野中古墳とは

野中古墳とは

大阪府藤井寺市野中3丁目に所在する野中古墳は、2010年に世界遺産暫定リストに記載された百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群のうち、古市古墳群のほぼ中央に位置する5世紀の古墳です。

この古墳は墳丘長225メートルを誇る墓山古墳に近接して築造された一辺37メートルの小さな方墳です。住宅街の中にあり、「うらやぶ」と呼ばれていた野中古墳は、実は発掘調査がなされるまでは、はたして古墳かどうかさえ、よくわかっていませんでした。

しかし、1964年、大阪大学文学部国史研究室によって実施された発掘調査によって、この小さな古墳には、当時の政治社会や対外交流を知るうえで、貴重な手がかりを有することが判明しました。その成果は、『河内野中古墳の研究』(大阪大学文学部国史研究室、1976年刊行)にまとめられています。
当時おこなわれた発掘調査の映像、甲冑をはじめとする鉄製品、当時非常に珍しかった土器類など、出土した数々の副葬品、そして調査によって導かれる古墳の被葬者像から、野中古墳が築造された時代を学んでいきましょう。