柏木隆雄 名誉教授 第57回大阪市市民表彰を受賞

柏木 隆雄 名誉教授が、第57回大阪市市民表彰を受賞されました。
受賞項目:「文化功労」(芸術・芸能・科学又は学術に関して尽力された方)

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かしわぎ たかお
1944年生まれ。大阪大学名誉教授、大手前大学名誉教授。
専門は19世紀フランス文学、とくにバルザック研究。日本近代文学にも造詣が深い。随筆の名手としても知られる。
『交差するまなざし 日本近代文学とフランス』(朝日出版社、2008年)、『こう読めば面白い! フランス流日本文学』(大阪大学出版会、2017年)、『心の中の松阪』(夕刊三重新聞社、2017年)、『バルザック詳説 『人間喜劇』解読のすすめ』(水声社、2020年)ほか多数の著書がある。また、バルザックの『従兄ポンス』(藤原書店、1999年)、『ソーの舞踏会』(ちくま文庫、2014年)、『暗黒事件』(ちくま文庫、2014年)ほか多くの翻訳も手がけている。

柏木名誉教授のコメント

 この度大阪市市民表彰の理由の一つに「大阪学講座」の確立・発展に尽くした、とあり、これは私が放送大学大阪学習センター所長の時に企画した特別講座を指すものと思われます。いささか事実誤認のところからの受賞かもしれませんが、おそらく阪大文学部長としてあって以来、一貫して協力してきた上方文化芸能協会の機関誌「やそしま」第15号、最終第16号に寄せた拙文を読まれた方が、大阪文化への寄与の証として推薦されたのでしょう。これまでの学術関係の受賞者には故信多純一先生を始め国文学の錚々たる方々が多く、フランス文学を専攻する人間が初めて表彰されるのも、それなりに意味あることと、ありがたく拝受した次第です。大阪市の近代化は、中之島の開発から始まりましたが、そのモデルがパリのシテ島のたたずまいで、市庁舎やノートルダム、裁判所その他が中州に建てられて発展していったのを、当時の大阪市の要路の人たちがモデルとした、という話もありますから、あながちフランス文学者も受賞しておかしくないわけです。

2022年12月
柏木隆雄