中国・日本を含む東アジア・海域アジア、中央ユーラシア(北アジア・中央アジア)世界の歴史を扱います。特に、中国古代~中世(南北朝~隋唐)の宗教史・対外関係史、近世~近代(元・明・清・民国)の政治史・社会経済史・法制史、6~14世紀のトルコ・モンゴル諸民族史、ベトナムを中心とする東南アジアの近世・近代史を主な領域として、文字通り世界レベルでの競争に伍すべく研究を重ねています。諸言語文献資料の厳密な読解に立脚しつつ、フィールドワークの成果を重視するのも本専修の特徴です。
学部2年次には、領域を限定せず、広くアジアや歴史全般への眼を開くとともに、前近代のユーラシア東方地域の研究に欠かせない漢文史料の読解の基礎訓練を行います。3年次からは重点的に学習する分野・テーマを絞り、関係する分野の史料(漢文・トルコ語・モンゴル語など)や外国語研究文献(主に英語)を講読する演習を通じて専門性を深め、4年次に提出する卒業論文へと結びつけます。また、研究室全構成員が分野を横断して議論する合同演習での研究報告作業を通じて、幅広い視野に基づく論理的思考やコミュニケーション能力など、学問の場を越えて通用する能力を身に付けることも目指されています。本当の学問は苦労も多いが実に楽しい、ということを体感してもらえるよう、熱心に指導します。
教員紹介
教授 堤 一昭 教授 松井 太 教授 田口 宏二朗 准教授 河上 麻由子 准教授 多賀良寛
教授 堤 一昭
つつみ かずあき モンゴル時代中国史 モンゴル時代(13~14世紀)中国史、中国石刻資料、世界史教育、東洋学史。 |
- メッセージ
- 約700年前の “ 昔 ” を研究していますが、それが “ 今 ” にどうつながるかも気になっています。歴史の勉強には現代世界・社会への関心と、複数の価値観につき合う思考の柔軟性が必要だと、強く感じるようになりました。さらに、現代を理解して将来を展望するために不可欠な、過去についての深い知識をどう伝えていけばいいのか、世界史の教育はどうあるべきか、ということも考えています。阪大図書館の東洋学コレクション「石濵文庫」の調査研究も手がけています。
2022年 9月更新
教授 松井 太
まつい だい 中央アジア史/モンゴル時代史 モンゴル時代前後の中央アジアの社会経済史・税役制度、古代トルコ語・モンゴル語文書の歴史文献学的研究。 |
- メッセージ
- 中央アジア地域で発見・発掘された古代トルコ語・モンゴル語の文書史料を利用して当該地域の歴史を研究しています。一つ一つの古文書は、長い・広い歴史のごく限られた一部を切り取ったものでしかありませんが、編纂記録にはみえないような個人・社会の実像をうかがうことができます。それらの微細な発見を大きな歴史の流れに位置づけていくためには、幅広い知識と、柔軟で多面的な構想力が必要です。「しんどい」分野ですが、学生の皆さんが挑戦してくれることを期待しています。
2020年 8月更新
教授 田口 宏二朗
たぐち こうじろう 中国史・経済史 明清期中国の社会経済史・財政史・河北地域史、民国期南京の都市不動産。 |
- メッセージ
- 我々は複数の時間の流れの中を生きています。10の何乗年以上ものスパンが意味を持つような超長期のものから、コンマ秒の価格変動が利潤を生ずるような時間まで、われわれの生活を律しているのです。これらいくつかの時間体系を越境し、それぞれの中に自らを位置づけ、世界のなりたちをぎりぎりまで考えることを楽しむ。目の前のオブリゲーションを淡々とこなし、熱く天下国家を語り、役にも立たない思考実験を反復する。その楽しさを皆さんとぜひ共有したいと思います。
2020年 8月更新
准教授 河上 麻由子
かわかみ まゆこ 東アジア史/ジェンダー史 5 ~10世紀の東アジアで仏教が果たした政治的役割を、国内政治と諸国間関係という視点から研究しています。 |
- メッセージ
- 歴史学の醍醐味は、史料を丹念に読み込むことです。一つの史料を読み込むためには、関連する数十の史料を読み、繰り返し辞書を引き、先行研究を参照し、分析に役立ちそうな文物があれば、それについても情報を収集します。とても地味で孤独な作業です。ただしその結果として、当時の人々が如何にして生きたかが見えてきた時の楽しさは、たとえようもないほどです。大学の歴史学では、さらにその史料解釈を、世界史の時間軸に位置づけます。そんな研究の醍醐味を、みなさんと楽しめる日を楽しみにしています。
2023年 7月更新
准教授 多賀 良寛
たが よしひろ 東南アジア史 ベトナム近世・近代史 |
- メッセージ
- 私は東南アジア史の中でも、19世紀を中心とするベトナムの歴史について研究しています。アジアにとって19世紀は、未曾有のグローバル化と欧米列強による植民地支配の拡大によって、まさしく激動の世紀となりました。フランスによる植民地化が進むこの時期のベトナムは、一般に混乱・衰退の時代とみなされがちです。しかし漢文やフランス語で記された当時の史料を読むと、そうしたイメージにとどまらない、ダイナミックな人々の姿が見えてきます。世界史の転換点を生きた人々の声に、みなさんも耳を傾けてみませんか?
2024年 4月更新