日本学
この専修は、日本文化学、日本思想史、比較文化学、文化交流史、文化人類学、民俗学、ジェンダー論といった分野から構成されています。現代の国際的な環境のなかで日本が占める相対的な位置を自覚しながら、日本の文化・思想・歴史・社会・国際関係を、文献解読、資料調査、フィールドワークなど多様なアプローチを取り入れて、複眼的・総合的な視野から研究する専修です。既成の研究スタイルにとらわれることなく、境界横断的な視野に立ち、現代世界が直面する課題を真摯に引き受ける姿勢にもとづいて、新鮮で独創性に富んだ研究に取組むことを目標としています。学生は、対象と方法を異にする様々な講義・演習に並行的に参加しながら、各自の問題意識を研ぎ澄ましていくとともに、本講座に在籍する多くの外国人留学生と積極的に交流し刺激し合いながら、開かれた日本研究の視点を深めることが期待されます。
教員紹介
教授 杉原達
すぎはら とおる 日本学/文化交流史 近現代日本をめぐる人の移動と文化の交流・摩擦、在日朝鮮人史、中国人強制連行。 |
- メッセージ
- 日本というものを、自明なものとしてあらかじめ見定めてしまわないで、さまざまなレベルで亀裂線をもち、それらの依存と摩擦の中で成立してきたし、今もせめぎあっているという点を考えてみてほしい。そして、自分の「現場」をもちつつ、越境する知のありかたを、手さぐりをしながらじっくりと追求してほしいと願う。テーマは無限にあるだろう。自分が本当に探究したい課題をみつけること、そこにキラリと光る個性を出してください。
2017年 8月更新
教授 平田由美
ひらた ゆみ 日本文学・文化研究/ジェンダー研究 近代文学表現史、ジェンダー表象論。 |
- メッセージ
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19 ~20世紀の日本文学のテクストを中心に「近代という問題」を研究テーマとしています。それが「今」とどう関わっているのか、「日本」や「日本文学」という概念が何を指し示しているのか、「文学」と「非・文学」の境界線が誰によって、どのように引かれるのかなどなど、ちょっと踏み込めば八幡の藪知らず的難問が山積みです。そうした問題群を、テクストとコンテクスト、つまり文学テクストとそれをとり巻いている歴史-文化的文脈との関係から考えています。
2017年 8月更新
教授 北原恵
きたはら めぐみ 表象文化論 /ジェンダー論 視覚文化における戦争とジェンダーの研究。 |
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- メッセージ
- 視覚表象の社会における機能や、視線が構築する権力関係の重層的な構造分析に関心があります。芸術は、日常での当たり前の決まりごとを目に見える形にして疑問を起こさせる力を秘めていますが、同時に戦争や疫病、貧困などの悲惨な状況は、文化がないから起きているのではなく文化があるからこそ起きているという側面があります。ゼミでは視覚文化を、ジェンダーやセクシュアリティ、民族、人種、階級などの視点を中心にして読み解く作業を続けています。
2017年 8月更新
教授 宇野田尚哉
うのだ しょうや 近世・近現代の日本思想史 近世日本の儒学史/戦後日本の文化運動。 |
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- メッセージ
- 私のもともとの研究テーマは、荻生徂徠を中心とする18世紀の儒学史なのですが、思想史と社会史の接点のようなところで歴史を叙述することはできないかと考えるようになり、徂徠学を受容した無名の武士の思想と行動を論じる論文などを書きました。無名の人々の思想的・文化的営みからその時代を捉えかえしたいという問題意識は近現代の問題を扱う場合も一貫していて、最近は1950年代のサークル運動を手がかりとして50年代像を描きなおすことを試みています。
2017年 8月更新
准教授 北村毅
きたむら つよし 文化人類学・民俗学/沖縄研究 近現代日本における戦争の記憶の研究。沖縄の戦後史研究。沖縄の民俗文化の研究。 |
- メッセージ
- 「戦争の記憶」をめぐるコンフリクトを研究テーマとしてきました。戦争は、国家間、国家と国民、国民同士の究極のディスコミュニケーションですが、その不和は現在の関係性にも影響します。また、精神的後遺症など、コミュニケーション不全を抱えた人びとを生み出します。戦争がもたらすコンフリクトとアクチュアルに向き合うためにも、「戦争の記憶」を研究することの意義は大きいといえます。暴力の連鎖を回避するために何ができるか、みなさんと一緒に学んでいきたいと思います。
准教授 安岡健一
やすおか けんいち 近現代日本史 農業・農村をめぐる人の移動と定住の関係史(農業労働、移民・開拓、社会運動、高齢化等)。 |
- メッセージ
- 近代日本、特に20世紀中ごろの農村のあり方と人の移動の関係を中心に学んできました。資料にはさまざまな事柄が記載されており、読み進め理解しようとするうちに、いろいろな研究テーマへと巻き込まれていきました。近現代の歴史を学ぶ過程では、今現在生きている方との出会いも数多くあります。自分とは異なる人の語りに耳を傾けることは、簡単ではないかもしれませんが、必要なことだと思っています。皆さんも大学で多くの人に出会ってください。
2017年 8月更新