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日本史学

本講座では、古代1・中世1・近世2・近代2(助教1)の計6名の教員を揃え、充実した研究・教育活動を行っています。近年の日本史研究の高度化にはめざましいものがありますが、私たちは演習での厳密な資史料の読解や論文の検討を通して、精緻な実証力や独創的な構想力の養成に努めています。

また、定期的に院生発表会を行って、時代や分野の枠にとらわれない幅広い視座やプレゼンテーション能力の育成に配慮しています。研究室では自主的な勉強会が盛んに行われ、学会活動も活発です。春と秋には研究室旅行があり、フィールドワークに汗を流し、夜のコンパでは大いに歓談し交流を深めています。研究室のこの厳しく和やかで開放的な雰囲気は、今後とも大切にしたいと考えています。

教員紹介

教授 飯塚 一幸 教授 川合 康 教授 市 大樹 

准教授 伴瀬 明美 准教授 野村 玄

教授 飯塚 一幸

いいづか かずゆき
1958年生。1988年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。文学修士(京都大学、1985年)。舞鶴工業高等専門学校専任講師、佐賀大学助教授、大阪大学准教授を経て、2010年1月より現職。
専攻:日本近代史
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研究紹介
近代化による地域社会の変容を様々な視点から検討することで、伝統と近代の問題を研究している。特に、地方政治の担い手であった地方名望家について、欧米起源の諸学を近代日本に導入する際に果した役割などにも着目しながら、多角的に分析している。また、近年は士族反乱や自由民権運動に関する研究にも手を広げている。
メッセージ
近年、近代史に限らず史料へのアクセスは飛躍的に改善され、史料の森への旅は格段に容易になりつつある。けれども、大量の史料からテーマを発見し問題をつかみ出すことは難しい。歴史学を学ぶ者としてのセンスを問われるのもそこだ。ならば、そうした力を身につけるにはどうすればよいか。私は社会への批判精神に富んだ関心を持ち続けることが肝要だと思う。率直に議論を闘わすことのできる集団も重要だろう。新しい発想で史料と格闘し、問題を徹底的に考え抜く気迫を持った若い世代が登場してほしい。我々も「昭和の老人」扱いされぬよう自戒しつつ、皆さんを待っている。
主要業績
『近代日本の軌跡3 日清・日露戦争』(共著、吉川弘文館、1994年);『田中秀央 近代西洋学の黎明――『憶い出の記』を中心に――』(共編著、京都大学学術出版会、2005年);「国会期成同盟第二回大会の再検討」(『九州史学』第143号、2005年);「京都府における国会開設運動の展開――私擬憲法案「大日本国憲法」の成立と沢辺正修――」(『史林』第92巻第2号、2009年);「国会期成同盟第二回大会と憲法問題」(『大阪大学大学院文学研究科紀要』第51巻、2011年);『原敬と政党政治の確立』(共著、千倉書房、2014年)
概説・一般書
『京都府の歴史』(共著、山川出版社、1999年);アエラムック『日本史がわかる。』(共著、朝日新聞社、2000年);『佐賀県議会史続二』(共著、佐賀県議会、2002年);『宮津市史 通史編下巻』(共著、宮津市、2004年);『新修彦根市史 通史編近代』(共著、彦根市、2009年);『講座明治維新5 立憲制と帝国への道』(共編著、有志舎、2012年);『平和研究入門』(共著、大阪大学出版会、2014年)

2018年 11月更新

教授 川合 康

かわい やすし
1958年生。1987年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位修得退学。文学博士(神戸大学、1994年)。樟蔭女子短期大学助教授、東京都立大学准教授、日本大学教授を経て、2012年4月より現職。
専攻:日本中世史
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研究紹介
日本中世の政治史、具体的には、平安時代末期から鎌倉時代にかけての政治史を中心に取り組んでいる。特に、日本の国家体制の在り方を大きく変えることになった鎌倉幕府権力の成立を、院政期武士社会の特質や治承・寿永内乱期の戦争の実態からとらえる研究を進めている。最近は、そのような研究の成果を踏まえて、平氏一門の必然的滅亡を説く『平家物語』の成立圏を歴史学的に考察する作業や、鎌倉街道の成立を幕府に結集した東国武士のネットワークからとらえる研究も行っている。
メッセージ
平安時代や鎌倉時代の歴史と聞くと、新発見の史料がそれほど出てくるわけでもなく、もう確定した事実ばかりで、あまり研究する余地はないと思われるかもしれない。しかし、現代的な関心に基づいて研究史を学び、史料を読み込んでいくと、新しい論理の発見や発想の転換がもたらされ、「常識」化していた従来の歴史像を書き換えることが可能となる。私の専門分野に限っても、日本史の教科書に記されているような周知の事実や事件をめぐって再検討が必要となっており、そのような歴史学の醍醐味をともに味わってほしい。
主要業績
『鎌倉幕府成立史の研究』(単著、校倉書房、2004年);『岩波講座日本歴史 第6巻 中世1』(共著、岩波書店、2013年);『中世の人物 京・鎌倉の時代編 第1巻』(共著、清文堂、2014年);『文化現象としての源平盛衰記』(共著、笠間書院、2015年);Routledge Handbook of Premodern Japanese History (共著、Routledge、2017年);『相模武士団』(共著、吉川弘文館、2017年)
概説・一般書
『源平合戦の虚像を剥ぐ』(単著、講談社、1996年、のち講談社学術文庫、2010年);『源平の内乱と公武政権』(単著、吉川弘文館、2009年);『平家物語を読む』(編著、吉川弘文館、2009年);『週刊 新発見!日本の歴史06 源頼朝と武家政権の模索』(責任編集、朝日新聞出版、2013年);『高校日本史B』(共著、実教出版、2014年);『赤間神宮叢書 平清盛と「鹿ケ谷事件」 』(単著、源平シンポジウム委員会、2017年)

2021年 7月更新

教授 市 大樹

いち ひろき
1971年生まれ。2000年、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位修得退学。文学博士(大阪大学、2001年)。奈良文化財研究所研究員、同主任研究員を経て、2009年4月より現職。日本学術振興会賞(2012年)、日本学士院学術奨励賞(2012年)、濱田青陵賞(2013年)、古代歴史文化賞大賞(2014年)。
専攻:日本古代史
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研究紹介
学問的にいくつかの理由もあるが、一番は旅行が好きだということもあって、学生・院生時代は古代交通史の諸問題に取り組んできた。その後、はじめて就職した奈良文化財研究所では、古代都城の発掘調査と木簡整理を日常業務とした。特に飛鳥・藤原地域出土の7世紀木簡の研究に力を注ぎ、阪大への異動の際に『飛鳥藤原木簡の研究』をまとめた。その後、東アジアのスケールで、日本古代の文字文化形成に関わる問題を考えている。阪大に戻ってからは、古代交通史研究にも本腰を入れ、学位取得から15年以上もたってしまったが、『日本古代都鄙間交通の研究』をようやく刊行することができた。大化改新や都城制などの問題にも取り組み始め、いくつかの論文を執筆している。文献史学の枠にとらわれず、考古学をはじめとする隣接分野の成果をいかに組み込むかが大きな課題である。
メッセージ
日本古代史の論文を執筆するためには、相対的に数の少ない史料を突き詰めて読み込み、膨大な研究史を吸収・理解した上で、独自の見解をださなければならない。じっくりと取り組む必要があることはいうまでもないが、あまり根を詰めすぎると、見えるものも見えなくなってしまう。まったく別のことをやっているとき、ふとわかる瞬間は誰にもあるに違いない。そのためには、適度な息抜き、心の余裕が必要である。自分の狭い専門の枠に閉じこもらず、旺盛な知的好奇心をもって、さまざまな分野の人たちと積極的に交流してほしい。
主要業績
『飛鳥藤原木簡の研究』(単著、塙書房、2010年);『日本古代都鄙間交通の研究』(単著、塙書房、2017年);「御食国志摩の荷札と大伴家持の作歌」(『萬葉集研究』第33集、2012年);「大化改新と改革の実像」(『岩波講座日本歴史2古代2』岩波書店、2014年) ;「黎明期の日本古代木簡」(『国立歴史民俗博物館研究報告』第194集、2015年);「門籍制に関する一考察」(『史聚』第50号、2017年)
概説・一般書
『飛鳥の木簡―古代史の新たな解明―』(単著、中央公論新社、2012年);『すべての道は平城京へ―古代国家の〈支配の道〉―』(単著、吉川弘文館、2011年);『古代地方木簡の世紀』(共著、サンライズ出版、2008年);『週間日本の歴史10 飛鳥・藤原京の理想と現実』(共著、朝日新聞社、2013年);『古代日本と古代朝鮮の文字文化交流』(共著、大修館書店、2014年);『日本古代交流史入門』(共著、勉誠出版、2017年)

2020年 4月更新

准教授 伴瀬 明美

ばんせ あけみ
 1967年生。1997年3月、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位修得退学。大阪大学博士(文学)。東京大学史料編纂所助教、同准教授を経て、2021年4月より現職。
専攻:日本中世史
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研究紹介
中世天皇家の存在形態とその形成過程の解明を主要なテーマとし、中世天皇家と貴族社会に関わる諸問題を、天皇家領の領有形態、後宮の歴史的変遷、皇子女の扶養形態、女房出仕と貴族の家、寺院社会と貴族社会の関係といった、様々な視点から研究している。最近は、皇后・王后など「后」位を共通して有する大陸・朝鮮半島・日本列島の諸王朝間における后位(関連儀礼)の比較史に関心を抱き、関連分野の研究者と共同研究を行っている。
メッセージ
大学院では、歴史研究の基礎となる史料の読解方法について徹底的に学びます。また、膨大な先行研究と格闘しながら自ら問題意識を見出し、それを研究史上に位置づけ、独自の研究テーマを設定していきます。「大変だなあ」と思うこともあるでしょう。しかし、日本史研究室には多くの先輩や仲間たちがいて、互いに教え/教えられ、議論しながら成長できる豊かな学びの場があります。わたしもみなさんと一緒に勉強するなかで、新たな視点を発見したり、思いがけない気づきを得る喜びを共にしたいと思っています。
主要業績

「院政期〜鎌倉期における女院領について」(『日本史研究』374、1993年)、「室町期の醍醐寺地蔵院」(『東京大学史料編纂所研究紀要』26、2016年)、「摂関期の立后儀式」(大津透編『摂関期の国家と社会』山川出版社、2016年)、「「新迎」「新迎え」について」『日本史研究』680、2019年)、「日本「皇后」的特質」(翻訳梁暁弈、中央研究院歴史語言研究所『古今論衡』、2019年)、東京大学史料編纂所編『大日本史料』第二編之三十一(編纂担当、2015年)、同編『大日本史料』第二編之三十二(編纂担当、2019年)

概説・一般書

共著『歴史のなかの皇女たち』(小学館、2002年)、「女房として出仕すること」(総合女性史学会・辻浩和・石月静恵編『女性労働の日本史』勉誠出版、2019年)、「三女威子と四女嬉子—それでも望月は輝き続ける」服藤早苗・高松百香編著『藤原道長を創った女たち 〈望月の世〉を読み直す』明石書店、2020年)


2021年 4月更新

准教授 野村 玄

のむら げん
1976年生まれ。2004年、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)(大阪大学)。大阪青山短期大学専任講師、防衛大学校講師、同准教授を経て、2016年4月より現職。
専攻:日本近世史
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研究紹介
日本の国家体制における天皇の地位・権能の意味について関心がある。織豊期や江戸時代の政治権力が実質的な政権運営を可能としながらも、天皇を完全に無視できずにいた理由は何かという素朴な疑問が出発点であった。実はこの疑問は、日本国憲法下における天皇が国政に関する権能を有しないとされながら、政治にあるインパクトを与え続けていることを見て生じたものでもあった。最近は、前後の時代の研究成果をも積極的に参照し、近世の天皇の歴史的特質をより浮かび上がらせ、近現代への展望を得たいと考えている。
メッセージ
これほど社会が混迷の度を増すと、少しでも先を見通して安心したい。それは誰しも同じだ。ところが、歴史家は過去に目を向ける。この大変な現代に、なぜ自分は敢えて過去を見つめ、なぜその研究テーマを選ぶのか。自分の研究行為の意味とは何か。なぜ自分は今後その研究対象と関わり続けるのか。これらがわからなくなってしまうと、研究行為は続けられなくなる。わからなくなったら、立ち止まってよい。いや、立ち止まるべきだ。学生時代はそれが可能だ。焦らず、自分の研究テーマ(なすべきこと)を見つけてほしい。
主要業績
野村玄『日本近世国家の確立と天皇』(清文堂、2006年)、野村玄『徳川家光―我等は固よりの将軍に候―』(ミネルヴァ書房、2013年)、野村玄『天下人の神格化と天皇』(思文閣出版、2015年)、野村玄「徳川家康と朝廷」(笠谷和比古編『徳川家康 その政治と文化・芸能』宮帯出版社、2016年)。
概説・一般書
野村玄「愚紳」(西尾市岩瀬文庫編『創立100周年記念特別展・岩瀬文庫の100点』西尾市岩瀬文庫、2008年)、野村玄「紫衣事件-後水尾天皇譲位の背景」(歴史科学協議会編/木村茂光・山田朗監修『天皇・天皇制をよむ』東京大学出版会、2008年)、野村玄「有栖川宮家」(『歴史読本』編集部編『消えた名家・名門の謎』新人物往来社、2012年)、野村玄「3代将軍家光から4代将軍家綱へ」「慶安事件」(『歴史読本』編集部編『徳川15代将軍継承の謎』株式会社KADOKAWA、2013年)など。

2018年 9月更新

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