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日本語学

本専門分野では、現代日本語学、社会言語学、日本語教育学の各領域の研究を行っています。現代日本語学では、日本語の文法・語彙・音韻・表記等の記述的な研究、社会言語学では、日本語の多様性とそれに伴う言語問題の社会的な研究、日本語教育学では、日本語の習得・学習と教育に関わる心理的・社会的要因の質的な研究を、それぞれ目標とし、全体として、日本語および日本語社会の特質を解き明かそうと努めています。

いずれの領域においても、当初から日本人とともに外国人の大学院学生を研究室における当然の存在として導き入れてきました。留学生を含む学生たちが、日本語をめぐって熱心に討論している姿は研究室や教室でいつでも目にする光景ですが、このような対話を繰り返すうちに、いつのまにか対照言語学的な視点が芽生え、日本語を一つの個別言語として客観的に見ていこうとする姿勢が定着してきているようです。そういったグローバルな雰囲気のなかで日本語と日本語社会の特質を解き明かそうと努めていることが本専門分野の大きな特色の一つです。

教員紹介

教授 青木直子 教授 石井正彦 教授 田野村忠温教授 渋谷勝己

教授 Matthew Burdelski准教授 高木千恵准教授 三宅知宏

教授 青木直子

あおき なおこ
1954年生。1983年、上智大学外国語学研究科言語学専攻博士前期課程修了。PhD(Trinity College Dublin, 2003)。産能短期大学助教授、 静岡大学教育学部助教授、大阪大学助教授を経て、2004年4月より現職。
専攻:第二言語教育学
p_aoki
研究紹介
私の研究のトピックは、第二言語学習における学習者オートノミー、ナラティブ型の教師教育の方法論、在日外国人への日本語学習支援の3つです。初めはそれぞれ別々に始めたことですが、最近は区別するのが難しくなってきました。在日外国人への学習支援の場で学習者オートノミーを育てる実践のできる日本語ボランティアを養成するために「語り」はどのような意味をもつか、というような具合にです。
メッセージ
言語教育も教師教育も、対象となる人々を全人的に理解しようとするところから始めなくてはいけません。言語教育や教師教育に関する研究も同じです。人をいくつかの属性に還元しなくては成り立たない実証主義的研究はこうした目的には向きません。客観的・中立的でなくても、普遍的結論が出せなくても、将来の予測・統制ができなくても、だからこそいい研究というものもあります。
主要業績
『学習者オートノミー:日本語教育と外国語教育の未来のために』ひつじ書房 2011年(共同編集);Mapping the terrain of learner autonomy: Learning environments, learning communities and identities. Tampere: Tampere University Press. 2009年(共同編集);「教師オートノミー」春原憲一郎・横溝紳一郎編『日本語教師の成長と自己研修』(pp. 138-157)凡人社 2006年
概説・一般書
『日本語教育を学ぶ人のために』世界思想社 2001年(共同編集)

2016年 11月更新

教授 石井正彦

いしい まさひこ
1958年生。東北大学文学部卒、東北大学大学院文学研究科修了。博士(文学)(東北大学)。国立国語研究所研究員、同室長、大阪大学准教授を経て、2009年4月より現職。
専攻:現代日本語学
p_ishii
研究紹介
現代日本語の「言語使用」の研究を、コーパス言語学、計量言語学、批判的言語学、通時言語学などの立場から研究している。とくに、言語と非言語行動・パラ言語情報との関係を計量的に調査・分析するための「マルチメディア・コーパス」の開発、マス・メディアの言語使用におけるイデオロギー的側面(社会・文化的な意味)の研究、通時コーパスを用いた20世紀後半の日本語における言語変化の研究、探索的データ解析を用いた日本語研究法の開発などにとりくんでいる。
メッセージ
新聞で「沖縄の人々」はあっても「東京の人々」という言い方がほとんどないのはなぜか、歴史教科書で「たとえば」という単語が使われないのはなぜか、テレビ放送で「(私は)〜と思います」という発話が特定の立場の出演者に偏るのはなぜか。言語には、我々をとりまく社会の「ものの見方」がくみこまれており、言語を使うということは、知らず知らずのうちに、そうしたものの見方に従い、それを維持・強化することにもなる。無意識の言語使用に背後に潜む「イデオロギー」の暴露に意識的にとりくむことが必要だと思う。
主要業績
『マルチメディア・コーパス言語学』(大阪大学出版会2013、共著);「『新しい歴史教科書』の言語使用」(『阪大日本語研究』24号2012、単著);『探索的データ解析による日本語研究法の開発』(科研費報告書2007、単著);『現代日本語の複合語形成論』(ひつじ書房2007、単著);『語構成』(ひつじ書房1997、共編著);『テレビ放送の語彙調査Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』(大日本図書1995・97・99、共著)
概説・一般書
『これからの語彙論』(ひつじ書房2011、共編著);『コーパス日本語学ガイドブック』(科研費報告書2007、共著);『ケーススタディ日本語の表現』(おうふう2005、共著);『日本語研究法〔古代語編〕』(おうふう1998、共著);『展望 現代の日本語』(白帝社1996、共著);『ケーススタディ日本文法』(おうふう1987、共著)

2016年 11月更新

教授 田野村忠温

たのむら ただはる
1958年生。京都大学大学院文学研究科博士後期課程学修退学(言語学専攻)。文学修士(京都大学、1984)。奈良大学文学部講師、大阪外国語大学外国語学部講師、同助教授、同教授を経て、2007年10月より大阪大学大学院文学研究科教授。
専攻:言語学・日本語学
研究紹介
現代日本語を中心として、人間の言語の文法・語彙・意味・音韻などの諸現象に見出される規則性やその変化の様子を分析・考察しています。また、近年では、電子資料の利用によって日本語研究をいかに発展させられるかという課題や近代日中両語の語彙交流の問題にも関心を持って取り組んでいます。
メッセージ
言語の研究にはその対象と方法の両面に関して無限の可能性があり得ます。対象面でも方法面でも、興味の範囲を始めから限定するのではなく、自由な意識で多様な可能性に向き合おうとする学生を歓迎します。広く学び、よく考える過程で、今まで取り立てて考えることもしなかった言語の側面に興味が芽生えることも多いはずです。
主要業績

『現代日本語の文法Ⅰ―「のだ」の意味と用法―』(和泉書院、1990);「コピュラ再考」『複合辞研究の現在』(和泉書院、2006);「複合辞の本性について」『言葉と認知のメカニズム』(ひつじ書房、2008);「日本語のコロケーション」『これからのコロケーション研究』(ひつじ書房、2012);「BCCWJの資料的特性─コーパス理解の重要性─」『講座日本語コーパス6 コーパスと日本語学』(朝倉書店、2014);「『科学』の語史─漸次的・段階的変貌と普及の様相─」『大阪大学大学院文学研究科紀要』第56巻(2016);「近現代語『可能』の成立─日中両語間の双方向的影響─」『大阪大学大学院文学研究科紀要』第57巻(2017)

概説・一般書
『講座ITと日本語研究4 Rubyによるテキストデータ処理』(明治書院、2012);『コーパス日本語学ガイドブック』(服部匡・杉本武・石井正彦各氏との共著、特定領域研究「日本語コーパス」日本語学班、2007);R.グリシュマン著『計算言語学―コンピュータの自然言語理解―』(サイエンス社、山梨正明氏との共訳、1989)

2017年 8月更新

教授 渋谷勝己

しぶや かつみ
1959年生。東京外国語大学大学院外国語学研究科日本語学専攻修了、大阪大学大学院文学研究科日本学専攻中退。学術博士(大阪大学)。梅花女子大学講師、京都外国語大学助教授、大阪大学准教授等を経て、2009年4月より現職。
専攻:日本語学
p_shibuya
研究紹介
一口に日本語といっても、そのなかには方言があり、古典語があり、また最近では外国人の話す日本語も加えられてきました。これまでの日本語研究では、このうち書きことばと共通語だけが脚光を浴びてきましたが、規則があるという点ではほかの日本語も同じです。文法面を中心にして、このような多様な日本語のなかにはそれぞれどのような規則があるのか、また、それらの規則は世界のさまざまな言語とくらべたとき、どのような特徴をもっているのか、といった問題を解明するのが私の研究です。
メッセージ
言語学という研究分野は、混沌として見える言語事象の裏にある規則や規則性を探り出し、そのような規則を生み出すにいたった人間の言語能力を明らかにしつつ発展してきました。ふだんあたりまえのように使い、また耳にしていることばの後ろには、見事な規則や規則性が横たわっています。どのようなことばであれ、そのことばのなかに、これまで見出されていない規則や規則性を発見したとき、大きな充足感を味わうことができます。いろいろなことばをじっくりと見極めてみたいという方を歓迎します。
主要業績
「日本語可能表現の諸相と発展」(『大阪大学文学部紀要』第33巻第1分冊、1993、単著);「文末詞『ケ』―三つの体系における対照研究―」『近代語研究 第十集』(武蔵野書院1999、単著);「副詞エの意味」『国語語彙史の研究 十九』(和泉書院2000、単著);『シリーズ方言学3 方言文法』(岩波書店2006、共著);「記述文法から見る『方言文法全国地図』」(『日本語学』26-11、2007、単著);『シリーズ日本語史4 日本語史のインタフェース』(岩波書店2008、共著)。
概説・一般書
『社会言語学』(おうふう1992、共著);『地域性からみた日本』(新曜社1996、共著);『展望 現代の方言学』(白帝社1999、共著);『日本語学習者の文法習得』(大修館書店2001、共著);『旅するニホンゴ』(岩波書店2013、共著)。

2017年 9月更新

教授 Matthew Burdelski

マシュー・バーデルスキー
1967年生。2006年UCLA大学院東アジア言語文化科PhD修了。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校非常勤講師、スワスモア大学(米ペンシルバニア州)客員助教授・メロン財団ポストドックフェロー、同准教授を経て、2011年10月より現職。
専攻:日本語学

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研究紹介
日本語を第一言語、第二言語又は継承語として学習する幼児の言語社会化を研究しています。主に、家庭、保育園、公園などという場面における日常会話を観察し、ビデオ撮影を行い、相互作用を語用論的な視点から分析します。幼児を取り巻く様々な場面においてどのような発話行動が期待されているのか、また、親、兄弟、保育士などがどのような言語的・非言語的資源を使用し、幼児の適切な発話行動の習得を促進するのか、つまり言語を通した社会化のプロセスを調査しています。
メッセージ
日本語学専門の学生は日本語をより深く理解するために、言語と文化の相互関係も理解する必要があると思われます。「文化」というのは会話的相互作用で生み出される「言語的・非言語的資源」及び発話行為などという「社会的実践」であると考えられます。授業では、日本語話者がどのようにその言語的・非言語的資源及び社会的実践を習得するのか、またそれらを使用しどのようにアイデンティティーを構築するのか、というような問いを主にビデオデータの分析を通し一緒に考察してゆきたいと思います。
主要業績
「言語社会化の過程—親子3人の会話における謝罪表現を中心に—」(『阪大日本語研究』 25, 2014, 33-49)(単著); Socializing children to honorifics in Japanese: Identity and stance in interaction(単著). Multilingua, 32(2), 247-273; “I’m sorry, flower”:
Socializing apology, relationships and empathy in Japan. Pragmatics and Society, 4(1), 54-81 (単著); Formulaic language in language socialization. Annual Review of Applied Linguistics (Topics in Formulaic Language), 32, 173-188 (共著).
概説・一般書
Language socialization and politeness routines. In A. Duranti, E. Ochs
& B. B. Schieffelin (Eds.), The handbook of language socialization, pp.
275-295. Malden, MA: Wiley-Blackwell(単著).

2016年11月更新

准教授 高木千恵

たかぎ ちえ
1974年生まれ、大阪大学大学院文学研究科文化表現論専攻修了、博士(文学)。神戸松蔭女子学院大学非常勤講師、京都光華女子大学非常勤講師、関西大学専任講師、同准教授を経て、2010年10月より現職。
専攻:社会言語学・方言学
p_takagi2017
研究紹介
社会言語学を専門にしています。具体的には、異なる体系を持つ言語(方言)どうしの接触によって起こるダイナミックな言語変化に興味を持っています。これまでは、関西の若年層の話しことばに注目して、メディアによる標準語の影響を受けながらも独自性を保ち続ける地域語の姿を明らかにしてきました。地域社会に生きる人々が、標準語という絶対的権威をもつ言語変種と日常的に接触しながら自身のことばをどのように運用しているか、その実態を解明し、地域社会のことばの動向を追究したいと考えています。
メッセージ
社会言語学は、ことばと、それを操る人間とのかかわりに関心を寄せる学問分野です。ふだんの何気ないことばづかいには一見すると何の規則もないように思えますが、実はさまざまな要因が絡み合っており、それを解きほぐしていくところにおもしろさがあります。とらえどころのないように見える生きたことばたちと向き合いながら、ことばの使い手である人間を理解していくのが社会言語学です。みなさんが日常生活のなかで感じることばへの疑問の多くが、社会言語学のテーマになりうることと思います。
主要業績
『関西若年層の話しことばにみる言語変化の諸相』(『阪大日本語研究』別冊第2号、2006、単著);『最古の富山方言集―高岡新報掲載(1916~1917年)「越中の方言」(武内七郎)―』(桂書房2009、共編);「関西若年層の用いる同意要求の文末形式クナイについて」(『日本語の研究』5-4、2009、単著);「談話資料からみる日系カナダ人3世の会話スタイル」(渋谷勝己『日系人日本語変種の成立過程に関する言語生態論的研究』44-50、2013、単著)。
概説・一般書
「関西若年層の新しいことば」(『日本語学』28-14、2009、単著);「標準語との接触による地域語の変容」(『日本語学』29-14、2010、単著);「日系カナダ人の日本語」(『日本語学』29-6、2010、共著);「関西」(真田信治編著『方言学』、2011、単著);「日本語の攻防 言語接触:方言と標準語」(『日本語学』31-8、2012、単著);「ネオ方言:標準語と伝統方言のあいだ」(『日本語学』33-1、2014、単著)。

2017年 9月更新

准教授 三宅知宏

みやけ ともひろ
1965年生。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程退学。博士(文学)(大阪大学)。鶴見大学専任講師,同准教授,同教授を経て,2016年4月より現職。
専攻:日本語学・言語学
研究紹介
普遍的な一般言語研究を視野に入れつつ,個別言語としての日本語の具体的な言語現象について,分析を行っています。その際,日本語を母語としない人向けの日本語教育や,母語話者向けの国語科教育への応用可能性も念頭においた「観察」,「記述」を心掛け,一般言語研究における言語理論への展開をふまえた「説明」を目指しています。なお,対象とする言語現象,および依拠する言語理論に,制限は加えていません。興味を持てば,何でも対象にし,何でも方法にする,というスタイルです。
メッセージ
日本語と呼ばれる言語(諸方言も含む)は,どのような性格の言語なのか,他の言語とどのように違い,どのように同じなのか,そもそも人間の言語(日本語も含まれる)とはどのようなものか,というようなことに関心を持ち,その解明に挑んでみようとする人にとって,本学は最高の研究環境にあると断言できます。この研究環境を生かすかどうかは学ぶ人次第ですが,少なくとも本学には,この分野で研究者への歩みをはじめることを躊躇する理由は,ありません。
主要業績
『日本語研究のインターフェイス』(くろしお出版,2011); 「日本語の『補助動詞』と『文法化』・『構文』」『日英語の文法化と構文化』(ひつじ書房,2015); 「日本語の疑似条件文をめぐって」『日英対照・文法と語彙への統合的アプローチ―生成文法・認知言語学と日本語学』(開拓社,2016)。
概説・一般書
『日本語と他言語―【ことば】のしくみを探る―』(神奈川新聞社,2007)。

2017年 8月更新

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