rinrigaku_2013.jpg 倫理学は、私たちが社会の中で他者とともに生き、ともに何かをすることについて考える哲学の一分野です。扱われるテーマも、いのちと心、自己と他者、教育・福祉の問題、正義と暴力、性とジェンダー、マイノリティなど多岐にわたります。

こうしたテーマに取り組むには、古今東西の哲学・倫理学の文献研究を基礎としながら、読む力・考える力を身につけること、また実際に社会で問題になっている事柄に向き合い、異分野の人たちと対話する力を養うことが大切です。

自分でじっくり考えると同時に、人々との対話の中で考えを発展させる。こうした倫理学専修の教育プログラムは、大学院での臨床哲学にも接続されています。大学院生や社会人とともに、対話法のプログラムや、より具体的な問題について、調査、ワークショップ、研究会、シンポジウム等を行っています。

教員紹介

教授 堀江剛 教授 ほんまなほ(兼) 准教授 小西真理子  准教授 西村高宏

教授 堀江 剛

p_horieほりえ つよし
臨床哲学/倫理学
近代西洋哲学(特にスピノザ)、社会システム理論、 対話の哲学(特にソクラティク・ダイアローグ)

メッセージ
近・現代の社会をどのように捉えていけばよいのかについて、システム理論のコミュニケーション概念を基軸に考え続けています。その中には「倫理」も含まれ ますが、人々が「関係し合うさまざまな形」という意味での、より幅広い社会の現象を問題にすることが大切だと考えます。また、最近は「組織」というものに興味 を持っていて、組織と哲学を結びつける臨床哲学の可能性を探ってみたいと思っています。

2020年 8月更新

教授 ほんまなほ (兼)

ほんま なほ
臨床哲学
哲学プラクティス、表現と対話の教育、交差性的、ジェンダー・セクシュアリティ研究、マイノリティ研究p_honma2023

メッセージ
この社会においては、複数の力関係が折り重なることで、語られる/語れない、知られる/知られない、考える/考えられない、できる/できない、という区別がつくられていきます。この大学という機関も、語られない、知られない、考えられない、できない、をうみだし、固定するような「反-対話」の側面をもっています。しかし、ベル・フックスやパトリシア・ヒル・コリンズがいうように、そういった力に「あらがう知恵」は、つねにわたしたちの手のなかにあり、対話を通して分かちあわれ、この大学で実行することもできるのです。

2025年 9月更新

准教授 小西真理子

p_konishi2023.jpgこにし まりこ
臨床哲学/倫理学
依存と嗜癖をめぐる現代の諸問題/ケアの倫理

メッセージ
日常を過ごすなかで、(他者や自己の)言葉にならない「苦しみ」や「想い」に出会うことがあると思います。倫理学・臨床哲学の営みは、それに一定の言葉を与え、「この苦しみ/想いは一体何なのか」「それはどのようなことを訴えているのか」「何が必要とされているのか」などに対する答えの一つを、これまでとは別の仕方で導く手助けをしてくれます。「言葉なき声」に耳を傾け、それをあえて学術的に言語化することでこそ見えてくるものについて考えていきたいです。

2023年 11月更新

准教授 西村高宏

p_nishimura2024.jpgにしむら たかひろ
臨床哲学
哲学的な対話実践の可能性に関する研究、哲学プラクティス
メッセージ
〈対話〉という営みをとおして、哲学的な知の社会接続の可能性を問い直すことが現在の主な研究テーマ。哲学以外の研究者や様々な職業従事者、アーティストなどと連携し、医療や教育、災害、アートなどのうちに潜む哲学的な諸問題や、その際に必要とされる哲学〈臨床〉の作法について、当事者、現場の方々の言葉遣いや思考、スピード感をもとに丁寧に読み解いていく活動を行なっています。最近は、災禍、戦禍に関わりなく、〈禍(わざわい)〉のただなかで立ち上がってくる人間の営みやことば、思考の具合について、フィールドワークを軸にした研究に取り組んでいます。

2024年 4月更新

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