この授業の目的は、飲食を題材として美学の基本的な概念を学ぶことです。 飲食は、芸術とは何か、評価は主観的なものなのか、鑑賞に知識は必要なのかといった、 美学における代表的な問題を考えるうえで、非常に適した対象です。 ただし本授業は、基本的な考え方を紹介するだけにとどまりません。 従来、哲学や美学では味覚や嗅覚は劣った感覚とみなされ、飲食は美的な対象になりえないと考えられてきました。 そのため、美学の議論は主に絵画や彫刻、音楽などを中心に行われてきました。しかし近年の知覚研究の進展により、 味覚や嗅覚にも高度で多様な働きがあることが明らかになっています。 本授業では、こうした最新の研究動向も踏まえながら、美学の問題を考えていきます。