東洋史学関係資料

モンゴル語『善悪因果経』

 東アジアでの仏教の普及にとって重要な役割を果たしたのが「偽経」と言われる仏典類、即ち民衆への布教のために中国で漢文で作成されたものである。その代表のひとつが6世紀頃に成立した『善悪因果経』であり、これは漢文からソグド語・チベット語・ウイグル語・モンゴル語・満洲語などに翻訳された。モンゴル語版には大蔵経に収められる2種類の訳本があるが、阪大所蔵本はそれらとは違う訳本である。16〜17世紀に書写されたものであるが、散逸したウイグル語版の復元に役立つもので、文化交流史研究上に独自の価値を持っている。本来は小さ目の貝葉10葉で完全なものであるが、阪大には8葉が所蔵される。

【参考文献】森安孝夫「『善悪因果経』の流通とその史的背景」(『三島海雲記念財団第23回事業報告書(昭和60年度)』、1986年、pp.225-231)

 

善悪因果経