フランス文学は、中世の騎士道恋愛物語や寓意物語から、20世紀のプルースト、カミュ、デュラス、そして最近のモディアノ、ウエルベック、アニー・エルノーにいたるまで、世界の文学・思想の先端に位置して、大きな影響を与え続けてきました。また、世界中に広がる旧植民地のフランス語圏文学も、その独自で刺激的な表現や世界観により、脚光を浴びつつあります。当専修では、このようなフランス文学の魅力をさまざまな角度から研究し、同時にその現代的な意義について考えます。授業では、ルネサンスから現代までの小説、詩、演劇、映画、絵画批評、哲学思想など、多岐にわたるジャンルの作品を扱います。多くの演習授業ではフランス語原文の読解の訓練をくり返し、フランス人教員の授業では会話や作文の練習を行いますので、卒業までに高度なフランス語能力が身につきます。卒論では、好きな作品一点のフランス語原文と徹底的に格闘し、関心をもった主題について自分なりの解釈を提示します。また、年に数回はフランス人研究者や作家の講演会を開催するなど、日仏の学術・教育交流も活発に行っています。在学中に交換留学制度を利用して数ヵ月から一年間フランスの大学で学ぶことも可能です。知的好奇心をふんだんにもって、フランス語を少しずつ学んでゆけば、狭い研究室がいつしか広い世界へ通じています。
教員紹介
教授 山上 浩嗣 特任准教授 Eric Avocat 准教授 平光文乃
教授 山上 浩嗣
やまじょう ひろつぐ フランス文学・思想 パスカルとモンテーニュおよびその同時代の哲学・宗教思想の研究。 |
- メッセージ
- 大学に入って何気なく選択したフランス語に惹かれ、当時流行のフランス現代思想に興味をもったことから、思いがけず大学院に進学し、5年以上のパリ留学を経て、大学教員になりました。大学生のころ、こんな将来が待っているとは夢にも思いませんでした。今はフランス17世紀の思想家パスカルと、彼に多大な影響を与えたモンテーニュの思想について研究しています。古典を原文で読み解くことの楽しみと喜びを日々かみしめています。
2022年10月更新
特任准教授(常勤) Eric Avocat
エリック・アヴォカ 古代ギリシア=ラテン文学・文化/西洋演劇史 フランス革命期の政治的言説、19-21世紀文学におけるフランス革命のイメージ、悲劇史・悲劇思想史。 |
- メッセージ
- 文学、哲学、社会科学を学び、ギリシア=ラテン文学を専攻しました。リセ教員時代に、政治史と文芸史に関わる博士論文を書きました。学生のみなさんには、こうした折衷主義の精神を伝えたいと考えています。フランス語は多様性と討論の言語です。フランス語圏の文化も芸術表現(文学、歌謡、映画、漫画、音楽)も、多様性に富んでいますし、深淵にも駄弁にもなる討論が、フランス的な生活と思考を特徴づけています。フランス語を学び、このフランス精神を身につけましょう!
2020年 8月更新
准教授 平光 文乃
ひらみつ あやの フランス文学・文化/マルセル・プルースト マルセル・プルーストおよびその同時代の文学・文化研究。 |
- メッセージ
- 社会学で学部を卒業、一般企業に就職した後にプルーストに出会いました。よく晴れた夏の日、閉じた部屋の中に差し込む日の光から、夏の光景の総体を享受する。そんな一節に惹かれ、研究を始めた気がします。その作品を「部屋」というテーマで深く読み込む一方、同時代の文化的背景を紐解き、テクストを外に開いていく、という両方向のアプローチを心がけてきました。みなさんにもそうした作品との出会いがあるのではないでしょうか。みなさんと共に、新たな作品の一節に深く入り込み、また外へと開いていきたいと思います。
2023年7月更新