中国文学は大阪大学文学部の中でも比較的若い専修で、文学のみならず古典時代の政治や経済・歴史・言語・哲学・芸術など、人間に関わるさまざまな問題をめぐって教育・研究が行われています。中国学の伝統に立脚しながらも、新たな風を吹き込もうとする若々しい活気に満ちています。
中国の文学者たちは古くから人間のさまざまな活動に興味を示してきました。本専修では、もちろん文学を中心に教育・研究が行われていますが、その志は高く、中国の文学者が興味を持ったすべてのものに等しく興味を持とうとしています。それは他でもなく、彼らが言葉で表現したすべてを、なるべく元のニュアンスで読み解こうとしているからです。言葉の分析を通して、人間という存在が生み出すさまざまな問題について考えてみましょう。そして、自由に発言し、討論してみましょう。授業においては中国の文献を読むうえでの基礎的訓練が行われますが、テキストの前では年齢や立場の違いはありません。本専修の若さはそういう面で発揮されています。
教員紹介
教授 浅見 洋二
あさみ ようじ 六朝・唐・宋を中心とする古典中国の詩学 六朝・唐・宋の詩と詩論(詩文集の編纂・注釈史、『文選』詩篇、蘇軾・黄庭堅等の宋代文人研究など)。 |
- メッセージ
- 中国文学の研究に取り組もうとする者は、当然のことながら中国の言葉や社会・文化に対して深い愛着を持たなければならないでしょう。しかし、それだけでいいのでしょうか。中国あるいは中国文学という枠組みにとらわれない、人文諸学全般にわたる柔軟で幅広い関心を備えていただきたい、さまざまな分野の先鋭な書物との対話を通して自分独自の問題を構築できるような言葉の力を育んでいただきたい、と願っています。
2020年 8月更新
准教授 林 暁光
りん ぎょうこう 漢魏六朝文学/中国中世文化史/日中古代文学交流 前2世紀~6世紀の中国文学のテキストの生成と変貌、および中世貴族文学の研究。 |
- メッセージ
- 千数百年前の文学なんて、あまりにも遠く、現代人とは無関係だと思いませんか。しかし、「令和」という年号が『万葉集』や『文選』といった書物に由来するように、古い文学も時を超えて我々の人生に甦り、身近なものとなりうるのです。一個の短い人生にも、実は数千年にもわたる文明史が凝縮されています。昔の文学はどのような社会環境から生じて、どのような形で伝えられてきたでしょうか。それを吟味し、考察することは、我々自身を知るためにも有意義でしょう。
2021年 6月更新