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西洋史学

この専門分野では、古代オリエント・地中海世界、中世・近代のヨーロッパ世界、また近代の南北アメリカやオセアニア、アジア、アフリカの植民地などヨーロッパ人の進出によって形成された諸世界の歴史を対象とするのですが、それらの歴史の中の諸現象を個別に考察するだけでなく、世界史の中に位置づけることを重視しています。院生の皆さんには自力で高度な研究を目指す自立心と、研究室共同体での相互批判から学ぶ開かれた精神が求められます。この専門分野では創設以来、多数の優れた研究者を送り出してきました。またここで学んだ後、西洋史研究以外の世界に進む人もいます。研究に困難はつきものですが、関心があるならば挑戦してみませんか。

教員紹介

教授 秋田茂教授 藤川隆男教授 栗原麻子 教授 Nadin Heé

教授 Gerold Krozewski(兼) 准教授 中谷 惣  講師 見瀬 悠

教授 秋田 茂

あきた しげる
1958年生。1985年、広島大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(文学)(大阪大学)2003年。大阪外国語大学外国語学部助手、同講師、同助教授を経て、2003年10月より現職。先導的学際研究機構(OTRI)グローバルヒストリー研究部門長、アジア世界史学会(AAWH)会長。
専攻:イギリス帝国史・グローバルヒストリー
研究紹介
イギリス帝国史、グローバルヒストリーを専攻。19-20世紀のイギリス史を帝国・コモンウェルスとの関係から研究してきた。特に、南アジア、東アジア諸地域と近現代イギリスとの関係を、政治外交史と経済史の両面から研究している。最近は、(1)「長期の18世紀」の再考と現代の「東アジアの経済的再興」の歴史的考察、(2)近現代ユーラシアの比較大国論、(3)1950-60年代のアジア国際秩序と経済援助計画など、関係史の視点からグローバルヒストリーの構築に取り組んでいる。また、アジア世界史学会(AAWH)、東アジアブリテン史学会、グローバルヒストリー研究コンソーシアムなどの国際交流にも従事している。
メッセージ
グローバルな視点をもって、前向きに、新しい世界史を考える人を応援したいと思います。現在、世界中の学界においてグローバルヒストリー研究が議論されており、大阪大学もその有力な研究拠点の一つとして注目されている。グローバルに展開する研究ネットワーク、特に2009年に設立されたアジア世界史学会(AAWH)などを通じて海外への情報発信をめざしたい。また、大阪大学歴史教育研究会の活動などを通じて、研究成果を社会に問いたい。
主要業績
『1930年代のアジア国際秩序』溪水社(共編著、2001); Gentlemanly Capitalism, Imperialism and Global History(編著、London and New York: Palgrave, 2002);『現代南アジア6 世界システムとネットワーク』東京大学出版会(共編著、2003);『イギリス帝国と アジア国際秩序』名古屋大学出版会(2003);『イギリス帝国と20世紀1 パクス・ブリタニカとイギリス帝国』ミネルヴァ書房(2004); International Order of Asia in the 1930s and 1950s(編著、London and New York: Ashgate, 2010);『アジアからみたグローバルヒストリー』ミネルヴァ書房(編著、2013);『帝国から開発援助へ 戦後アジア国際秩序と工業化』名古屋大学出版会(2017)
概説・一般書
『新版 世界各国史 イギリス史』出川出版社(共著、1998);『イギリスの歴史―帝国=コモンウェルスのあゆみ』有斐閣(共著、2000);『世界歴史大系 イギリス史3』山川出版社(共著、1996);『グローバル・ヒストリーの挑戦』山川出版社(共著、2008);『歴史学のフロンティア』大阪大学出版会(共著、2008);『イギリス近代史』ミネルヴァ書房(共編著、2011);『イギリス帝国の歴史―アジアから考える』中央公論新社(2012);『グローバルヒストリーと帝国』大阪大学出版会(共編著、2013);『グローバルヒストリーと戦争』大阪大学出版会(共編著、2016);『新しく学ぶ西洋の歴史―アジアから考える』ミネルヴァ書房(共編著、2016)

2018年 8月更新

教授 藤川隆男

ふじかわ たかお
1959年生。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程中退。文学修士(大阪大学)、MA(ANU)。帝塚山大学教養学部講師、同助教授、大阪大学文学部助教授を経て現職。
専攻:西洋史、とくにオーストラリアの歴史
研究紹介
オーストラリアの歴史を主に研究しています。また、「白人」の歴史的な成立に関する研究も行っています。 2011年に、『白人とは何か?』に続く、『人種差別の世界史―白人性とは何か?』を出版しました。研究ではないのですが、ネット上で動くオーストラリア 辞書(日本語)やオーストラリアの失われた地名辞典(英語)の作成も行っています。最近は、オーストラリアの歴史博物館の歴史や空想上の動物バニヤップに 興味を持って、オーストラリア各地を訪ね歩いています。2016年7月には『妖獣バニヤップの歴史 ―オーストラリア先住民と白人侵略者のあいだで』(刀水歴史全書91)を出版しました。日本画家の人たちに表紙絵や挿絵を描いてもらった豪華な?研究書です。
メッセージ
オーストラリアの研究を志す人を求めています。入学を希望する人は気軽に連絡してください。研究室のサイトにメールアドレスが記載してあります。ご利用ください。また、人種・ジェンダー・階級の関連を歴 史的に考えたいと思っているような人も研究室に連絡してください。これまで研究してきた分野は問いません。歴史学を研究してきた人も、人類学を研究してきた人も、社会学を研究してきた人も大歓迎です。妖怪や怪物が好きな人も歓迎します。また、ソフトボール好きの人も仲間になれる気がします。
主要業績

『妖獣バニヤップの歴史 ―オーストラリア先住民と白人侵略者のあいだで』刀水書房、2016; 『人種差別の世界史』刀水書房、2011;『パスポートの発明』(監訳)法政大学出版局、 2008; 『白人とは何か?』(編著)刀水書房、2005、pp. 1-57;『空間のイギリス史』(編著)山川出版社、2005、pp. 3-11, pp. 57-69;「ジェントルウーマン・ダウンアンダー」『ジェントルマンであること』刀水書房、2000、pp.146-169;「オーストラリアにおける アイルランド系移民」『岩波講座世界の歴史19巻 移動と移民』岩波書店、1999、pp. 87-108;「移住する先住民」『先住民と都市』青木書店、1999、pp.24-40

概説・一般書
『アニメで読む世界史2』(共編著)山川出版社、2015; 『アニメで読む世界史』(編著)山川出版社、2011;『猫に紅茶を』大阪大学出版会、2007;『オーストラリアの歴史』(編著)有斐閣、2004;「オーストラリア史」『オセアニア史』山川出版社、2000、pp. 78-167

2018年 8月更新

教授 栗原麻子

くりはら あさこ
1968年生。1995年、京都大学大学院文学研究科博士課程(西洋史学専攻)指導認定のうえ退学。博士(文学)(京都大学、1998年)。日本学術振興会特別研究員、奈良大学講師を経て、2004年10月より現職。
専攻:古代ギリシア史
研究紹介
私の専門は古代ギリシア社会史です。アテナイ民主制についての研究は、民会のような政治の場での男性市民の活躍に目を向けがちです。それにたいして、家族愛や友愛といった私的な絆に囲まれた個人の側から、ポリスの共同体性を問いなおし、アテナイ政治史を読み替えるのが、当面の目標です。より具体的には、復讐意識と共同体性の関係を、法の運用の場である民衆法廷での言説をターゲットにして探っています。
メッセージ
歴史学は、古を知ることで現在を知る学問です。ひとつには、他文化を知ることで自己を反省するといった意味において。いまひとつには、我々を規定している西洋的な思考を、その源流から眺めるという意味において。古代ギリシア人の心の風景にできるだけ近づいて、彼らの声に耳を傾けてみませんか。
主要業績
「『思い出さない』誓いをめぐって 前403年アテナイにおける和解儀礼」『古代文化』62-1(2010);“Personal Enmity as a Motivation in Forensic Speeches”, in: Classical Quarterly, 53-2, 2003;「紀元前415年のアンドキデス」『西洋古典学研究』48巻(2000);「古典期アテナイにおけるフィリアと共同体」『史林』78-4(1995);「前4世紀アテナイの親族関係―イサイオスの法廷弁論を中心に」『史林』76-4(1993)。
概説・一般書
南川高志・山辺規子編『大学で学ぶ西洋史〔古代・中世〕』ミネルヴァ書房(共著、2006);奈良大学文学部世界遺産コース編『世界遺産と都市』風媒社(共著、2001);『歴史のなかのジェンダー』藤原書店(共著、2001);G・デュビィ,M・ペロー監修『女の歴史 Ⅰ古代1』藤原書店(共訳、2000);「獲得されるものとしての親族関係―前4世紀におけるソロンの遺言の法の運用をめぐって―」歴史学研究会編『地中海世界史 第5巻 社会的結合と民衆運動』青木
書店(共著、1999)。

2018年 8月更新

准教授 中谷 惣

なかや そう
1979年生。大阪市立大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員、信州大学助教を経て、2018年4月より現職。
専攻:ヨーロッパ中世史(イタリア中世史)
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研究紹介
イタリアの小さな町の文書館に所蔵されている、中世の法廷や議会の記録を読んでいます。そこには住民からの様々な訴え、たとえば貸した金を返せ、司祭から暴力を受けた、貧しいので刑罰を軽くしてほしい、公道の整備が必要だ、税金を安くしろ等が記されています。こうした市井の人びとによる都市国家への訴えを通じて、中世に特有の、しかし近代以降にも通じる要素をもつ、国家、正義、公共善が立ち現われてくる過程を研究しています。
メッセージ
中世の裁判記録や契約文書、あるいは医者の覚書などの個人的な文書を読んでいると、時には思いもよらぬような、でも時にはとても共感できる、考えや行動に出くわす瞬間があります。うす暗い文書館で、遠く離れた時空間に生きた彼ら彼女らと通じ合えたような気がしたとき、何かとても満たされた気持ちになります。それが私の研究の原動力です。
主要業績
『訴える人びと―イタリア中世都市の司法と政治―』名古屋大学出版会(2016年);“The Gratia and the Expansion of Politics in Fourteenth-Century  Lucca” The Southern African Journal of Medieval and Renaissance Studies 22/23 (2013).;“La giustizia civile a Lucca nella prima metà del XIV secolo” Archivio storico italiano 630 (2011).
概説・一般書
『はじめて学ぶイタリアの歴史と文化』ミネルヴァ書房(共著、2016年)

2019年 4月更新

講師 見瀬 悠

みせ はるか
 1985年生。2016年、東京大学大学院人文社会系研究科(西洋史学専攻)単位取得満期退学。博士(歴史学)(パリ=エスト大学、2021年)。日本学術振興会特別研究員、パリ=エスト大学博士課程契約研究員を経て、2020年4月より現職。
専攻:近世フランス史
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研究紹介
外国にルーツをもつ人々といかに共生するかという問題は、現代社会の大きな課題のひとつです。近世のフランス王国でも、戦争の勃発、政治宗教的な迫害、国際商業の発展、旅行文化の誕生を背景として、外国人の到来と定着がみられました。彼らを統合ないし抑圧・差別する法・制度や言説がどのように形成され展開したのかを観察することで、歴史学の立場から現代社会が直面する課題を考察するための素材を提供できると考えています。
メッセージ
修士1年の終わりに、パリの国立公文書館で18世紀の手稿文書を初めて手にしたときの高揚感を今でもよく覚えています。近世フランスという「過去」に直接触れたような感覚を抱いた瞬間でした。史料と虚心坦懐に向き合うなかで、過去の社会がいかに現代社会とは異なる秩序や規範によって支えられていたかを実感することが何度もありました。こうした実感は、自分たちの社会や時代を相対化し、異なる文化や慣習のなかで生きる人々への想像力を育んでくれます。皆さんも大学院での学びを通して過去と対話してみませんか。
主要業績
「近世フランス植民地における外国人の法的地位―アンティル諸島への外国人遺産取得権の導入から廃止まで―」『歴史学研究』993号(2020);「18世紀フランスにおける外国人遺産取得権―パリ・サン=ジェルマン=デ=プレ地区の事例から―」『史学雑誌』127編9号(2018年);「18世紀フランスにおける外国人と帰化 : ブリテン諸島出身者の事例から」『史学雑誌』123編1号(2014年)。
概説・一般書

2021年 6月更新

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