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概要
Praxis for Arts Network (PAN) の活動
ソーシャル・ネットワーク型人文学構築の一環として芸術系が企画したのは、Praxis for Arts Network (PAN)というネットワークの形成である。芸術研究ならびにその教育において作品との直接的な関わりが重要なのは言うまでもない。しかし、多くの場合、日本の大学には「もの」としての作品や、作品の上演、演奏などに直接に接する機会は乏しい。若干の美術作品が所蔵されていたり、授業や研究会などで劇作品の上演、音楽作品の演奏が行われたりすることは確かにある。しかし、質の高い作品の展覧会、演奏会などを大学が企画したり、制作や上演、演奏の現場に学生が接したりする機会は乏しいのが現実で、それらと接するには美術館、劇場、コンサートホールなどに出向くしかない。しかも、その場合、学生は一鑑賞者として出向くにすぎず、企画の準備段階に関与することはまずない。
このような状況は芸術研究者を育成する上でまちがいなく大きなデメリットである。学生が作品の制作、展示、上演や演奏の現場により近い場所にいられるようにすることは、芸術研究者養成にとって重要な課題である。そこで、状況を改善していくために計画したのがPANというネットワークである。大学の研究者と美術館、劇場、コンサートホールなどの芸術関連諸機関スタッフがメーリングリストや会議、ホームページなどで自由にかつ緩やかに結びつき、情報交換、企画についての相談などをより自由に行う場として構想した。もちろん大学と諸機関が機関レベルで公に協力できることは望ましいし、実際にそのような公的、制度的な協力体制もでき始めている。しかし、PANはそれ以前の、いわば「非公式」、「前公式」な交流の場として機能することを考えている。
PAN シンポジウム
ネットワーク形成に必要な人脈作りの一環として、2006年3月にシンポジウムを開催した。一般用のシンポジウム案内文は次の通りである。

実践芸術論講義
2006年度から「実践芸術論講義」という大学院授業を開始し、学外から芸術関連諸機関で働く方々、制作の現場にいる方々、研究者などをゲストスピーカーとして招聘し、授業を行ってきた。これまでに招聘した方々は以下のとおりである。
4月20日 | ゲストスピーカー:Gail Levin 氏(City University of New York) |
講演タイトル:The Jewish Presence in Twentieth-Century American Culture
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5月19日 | ゲストスピーカー:佐々木亮氏(サントリー音楽財団事務局長) |
講演タイトル:「サントリーのメセナ:音楽財団の仕事を中心に」 | |
6月1日 | ゲストスピーカー:Frederico Camara氏(造形作家、ブラジル。京都造形芸術大学国際藝術センターフェロープログラムで日本に滞在中) |
ゲストスピーカー:林朋子氏(京都造形芸術大学国際藝術センター) | |
7月13日 | ゲストスピーカー:伊東順一氏(いずみホール) |
講演タイトル:「音楽ホール運営と課題」 | |
7月14日 | ゲストスピーカー:Charles Ray氏(造形作家 アメリカ、UCLA教授) |
10月20日 | ゲストスピーカー:松本茂章氏(県立高知女子大学・文化学部教授) |
講演タイトル:新聞記者から文化政策研究者へ アート・マネージメント研究者の自伝的省察」
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11月17日 | ゲストスピーカー:片山尚子氏(阪大経済学部修士課程/London City University MA) |
講演タイトル:アート・マネージメントの視点から見た文化地区の発達(Cultural Districts and its Development from arts management perspective)
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12月8日 | ゲストスピーカー:森口まどか氏(京都芸術センター、diatxt編集長) |
講演タイトル:「芸術批評の困難さについて−芸術批評誌『diatxt.』を振り返って−」
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12月21日 | ゲストスピーカー:福井とも子氏(ネクスト・マッシュルーム・プロモーション代表) |
講演タイトル:「関西発」の意味〜何が人を動かすか?
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