東洋史学

toyoshi_2013.jpg 中国のみならず、その北方~西方の中央ユーラシア東部と、東方~南方の海域アジアの3領域の歴史を同時に扱う、全国唯一の専修です。特に近年、中国史では近世~現代の社会・経済・法制や民衆運動史に関して、また中央ユーラシア東部史では隋唐からモンゴル帝国までの時期について、海域アジア史では、ベトナムと東・東南アジア海域世界の中・近世史などについて、世界レベルの研究が積み重ねられています。文献史料からの考察と同時に、現地調査を重視するのも、本専修の特徴の一つです。アジアを正当に位置づけた世界史教育の実現など、歴史教育刷新の先頭にも立っています。

2年生の時には専門を固定することなく、広くアジアや歴史全般への眼を開くとともに、史料読解の基礎訓練をします。3年生から、重点的に学習する分野・テーマを絞り込んで行きます。3領域のいずれも、漢文史料の読解が不可欠です。1年生の期間にも第2外国語の学習と同時に、古典漢語の能力の維持・向上に努めることが求められます。本当の学問は実に楽しい、ということを体感してもらえるよう、熱心に指導します。

教員紹介

教授 堤 一昭 教授 松井 太 教授 田口 宏二朗 准教授 河上 麻由子

教授 堤 一昭

p_tsutsumikazuつつみ かずあき
モンゴル時代中国史
モンゴル時代(13~14世紀)中国史、中国石刻資料、世界史教育、東洋学史。
メッセージ
約700年前の “ 昔 ” を研究していますが、それが “ 今 ” にどうつながるかも気になっています。歴史の勉強には現代世界・社会への関心と、複数の価値観につき合う思考の柔軟性が必要だと、強く感じるようになりました。さらに、現代を理解して将来を展望するために不可欠な、過去についての深い知識をどう伝えていけばいいのか、世界史の教育はどうあるべきか、ということも考えています。阪大図書館の東洋学コレクション「石濵文庫」の調査研究も手がけています。

2022年 9月更新

教授 松井 太

p_matsuiまつい だい
中央アジア史/モンゴル時代史
モンゴル時代前後の中央アジアの社会経済史・税役制度、古代トルコ語・モンゴル語文書の歴史文献学的研究。
メッセージ
中央アジア地域で発見・発掘された古代トルコ語・モンゴル語の文書史料を利用して当該地域の歴史を研究しています。一つ一つの古文書は、長い・広い歴史のごく限られた一部を切り取ったものでしかありませんが、編纂記録にはみえないような個人・社会の実像をうかがうことができます。それらの微細な発見を大きな歴史の流れに位置づけていくためには、幅広い知識と、柔軟で多面的な構想力が必要です。「しんどい」分野ですが、学生の皆さんが挑戦してくれることを期待しています。

2020年 8月更新

教授 田口 宏二朗

p_taguchiたぐち こうじろう
中国史・経済史
明清期中国の社会経済史・財政史・河北地域史、民国期南京の都市不動産。
メッセージ
我々は複数の時間の流れの中を生きています。10の何乗年以上ものスパンが意味を持つような超長期のものから、コンマ秒の価格変動が利潤を生ずるような時間まで、われわれの生活を律しているのです。これらいくつかの時間体系を越境し、それぞれの中に自らを位置づけ、世界のなりたちをぎりぎりまで考えることを楽しむ。目の前のオブリゲーションを淡々とこなし、熱く天下国家を語り、役にも立たない思考実験を反復する。その楽しさを皆さんとぜひ共有したいと思います。

2020年 8月更新

准教授 河上 麻由子

p_kawakami2021.jpgかわかみ まゆこ
東アジア史/ジェンダー史
5 ~10世紀の東アジアで仏教が果たした政治的役割を、国内政治と諸国間関係という視点から研究しています。
メッセージ
歴史学の醍醐味は、史料を丹念に読み込むことです。一つの史料を読み込むためには、関連する数十の史料を読み、繰り返し辞書を引き、先行研究を参照し、分析に役立ちそうな文物があれば、それについても情報を収集します。とても地味で孤独な作業です。ただしその結果として、当時の人々が如何にして生きたかが見えてきた時の楽しさは、たとえようもないほどです。大学の歴史学では、さらにその史料解釈を、世界史の時間軸に位置づけます。そんな研究の醍醐味を、みなさんと楽しめる日を楽しみにしています。

2023年 7月更新

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