• 授業紹介

    講義(岩﨑) 香りの美学

    皆さんはどのような香りがお好きでしょうか。海辺の匂い、薔薇の香気、お気に入りの香水、好きな人から漂ってきた思い出の薫り。香りは目に見えないものであるがゆえに形を持たず、持続性が弱く、言語表現も困難です。美学や哲学といった西洋思想、そして生理学の分野でも、視覚や聴覚については研究されてきましたが、嗅覚は長らく等閑視されてきました。しかし、今世紀に入ってから嗅覚研究は様々な方面で進んでいます。本講義では、「香りの美学」が成立しなかった思想的かつ科学的背景を概説したうえで、日本の香道やフランスの香水文化などの様々な角度から香りについて取り上げます。また現代社会とのかかわりの中で「香りのアート」が果たす役割について、講義担当者が実際に国内外で実践した香りのアート展やワークショップの実例を紹介しながら考察します。思想と科学、理論と実践、西洋と東洋の交差点における「香りの美学」の成立可能性について講義します。