本間直樹 准教授 (ホンマ ナオキ) 


       


1970年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位修得退学。文学修士(大阪大学)。大阪大学大学院文学研究科哲学講座助手、同講師を経て、2005年4月に大阪コミュニケーションデザイン・センター(CSCD)・講師に着任し、文学研究科を兼任。2006年4月より現職。

「現象学、精神分析、システム理論ほか、20世紀の西洋思想・現代哲学の研究を軸に、コミュニケーション、社会、身体、セクシュアリティなどについての理論的探究を行う。臨床哲学の活動としては、具体性に向かう哲学的思考の可能性を探究している。また、哲学的な対話法を学ぶワークショップや「こどもの哲学」などの実践と研究に取り組んでいる。
自分の知的関心に従い、あることを掘り下げて考える。それは面白くて仕方がないし、研究をすすめるうえでも欠かせないことでしょう。他方、水平的な関心から、単に隣接の分野ということに限らず、ひろく隣人の声を聴いてみる。これを実行するためには、自分を絶えず更新していく姿勢が求められるでしょう。誰かのニーズんみ耳を傾け、それにどう応えるのかを考えることも、なかなか奥深い。ましてや、それが創造的な営みとなるのならば。」(大阪大学大学院文学研究科紹介2012-2013より)

「倫理学研究室での教育と研究ほかさまざまな取り組みは、大学院で学ばれる臨床哲学と密接に結びついています。哲学・倫理学にとって、〈問う〉ことは根幹に位置しますが、〈問う〉ことは、必ずしも書かれたものを目の前に頭をひねることだけを意味するのではありません。身も心も空にすることや、全身をフルに活用することも大切です。例えば、じっと見ること、耳を傾けること、誰かや何かとつながりを感じることも、〈問う〉ことの始まりです。私自身は、次の7つの技芸を通して考えることを重視し、授業や額内外で諸活動を組み立てています。1.訪問・参加する。2.感じる(喜怒哀楽)。3.対話する(聴く/話す)、4.記録する(筆記/解釈)。5.表現・創作する(書く/編集)。6.読む(理解/解釈)。7.企てる・実行する。ーーこれらすべてを通して、与えられる知識に満足するのではなく、知が私たち自身を貫き、出現することに驚き、その悦びを味わいましょう。」(大阪大学文学部紹介2013-2014より)

●宝くじがあたったら?:フリースクールをつくる。(大阪大学文学部紹介2014-2015より)

●好きな音楽:自分の出す音、聴く音すべて。(大阪大学文学部紹介2013-2014より)

●無人島に持っていくものは?:iPhone(大阪大学文学部紹介2012-2013より)

●小さい頃の夢:作曲家(大阪大学文学部紹介2011-2012より)

●研究の視点(『待兼山論叢 哲学篇』2013より)
これまでの実践を糧に「臨床哲学フィールドワーク」という授業を新設し、学生たちと哲学者のはたらき方をさまざまな現場で模索する。ひとつひとつの現場で、土をともに耕し、種を撒き、水を遣る、雑草を抜く、こうした野良仕事を続けるなかで、ほんとうに考えるべきことが、からだを通して実感されるだろう。そして、そこに実った知識はまったくちがった仕方で輝きはじめるだろう。

●研究の視点(『待兼山論叢 哲学篇』2012より)
哲学プラクティス国際会議には小さな哲学者たちが集う。8年ぶりに参加したこの会議にて、〈探求のコミュニティ〉と自己変容に関する発表を行ったことをきっかけに、臨床哲学でのこれまでのさまざまな試みが一筋の線でつながり、哲学者の営みを再考する重要な一歩を踏み出すことができた。組織や制度としての哲学の片棒を担ぐのではなく、哲学者であること、それが大学という時空間でどのように可能なのか、考え続けたい。

●研究の視点(『待兼山論叢 哲学篇』2011より)
「 人々は哲学のなかに「深さ」の夢をみる。逆さにすれば、その夢は「高さ」への欲望にもみえてくる。しかし、そのような垂直に向かう知は、支配や統制をも意志するだろう。水平方向に働く思考は異なるものを並列に配置し、それらを俯瞰することなく、ただ隣から隣へと移動する。この連接し移動する知を対話あるいは臨床と言い換えても差し支えない。深さも高さも忘れ去ること、それが哲学への別の入口ではないだろうか。」


【2013年度 担当授業】
外国語文献講読演習
臨床哲学セミナー(哲学的対話を楽しむ)
臨床哲学概論(大北全俊)
ともに探求する(対話技法論)
サウンド・オブ・ミュージック(久保田徹)
イメージの作法:基礎編(久保田徹)
思考活動とメディア(久保田徹)
放送のプロフェッショナルと社会を考える (久保田徹)
臨床哲学ネットワーキング(中岡成文、浜渦辰二)
倫理学の研究方法 (中岡成文、浜渦辰二)
身体コミュニケーション(池田光穂、宮本友介、西川勝)
未来共生の哲学と諸課題(高橋綾、今井貴代子、平沢安政)
メディア技法と表現リテラシー(平田オリザ、久保田徹、合山林太郎、平井啓、小林傳司)


【2012年度 担当授業】
サウンド・オブ・ミュージック(CSCD)
メディア技法と表現リテラシー(CSCD) 
思考の活動とメディア
身体コミュニケーション(CSCD)
哲学的コミュニケーションの探求と実践
倫理学の研究方法
フランス語関連文献講読演習
臨床哲学ネットワーキング
臨床哲学論文作成演習
哲学的対話を楽しむ(全学教育推進機構)

【2011年度前期 文学部授業】
- 倫理学・臨床哲学演習:メルロ=ポンティの感覚論 月曜3限
- 臨床哲学・対話技法論演習:哲学的コミュニケーションの探求と実践(1) 隔週月曜4〜5限
- 臨床哲学演習:思考の活動とメディア(6)映像で思考する 金曜3限
- 臨床哲学演習:臨床哲学研究D 金曜5限
- 倫理学演習:倫理学の研究方法C 水曜5限
- 倫理学・臨床哲学演習:臨床哲学ネットワーキング 金曜6限

【近年の主な業績】


● 論文
(共著)

  • (松川絵里と共著)「哲学という名のプラットフォームーーラボカフェ/中之島哲学コレージュ」大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(編)『Communication-Design』3, 大阪大学コミュニケーションデザイン・センター, pp.122-137, 2010/3
  • (久保田テツ、清水良介と共著)「A Design Orangeーーデザイン仕掛けのオレンジ」大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(編)『Communication-Design』3, 大阪大学コミュニケーションデザイン・センター, pp.290-303, 2010/3
  • (久保田テツと共著)「記録するとは別の仕方で」「A Design Orangeーーデザイン仕掛けのオレンジ」大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(編)『Communication-Design』2, 大阪大学コミュニケーションデザイン・センター, pp.130-150, 2009/3



(単著)
  • 「何が思考を呼び求めるのかーーこどもと哲学のあいだ」大阪大学大学院文学研究科哲学講座(編)『メタフィィカ』40, 大阪大学大学院文学研究科哲学講座, pp.1-12, 2009/12


● 著書
(共著)

  • 『岩波哲学講座 行為/モラルの哲学』6, 岩波書店, pp.91-18, 2008/11



● 翻訳
(監訳)
  • 『フロイト全集』第16巻, 岩波書店, 2010/2


【近年の科学研究費補助金の獲得状況】

  • 2013年度〜2015年度、基盤研究(C)、研究課題番号25350931
    「対話による〈探究のコミュニティ〉形成を通した場のセーフティに関する研究」
  • 2008年度〜2010年度、若手研究(A)、代表者:本間直樹 課題番号:20682001、総額:6630千円
    「哲学対話における反省的・協働的思考:学年と専門を横断する対話学習プログラム研究」
  • 2005年度〜2007年度、若手研究(A)、代表者:本間直樹 課題番号:17682001、総額:10660千円
    「「子どもの哲学」創成にむけた基礎的・実践的研究 」