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臨床哲学

〈臨床哲学〉は、哲学講座倫理学研究室を母胎として設置された専門分野です。当分野では、欧米および近代日本の倫理思想、道徳理論や現代の社会哲学・文化理論を精密に解読・批評するとともに、そこに表現されている問いや概念を社会の具体的なコンテクストに再び置き直して問うこと、また、社会のさまざまな場所で潜在的に問題となっていることがらを、社会のなかで現に生きている人たちとの議論を通じて掘り起こし、問いや問題として定式化すること、に取り組んでいます。

当分野では“共同研究”というスタイルを重視します。研究者が孤独に自分だけの知的好奇心を満たすだけに終わらず、例えばケア、医療、介護、教育、ジェンダー、セクシュアリティなどについて、実際に社会でそれらに関わる人たちとの議論をおこなうなかで「何が問題であるのか」を確定し、研究プランを作り、それを遂行することを重視します。

教員紹介

教授 堀江 剛准教授 ほんまなほ講師 小西真理子

教授 堀江 剛

ほりえ つよし
1961年生。2001年、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程(臨床哲学専攻)単位取得退学。博士(文学)(大阪大学、2003年)。2004年、広島大学総合科学部助教授。2007年、同准教授。2011年、同教授。2016年4月より現職。
専攻:哲学/倫理学/臨床哲学
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研究紹介
西洋近代哲学、特にスピノザの研究をしてきました。それと同時にルーマンの社会システム理論に惹かれ、社会のあらゆる現象を「コミュニケーションのシステム」として捉える考え方に強い関心を持っています。臨床哲学(研究室が開設された年に博士後期課程に入学)では「ソクラティク・ダイアローグ」や「哲学カフェ」など、哲学対話の方法論と実践に取り組んできました。近年では、「組織」に着目した臨床哲学の可能性を考えようとしています。
メッセージ
臨床哲学は、「だれが・どこで・どのように・哲学する」のか、ということを常に新たに問い続ける分野だと考えています。哲学者や専門家(あるいは個人)が・研究室や大学で・古典的なテキストを読み解く仕方で哲学するといった既存のイメージを一旦リセットし、柔軟に「哲学する」ことの可能性を探る「挑戦」の場所だと言ってもよいでしょう。この、ゼロから哲学を考え行なうという意味で、教員も学生も、そして臨床哲学に関わる様々な人々も、同じ地点に立っています。
主要業績
「スピノザの「個物」概念」日本哲学会『哲学』52号、2001年;「スピノザの「属性」概念」スピノザ協会『スピノザーナ』5号、2004年;「現場の哲学と社会システム論」『臨床哲学』9号、2008年;「哲学する装置: Neo-Socratic Dialogueとその活用」広島大学人間文化研究講座『人間文化研究』3号、2011年
概説・一般書
『はじめて学ぶ西洋思想:思想家たちとの対話』ミネルヴァ書房、2005年(共著);『ソクラティク・ダイアローグ:対話の哲学に向けて』(仮題)大阪大学出版会、2016年(刊行予定)

2018年 8月更新

准教授 ほんまなほ

ほんま なほ
1970年生。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。文学修士(大阪大学)。大阪大学大学院文学研究科哲学講座助手、同講師を経て、2005年4月に大阪大学コミュニケーションデザイン・センター講師に着任し、文学研究科を兼任。2006年4月より現職。
専攻:哲学/倫理学/臨床哲学
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研究紹介
現象学、精神分析、システム理論ほか、20世紀の西洋思想・現代哲学の研究を軸に、コミュニケーション、社会、身体、セクシュアリティなどについての理論的探究を行う。臨床哲学の活動としては、哲学プラクティスなど、具体性に向かう哲学的思考の可能性を探究している。また、哲学的な対話法を学ぶワークショップや「こどもの哲学」などの実践と研究に取り組んでいる。
メッセージ
自分の知的関心に従い、あることを掘り下げて考える。それは面白くて仕方がないし、研究をすすめるうえでも欠かせないことでしょう。他方、水平的な関心から、単に隣接の分野ということに限らず、ひろく隣人の声を聴いてみる。これを実行するためには、自分を絶えず更新していく姿勢が求められるでしょう。誰かのニーズに耳を傾け、それにどう応えるのかを考えることも、なかなか奥深い。ましてや、それが創造的な営みとなるのならば。
主要業績
『行為/モラルの哲学』(岩波講座哲学6)岩波書店、2008年(共著);『応用倫理学講義1生命』岩波書店、2004年(共著);「コミュニケイションと倫理学」日本倫理学会編『倫理学年報』第48集、1999年;「オートポイエーシスと『身体』の問題」現象学年報15、1999年
概説・一般書
『ドキュメント臨床哲学』大阪大学出版会、2010年(共編著)

2019年 4月更新

講師 小西真理子

こにし まりこ
1984年生。2014年、立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程修了。博士(学術)(立命館大学、2014年)。日本学術振興会特別研究員PD、RPDを経て、2018年4月より現職。
専攻:倫理学/臨床哲学
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研究紹介
個人の依存的な症状あるいは依存的な関係性である「共依存」の研究からはじめ、現代社会における病理的な関係性、依存症、家族問題などについて研究してきました。倫理学理論としては、「ケアの倫理」を専門としています。現代社会の具体的な問題を考察することで、今まで見逃されてきた/否定されてきた「倫理/人間の生き方」を明らかにすることが私の研究スタイルです。
メッセージ
大学院に進学してまで考えたいテーマや関心には、さまざまな背景があるでしょう。その背景は時に重く、時に素朴です。自分が本当に大切だと思うことについて、先に進むのではなく立ち止まって、徹底的に悩んだり考えたりすることは苦しみを伴うかもしれませんが、大変楽しいことでもあります。また、関心の一部を共有できる人を探したり、出会った人に影響を与えられたりしながら、その経験が研究を形作っていくこと、その研究をもって他者に問いかける機会がもてるのは、臨床哲学の実践の醍醐味ではないでしょうか。
主要業績
「『共依存』再考:フェミニズムによる批判の検討」、関西倫理学会『倫理学研究』vol.45、2015年;「ケアの倫理に内在する自立主義:相互依存・依存・共依存の検討を通じて」日本倫理学会『倫理学年報』vol.65、2016年;「DVにおける分離政策のオルタナティヴのために:リンダ・ミルズおよび修復的正義の視点」『生存学研究センター報告24:〈抵抗〉としてのフェミニズム』2016年;「ケアの倫理における心理的なケア/依存:病理との関係をめぐって」日本倫理学会『倫理学年報』vol.67、2018年
概説・一般書
Le Care: Éthique Feministe Actuelle, Remue-Ménage, 2015、(共著);『共依存の倫理:必要とされることを渇望する人びと』晃洋書房、2017年

2019年 4月更新

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