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ご挨拶

文学研究科・文学部へようこそ

文学研究科長・文学部長 福永 伸哉

Fukunaga_2018

 戦後間もない1948年に創設された大阪大学文学研究科・文学部は、2018年に満70周年を迎えました。哲学、史学、文学という伝統的な学問分野から出発した文学研究科・文学部は、1973年に美学科、1986年には日本学科というユニークな学科を創設し、1998~1999年の大学院重点化を経て、2007年の大阪外国語大学との統合に際しては、現代的な課題にも対応する分野横断的な文化動態論専攻を設置するなど、着実に発展して今日に至っています。

 文学研究科・文学部は、人間の思想、文化、芸術の営みや、その積み重なりとしての歴史を研究対象とする「人文学」を学び、研究する場です。そこでの学修は、なによりもまず人間の営為について多面的に観察・検討し、自身で設定した問いへの解答を模索するものとなるはずです。

 人文学の魅力は、いま生きている人だけでなく、言語、著作、史料、作品、出土品などを通じて、それらを生み出したり残したりした人たちと時間や空間を超えた対話ができることにあると私は考えます。私の専門の考古学でいえば、弥生時代の住居址を発掘したとき、そこに残された土器や石器から名も知らぬ二千年前の人々と直接触れ合うことができるのです。そうした対話は、みなさんが人生をどう生きていくか、この世界をどのように未来に引き継いでいくかを考えるヒントにもなるでしょう。

 このHPを辿っていただいたらわかるように、本研究科・学部では人文学の多彩な領域に対応すべく、大学院では23の専門分野と4つのコース、学部では20の専修を置いて、文字通り古今東西の人間文化の教育・研究を行っています。英・独・仏などの主要言語はもとより、古語、漢文、ラテン語、サンスクリット語など日本、東洋、西洋の古い時代の思想・文化に迫るための言語能力・探究能力の育成から、現代の医療現場や劇場運営への学究的参画、遺跡の調査研究を活かした街づくりへの協働に至るまで、カバーする領域は実に広大です。この多岐にわたる知性の海の中を、みなさんは存分に泳ぎ回って成長することになります。

 大阪大学では全学的に明確な目標・方針を持って各課程の教育に取り組んでいます。大学院課程では、専門分野に関する最先端の高度な知識・技能、教養、国際性を持つとともに、課題を見いだして自ら解決の道筋を構想できるデザイン力を備えた人材を育成することであり、学部課程でも、専修分野に関する知識・技能、教養、国際性、デザイン力の獲得を重視しています。

 本研究科・学部では、そうした方針の下に「専門知」「統合知」「共創知」のバランスに留意した教育を行っています。国際性を育てる点では、国際的視野で日本研究について学ぶ高度副プログラム「グローバル・ジャパン・スタディース」を今年度から本格的に立ち上げるほか、エラスムス・ムンドゥス・マスタープログラムやISAPプログラム、交流協定締結大学への交換留学など、さまざまな教育の機会を設けています。

 人類が二足歩行を始め、類人猿から分岐して約700万年がたちました。環境変動、自然災害、民族紛争、グローバリズムと地域格差など、多くの課題を抱え複雑になる一方の人類社会を私たちはこれからいかにして持続できるのでしょうか。2015年に国連が打ち出した持続可能な開発目標(SDGs)の169のターゲットのなかには、「文化」という語が6回登場します。私は、人間の営為を研究対象とする「人文学」には、文化の研究を通じて持続可能な人類の未来を提示すべき役割と意義があると確信します。その専門的な入口が文学研究科・文学部には用意されています。

 かつての近世大坂で、自由と独立を重んじ、町人武士の区別なく学べた学問所である「懐徳堂」。その学的営みを精神的な源流とする本研究科・学部は、教員も学生もフランクな議論を戦わせながら人文学研究を開拓していく気風に満ちています。日本の人文学を支える主要大学の一つとして今後もたゆまず前進していく大阪大学で、ともに学ぶみなさんと出会えることを心から期待しています。