デザインの言葉たち

美学の仕事は、じっさいには、言葉について吟味する仕事だったと思わせるところがあります。自然の美とはそれほど自明なのか。 芸術とアートはいったい同じなのか。人間はそもそも何かを創造できるのか。 このような問いは、言葉の使用にかかわる問題であると考えることができます。そして、言葉の反省によって、 生活者・芸術家・研究者がもっと理解し合えるようになり、多くの人々が共通の議論に参加したり、 多くの人々が共通の活動に参加したり、参加の可能性が増すならば、美学がかなり役に立っていると言えます。 あたりまえと思っている言葉こそ、語源にさかのぼって本当の意味を知ったり、含まれる意味どうしの矛盾に気づいたりするならば、あたりまえがあたりまえでなくなる。 そうして、新たな議論へとみちびかれ、新たな行動へとうながされ、新たな次元に立たされる。これこそ、美学の理想ではないでしょうか。