美術史学専修では、絵画、彫刻、工芸はもとより、写真や映像、建築や庭園など、あらゆる「イメージ」を研究対象としています。作品の様式や意味についての研究、制作の背景や受容の歴史を考える研究など、その手法はさまざまです。ただし、特定の思想や先入観にひきずられることなく、あくまで作品の的確な観察に基づいた実証的研究をめざしています。
美術史学専修は、日本・東洋美術史と西洋美術史の二つの専門分野に分かれています。教授5名の専任スタッフが幅広い授業を開講しています。日本の大学では、最も充実した体制を持つ美術史研究室の一つです。
隣接の美学・文芸学、音楽学・演劇学専修、あるいは歴史や文学など他分野との連携や、海外の研究者との交流も積極的に行っています。近年はコンピュータによる画像解析、科学的調査などにも力を入れています。
西洋美術史研究室へ(準備中)
教員紹介
教授 藤岡 穣 教授 岡田 裕成 教授 桑木野 幸司 教授 門脇 むつみ 教授 池上裕子
教授 藤岡 穣
ふじおか ゆたか 東洋美術史/仏教美術史 彫刻を中心とした東アジアの仏教美術に関する研究。蛍光X線分析、AIによる画像解析などの新手法を駆使。 |
- メッセージ
- 運慶、快慶が活躍した鎌倉時代の仏像の研究に始まり、その後、時代は飛鳥時代まで遡り、地域は朝鮮半島から中国、東南アジアへと関心を広げて研究を行ってきました。近年は東アジアの金銅仏について、科学的な分析を踏まえ、技法、様式から制作地や時代を再検討する研究を進めており、さらに新たに人工知能による仏像の顔の画像分析にも取り組んでいます。美術史としての仏像研究は、仏像を通して人と信仰、そして芸術と技術の歴史を探ることを目的としています。
2020年 8月更新
教授 岡田 裕成
おかだ ひろしげ 西洋美術史 初期近代スペイン・ラテンアメリカ美術、植民地主義の下での図像文化の産出と受容、移動と変容。 |
- メッセージ
- 美術史というと、高尚な「名作」のみを論じる学問と思われがちですが、今は対象の領域も、扱う地域も大きく広がりつつあります。イメージに込められた多様なメッセージを読み解く知的な関心、その表現の質を見定めるすぐれた感覚、そして、作品が生みだされ受容された場に乗り込んでゆく行動力と、多様な力を求められる美術史の研究ですが、それだけにやりがいのあるものだと思います。どうでしょう、あなたもチャレンジしてみては?
2020年 8月更新
教授 桑木野 幸司
くわきの こうじ 西洋美術・建築・庭園史/ルネサンス思想・文学史 イタリアを中心とする初期近代西欧における、空間とイメージとテクストの創造的関係について。 |
- メッセージ
- もともと工学部の建築学科で学んでいたのですが、美しい建物や庭園を見ているうちに、なぜそのような造形が生まれてきたのか、その歴史的経緯に関心が移り、気がつけば文学部に。文・理の壁にこだわらず、空間や視覚芸術の問題を、思想史や文学、メディア論と結び付ける柔軟な視点で、研究を行ってきました。コンピューターやCGがなかった時代に生きた人々が、圧倒的な視覚的想像力を持っていたことに驚く毎日です。イメージを制するものが世界を制する!
2020年 8月更新
教授 門脇 むつみ
かどわき むつみ 日本美術史 近世の絵画を中心とする美術作品 |
- メッセージ
- 美術史学の楽しさは、魅力的な造形の芸術性を把握・分析すること、そして作品を生み出した社会の状況や特定の集団の思想などに作品を通じて向き合うことにあります。時代の空気や人々の思いがいかに視覚化され、そのために画家はどのような表現を用いているか。巨大画家集団である狩野派の組織と社交・伊藤若冲と禅宗との関係・奇妙な図柄の肖像画を取り巻く人間模様などを扱い、美術作品と人間・社会との関わりを考えています。
2023年 11月更新
教授 池上 裕子
いけがみ ひろこ 第二次世界大戦後の美術/比較美術史 戦後アメリカ美術、戦後日本美術/グローバル・モダニズム |
- メッセージ
- 一国一美術史という枠組みを超えて、複数の文化や政治が交差するところに生まれる作品や作家活動に興味があります。これまでは戦後アメリカ美術の覇権確立や、その国外での受容などについて研究してきました。現在では戦後日本や沖縄、日系アメリカンの作家についても「複数のモダニズム」という観点から研究を進めています。またギャラリストやキュレーターの活動なども重要な研究対象です。比較文化的な視点から作品を分析したり、資料を精査する体験を皆さんと共有していきたいと考えています。
2024年 4月更新