哲学・思想文化学

講義室でのゼミの様子 哲学は諸学の基礎の基礎に位置する学問です。例えば、何かが「存在する」とはどういうことか。「意味する」とはどういうことか。意見が違うのに、違うということだけは一緒に確認できてしまうのはなぜか。根拠付けができたためしがないのに、なぜ現実は崩壊せず歴史は終わらないのか。そして、こんなことを問うているのは、心なのか脳なのか何なのか。哲学はこうした問題に取り組んできました。あまりに基礎的なので、現在でもこれに代わる分野は他にありません。

私たちの専修では、西洋の近世から現代までの哲学思想の研究を行っています。教員は全員古典と現代哲学思想の両方に通じ、専門領域をあわせるとドイツ系、フランス系、英米系のすべてをカバーしています。私たちは「なぜ」という疑問をとことん考えるための手ほどきと時間を提供し、助けます。

教員紹介

教授 舟場 保之  教授 望月 太郎  教授 中村 征樹(兼)
准教授 小門 穂  准教授 嘉目 道人  講師 三木 那由他

教授 舟場 保之

p_funabaふなば やすゆき
ドイツの近代/現代哲学
18世紀ドイツの哲学者カントおよび現代ドイツの哲学者ハーバーマス+アーレント、バトラーなど
メッセージ
現在、普遍主義や原理原則主義の評判は芳しくありませんが、これらが一度たりとも、理念としてすら採用されたことのない共同体においては、いまなお重要な視点を提供しうることに間違いはありません。200年以上も前に生きていたカントの考えと、現代を生きるハーバーマスの考え、またこれらに加えてアーレントやバトラーの考えを参照しつつ、共同体の強固なおきてにいかに対抗できるか、その方途を探求してゆきたいと考えています。

2021年 7月更新

教授 望月 太郎

p_mochizuki2019.jpgもちづき たろう
哲学/科学技術社会論
1. ジオフィロソフィー、2. 腐敗論(不正論)
メッセージ
1. ある土地で、なんらかの促しによりインスパイアされて哲学的な思考を巡らす、あるいは哲学的な実践を行う人々がいて、その結果、それらの思想や営為が、その土地または国・地域に根づく。それはなぜ、どのようにしてなのか?
2. コラプション( 汚職・腐敗)や多様な不正(企業不正から研究不正まで)が世の中に蔓延しています。不正はなぜ起こるのか? コンプライアンスを呼びかけるだけでは防げない、組織と人間、社会の内側に巣喰う、この問題の根源に迫ります。

2023年 7月更新

教授 中村 征樹 (兼)

p_nakamura2018.jpgなかむら まさき
科学技術社会論/科学技術史/科学技術コミュニケーション
科学技術をめぐる倫理的・社会的問題についての研究。市民の科学技術との付き合い方に関する研究。
メッセージ
ネットで商品を購入すると、履歴に基づいて「おすすめ」の商品が表示される。そんな経験をしたことがある人も多いと思います。商品だけでなく様々な情報もまた、履歴とビッグデータをもとに提示されるようになっています。個人にカスタマイズされた情報は、利便性をもたらす一方で、社会に分断をもたらしうるものでもあります。科学技術の発展を私たちはどのように受け止めればいいのでしょうか。そのような問題を考えるにあたって、人文・社会科学の重要性は従来になく高まっています。一緒に考えてみませんか。

2023年 7月更新

准教授 小門 穂

p_kokado2023.jpgこかど みのり
科学技術社会論/生命倫理
医科学技術の倫理的・法的・社会的問題の研究。生殖医療をめぐる諸課題の研究。
メッセージ
科学技術の発展はわたしたちの社会にどのように受け入れられているのでしょうか。20世紀後半以降、発展し普及し続ける生殖補助医療の技術によって、子どもがほしいという願いを叶える人がいる一方で、身体の搾取や生殖の商業化、提供者を知ることのできない子どもの苦悩などさまざまな課題も生じています。新しい科学技術はわたしたちの生活や考え方にどのような影響を与えているのか、どのような解決方法が検討されているのか、またありえるのか、さまざまな角度から考えていきたいと思っています。

2023年 4月更新

准教授 嘉目 道人

p_yoshime2022よしめ みちひと
近現代ドイツ哲学/自我論・コミュニケーション論
超越論的語用論/討議倫理学、およびフィヒテの哲学
自我・非我、二人称性、コミュニケーション共同体の倫理

メッセージ
言語に媒介された文化の相対性・多様性は、誰しも認めるところですが、しかし言語文化が多様であるという事実と、互いを尊重し合うべきであるという規範との間には、ギャップがあります。そこを埋めるためには何が求められるのかについて、もっぱらアーペルの討議理論やフィヒテの自我・非我の哲学を手掛かりとして考えてきました。最近は、ブーバーをはじめとする二人称性の哲学や、事実性と当為の関係をめぐる論争史、言語行為や指標性に関する言語哲学的知見などにも関心が拡がっています。

2022年 9月更新

講師 三木 那由他

p_miki2020.jpgみき なゆた
分析哲学/ 言語哲学
言語やコミュニケーションについて、英語圏の哲学者たちの議論を参照しつつ研究しています。

メッセージ
ひょっとしたらあまりなじみがないかもしれませんが、実は20世紀初頭に分析哲学という流派が起こり、だんだんと英語圏の国々に広まって、いまではアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどで哲学が大いに盛んに研究されていたりします。言語、科学、真理、存在、知識、さらに最近では差別やジェンダー、クィアなど、いろいろなテーマが論じられています。分析哲学におけるそうした議論に関心を持たれたかたは、ぜひ一緒に勉強していきましょう。

2023年 7月更新

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