第1章 白人研究に向かって
―イントロダクション―

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要約

今、世界は多文化主義に移行したと言える。そんななかで、なぜ今更白人という人種を研究する必要があるのか?また、白人性とは何なのか?これらのことをまず考えてみたい。

アメリカ合衆国では、公民権運動を契機にヨーロッパ系移民のエスニック・アイデンティティ意識は急速に高まった。しかし、1990年代に入ると逆にエスニシティの空洞化と白人化が再び起こりつつあるように見うけられる。そのような状況を背景とし、アメリカでは白人研究が急速に拡大している。それには次のような理由が考えられる。これまで人種関係の改善やマイノリティの地位改善のために黒人、エスニック・グループなどを対象にした研究が数多く行われてきた。しかしながら、これらの人種問題に関わるもう一方の当事者である白人に対する研究はほとんど行われてこなかったのである。それは白人というのが普遍的な人間存在の象徴として、正常なものまたすべての人間の規準となるものとして存在してきたからである。マイノリティ集団について知ることはもちろん大切であるが、同時に差別を生み、差異化の根元となっている集団、すなわち白人について理解することも人種問題を考えていく上で必要不可欠なのである。

では、白人とはいったい何なのであろうか?人種は身体的特徴に基づく人類グループであると言われる。しかし、実際の様々な事例からみてわかるように白人は客観的根拠で分類されたものではなく、地域や時代によって大きく変化するものなのである。白人や白人の理解の仕方には様々あるが、ここでは白人という存在を歴史的・社会的存在としてとらえることを前提とする。そうすることで、現在あるさまざまな民族や国民などに関する研究と同じ土台で白人をとらえることができる。また、そうした白人性の分析は多様な見方を尊重し、見えない構造的な差異の形成と権力支配に対抗するという意義がある。

用語解説

感想

最初のイントロダクションで自分につっこみを入れている部分がおもしろかったです。白人を対象にした研究は斬新だとおもいました。メールでのレポートはコ ンピュウターの苦手なぼくにはたいへんです。

コメント メールによるレポートご苦労様でした。つっこみは自分の本だから入れられたので、ふつうの本には無理です。


白人とはなにか?の授業を受けて人種について新しいことや見方を知れたのでよかったと思う。白人は全てのものの基準になっている。だから今まで研究の対象にはなりえなかった。というのを聞いて、今まで気づかなかったけど確かにそうだとよく納得できた。また、白人=白人の身体というわけではなく、白人とは白人の特性をもったひとのことを指すのだというのにもこういう見方もあるのだなと驚いた。

コメント 励ましの言葉ありがとう。


黒人の差別や日本での在日朝鮮人などの問題はこれまで何回かは聞いたことがあったが、その差別を行っている白人や日本人の問題に対して考えることはほとんどなかった。考えたことがなかったので、白人性について講義を受けるのが新鮮な感じがしておもしろいです。確かに、差別されている人々を考えることと、差別する側の人々を考えることは同じくらい大切だと思う。これからは、今まであまり考えてこなかった白人性について講義を受けて考えていきたいと思います。

コメント 理系のひとでも教養としてこういう問題は考えておくことは大切ですね。


「人種色盲」について、初めは「差別がなくすべての人種が平等」というとても良い印象を持ったのですが、授業で説明を聞いて逆に怖い考えかただと思いました。例えば明らかに黒人が苦しい生活を強いられていようが、あくまでも個人個人の問題であって「黒人」という枠組みで見ることを悪とする原理であるからです。この原理では確かに黒人差別は生まれませんが、実際現状は変わらないわけで。

コメント 人種色盲の問題は難しい問題です。これからの検討課題でしょう。


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