパといった大国・先進国とのみ比較する発想に警鐘を鳴らし、「周辺」とされる地域同士を比較する視点の有効性を主張。東南アジアがどのように外来文明と向かい合ったのかを実例を交えて示し、日本との共通点や相違点を論じた。

◇16:40−16:50:自由質問票記入時間

休憩時間の一齣

休憩時間や終了後も講師陣に質問や意見交換を求める参加者が絶えなかった。

8月10日(月)

◇9:10−10:00:前日の質問への回答、受講者のフリートーキング

◇10:10−11:40:「中央ユーラシア史から見たアジア史・日本史」森安孝夫(大阪大学教授)

森安講師

中国やインドなどの周辺諸文明を繋ぐ位置にある中央ユーラシア世界、その主役である遊牧国家から世界史を見直す。定住民側からだけの歴史理解がいかにバイアスがかかったものであるのか、シルクロードが単なる通過点ではないことなどを指摘しつつ、巨視的な視点からユーラシア史全体の流れを示した。

◇12:50−14:00:「中世日本列島と海域世界」山内晋次(大阪大学特任助手)

山内講師

交易を主題として国家儀礼や具体的なモノの流れを通して、東南アジアからオホーツク海にまで広がる海域世界の中に日本列島はどのように位置づけられるのか、広い視点から論じた。

◇14:10−15:20:「琉球王国と東アジア国際秩序」岡本弘道(大阪樟蔭女子大学非常勤講師)

岡本講師

既に人口に膾炙した冊封体制や朝貢秩序といった用語、そこから導き出される一面的なイメージの危うさを指摘し、「周辺」の琉球が「中心」が設定した秩序や体制をどのように利用して独自性を発揮していたのかを論じた。

◇15:30−16:40:「近世東北アジアと日本列島」杉山清彦(大阪大学助手)

杉山講師

シルバーラッシュとそれに触発された商業の活況と社会の流動化など、近世アジアの各国が体験した共通の状況に着目し、清帝国と江戸幕府双方の成立史に共通する要素を指摘、東北アジア全体を比較史的に見渡す視点を提示した。

◇16:40−16:50:自由質問票記入時間

8月11日(水)

◇9:10−10:30:前日の質問への回答、受講者のフリートーキング

◇10:40−12:20:「世界システム・アジア交易圏と近代日本」秋田茂(大阪大学教授)

秋田講師

世界システム論を巡る近年の状況を紹介した上で、「関係史」の観点から1930年代におけるアジアの工業化がどのような構造の中で展開したのかを解説した。

◇14:00−16:00:全体討論会

総合討論総合討論総合討論

◇16:00:閉会挨拶


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