美学研究室は、美学思想をさまざまな芸術とのつながりから理解することを重視してきました。現在はさらに、美学という学問がいかに日常生活と関わりを持つのかにも関心を向けています。美学が積み重ねてきた議論は、分野を横断するアートを考察するうえで有効ですし、デザインの歴史について考える手がかりにもなります。今日ますます芸術を定義するのが難しいのは、周縁がたえず更新されて輪郭が定まらないからでしょう。ならば、芸術をその周縁から考えるのは一番有効な方法です。そして、既存の芸術ジャンルに制約されない美学こそが周縁分野に足を踏み入れることができます。
文芸学研究室は、芸術学の一分野として、文芸および文芸に関わる事象全般を研究対象としてきました。具体的には、文学作品・文学理論・思想・神話・伝承などが主たるものとなります。アリストテレス『詩学』に代表される文芸学の古典を学ぶことの重要性から講義や演習は古代ギリシア・ローマの文芸に関するものが中心となっていますが、文芸学研究室に所属する学生は、どの地域・時代・言語のものであっても卒業論文での研究対象に選ぶことができます。卒業論文では基本的に、ある作品やある作家の思想など、個別のものを扱うことになりますが、それを通じて、文芸という事象全般への洞察も深めます。
教員紹介
教授 高安 啓介 教授 渡辺 浩司 教授 田中 均 准教授 東 志保 准教授 西井 奨
教授 高安 啓介
![]() 美学/デザイン史/デザイン論 近代工芸論、近代デザインの歴史、デザイン美学、農と食のデザイン、視覚伝達理論、現代デザイン論 |
- メッセージ
- 今日ますます芸術を定義するのが難しいのは、周縁がたえず更新されて輪郭が定まらないためでしょう。 それならば、芸術をその周縁から考えるのは有効な方法であるはずです。 そして、既存の芸術ジャンルに制約されない美学こそ、周縁にある感覚世界に足を踏み入れることができます。 美学研究室においてデザイン研究がおこなわれる理由もそこにあります。 陶芸・衣服・家具・展示・建築・景観・印刷・映像など、芸術かどうか際どいからこそ面白いのです。
2023年 7月更新
教授 渡辺 浩司
文芸学/西洋古典学 古代ギリシア・ローマの詩学と弁論術、および弁論術から美学への変容 |
- メッセージ
- 詩学と弁論術を研究しています。日本ではあまり聞いたことがない学問かもしれませんが、西洋においては古代ギリシア・ローマからの長い伝統を持っています。内容も、悲劇や喜劇、叙事詩についての考察や、修辞や文章構成法、記憶術、崇高論など多岐にわたっています。意外に面白いです。
2023年 1月更新
教授 田中 均
美学/芸術理論/西洋近代美学史 ドイツ・ロマン主義を中心とする芸術理論の歴史、芸術への「参加」の理論。 |
- メッセージ
- 「よく知っているつもりなのに、ひとに尋ねられるとうまく答えられない」
時間についてこう述べたのはアウグスティヌスですが、美学の主題である芸術や美にも同じことがあてはまります。 - 「芸術」とはモノなのかコトなのか、それとももっと抽象的な存在なのか。「美」とは美しいものの性質か、それとも美しいと思う心の状態なのか。フィクションだと知りながら物語に心動かされるのはなぜか。こうした美学の問題、みなさんはどう考えますか。
准教授 東 志保
![]() 映画・映像研究/比較文化論 フランスを中心とした記録映画の研究/映画と都市、映画と旅の関係。 |
- メッセージ
- 高校生の頃に映画の魅力に取り憑かれ、その後フランスをフィールドに映画を研究するようになりました。今でも映画館に行くと、安心するような、ワクワクするような、不思議な感覚にとらわれます。映画を楽しむことは、映画の歴史を学んだり映像を分析することとは相容れないように思うかもしれません。しかし、映画を見る喜びから、世界への探究心も生まれるのです。スクリーンの中と外を繋ぐような授業をできればと思っています。
2021年 6月更新
准教授 西井 奨
文芸学/神話学/西洋古典学/ラテン文学 ラテン文学作品におけるギリシア・ローマ神話の表象。古代ローマの歴史叙述・伝記叙述における文芸性の研究。 |
- メッセージ
- ラテン語とギリシア語に魅了され、そして古代ギリシア・ローマの神話と文学(西洋古典)に魅了され続けて今日まで至っています。もちろん文芸学研究室ではどの言語・地域・時代の作品や神話・伝承であっても研究対象に選ぶことができるので、西洋古典以外を対象とする研究の指導もしています。文芸学研究室の各学生の関心の在り処を的確に把握し、学生の研究発表や論文作成がより良いものになるにはどうすればよいかと考え指導していくことには、新しく学ぶことが多くあり、良い刺激を受けていると日々実感します。
2024年 4月更新